目が覚めたらダークライ。そしてトレーナーは可愛い女の子。 作:ただのポケモン好き
そしてようやく暇になれましたのでしばらくは高頻度で更新出来ると思います。
ただ1ヶ月も時間が空き、私自身も書き方やキャラの癖を忘れてしまった部分がございますので毎日更新に戻るのはしばらく後になると思います。
「そう……把握したわ」
ナナは辛そうにマナフィの報告にきた僕達に返事を返す。先程より熱も弱まっているが少し喋るのは辛いようだ。
「しかし……見たこともないポケモンね」
「マナ?(ん?)」
そんな時にメロエッタに手を少し引っ張られる。なんでも話したいことがあるようだ。僕はナナに断りを入れて、マナフィを残して部屋の外に出る。
「まず海底神殿について話すね」
「頼んだ」
「マナフィというポケモンはアニメだと海底神殿を守る役割があったのよ。それで産まれるとマナフィは海底神殿を目指す」
「ほう……」
「そしてラルムは何故か海底神殿の作り方を知っていた。それでゴゥー団の潜伏地点として新たな海底神殿を作った。その名前はレプリカ」
「それがマナフィと繋がるんだ?」
「ここから先は私の仮説よ。まず海底神殿にマナフィは必ず一匹はいなければならないんじゃないかしら?」
「うむ」
僕はメロエッタに相槌を打つ。メロエッタは少しだけ息を整えた後にとても可愛らしい声で静かに自分の考察を語り始めた。
「ラルムの海底神殿にマナフィはいない。だからラルムの作った海底神殿レプリカにマナフィは行くために生まれた。そうは考えられないかな」
「だれがなんのために?」
「誰って……強いて言うならアルセウス? まぁ世界の理のようなもので意志の介入とかはないと思うよ。そもそも幻や伝説のポケモンには役割がある。なんの仕事もない私達がイレギュラーなのよ」
メロエッタの考察。それは前世の知識を最大限に活かしたものであり、妙な説得力がある。しかしメロエッタの考察通りだとするとマナフィは海底神殿に行かないといけないわけか。そしてマナフィが海底神殿に行かない場合はどうなるのだろうか?
「少なくとも私はマナフィが現れたのは必然じゃないかなと私は思ってるよ」
「必然か……」
「そうだとしたらマナフィを海底神殿に連れていかなかったらどうなるのかな。少なくとも私は取り返しのつかないことになる気がするの」
「UBと同じ時期というのが厄介だな」
「……ねぇ。もしかしてマナフィはUBを止めるために来たんじゃない?」
「どういうことだ?」
「UBの襲撃をマナフィの降臨。それが同タイミングで起こるなんて偶然ある?」
「……たしかに。マナフィを海底神殿に連れていけば事態が好転する可能性はありそうだ」
「しかしマナフィにそういう能力無かった気がするんだけどなぁ……だからといって偶然なんてことはないだろうし」
もっとも全ては考察の域を出ない。ただそうなるとマナフィは逃がすのが吉か。そう思ってた矢先にメロエッタは僕とは別の考えをいう。
「もしかしてマナフィはナナを海底神殿に導くために現れた?」
「は?」
「あなたは『きずなへんげ』を出来る特別なダークライ。ナナがダークライと出会ったのはこの事態に対応するためで全ては必然……」
「いや、全てに理由があるわけじゃないだろ」
「それもそうね。ただマナフィに関してはナナが保護しておくのが正解じゃないかしら」
そしてメロエッタとマナフィに関する考察を終えた。ナナの元に戻るとマナフィは彼女の手の中で眠っていた。このマナフィが恐らく鍵となる……
「とりあえずマナフィに関しては既に手持ちが6体だから外に連れて歩くわ。あなた達ものんびりしときなさい。明日にはストロベリータウンに着くわよ」
そしてナナは少しだけ辛そうに体を持ち上げた。そしてマナフィを抱っこしたまま窓を開け。するとマナフィは元気に跳ねて海に飛び込んだ。それと同時にナナはドラミドロもボールから出して、海に放つ。
「おそらくマナフィは海のポケモンでしょう。それなら海にいた方が落ち着くと思うわ。それとドラミドロはマナフィの保護者代わりになっといて頂戴」
「ドラァ(承った)」
そしてナナはベッドに横になる。窓からマナフィの方をみるとドラミドロと仲良くやっているようだ。
