目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。   作:ただのポケモン好き

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54話 炸裂‼ Zワザ

 メンバーとしてはウルトラとボルノがいる第一チーム。それが赤スーツの男を捕獲と並行して攪乱を行う。また手が空くことが前提で、その場合は周りの増援に当たる。そしてメとするメンバーで固めた第二グループ。そして単純に強いトレーナーを集めてラティ兄妹を倒すことだけを考えた第三グループ。

 

「来い!」

 

 既に掃討戦は開始している。僕達はテレポートでアジトに乗り込み、奇襲をしかけた。それは大成功。乗り込むと同時にキンランさんが電気タイプのポケモンで回線を全て壊してゴォー団の連絡手段を断つ。あとは気付かれる前に逃亡するだけだ。

 

「お、俺はごめんだぜ! ケーシィ! テレポート!」

「無駄だ! ゴチルゼル! シャドーボール!」

 

 そして容赦のない団員へのダイレクトアタック。ブルールのポケモンはゴチルゼル。特性は『かげふみ』。それによりテレポートで逃がすことを許さない。こちらも完全に対策済みだ。絶対に逃がさない。

 

「……私達の出番がないわね」

「当たり前だ! 君達が戦うのはラティ兄妹。弱くはない! 出来る限り温存するんだ!」

「ええ……! それで幹部の部屋は?」

「もうそろそろだ!」

 

 そしてエレベーターに乗り込み、下へと移動する。そして降りた先にゴォー団の女が一人現れる。キンランさんが戦おうとするがブルールさんが静止する。

 

「ブルール先輩! ダークポケモンの解放をしました! ここから先は少し混乱してます!」

「助かる。これで騒ぎの原因はダークポケモンの暴走だと思って時間稼ぎは出来る」

「あとは虚偽の情報を流してきますね!」

 

 そして女は去っていった。今のは一体……

 

「俺が送り込んだスパイの一人だ」

「スパイなんて存在してるなら、もっと早くアジトの位置を……」

「それは無理だ。座標情報を知るのは幹部格だけだからな」

「待って! それじゃあ情報を流したのって……」

「少なくとも幹部以上だろうな。つまりゴォー団の中にも裏切り者がいることになる」

 

 間違いなくボスのラルムだな。しかし言えない。僕達は口止めされている。もっとも言ったところで得はないのだが……

 

「罠の可能性は?」

「ない。裏取りはした」

「さっきのスパイね」

 

 そんな時だった。爆音が鳴った。キンランさんが迷いなくボールを投げてカプ・コケコを出す。そして反射的に命じる。

 

「先手必勝! カプ・コケコ! スパーキングギガボルト!」

 

 キンランさんの腕のバンドが光り、爆音がする方に電気のビームを吹き飛ばす。そして辺り一面を焼き払った。いきなりZワザだと! 迷いがない!

 そして壁が割れて水が入ってくる。ここは海中だったのか。

 

「先にいきなさい! ここは私が引き受ける!」

「キンランさん!」

「こいつはメガラティアスよ! つまり別の場所にラティオスがいるはず! 探し出してそっちを倒して!」

「キュュュュン」

 

 そして薄紫色のジェット機が起き上がる。しかも前に見た時よりも翼は大きい。これがメガラティアスなのか? しかもカプ・コケコのデンキZを耐えるとはなんという耐久力。

 

「……守るをしなかったら危なかったわ」

「ゴォー団幹部マリア! あなたはここで捕まえる!」

「最強のジムリーダー。キンラン。相手にとって不足無し。楽しいバトルになりそう! ラティオス。そっちの子供二人の足止めは任せる。最悪は殺してもいいわ」

 

 そしてラティオスがこちらに向かってくる。ナナがボールを投げて僕を出す。僕はシャドークローを出してラティオスを抑える。しかし探す手間はなくなったな!

 それからラティオスは転回して離れていく。そんなラティオスを見てキンランさんが指示を出す!

 

「追いなさい! あなた達はラティオスを倒すことだけ考えなさい!」

「はい!」

「ほら、余所見は厳禁!」

 

 キンランさんとメガラティアスの激しい攻防。その光景に背中を向けて走り、ラティオスを追う。あの時の恨みを果たさせてもらうぞ!

 

『ナイトメアシフト・10%!』

 

「ダークライ。体は大丈夫?」

 

 やみのエネルギーはオーラとなり、を体に纏う。そして心配するナナに大丈夫と頷く。正直に言うと相当キツイ。それでもラティオスにはそのくらいしないと勝てない! この身を犠牲にしないと勝てない! ナナを守るためならいくらでも体を犠牲にしてやる!

 

「俺も負けてられないな! グソクムシャ! であいがしら!」

 

 僕とグソクムシャがラティオスに追い付き殴り込む。グソクムシャは拳でラティオスを殴り飛ばし、僕が追撃するようにラティオスを連続的に引っ掻く。でも、まだだ! まだ足りない! それなら!

