ドリーム☆アームズ!プリキュア   作:萊轟@前サルン

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3.律動(リズム)音楽(ミュージック)

 今日は土曜日で学校が休みの叶は夢見町の音楽ホールで行われる音楽会へ行く為に自分の部屋で身支度をしていた。

 

「今日は楽しみだな〜!」

 

「楽しみって…何が?」

 

「音楽会だよ!音楽会には私の好きな歌手の間宮さんが来るの!」

 

「私にはよく分からないけど、カシュとは有名人か何か?」

 

「うんうん、有名人!」

 

 叶はムドリンと話している間に自分の身支度が済ませてムドリンを自分のカバンの中に入れてから家の外へと出る。そして叶が音楽ホールに向けて歩いていると、夢見駅のバス停近くで路上ライブをしている人がいた。路上ライブの観客は誰1人いなかった。勿論、チップもゼロだ。と、叶が少し離れたところから様子を見ていると40代くらいの大柄な男が路上ライブをしている人の前にドカドカと歩いてきた。

 

「てめぇ、毎朝うるせぇんだよ!!大体、歌手になる事が出来るのは上級の国民だけだ!お前みたいな一般国民がなれるわけがねぇ!帰れ!!」

 

 男はそう言うと、路上ライブをしている人を突き飛ばした。それを見た叶は男の元へ行き、一喝する。

 

「ちょっと!!この人の夢道(ゆめみち)を邪魔するのは良くないんじゃない?」

 

「なんだてめぇ?見た限りでは一般国民っぽいな」

 

「一般国民って何…?皆、普通の国民だよ!?普通の国民に地位なんてない!!」

 

「…ったく、面倒くさいなぁ…お嬢ちゃん、この国には上級国民と一般国民の2種類がいる。職も同じで上級職と一般職の2種類がある。上級国民の職業は上級職から選ばれるが、一般国民は一般職からしか選ばれない。従って、コイツは上級職である歌手にはなれないんだ」

 

「そんなぁ…」

 

「分かったら俺と一緒にコイツを止めてくれ…法律違反がバレて捕まってからじゃ可哀想だろ?」

 

 男にそう言われた叶は一度、路上ライブをしている人の方を見る。路上ライブをしている人は男に突き飛ばされた時に顔にできた痛々しい傷から出てくる血をポケットティッシュで拭きながらはぁ…と深いため息をついた。その悲しげな顔を見た叶は路上ライブをしている人を止めるのではなく応援する事にした。

 

「あなたならなれる!歌手に!!」

 

「えっ…」

 

「だから、強い心と自信を持って!!国に負けるな!」

 

「あなた…」

 

 叶の言葉を聞いた男は呆れたのかどこかへ去っていってしまった。路上ライブをしている人はほっ…と一安心。

 

「ところで、お姉さんの名前は?」

 

「私は美影 奏(みかげ かなで)。歌手を目指してるの!」

 

「いいね!あ、私は音鎧 叶!!」

 

「叶ちゃん、よろしくね!」

 

 と、叶と美影が楽しく話しているとドリムポリスの矢波 奈那が叶と美影の元へとやって来る。

 

「音鎧 叶…ここで何をしているのかしら?」

 

「あっ、矢波ちゃん!まだ小さいのに1人で行動して大丈夫なの?」

 

「私、小学生じゃないから!!!それはさておき、あなた達、夢に関する事を話してなかった?」

 

「話してたけど?何か悪い?」

 

「悪いさ…法律違反だもの」

 

 奈那はそう言いながら、プロトドリームチェンジャーを取り出し、左腕に装着する。そしてホークアイパトロール・ドリームバッテリー、チェンジ・ドリームバッテリーの二本をチェンジャーに装填し、チェンジャーのトリガーを引いて変身する。

 

【プロトドリームーブ!】

 

〈Lock on the enemy!キュアガード・ホークアイ…!!」

 

「ちょ、ちょっと!変身する必要ある!?」

 

「重罪はこうやって取り締まるのがルールなの」

 

「なら、私だって…!」

 

 叶はドリームチェンジャーを取り出し、左腕に装着する。マイナー・ドリームバッテリーをチェンジャーに装填し、チェンジャーのトリガーを引いて変身する。

 

【ドリームーブ!】

 

〈夢、掴ムーブ!キュアアームド・マイナー!!〉

 

「私の夢力(ゆめちから)、見せてあげる!」

 

「夢に関するものは全て不要…今の私がやる事はただ一つ、夢を殲滅する事だ!!」

 

 奈那は叶の言葉にそう返してから、ホークアイパトロールの力で叶の弱点を見つけて狙っていく。対する叶はドリームーブレードを右手に持ちながら、奈那の様子を伺う。

 

「はぁぁ!」

 

 奈那は足払いをし、叶を転ばせてから左腕を掴み、空中へ投げ飛ばす。そして背中に生えている羽を使って叶のいる場所まで飛んでいき、叶を地面に向けて叩き付ける。

 

「ぐはぁ…!」

 

 地面に叩きつけられた叶は大ダメージを負い、動けなくなっていた。そこへ奈那が降りてきて叶の腹部を何発も殴る。

 

「うぐっ…!?」

 

「ふふっ、この程度かしら?」

 

 奈那に殴られた箇所の服は破けており、露出した叶のお腹には痣ができていた。意識は朦朧としていて叶は絶体絶命の危機を迎えていた。

 

「弱い者いじめか?情けないな、矢波」

 

「空野…随分と言ってくれるじゃないの。いいわ、あなたの相手をしてあげる!」

 

 叶、絶体絶命の危機の時に空野がやって来た。空野は矢波を軽く煽り、奈那の相手を叶から自分に変える。奈那が空野の相手をしている隙に美影は叶を背負って自分の家に連れていった。

