目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
それからナナはマリアに用意された部屋にいた。天幕付きのベッドに無言で寝ている。外は深夜で不気味なくらい物音一つしない。本来ならナナも寝ている時間だ。
「……なんで! なんで!」
そして数十分に一度ナナが狂ったように叫んでのたうち回る。完全にナナは今回の敗北で病んでいる。正直に言ってもう見てられないくらいだ。しかし僕に出来ることはなにもない。
「なにが足りないのよ!」
そしてしばらくすると落ち着く。もう痛々しくて見ていられない。そんな様を見てドラミドロはツタージャは愛想を尽かし始めていた。今回の間違いなく二体の好感度は落ちたな。ちなみにスピアーとムシャーナは特に気にしないようだ。強いて言うならスピアーは心配そうに眺めているくらいだ。
ちなみにムシャーナは気にせずに普通に寝ている。なんて呑気なやつだろうか。一応性格は真面目と前に聞いたことがあるが、進化で性格変わったのか?
進化すると個体によっては大きく性格が変わるという。ムシャーナもその類か?
「ダークライ」
「なんだ?」
そんな中でスピアーがボール越しに僕に話しかける。まぁそろそろ話しかける頃合いだとは思っていた。
「見てられぬ。ナナを眠らせてくれ」
「うむ……」
さて、どうするのがナナのためになるのか。偉そうなことを言うが挫折を知らずに強い人間などいないと思う。それにマリアは純粋な実力だけでナナに勝った。悔しいが責める余地はない。ナナが彼女より劣っているのは事実であり、負けたのは当たり前といえる。
ナナは改めて自分と向き合う時間が必要だと僕は思う。それが今なのだろう。
だから僕は敢えてなにもしない。
「そんなことはしない」
「なにを言ってるんだよ! 拙者は見てられ……」
「ナナはお前がゴォー団に捕まり、人へのトラウマを持っていた時にナナはお前になにをした?」
「なにもしてもらってないが、そういう問題じゃねぇ!」
「そう、なにもしなかった。それはお前に一人の時間が必要だと判断したからだ。ナナも同じだ。一人の時間が必要なのだ」
「でも……」
「僕も今のナナを見るのは辛い。それでも今は堪えろ。それがナナのためだ」
そして夜が明けた。ナナは夜通し発狂を繰り返して一睡もしてない。それでも日が昇る頃には声も枯れて、無言になった。そんな時に部屋の扉が叩かれる。だけどナナは返事しない。扉を叩いた主は無言で部屋に入る。そしてナナのベッドに腰掛ける。
「なぁナナ……お前らしくないな」
入ってきたのはボルノ。ナナは少しだけ顔を上げて見るが、すぐに伏せる。そんなナナにお構いなくボルノは話を進めていく。
「ナナはバトルの才能もなければ物覚えも悪かった。だけどナナは誰よりも熱心に勉強して力を身につけていった。オラは凄いと思う。自分で言うのもあれだがオラもメアもノエルも世間では天才と言われる類の人間だ。そんな中でナナは折れずに頑張った」
「だから……?」
「お前が壁を乗り越えてきたのは折れなかったからだ。どんなに高い壁でも折れずに挑むのがお前の強みだろ。それを自ら捨ててどうするんだよ」
「そんなの強みでもなんでもない! 誰にでも出来ることよ!」
「そんなわけねぇだろ! 折れないっていうのは特別な才能で誰にも出来ることじゃない! ナナ! お前は特別……そして最強なんだよ!」
「最強? 冗談は言わないで! マリアにキンランさん。それにお兄ちゃんにメア。そしてノエルと貴方。私より強いトレーナーは星の数ほどいる! そんな私が最強なわけ……」
「いま世間で一番話題なのはノエルでもマリアでもなくてお前だろ! それはナナが最強だからだよ! 強いだけが最強じゃないだろ! 全ての要素を合わせるとナナが一番強い!」
その言葉でナナが顔を上げる。腫れた目でボルノの方を見る。まるで世界に希望を見出したようだ。いや、それはさすがに言い過ぎか……
「……ねぇダークライ」
ナナが僕のボールを投げる。そして僕が外に出される。ナナの目には確かに自信が戻っていた。少し立ち直るのが早い気もするが、まぁいいだろう。
「戦おう! マリアと」
「勝テルノカ?」
「勝てるかどうかじゃない! 勝つの! 勝てないなら戦いの中で成長して超えていく! 私達はいつもそうしてきた!」
いつものナナだ。無茶苦茶な根性論。それでもいい。ナナの足りない部分は僕がサポートすると決めている。僕達がナナをチャンピオンに導くのだ。それなら根性論の一つや二つやらなければならない。でも、これは立ち直りではない。
恐らくナナの逃げだ。ナナはバトルに逃げようとしている。
ナナは走る。廊下を走ってマリアのところを目指す。髪も整えず、腫れた目のままひたすら走った。そして寝てない影響が出ているのか走ってる途中で何度か転びそうになる。それでもナナは走ることをやめずに走った。そして息を切らしながらマリアの部屋に着く。ナナは少しだけ息を整えてから部屋の扉を開いた。