「昨日よりも楽だわ……明日には治りそうね。ダークライもゆっくりしなさい」
ナナはそう言って僕をボールに戻した。そして今日という日は終わった。
※ ※ ※
「着いた!」
翌日。船は無事にストロベリータウンに到着。その町は白一色でまるで地球のギリシャを連想させる。そしてナナの体調も完全に治りきっていたナナがストロベリータウンに着くと、まるでアイドルみたいな反応されて、辺りに人だかりが出来ていた。
「あなたが悪夢姫ね! 私とポケモンバトルしなさい!」
そして早速ポケモンバトルを仕掛けられる。ナナにバトルを申し込んできたのはミミッキュのパーカーを着た赤髪の女性。もちろんナナは二つ返事でそれを受けた。そして場所を移動して近くのフィールドを借りる。
「話題騒然の悪夢姫。最強のポケモントレーナーとして名前の挙がる悪夢姫。あなたの実力を私が確かめてあげる! ルールは3ⅤS3よ」
突然の展開。降りてのんびりしようと思ったらポケモンバトルが始まった。まだ理解が追い付いていないんだが……
「それでいいわ。しかし前年度のポケモンリーグでベスト4の戦績を残す実力者。ミミッキュガール。相手にとって不足はないわね」
「あら? 私のことを知ってるの?」
「有名だもの。ミミッキュしか使わないポケモントレーナー。誰よりもミミッキュに詳しいトレーナーって」
さらっと言ったけど相当な強者じゃねぇか。そして気付いたら周り野次馬も多く集まってきている。ほんとに大丈夫なのかよ……
「いきなさい! ミミィ!」
「キュキュッ!(いきまーす!)」
彼女のボールからミミッキュが出てくる。しかしナナのミミッキュとは鳴き声が相当違うな。さて、どのくらい強いのだろうか。そしてナナは最初になにを出すのか。
「お願い。ジャノビー」
「それじゃあこちらから! かげうち!」
「ジャノビー!」
はやい。今までに見たことないくらいの速さで影がジャノビーの背後で生成されて、ジャノビーを引っ掻いた。そして落下地点にも再び影が生成されてジャノビーを引っ掻こうとする。しかしナナがそんなことを許すはずがない。
「リーフストームで全て蹴散らしなさい!」
「ジャノ!(わかった!)」
ジャノビーが空中で回転しながら草の台風を巻き起こす。それにより影もろともミミッキュを飲み込んで的確にダメージを与えていく。あまりに広範囲な攻撃。しかしミミッキュはばけのかわを盾に何事もなかったかのように立ち上がる。だがナナのジャノビーは本気の欠片も出していない。
「もう一度リーフスト……待って!」
「ジャノ?(え?)」
ナナのジャノビーの強みは特性あまのじゃく。それによりリーフストームを撃てば撃つほど威力が上がる。最終的には大規模なハリケーンと同等になり、全てを破壊しつくす。いま撃てばミミッキュを確実に倒して、次のポケモンにも勝てるだろう。しかしナナはどうしてやらない?
「こないの?」
「……みちづれ。使ったでしょ?」
「バレてたかぁ……すごい観察眼だね! ミミッキュ! シャドークロー!」
「ジャノビー! アクアテールで相殺!」
両者の攻撃がぶつかり合う。高威力の技のぶつかり合いに軽く突風が巻き起こる。少しでも油断したら一瞬で負ける。僕は直感的に理解した。彼女は間違いなく強い。それこそ今のナナに匹敵してもおかしくないくらいに。これがポケモンリーグで好成績を残したトレーナーの実力……
「……もしかしてアーモンドより強い?」
「彼なら先日勝ってきたわよ」
「へぇー! へぇー! へぇー! それはすごいね!」
それと同時にミミッキュの猛攻が勢いを増す。
「彼がはがねタイプを使うようになった理由知ってる?」
「ええ! たしかミミッキュに負けないためとか言ってたわね」
「そうそう! だって彼は私のミミッキュにトラウマを植え付けられてるから!」
まさかアーモンドの言ってた幼馴染のミミッキュ使いって彼女のことか。つまり彼女には本気のジムリーダーに勝ち、トラウマを残すくらいの実力がある……
「ねぇねぇねぇ! 大丈夫なの?」
「くっ……」
「アクアテールよりシャドークローの方が威力が高い! ダメージはじわじわとジャノビーの方に蓄積されてる! いつまで持つかなぁ!」
