目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
祭りが始まった。ナナは逃げていた。相手は国際警察のメデア。使うポケモンはローブシン。見た目からは想像できないくらい早いパンチでこちらを的確に追い詰めていく。
「ローブシン。さぁマッハパンチでトドメだ」
その時だった。上 からバタフリーが現れてぼうふうでローブシンを吹き飛ばした。しかしローブシンはすぐに体勢を空中で整えて上から岩を降らす。しかしバタフリーの姿はない。ついでに言うなら僕の姿もない。何故なら僕たちはビルの中にいるから。簡単な話だ。僕とナナはバタフリーのぼうふうで空を飛び、予め割ってあった窓から侵入。そしてバタフリーはテレポートをした。後ろからコツンコツンと足音がする。バタフリー使いのお出ましだ。
「おはようだな……腐れヒーロー」
「お前は!」
「ヴィラン名は『ボス』。それにしても随分と強いローブシンだ。でも終わりだ」
その時だった。ローブシンが苦しみ始めた。まるで計算通りと言わんばかりに男は上から叫ぶ。それをメデアは睨んでいた。
「逃がすか! ローブシン。そのままマッハパンチで……」
「ダークライ。あくのはどう」
僕はナナに言われた通りにあくのはどうでローブシンを地面に帰す。そしてドシンという音が地面に鳴り響く。
「さすがだ。悪夢姫」
「ボス。早く撤退よ」
「ああ」
そして消えていく。バタフリーの鱗粉は毒だ。それをローブシンは受けて毒でもがき苦しんでいる。相手も相当な強者で普通なら通用しない。少なくともナナと僕が逃げに徹しても危ないくらいの相手。それなのに毒が効いた理由。それはバタフリーが想像以上に強かったというしかないだろう。それだけの話だ。
僕たちはテレポートして酒場に行く。ここはヴィラン本拠地。ポケモンが傷ついたらここで回復を行い、体制を整えて出る。今回のラルム立案の作戦。まず最初にヒーローの絶対にバレない本拠地を作り、そこにラッキー等で他のポケモンを回復できるポケモンを持っトレーナーを配置することで疑似的なポケモンセンターを作る。そして常に誰かとペアになり、数的有利を取られないようにする。
そのペア組の結果として僕たちはヴィランのボスであるラルムとペアを組んでいた。そして事実上の側近のような感じになっていた。
「……マネキンの数は?」
「破壊が3。手元にあるのが28」
「ヒーローのマネキン状況は?」
「現在は41体保護です」
ラルムが近くにいる人に状況を話させた。今回のラルムの作戦はかなり下衆だ。まず最初にマネキンを拠点において隠す。そうすることで『存在するマネキンを全て回収する』の条件を満たせなくした。破壊すれば存在しないマネキンになるため敢えて破壊していないのだ。
「全部でヒーローが三百八名。それに対してヴィランが七十八名。やっぱり例年通りヴィランが不利過ぎるんだよ。まったく」
「ボス。しかしこちらは被害が八人に対してヒーローは既に五十名近くになっています」
「……おかしいな。ヒーローの死人が少ない」
「情報によるとキュートガールというヒーローが歌でポケモンを強化して回っているそうです」
「だからか……全員に連絡しろ。キュートガールというクソヒーローを最優先で潰せと」
キュートガール。メアのことか。戦況はこちら有利と言えど思った以上に良くない。もっとこちら有利で進む想定だった。
「ボス! 連絡です! たった今こちら陣営が一気に十二名死亡! それで計二十になりました!」
「……まぁ上手くはいかない……か。誰にやられた?」
「ヒーローウルトラ! ヒーロー最強と名高く四天王と同レベルのバトルの実力の持ち主……」
「ポポ……たしかヴィラン名はダークナイト。そいつに行かせろ。それに腕に覚えがあり水タイプのポケモンをパートナーにしてる者を四名当たらせろ。恐らく死ぬかもしれんが構わん。それでウルトラを倒せるなら儲けだ」
「分かりました!」
「あと悪夢姫。お前も行け。だがお前は生きて戻ってこい」
「……ボスは?」
「これはチャンスだ。折角だからエンペラーでも落としてきてやるよ」
そうして次の作戦が始まる。ナナが行った時には既に炎の海だった。そんな中でエンテイとメガラグラージが激しく戦っていた。それにカオスだ。天気が晴れたり、雨が降ったりとコロコロ変わっていく。
「どうしたヴィランよ! そんなものか!」
「こっちのセリフだよ! ヒーローも随分と衰えたものだね」
メガラグラージのパンチがエンテイにダイレクトに辺り吹き飛ばされる。それからゴルダック、ニョロトノ、ヌオー、ドヒドイデが水技を使ってエンテイを追い込んでいく。
「卑怯とか言わないでくださいよ。今の僕はヴィランなのですから」
メガラグラージ使いの方を見ると青髪の女性だった。しかも水色の夜会服のようなものを着ていて、とても美しい。あれが前回のポケモンリーグ優勝者。そんな中でナナが僕に合図をする。次のエンテイの動きを見越して……
「ここは不利だな。ハッハッハ! 逃げるぞ! エンテイ! じならしだ!」
エンテイが雄叫びをあげた後に地震を起こして周りのポケモンを吹き飛ばす。それにラグラージ以外のポケモンが一切対処出来ずに戦闘不能になる。そしてエンテイはウルトラを乗っけてビルを駆けのぼる。
「ごめんなさいね」
僕たちはそんなエンテイの目の前に現れ、そしてシャドーボールで足元を崩していく。ナナはエンテイの逃走を完全に読んでいた。そして逃走経路に先回り、一番避けられないタイミングでの一撃。しかもエンテイは狙わない。恐らく本体に当たっても大したダメージにはならないし、なにより直接狙った攻撃は反応される。だからバランスを崩すためだけの一撃だ。
「今年のヴィランは容赦ないね! だが、それでも負けないからヒーローなのだよ!」
「ダークライ!」
そんな時だった。一気に体が吹き飛ばされる。エンテイは空中を蹴り、こちらに突進してくる。無茶苦茶だ。こいつ……空中でも歩けるとでも言うのかよ!
