目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
否応なしに始まったポケモンバトル。今回はナナも真面目に指示を飛ばす。恐らくナナは最大限にメアを警戒してるから……
そして実際にメアとナナの実力は互角。いや、メアの方が上だと言っても過言ではない。
「メロエッタ! いにしえのうた! そしてマジカルシャイン!」
華麗な歌声に意識が奪われそうになる。それに僕は舌を噛んで痛みで紛らわす。そしてメロエッタはバレリーナの姿から緑色の髪が特徴的な歌姫の姿になる。また僕が気付いた時にメロエッタは上空にいて強力な眩い光こちらに放つ。それは身を焦がすように熱い。そんな中でナナの声が聞こえる。
「ダークライ! あくのはどうでメロエッタを吹き飛ばしなさい!」
「メロエッタ。避けるよ!」
メロエッタに僕の攻撃を当てるが、メロエッタはそれに耐える。それと同時にメロエッタも歌って蓋びバレリーナの姿に変身する。その姿を見てナナは僕を瞬時にボールに戻す。これは良い判断だ。メロエッタとあまりに僕の相性が悪すぎる。そしてナナはツタージャを出した。それと同時にメロエッタはツタージャが現れると同時にインファイトを叩き込む。それによりツタージャは少なくないダメージを受けている。だけど辛うじて耐えているようだ。そんなツタージャにナナは指示を出す。
「ツタージャ! リーフストーム」
「タジャ(ふんっ)」
「……え?」
しかしナナの指示をツタージャは無視する。そしてツタージャはつるのムチでメロエッタを襲う。メロエッタはそれを簡単に回避する。ナナは呆気にとれれるように呆然と立ち尽くした。
「ツタージャ! なにをしてるの!」
「メロエッタ。ほのおのパンチ」
「タ……ジャ?(え?)」
それによりツタージャは一撃で戦闘不能に追い込まれた。ツタージャは明らかに反応が出来ておらず炎を纏ったメロエッタの拳が腹に練り込んだ。遠距離も近距離も可能で様々なタイプの技を使う。あまりに厄介すぎる……そんな時だった。メアがメロエッタをボールに戻した。そしてナナに告げる。
「ナナ! 久しぶりのポケモンバトル。楽しいね!」
「私は全然楽しくないわよ! なにがなんなのか分からないわよ! ていうかまだバトルは終わってない!」
メアはメロエッタをボールに戻して完全に帰る気でいる。まだナナの手持ちも残っている。バトルをやめる理由はないはずだ。
「楽しみは最後にとっておくもの。ここで最後までやったら本気でナナと勝負する時にテンションが下がるもん! それじゃあ今度はストロベリータウンで会おうね! そしてまたバトルしようね!」
「待って!」
その時だった。メアは一回転して振り向くとナナの体を抱くように優しく掴んで顔を近づける。それこそまるで彼氏に会った女の子のような感じで……
「これだけは忘れないで。私はナナのことが世界で一番大好きで愛してる。だから私はナナを傷つける人は絶対に許さない。もうナナは自分だけの旅をしてもいいんだよ?」
「メア……!」
そしてメアは驚きの行動に出た。メアは更に顔をづけて、軽くナナの唇に自分の唇を重ねたのだ。
「さよなら。ナナ」
「さよならじゃないわよ! 絶対に私は強くなってストロベリータウンに行く! その時は覚悟しなさい!」
メアはナナに微笑んで指を鳴らすとその場から消えていった。恐らくなんかしらのポケモンの技だろう。ナナはメアに手を伸ばそうとするが届かない。そしてメアに手が届かないことに気付くと同時にナナが力強く岩壁を殴って手から出血する。ナナの目には怒りが満ちていた。
「ほんと……ふざけるんじゃないわよ!」
メア。彼女はどうしてここに現れて、あのような行為をしたのか。そしてゴォー団の幹部を名乗るのか。メアは拉致されてどうなったのか。あまりに謎が多すぎる。それに最後の言葉は……
「一人で抱え込んで、勝手に手の届かないところに行って……言いたいことがあるなら私の傍で言いなさいよ!」
そうじゃないな。今のナナには強さが足りない。だからメアはナナから離れた。メアは恐らくナナが嫌いではない。その逆で大すきなのだろう。恐らくメアはナナのためにあのような行動に出た。理由は分からないが、それは間違いないだろう。
例えばメアがラルムに『ナナを襲う。それが嫌なら俺に従え』に近いことを言われてしまったらメアは従うしかないのだろう。もっともラルムにはナナを襲う動機もないし、それはありえないだろうが。ただメアの歌に惚れて、メアを自分の元から離さないために不安を煽るようなことを言った可能性は高いだろう。そしてナナもそれは分かっているはずだ。
「メアの前でラルムを倒す、それで私は守ってもらうほど弱くないってメアに教えてやるんだから……」
しかしナナの今の実力では厳しいな。やはり強くならなければならない。そうなると当分はジム巡りか。今は4つ。まだ折り返し地点だ。強くなるとしたらこれからか……
「ねぇダークライ……私は思ったの。ここまで来たんだし折角だから先生に相談してみない?」
