目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
「つまり……元は人間なのか?」
「そうだよ。ポケモンはUSUMまでプレイ済み。もっともレート戦は嗜む程度でガルミミガッサで1950くらいかなぁ……だからバトル方面は期待しないでくれると嬉しいかな。まぁ私は基本的に色粘り勢だから大目に見て。あなたは?」
「……最後にやったのは十年くらい前のプラチナ」
「あー……うん。大丈夫」
明らかにメロエッタがガックリした表情を見せる。まぁ分からなくもない。正直に言って前世でやり込んでた人と話せば考察も出来る。情報はあった方が有利だ。ていうかメロエッタの言ってる言葉の一割も理解できなかったんだが……
「それじゃあダークライ。推しポケは? ちなみに私はヌマクロー」
「……ピカチュウかな? ちなみに嫌いなポケモンはニンフィアだ」
いや。好きなポケモンとかいないし。話を振られても困るな。真面目にポケモンやっとけば良かったよ……。
「さて、まぁその辺にしておいて来た経緯を話しましょう。私はいつも通り仲間連鎖でマスボ色ミミッキュの色違いを粘ってたら眠くなって……気付いたらメロエッタになってました!」
「……僕は彼女が死んで、やり残したポケモンUSをせめて殿堂入りまではやろうと代わりにやってたら眠くなって……いつの間にかダークライになってたという感じだな」
「なんか変なこと聞いてごめん……そんな重いとは思わなかった……」
「それで森を彷徨っていると彼女と瓜二つの人に会った。それがナナ……僕はナナをチャンピオンにしたい。前世で出来なかったから……」
「……なんか凄いロマンチック! 素敵!」
しかし、この世界で同士に会えるとは。それが少しだけ嬉しい。自分と同じ境遇の人がいるというのは安心するものだ。
「ちなみに私はメアの歌声に惹かれたと言ったでしょ。実はホントのことを言うと少しだけ違うの。メアの歌声。それが私の死んだお姉ちゃんの歌声にそっくりだったの」
「……似たようなものだろ」
「ダークライには負けるよ。でも……偶然かな? たまたま近くに前世で大切だった人に似たトレーナーがいる。ダークライは容姿、私は歌声。もしかして運命的な出会いになるように仕組まれてる?」
仕組まれてるか。そんなことは考えたこともなかったな。しかし仕組んだとしたら誰がなんのために? それにそんなことが出来る存在なんているのか?
「ゲームだと幻のポケモンは基本的に『運命的な出会いをした』という表記になっていることが多いの。そして私達なら普通は捕まらないよね?」
「そうだな」
「つまり幻のポケモンは全ての個体が前世は人間であり、前世で大切だった人の元に行く。だから絶対に運命的な出会いになる……って考えられないかな?」
「分からん。普通の幻のポケモンはただのポケモンかもしれない。もっと幻のポケモンを見てみないとなんとも言えないだろ……」
結局のところ事例が少なすぎる。僕達だけが例外とも考えられる。今の情報だけじゃ核心には到達できないだろう。
「少しだけ本編以外の情報からも整理しようか、アニポケに出てきた幻のポケモンは前世が人間だと思わせる描写は当たり前だけど無し。そして前世が人間のポケモンと言えば不思議のダンジョンシリーズくらい……だけどあれはポケモンだけの世界でトレーナーはいない」
やばいな。まったく話についていけない。このメロエッタ。ただのガチ勢じゃないか。心強いというかなんというか……
「しかしゲームでは幻のポケモンというのはマナフィを除いて『どう誕生するか明かされていない』。それに対して伝説……少なくともシンオウ三龍はHGSSのシント遺跡イベントで卵、ポケモンスナップでファイヤー、サンダー、フリーザーの卵が確認されている。そういう観点やその他設定から全てのポケモンは卵から生まれるものとされるが、今回は私達という例外が発生したわけよ。」
「つまり?」
「まだポケモンの世界は謎だらけってこと! しかしポケモンの世界は何度も行きたいと思ったけど、まさかポケモンになっちゃうなんてなぁ」
なんの進展もねぇじゃねぇか! まったく……話に付き合って損した。
「だけどポケモンが全て卵からだとしたら私達は転生じゃなくて憑依って可能性もあるのかなとは思うかな」
でも結局のところ確かなことはなにも分からない。分かったとしてもどうすることも出来ない。意味のない情報にしかならない。それに分かったことでやることは変わらない。僕はナナをチャンピオンにする。もっともこういう話も面白いけどな。