ミミッキュはシャドークローを撃つたびにキレが増していく。ナナが久々に苦戦してるのが雰囲気で分かる。そんなナナを煽るようにミミッキュガールは言う。
「悪夢姫のスタイルって攻撃を全て見切って避けるんでしょ? 私のミミッキュの刃を避けてみてよ? ねぇ!」
「トレー……」
その時だった。ミミッキュのシャドークローが見事にジャノビーの腹を斬った。それによりジャノビーは致命的な一撃を受ける。しかし運よく戦闘不能にはならず、なんとか立ち上がる。
「一瞬でも別のことを考えると……死んじゃうよ?」
ナナが舌打ちする。トレースをする隙を与えない。それどころかナナに情報の整理をさせる暇すら与えずに攻める。だからナナは攻撃を見切れない。そんなナナを見て周りがざわつく。「悪夢姫ってそこまで強くない?」「ほんとは大したことないのでは?」といった声が聞こえる。
「悪夢姫って名前。今のあなたには重いんじゃない?」
その言葉で察する。今のナナは世間から大きく期待されてる。ナナはそれを背負って戦っているのだ。彼女は勝たなければならないという重圧の中で足掻いているのだ。
「心配は無用よ。この程度の重圧なんてチャンピオンになった時に比べたら大したことないから」
「ふーん……ねぇ悪夢姫は期待の眼が同情に変わる瞬間に立ちあったことある!?」
それと同時に再びミミッキュが動き出す。瞬速で突撃して、シャドークローを叩き込もうとする。その一撃を受ければジャノビーはやられるだろう。
「……リーフストーム!」
「ジャノォォォォォォ!(いくよ!)」
「しまった!」
草の大嵐がフィールドに吹き荒れる。それに飲み込まれたミミッキュは戦闘不能になり、立ちあがることはなかった。
「シャドークローの動作を始めたら急にみちづれは打てないわ」
「まいった……これは想像以上。相打ちか」
「ジャノビー!」
その時だった。ジャノビーがドサッと倒れた。ミミッキュの攻撃を受けた様子はなかった。それなのにジャノビーは何故やられた?
「まさか……くっつきバリね」
「正解。シャドークローの猛攻中に付けたの」
いつかのナナと同じ戦法。まさかそれをやられるとは。でもナナの時とは違う。彼女はミミッキュが不測の事態で負けたとき最低限の仕事が出来るようにと持たせた。それに対してナナはくっつきバリ前提で勝負を挑んでいた。彼女はもしかしたらナナが裏をかいてミミッキュに勝つかもということを考えて動いていたんだ。立ち回り方が間違いなくベテランのそれだ。
「頼んだわよ。ダークライ」
「ミミッサクッ。お願いね」
相手は再びミミッキュ。そして珍しく僕の出番だ。久々で腕が鳴るな。相手はフェアリーだがどう戦ったものか。とりあえず小手調べといこう。
「ゴフッ(ふぁっ)!?」
「うそっ!」
僕は闇結晶を作り、まずはトレーナーとポケモンの視界を封じる。基本的にトレーナーというものは見なければ指示を出すことは出来ない。視界を奪えば、それだけで僕は有利になるのだ。そして同時にナナから指示が飛んでくる。
「ダークホール!!」
瞬時に闇の玉を作り、それを弾丸にしてミミッキュに放つ。そしてミミッキュは深い眠りへと誘われる。それと同時に近づき、ミミッキュの夢を喰らう。甘美な夢は力へと変わる。そして夢を蝕まれるダメージというのはとても深いもの。
「ミミッサクッ! 起きなさい!」
「そのままあくのはどうで押し切りなさい」
一撃。その一撃は重く、ミミッキュを戦闘不能に持ち込むには充分だった。それで形勢逆転。一気にナナが有利になる。そして僕は闇結晶を解除して相手のトレーナーが次のミミッキュを出せるように舞台を整えた。
「少し想像以上……次からは全力。最高のミミッキュでいくわ」
「ええ。来なさい」
ナナから聞いたことがある。強者同士でのポケモンバトルは一瞬でも気が抜いたら負けると。一撃でも受けたら決着。だから一撃を喰らわせるために全力を尽くすと。
「ミミッレジお願い!」
「ミ・ミミミミミミ(行きまする)」
またいつもと違うミミッキュか。僕もナイトメアシフトの出力をあげて備える。もう闇結晶戦術は使えないとみていい。それにミミッキュの覇気が先程とは明らかに違う。