そこには吞気に紅茶を飲みながらお茶会をしているキンランさんとマリアがいた。ナナは少しだけその様子に驚きをみせる。
「……キンランさんがどうしてここに?」
「ポケモンバトルをしたらどんな相手でも友達よ。たとえ極悪な幹部だとしても」
「なんですか……それ……」
「少なくとも私はそうありたいと思ってるわ。だって憎むより笑いあった方が素敵でしょ?」
「それはそうですが……」
「たしかに彼女のしたことは許されることではないし罪を償うべきだとは私も思う。だけどそれとこれとは別問題よ」
ナナはどうも納得していない様子だ。もちろん僕も納得していない。ゴォー団のしたことは絶対に許されることではない。それなのに……
「それでナナはなんの用かしら?」
「マリアさん! 私ともう一度ポケモンバトルしてください!」
「いいわ。次はもっと単純にいきましょう。一対一の一般勝負。それでメガシンカとZワザはありでどうかしら?」
「問題ありません」
「表に出なさい」
そしてナナとマリアのポケモンバトルが始まろうとしていた。マリアはボールを投げる。出してきたのはラティオス。そしてナナもボールに手をかける。しかしナナの手は僕のは触れない。そして別のボールが握られて投げられる。
「お願い! スピアー!」
「ピアッ(任せろ)」
「スピアー……ダークライで来ると思ってたわ。どこからでもかかってきなさい」
「スピアー! メガホーン!」
「へぇーメガシンカはしないんだ。それにしても遅い。ラティオス。避け……」
「こうそくいどうで加速して逃がさないで!」
メガホーンの最中にこうそくいどう。それで速さは倍増してラティオスの本能を上回る速度で殴り、吹き飛ばす。そしてナナは攻撃を手を緩めない。
「スピアー! 追尾するミサイルばり!」
「なんですって! 避けなさい」
ラティオスに放たれたミサイルばり。それに負けまいとラティオスも反応をみせるがミサイルばりはラティオスの行く方向に見事に追尾していく。そしてミサイルばりを見て感心するキンランさん。
「……追尾する技。私がダークライに言った技術。それをスピアーが身につけて、ナナもそれに気付いて指示を出す。随分と強くなったじゃない。だけどまだ足りないわ」
「ラティオス。ミサイルばりに突っ込みなさい」
「キュュュウウン」
ラティオスは見事な転回を見せて一気に距離を詰める。ミサイルばりに自ら受けていくラティオス。まさか自分から攻撃を受けるとは……
だけどナナは眉一つ動かさない。まるでそうするのが分かっていたかのように。
「スピアー。少し上に行ってエレキネット」
しかしナナは完全に読んでいた。ラティオスがミサイルばりに突撃することを。見事なタイミングで放たれたエレキネットは見事にラティオスを捕縛。完全に身動きを取れない状況に持ち込む。これはチャンスか!
「今の私達のゼンリョクを全て叩き込む! 天を砕く雷で身を焦がしなさい!」
このタイミングでナナのZパワーリングが光る。その光はスピアーへと伝わっていく。まさかナナはZワザを撃つつもりか!
「スパーキングギガボルト!」
スピアーからお尻の棘から放たれた電気の大槍がラティオスを貫く。その様子を見てナナがニヤリと笑う。完全に決まった。完全にナナの理想的な動き。そのまま行けば……
「見事ね。でも攻撃力が足り……」
「ウッ……」
その時だった。ナナが口から血を吹いた。それからフラフラとしてぶっ倒れた。もちろんポケモンバトルは中断。みんなが慌ててナナにかけよる。
「ナナ! どうしたの!」
「Zワザの使い過ぎよ……恐らく相当体力を消費してる状態でZワザを撃った。例えば徹夜明けとか……」
ものすごく心配するキンランさんと対象的に冷静に分析するマリア。とりあえず命に別条はなさそうでなによりだ。
「あ……」
「それに加えて精神的な負荷がかかれば起こってもおかしくない。とりあえずポケモンバトルはナナの勝ちにしとくわ。早く運びましょう」
ナナの勝ちか。一応ナナはマリアに勝ったんだな。しかし勝ちを譲ったという感じで腑に落ちない。これは今度改めてリベンジマッチをしなければならない。ナナは良くても僕の気が済まない。あそこまでコテンパンにされたんだ。どこかでリベンジを果たしたい。しかし機会はあるのだろうか……
そうしてナナは部屋へと運ばれ、数時間後に目を覚ました。
ps
更新サボってすみませんでした!
とりあえず私はガラルの旅を満喫してきました。
バッジ0でレベル30代が出てきたりしたり色々と面白い要素が多かったです。
でもムンナが出てくるのが最後で一緒に旅を出来なかったのが少し心残り……
本作では第八世代のポケモンとダイマックスが出ることはありませんががラルはポットデスやメッソンなどの他にも良いデザインのポケモンが多かったので凄く楽しかったです。
とりあえず殿堂入りはしたのでこれからはガラルビギニングに備えて育成したり、キョダイマックス色バタフリーを探したいと思います。
どうでもいい近況報告とガラル観光の感想は以上です。