「覚悟はいいか! ヴィラン! エンテイよ! だいも……」
「ナイスファイト。あとは任せて」
その時だった。下から水の弾丸がビルを登り、エンテイの腹を貫いた。水の弾丸の正体。それはメガラグラージ。あの技はまさか『たきのぼり』か! ビルを滝に見立てて上ったというのか!
「少し力を借りれるかな? このヒーロー。しんそくの要領で足が落ちる前に宙を蹴り、空中を走るくらい無茶苦茶な存在。僕一人だと五分五分なのよ」
メガラグラージ使いは僕っ娘か。しかしどうすれば……
「君のトレーナーの指示に従って。恐らく君のトレーナーはどう動くのが一番助けになるか分かってるから」
「……ダークライ! 大丈夫?」
ナナが駆け寄ってくる。しかし手には傷薬はない。理由は単純。道具の持ち込みが禁止されているから。つまり回復が不可。そのためラルムは回復出来るポケモンを集めた疑似的なポケモンセンターを最初に作った。しかしダメージを負えば回復薬のラッキーへの負担が増えていく。だからなるべく避けていきたい……
「やっぱり次元が違う……真っ向からやって勝てるわけがない。その気になれば今の私達なら瞬殺されてもおかしくない……」
「ドウスル……?」
「あなたが一番分かってるでしょ? 今の私達よりも強くなるわよ」
ナナの合図と同時に僕はやみのエネミーを体内に巡らせる。放出はしない。体に纏う鎧のようなイメージ。今はまだ完璧に扱えない。体が持たないから。だから――
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「とりあえずこんなもんね」
思い出すのはキンランさんとのトレーニングと時。マルマインに手も足も出ない。シャドークローも覚えて近接戦闘も可能になった。それでも足りない。具体的に言うなら速さ、それに攻撃の重さが……
「キンラン先生……私になにが足りないのですか?」
「……エネルギーね。例えば私のピカチュウなんか日頃から頬に電気を貯めて、足りないエネルギーを補っている。それに特性『もらいび』を持つポケモンは炎をあびることで強くなったりする。つまりダークライもなんかしらのエネルギーを作り出して身体能力を上げる術が必要なのよ」
「なるほど……」
「今日の練習はここまで。少し考えてみなさい」
そしてナナと僕は部屋に戻って考える。どうしたら強くなれるのか。そんなことを。しかし答えは出ない。そのまま朝になる。またキンランさんにボコられる。どう足掻いても勝てない。ナナの指示に体が間に合わない。どうしたら速くなれるのか……
そんな時にナナは口を開いた。
「ダークライ。あなたのやみのエネルギーを一斉放出で撃てないのかしら? 素早さが足りないなら避けきれないくらいの攻撃で全てを吹き飛ばせば……」
そんな感じで攻略の糸口が掴めた。それからやみのエネルギーを一点に集めて放出。それは体の内部から裂くような痛みがあった。結果として勝負にするならずにフルボッコ。大きなエネルギーは問題なく撃てた。マルマインのひかりのかべを破壊する威力もあった。しかし腕が腫れて使い物にならない。自爆覚悟の一撃でポケモンバトルでは使えない。だけどナナは方向も間違ってないという核心があった。そして僕も確かな手応えがあった。
僕はボールの中で少し考えた。どうしたら強くなれるのか。そもそも強くなってどうしたいのか。強くなる動機が強さに繋がる気がしたから。そして出た答えが『ナナを悲しませたくない』というもの。そして腫れた腕を見ながら地球時代に買っていた漫画のことを思い出した。その主人公も同じような力の扱いで悩んでいた。僕と似たような力だ。そして主人公は力の扱いで視点を変えて答えを出しいていた。僕はふと思いついた。その主人公と同じ力の使い方が僕もできるのではないかと。
その結果として僕はエネルギーの扱いに成功した。それはマルマインと互角以上に戦える力を僕に与えてくれた。そして名づけた名前は……
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「それじゃあダークライ。全力で勝ちにいくよ!」
あの時に覚えた必殺技。まだ完成形ではない。もっと上の力もある。でも今の僕にはこれが限界。だけどこれからもっと強くなる。ナナを絶対に悲しませないように負けないように……
『ナイトメアシフト・2%』
The補足
『ナイトメアシフト』
原作だとポッ拳でダークライが使用している。効果はダークホールを当てることで一時的にダークライを教化状態にするというもの。本作では少し設定を変えて『ダークライの体内にあるやみのエネルギーを体中に張り巡らせることで身体能力を強化するもの』として扱う。
ちなみにラルムのダークライもナイトメアシフトという名称こそないが、当然のように100%の最大出力で扱えた。しかしラルムのダークライはやみのエネルギーを作れないためナイトメアシフトは行うことは出来ない。またダークライが地球時代に読んでいて、ナイトメアシフト習得の参考にした漫画だが作者からはノーコメントとしておく。