「ダークライ! かげぶんしん!」
「シャドークロー」
シャドークローはあまりに大きく、辺りのものを全て割いた。あまりの速さに対応が間に合わず、僕も胸に深い傷を負う。これはやばいな。このミミッキュだけは強すぎる。
「さすがポケモンリーグベスト4の実力者……」
「シャドークロー! シャドークロー! シャドークロー!」
何度も放たれるシャドークロー。僕はそれをナナの目線だけを頼りに避ける。そして近づこうとするとシャドークローが襲いかかり、近づくことを許さない。
「かげうち!」
「しまった!」
その時だった。影からの一撃で再びダメージを受ける。その攻撃は速く、回避は完全不可能の神速の一撃。そして傷も深く目眩がしてきた。
「そのままじゃれつくだよ!」
「真下に向かってあくのはどう!」
その一言。それでナナの策を察する。地面に放たれたあくのはどうで僕は宙に舞う。それにでミミッキュのじゃれつくを避ける。それと同時に地面に向かってれいとうビームを放つ。しかしミミッキュは意図も容易く回避。だけど、それでいい。
僕はそのまま空中に立ち。地上を見下ろす。
「飛んでるというよりは浮遊に近い感じかな」
「ええ。どうするかしら?」
「ミミッキュ。飛んで」
「ミ・ミミミミ(承った)」
そしてミミッキュは規格外の脚力で地面を蹴り。宙に舞った。
それと同時に僕もシャドークローでミミッキュの攻撃を受ける。そしてミミッキュを弾いて、地面に叩きつける。しかしミミッキュは地に足が付くと同時に再び飛んでくる。僕はそれをシャドークローで躱していく。しかし明らかに分かる。これはジリ貧だということに。
「もう終わりね!」
「ええ。ダークライ! 例の位置に!」
ナナの指示通りの位置に行く。そしてミミッキュも僕を追ってくる。そして奴のシャドークローを透化で避ける。そして例の位置。すなわち先程れいとうビームで凍らせた位置にミミッキュをぶつける。そして追撃のシャドーボール。それをミミッキュは飛んで避けようとした。しかし地面は足元。氷で滑り、そのままシャドーボールでやられる。
これで勝負ありか……
「やるわね……」
「ばけのかわね」
しかしミミッキュは起き上がってきた。僕は完全に忘れていた。ミミッキュはまだばけのかわを残していたことに。そして第二ラウンドが始まる。
そんな時だった。空が裂けて一体のポケモンが現れた。
「なにっ!」
「ウルトラビースト」
「アアアアアァァァァァ!」
そのポケモンは解読不能の雄叫びをあげながら降り立ってきた。ナナはそのポケモンを見てすぐに戦闘態勢をとる。アクジキングと一言だけ呟いて。
The補足
ミミッキュガールの手持ち
ミミッレジ
彼女の相棒のミミッキュ。
重く素早い攻撃で相手を追い詰めるパワー型のミミッキュだ。
タイマンなら一番強いぞ!
ミミミミ
今回は出なかった一体。
炎のミミッキュと呼ばれ、黄泉の炎を身に纏う。
本来は覚えない炎技を駆使して戦うぞ。
ミミィ
ジャノビーと戦ったミミッキュ。
基本的に戦い方はミミッレジに近いが、彼より遅く威力も低い。
しかし彼とは違い絡め手を多く使うため嫌らしい戦い方をしてくるぞ!
ミミッサクッ
あまり活躍できなかったミミッキュ。
ちなむにメンヘラちゃん。
のろい、みがわり、いたみわけ、どくどく等を覚えていて相手の精神的に追い詰める戦い方を得意としていたぞ!
ミミカーン
ゴーストタイプに一番近いミミッキュ。
相当難度の高い通過を使いこなし、ゴーストダイブという技で視界からも消えたりする。
ただスタミナが少なく、長期戦には向いていない!
ミミチュウ
ピカチュウに憧れ過ぎてさせるボロ布の色も黄色くなっているミミッキュ。
得意技は10まんボルト。他にもシャドーボールとかも使う。
いわゆる特殊ミミッキュというやつだ!
~おまけ~
(ナナの)ミミッキュ
ギラティナに憧れてギラティナを連想させるボロ布を着ているぞ!
彼は人の指示を理解し、戦況を把握することにこの上なく長けている。
しかし一人だと上手く立ち回れなかったり、指示が雑だとなにもできないで退場ということもザラにある。少し癖の強いミミッキュだ!