ナナがボール越しに話しかける。先生。つまり博士のことだな。ナナをここまで育てた博士。ここはたしかに博士の研究所にも近い。もしかしたら強くなる方法の道標になるかもしれないな。僕はナナに軽く頷く。それからはナナはマリアさんに電話してハクガ山で起きたことと自分の考えを明確に言葉にして伝え、しばらく戻らないことを連絡して、今までのお礼を告げた。そしてハクガ山を抜けてエラニの森を超えて博士の元を目指す。
ナナと初めて会ったエラニの森はとてもなつかしい気持ちになる。たま出てくる野生ポケモンも今では簡単に勝てる。自分の成長がハッキリを分かった。
そして遂に全ての冒険が始まった博士の研究所に着く。ナナは軽く深呼吸した後に呼び鈴を鳴らす。すると驚きの男が出てきた。
「どちらさま……ってナナ!」
「ノエル! どうしてここに!」
なんとノエルがいたのだ。彼はシノノタウンでキンランさんとジム戦をしていたはずではなかったのか。まさかキンランさんに勝って……
「きっと二人共同じことを考えてますよ。ナナさん。あなたも私にポケモンバトルについて教わりにきたのでしょう?」
博士が喋る。そこで博士は黒上のポニーテールの二十代の女性だと改めて知る。あの時も会ってはいるが、ドタバタしていて気付かなかった。もっと言うなら性別すら気付かなかった。しかし若いな……
「同じ? ノエルもそうなの?」
「ああ。俺はキンランさんに手も足も出なかった。だけど、俺にはなんで勝てないか分からない。だからそれを先生……アルセ博士なら見つけてくれるんじゃないかと」
「私も。あれからポケモンバトルをして勝てない相手が出てきた。今の私は弱い。だから強くなりたい。そのためにはなにをしたら……そう思ったらアルセ博士の顔が浮かんだの」
「同じだな」
そしてアルセ博士は軽く微笑むとナナを研究所に招きいれた。そこには様々な雑誌やレポートに論文があった。アルセ博士は適当に一つの論文を取るとナナに渡した。
「メガシンカの考察論文よ。メガシンカをすれば大きく強くなる。まずナナはメガシンカについて知るべき」
「メガシンカ……」
「あなたは優秀な生徒です。分かっているのでしょう。メガシンカの有用性について」
「ですが!」
その時だった。ナナの頬から軽く血が出た。そしてバスンとはいう音と共に壁に穴が空く。そこには白いチョークが突き刺さっていた……
「話は論文を読んでからです」
「はい……」
ナナも気にすることなく論文を読み始める。まるでチョークで頬が擦れるのはいつものことだと言いたげに……
「続いてノエル。課題として出した、でんきタイプのポケモンの出力電力に関するレポートと計測実験は終わりましたか?」
「はい!」
博士はノエルが手渡した数枚の紙を流し見するように読んでいく。博士はそれを一通り読み終わるとノエルに向けてチョークを投げた。ノエルはそれを首を傾けて避ける。
「なんですかこれ? 誰がこんな常識を書けと?」
「しかし!」
「考察が甘い。どうしてでんきタイプのポケモンだけ他のポケモンに比べて出力電力が高いか書かれていない。それに他にも説明不足の部分が軽く考えただけで八つ思い浮かびますが、それは自分で考えなさい。やり直し」
これは厳しいな。なんとなくノエルやナナが周りよりも滅茶苦茶強いのが分かった気がする。こんな過酷な教育を受けていたら、そりゃ周りから頭一つ飛びぬけて強くなるわ……
「さて、それとナナ。ダークライをお借りしても?」
「博士。私のダークライをどうするのですか?」
「色々と調べたいの。ダークライというのは捕獲されたという話は聞いたことがないくらい珍しいポケモンよ。博士としては色々と調べたいのよ」
「……ダークライにポケモンの技を当てて耐久実験とか変なことせず、ダークライの同意を得たうえでならどうぞ」
「ありがとね」
そしてナナは僕のボールを博士に手渡した。恐らく博士を信用してるからだろう。僕としては少し不安だが、まぁ仕方ない。しかし色々と調べたいというが……僕はなにをされるのだろうか。博士は僕のボールを持ってご機嫌で地下へと向かう。
「さて、ダークライ。お願いします」
「ウム……」
博士にボールから出される。近くには眠そうにしてる黒くて目付きの悪いニャースと様々な測定機器がある。
「ニャル様。出番ですよ」
「はいはい」
待て。このニャル様と呼ばれたニャース。人の言葉を喋ったぞ。そんな人の言葉を喋るポケモンなんかいるのかよ……
「どうもーアルセ博士とのポケモンの翻訳係として飼われているニャースのニャル様です。黒い体はアローラの生まれだからです」
「それじゃあダークライ。よろしくお願いしますね」
・今回はあくまで『メアの一方通行の想い』なので百合のタグは付けておりません。百合やGLというのは恋愛であり、相手と両想いになって初めて成立するものだと私は思っているので付けておりません。それでも女性が女性に恋をした時点で百合タグを付けるべきだという方が多いようでしたら付けますのでお申し付けください。