 

『ナイトメアシフト・100% あくのはどう!』

 

 やみのエネルギーを右腕だとフルで稼働。それで放つ一撃でラティオス一気に勝負を決めにいく。全力のあくのはどうは想像を絶する威力を誇り、辺り一面を焼け野原にした。瓦礫すら残さず飲み込み、Zワザに負けず劣らずの威力。そして壁が派手に壊れて大量の水が一気に流れ込んでくる。

 

「クッ……」

「ダークライ! なにをしてるの!」

「ウガァァァァァァァァァ」

 

 右腕を見ると壊死していた。痛くてまったく動かない。やっぱり全開放は体が追い付かない。そしてラティオスはボロボロになりながらも起き上がる。もう一撃を叩き込めば勝てる。左腕がまだ……

 

「戻りなさい! スピアーお願い!」

 

 しかし僕はボールに戻された。ナナ! どうして!

 

「馬鹿じゃないの! こんなことして!少しはボールの中で反省してなさい! もう二度とやらないで!」

 

 ボールから出ようとするもナナがグッと握って出られない。

 

「スピッ(あとは任せろ。ダークライ)」

「今がチャンスだ! ナナ! 受け取れ!」

「ありがとう! ノエル! ムンナもお願い!」

 

 ノエルから深緑色のクリスタルを受け取ると自分のZパワーリングに挿入。そしてナナはボールを投げてムンナを出す。ムンナもやることを分かってるようだ。

 

「ンナッ!(おう!)」

 

 ムンナはトリックでスピアーになにかを渡す。そしてナナのZパワーリングが光る。

 

「スピアー! ここで決めるよ!」

「スピッ!(いくぜ!)」

「ぜったいほしょくかいてんざん!」

 

 あれはまさかムシZ! ノエルはナナにムシZを渡したのか! それでムンナのトリックにスピアーにパス。これなら勝てるか!

スピアーは糸を吐き、ラティオスを眉で包む。そして眉を巻き込み、見事な一刀両断。Zワザが終わる頃がラティオスがそれでも立ち、こちらを睨んでいる。なんて耐久力だ。

 しかしい確実にダメージは……

 

「ナナ! ムシZを返せ!」

「ムンナ! またお願い!」

 

 ノエルの元にトリックでZパワーリングが戻ってくる。そして次はノエルのZパワーリングが輝き始めた。そしてグソクムシャも輝きを放つ。

 

「まだ終わりじゃねぇぞ! ラティオス! 覚悟はいいか?」

「ティィィィィィイアアアアァァァァァア!(やめろぉぉぉぉぉ!)」

「グソク(ここで終わらせる!)」

「ぜったいほしょくかいてんざん!」

 

 ノエルからもムシZが放たれる。再びラティオスを眉で捕縛。そして包み込み、グソクムシャが腕で見事に一刀両断。そしてラティオスにトドメの一撃。それによってラティオスがドサッと倒れる。これは戦闘不能だな。

 

「ノエル! やったね!」

「ああ! 俺たちの勝ちだ!」

 

 ノエルとナナが無邪気にハイタッチを決める。完璧な連携にZワザの連続攻撃。そこまでやってなんとかラティオスを倒したか。しかし同時にナナの体から力が抜けて倒れそうになる。それに対してノエルがすぐに駆け寄り、抱き上げる。

 

「ナナ! 大丈夫か!」

「ええ……Zワザって想像以上に体力が持っていかれるわね」

「なんだ……心配させるなよ」

 

 そんな時だった。ラティオスの後ろから風鈴みたいなポケモンがやってくる。たしか名前はチリーンだよな……?

 

「チリーン(もう一回遊べるよ!)」

「マズい! グソクムシャ! アクアジェットだ!」

 

 グソクムシャが高速で近づく。しかし間に合わない。そして鈴を鳴らす。同時にラティオスの体が光って起き上がる。そしてチリーンがドサッと倒れる。なにが起こった?

 

「いやしのねがいで完全回復……最悪だわ」

「あのラティオスをZワザ無しで相手しろっていうのは少しキツイな」

 

 完全回復だと! つまり今与えたダメージが全て無駄になったっていうのかよ! それで完全に元気なラティオスと戦えと! なにがもう一回遊べるだ!

 

「ナナ。どうする?」

「勝つわよ! ノエル!」

「そうこなくちゃ! いくぞ! 勝負はここからだ!」

「スピッ!(何度起き上がろうが倒すのみ)」

「グソク…(同じく……)」

 

 しかしノエルもナナも諦めていない。それどころか楽しそうだ。そして負けるつもりはないらしい。僕は壊死した右腕を見る。まだ治りそうにない。これはポケモンセンターに行かないと無理だな。恐らく戦いには参加出来ない。ここはスピアーに任せるしかないか。そして最悪の第二ラウンドが始まろうとしていた。

 

 


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