「やっと帰ってこられましたね」
悟空の試練を終えて現実世界に戻った銀華の呟きに俺も頷いて同意する。
「そうだな。試練は本当に辛かったな」
「よく言うわい。その右の邪眼で呼び出した傀儡で儂の人形達を全て破壊しただけでは飽き足らず、異空間が維持出来んくらいに神通力を吸い尽くしよったくせに」
俺の言葉に呆れた顔となった悟空が言う。確かに雷そのものとなったラシュラのお陰で命の危険を感じる事なく試練を終える事ができたが、それまでの無限に増える
……しかしラシュラの能力って改めて考えても強力だよな? 確かにこの対魔忍とGS美神の設定が混ざり合った世界では強くないと生き残れないと思うけど、あまりに強すぎたら逆に両方の作品のボスキャラの前に引っ張りだされたりしないかな?
何と言うか、強いから有能だからという理由だけで、平気な顔をして無茶苦茶な依頼を押し付けたり凶悪な魔族との戦いの場に強制連行する人物に複数心当たりがあるんだけど?
「さて、儂は用事があるから神界に戻るからの。後の事は小竜姫に言うといい。今頃はお前さん達と一緒に来た人間達に稽古をつけておるじゃろう」
俺が悟空の修行によってラシュラを使えるようになった事を若干後悔していると、悟空はそう言って神界に帰っていった。
……仕方がない。この問題は後で考えるようにしよう。
そう考えた俺と銀華はとりあえず、さくらや美神達と合流する前に元の服に着替える事にした。しかし着替えを終えた銀華はいつもの対魔忍スーツにバイザーをつけた格好をしていた。
「あれ? 銀華、まだバイザーをつけているのか?」
悟空の修行によって忌神のコントロールを可能になった銀華はもうバイザーをつけなくてもいい筈なのに、何でまだ彼女はバイザーをつけているんだ?
「あ……これですか? 今までずっとつけていたから、つけていないと落ち着かなくて……」
「そうか。でもいつまでもそれだったら話し相手が出来ないぞ?」
「いえ、私には頼人先輩さえいれば他に話し相手なんかいりません」
「……………はい?」
思いがけない銀華の言葉に俺は思わず固まってしまったが、それに構わず彼女は言葉を続ける。
「私の話し相手ってことは対魔忍ですよね?
それだったら私の事を化け物扱いして、自分の忍法自慢しか話題がなくて、こちらの話を全く聞かず任務では暴走する対魔忍の話し相手なんていりません。
私には私の事を一人の女の子として扱ってくれて、いきなり襲いかかってきた痴漢からも守ってくれて、私の愚痴を最後まで聞いてくれた頼人先輩だけがいてくれたら、それでいいんです!」
あっるぇ~?(困惑) 何だか銀華ちゃんってば、いつの間にか俺に依存してるっぽいんだけど? それに対魔忍の話し相手がいらない理由がもっともすぎて反論し辛い!
「い、いや、でもな……?」
「そもそも頼人先輩だって他の対魔忍の皆さんと距離を取っているじゃないですか」
いや、本当にごもっとも! これは反論のしようがない!
「頼人先輩……。ずっとついて行きます。どんなことだってしますから、側に置いてください……」
銀華はバイザーを上げて頬を赤くした素顔を見せると、潤んだ瞳で俺を見つめてきた。
正直、銀華みたいな美少女に今のような表情で告白されたら嬉しくて仕方がないはずなのに、俺はじりじりとこちらとの間合いを詰めてくる彼女から奇妙な威圧感を感じていた。あと、銀華の背後に蜘蛛を咥えて飲み込もうとしている蛇の
「頼人先輩、私は……っ!?」
銀華が何かを言おうとした瞬間、俺達がいる場所から離れた建物から大きな破壊音が聞こえてきた。何事かとそちらを見ると、一匹の竜が暴れまわって妙神山の修行場を破壊していたのだった。
………あっ。美神達、原作通りに小竜姫の逆鱗を触れてしまったんだな。
その後は原作と同じ展開で、何とか小竜姫を止めることに成功したが妙神山の修行場は全壊。悟空は既に神界に戻っていたのは不幸中の幸いだったが、自らが破壊した修行場を見て途方にくれている小竜姫に、美神が修行場の修繕費を出す代わりにパワーアップをしてくれと交渉するのであった。
生で見た小竜姫の暴走はとてつもなく怖かったが、俺は心のどこかで「助かった」と思っていた。