ここで話し合っても答えは永遠に出ない。というより本当のことなんか一生分からない。だから今のことだけを考えようそれがいい。
「ていうかダークライ。バトル怖くないの?」
「最初は怖いが慣れると楽しいぞ。ナナと一心同体になったような気がするし」
「それじゃあ痛くないの? バトルって痛そうだから絶対に嫌だって感じなんだけど……」
「そういえば最近は感じないな。最初のうちはそこそこ痛みはあったが……」
「ふーん……そういえば最初はモンスターボールとか狭そうだし絶対に入りたくないって思ってたけど入ってみたら意外と広かった。だからやってみたら違ったりするのかな?」
あーだからボールに入ろうとしなかったのか。前世が人間だからこその思考だな。モンスターボールは良いぞ。なにもない広い部屋だが赤い部分がクリア素材になっていて外も見れる。それに音も聞こえる。ただ少しだけ退屈だが……
「こんど私もバトルしてみようかなー……でもメアにバトルは嫌いと言った以上は少しだけやりにくさがあるかな」
「でも技を出すのは少しだけ苦労する」
「あ、それは大丈夫。技が打てるのはイメージさえ出来れば打てるのは検証済みだから」
メロエッタが軽く手から電気を出す。その様子だと問題なさそうだな。しかし僕は技を覚えるのにあんなに苦労したというのに……
「でも。『いにしえのうた』だけが分からないの。あれが出来ればステップフォルムになって苦手な悪や有効打に欠ける鋼に有利になれるんだけどね。もっとも教え技だし仕方ないものなのかもしれないけどさ……そうなると当分はワロス玉で戦うしかないのかなぁ」
この様子だとメロエッタがどんなポケモンなのか。どういう技を覚えるかというのも把握してるみたいだな。あと彼女には一つだけ言っておくべきことがあるな。
「メロエッタ。一つ聞いてくれ」
「なに?」
「この世界にはゴゥー団という悪の組織がいる」
「ふーん。目的は?」
「強くなることと言っている。それでダークポケモンというポケモンをポケモンを……」
「ダークポケモンね。地球だとポケモンコロシアムで出てきた要素だね。あと最近だとポケモンGOでもあったっけ?」
「そいつらは死ぬまで戦う」
「技は?」
技? なんでそんなことを……
「普通に使うぞ?」
「ポケモンコロシアムのやつとは少しだけ違うっぽいね。どちらかというとポケモンGOに近いのかな? それなら飴進化もありそう」
飴進化? まぁなんでもいいか。しかし話がポンポン進んでありがたいな。これほど楽な説明もない。
「まぁだから下手したらメロエッタも場合によっては戦うことになる可能性はある」
「あーーたしかに私は幻のポケモンだし狙われるのかぁ……まぁ覚悟はしとくね」
「とりあえず僕は寝る」
「うん。私も寝るね~おやすみ~」
そして朝になる。メロエッタを加えて林を歩く。既にメロエッタはメアと意気投合していて彼女の肩に乗っている。まるでどこかのピカチュウを連想させる。それともメロエッタも意識してのことなのだろうか。そして今日だけは僕もボールから出て歩いている。
「そういえばダークライ。メアとベアルンが悪い夢を見たそうだけど心当たりあるかしら?」
「シ、シラナイ……」
「そう。夜にメロエッタと話すのも良いけど周りの人に悪夢を見せるんだから気を付けてね」
あ、はい……ていうか完全にバレてるし。
いや、まぁナナに隠し事は出来ないか。
「それとダークライ。見えてきたわよ。アメコミタウンが!」
そして遂に新しい街に着く。
The補足
というわけで考察回でした。
どうしてこの世界に来たのか等はもしかしたら、あと一度だけあるかなという感じで、これ以上は触れないと思います。
それは地球時代との関連が出てくると大きく脱線して「それをポケモンの二次創作でやる必要があるのか?」という事態になってしまうからです。あくまでナナがチャンピオンになるまでも物語。世界の謎を解き明かす物語ではないからです。
つまりナナの容姿が恋人と瓜二つの理由等に関しましては作中で説明されることも深い意味もないのでご了承ください。
ちなみに主人公がダークライなのは単純に「ゴスロリ少女とダークライ」というものを書きたかったからであり、それ以上でもそれ以下でもありません。
またメロエッタが出た理由。
それは単純に歌いながら近接戦闘で戦うスタイルのポケモンに惹かれて、書きたかったからです。あと最近メロエッタというポケモンがめちゃくちゃ可愛いと思ったのが少し……()