最初、頼人は銀華や小太郎達より二歳歳上という設定でしたが話の都合上、銀華と小太郎達の年齢を一つ上げました。
それで横島は頼人より一つ歳上という設定です。
後、妙神山での修行編を終えてあと二回GS美神の話を書いたら、対魔忍RPGの本編をスタートさせます。
ですから「このままだと対魔忍の二次かGS美神の二次か分からない」と思っている方々はもう少し我慢してください。
今更だが俺は完全な遠距離型で近接戦は得意ではない。というか大の苦手だ。
これまで行ってきた対魔忍の任務は遠距離からの偵察と暗殺で、それらは全て電磁蜘蛛とライトイーター任せ。対魔忍になって習得した武術は弓術がメインで、一応素手の格闘技も習ってはいるが、通用するのは精々一般の軍隊くらい。
その事から分かるように俺一人の力では悟空が作り出した猿の
銀華の方は「逸刀流」という対魔忍に伝わる剣術を習得しているので俺よりもずっと近接戦闘に秀でているのだが、元々刀は生物の出血死を目的とした武器で
つまり俺と銀華がこの試練を生き抜く為にとる手段は一つだけ……。
「銀華! 忌神を呼び出せ! 出てこい、電磁蜘蛛!」
俺は銀華に忌神を呼び出すように言ってから自分も忍法を使い電磁蜘蛛を作り出す。すると悟空からエネルギーを受けた影響なのか、今までは作り出すのに数秒かかっていた電磁蜘蛛が一瞬で作り出すことができて、悟空からエネルギーを受けた影響は銀華にも現れていた。
「はい! 出てきて、忌神! ………え?」
「………」
顔のバイザーを上げて素顔を晒して忌神を呼び出した銀華だったが、その表情がすぐに驚きに変わる。これまでの忌神は呼び出されるとすぐに対象を攻撃しようとするのだが、今の忌神は銀華の側に静かに立っておりまるで彼女の命令を待っているように見えた。
これって忌神が暴走していなくて完全な銀華のコントロール下にあるってことか?
「ほう……。どうやら嬢ちゃんは自分の傀儡の支配に成功しとるようじゃな。試練を始めてすぐにこれとは中々に才能に恵まれておる」
俺と銀華が大人しい忌神を見て驚いていると、上空から悟空の声が聞こえてきた。ちなみに悟空は
「マジで? じゃあもう修行は終わりでいいんじゃないか?」
「頼人先輩? それでいいんですか?」
上空から聞こえてきた悟空の声を聞いて俺は思わず思ったことを口にした。
元々俺が美神達に知り合うという危険を冒してまで妙神山の修行を受ける事を決めたのは、銀華に忌神のコントロールを覚えさせる為だ。忌神のコントロールさえできるようになれば、彼女はバイザー無しで普通の女の子のように皆と生活できるようになるので、その目的が達成できたのならこれ以上命の危険を冒す必要はない。俺のパワーアップだったらこれから地道にコツコツやっていくから今回はナシでもいいだろう。
「阿呆。そういう訳にはいかんわ。二人揃ってパワーアップしない限りこの試練は終わらんぞ」
悟空がそう言うと今まで停止していた
「仕方がないな。銀華、これを持っておいてくれ」
俺は先程作り出した電磁蜘蛛を手に取ると、それを銀華に手渡した。
「電磁蜘蛛? 頼人先輩、一体何を?」
「これからする事はちょっとした実験だ。もし危険があれば逃げるなり、忌神で身を守るなりしてくれ」
俺は銀華にそれだけを言うと、手前の地面に視線を向けて左の邪眼に意識を集中させた。
「光よ、集まれ。出てこい、ライトイーター達!」
『『………!』』
左の邪眼を発動させると視線の先にライトイーターが一匹ではなく二匹現れた。そして二匹のライトイーターは出現するとすぐに、近くにいる銀華と忌神ではなく、こちらに向かって来ている
「よしっ! 成功だ!」
今の左の邪眼の発動は二つの実験を兼ねていた。
一つは複数のライトイーターを呼べるかどうかの実験。
そしてもう一つは電磁蜘蛛を使ってライトイーターに敵味方の区別がつけれるかどうかの実験。
今までのライトイーターは一匹しか呼べなかったし、俺と電磁蜘蛛以外は全て敵として、近くにいる者から手当たり次第に攻撃をしていた。しかし仮想空間では二匹呼べていたし、電磁蜘蛛の指示に従っていた。
その事から今の二つの実験を行ったのだが、結果は二つとも成功。二匹のライトイーターは、電磁蜘蛛を手に持っている銀華と彼女の能力である忌神を味方と認識しているみたいだ。
これでこちらの戦力は二人から、三人と三匹になった。……まあ、忌神を「人」と数えていいかも分からないし、大して数も変わっていないがそれでも戦力は大幅に上がった。
それから俺と銀華は、
「数が多い……!」
「多い、と言うより次から次へと新しい
二匹のライトイーターも忌神も、次々と
『ドウヤラ拙者ノ出番ノヨウデスナ?』
倒しても倒しても数が減るどころか増えていく
『斉天大聖様ノえねるぎーノオ陰デ魂ガ加速シタ状態ノ頼人殿ナラバ拙者ヲ呼ビ出シ、コノ状況ヲ打破スルノモ容易イコトカト』
頭の中の声がそう語りかけると、右目が急に熱くなり、同時にとある知識が浮かび上がってきた。
「……全く。それだったらもっと早く声をかけろよ」
俺は苦笑して呟くと、空を見上げて「右の邪眼」を発動させた。
「出てこい! 『ラシュラ』!」