 

 

 美影に背負われた頃から気を失ってしまった叶は美影の家に連れて来てもらってから数十分ぐらい経っても目を覚まさない。

 

「目…覚まさないかな」

 

「目をさましたいのか?なら、これで!」

 

 ムドリンはそう言いながら、叶の腹部にある痣を強く刺激する。すると、叶はすごく痛がりながら目を覚ました。

 

「痛いよぉぉ!!!もう、ムドリン!!」

 

「ほらね」

 

「あははは……」

 

 傷を刺激して無理矢理叶を起こしたムドリンを見た美影は苦笑していた。叶は起きた後、美影の部屋を見る。部屋には色々な楽器が置かれていた。

 

「凄い数の楽器…!」

 

「私、色々な楽器に挑戦してるの!だけど、どれも上手くいかなくて気付いた時には楽器が溜まってて…」

 

「自分に自信持たなきゃ!夢を持つあなたの夢力はちっぽけなものじゃない!!」

 

「叶ちゃん…!」

 

 

 

 一方、美影を注意していた男は自分の家へ向かって歩いていた。その道の途中、ソニード・アルマの男が男の目の前に現れた。

 

「君、いいオーラ出してるね!」

 

「アンタは何者だ!?」

 

「僕は歩合 善也(ふあい ぜんや)!って事で頼んだよ!」

 

「なっ…何をする!?うわぁぁぁ!!!」

 

 歩合は男に自分の名を教えた後、すぐに恨という漢字一文字が表面に書かれたドリームバッテリーのようなものを男の身体に装填していく。男はみるみるうちに姿が蠍のような怪物に変わっていった。

 

「サソリ・オミクロン!行ってこーい!!」

 

 歩合はサソリ・オミクロンに街へ向かうよう指示を出すのだった。指示を受けたサソリ・オミクロンは街へと向かっていった。

 

 

 その頃、夢見駅周辺では空野と奈那が戦っていた。両者互角の勝負でどちらが勝つか分からなかった。

 

「なかなかやるじゃない…」

 

「アンタと違って純粋な夢の力を持ってるからね」

 

「空野ぉぉ!!」

 

「矢波ぃぃ!!」

 

 と、2人が激しくぶつかり合おうとした時、2人の背中に毒針が刺さった。

 

「なっ、なんだこれは!?力が…抜けていく…!」

 

「くっ…矢波との決着はお預けみたい…ね」

 

 2人は毒に身体を侵されてしまい、強制的に変身が解けてその場に倒れこんでしまう。

 

 

 

 美影の家にいた叶はテレビで突如、蠍のような怪物が現れたというニュースを見て、いつまでも休んでるわけにはいかない!と美影の家を飛び出して再び夢見駅へと向かっていった。

 

「美影さん、ごめん!私、行かなきゃ!」

 

「あっ、叶ちゃん!!」

 

 美影は飛び出していった叶を追いかけて自分も夢見駅へと向かうのだった。

 

 駅に着くと、辺りには多くの人が倒れていた。そして近くにはサソリ・オミクロンがいた。叶は早速、ドリームチェンジャーを取り出し、左腕に装着する。マイナー・ドリームバッテリーをチェンジャーに装填し、チェンジャーのトリガーを引いて変身する。

 

【ドリームーブ!】

 

〈夢、掴ムーブ!キュアアームド・マイナー!!〉

 

 変身した叶はドリームーブレードを右手に持ち、サソリ・オミクロンに向かっていくが、サソリ・オミクロンの毒針攻撃のせいで思うように近づけない。そんな叶達の近くに歩合が現れ、美影にこんな事を言う。

 

「君が思う夢って"努力"から成り立つものかもしれない…だけど、実際はそうじゃない。夢ってのは"権利から成り立つものなんだよ!つまり、君の努力はただの時間の無駄に等しいんだ!」

 

「そ、そんな…」

 

 歩合にネガティブな事を言われた美影の身体からピンク色のオーラが出てくる。どうやら、夢の力がなくなっていっているらしい。

 

「私の努力が…"無駄"…!?」

 

「そう、無駄!!」

 

「………」

 

 歩合に何度もネガテイブな事を言われた美影の夢の力はほぼなくなっていた。叶ら夢に希望を見出せなくなりそうになっている美影に怪物と戦いながら声をかける。

 

「あなたの積んできた努力は決して無駄なんかじゃない!!歌手になるのは権力がある人じゃない!沢山の努力を積んだ人だ!!」

 

「…!!」

 

 叶の言葉を聞いた美影はハッとなり、歌手になりたいという自分の夢を再び目指そうという気持ちになる。

 

「美影 奏からさっき以上の膨大な夢の力が出始めた!今なら行ける!」

 

 ムドリンはそう言いながら、美影 奏から出ている膨大な夢の力の一部を空のドリームバッテリーに注ぎ込む。空だったドリームバッテリーは夢の力を得たおかげでちゃんとしたドリームバッテリーへと変化した。

 

「叶、これを使って!!」

 

「ムドリン、これは?」

 

「それは"リズミカルビート・ドリームバッテリー"!!音楽の夢の力を宿すドリームバッテリーだ!リズミカルに戦えば毒針を避けられるはずだ!」

 

「分かった、使ってみるよ!」

 

 ムドリンからリズミカルビート・ドリームバッテリーを受け取った叶はチェンジャーからマイナー・ドリームバッテリーを抜き、リズミカルビート・ドリームバッテリーを装填し、チェンジャーのトリガーを引いてフォームチェンジする。

 

【ドリームーブ!】

 

〈コミカル、ケミカル、リズミカル♪リズミカルビート!!〉

 

 叶はキュアアームド リズミカルビートへとフォームチェンジした。フォームチェンジ後、自分の周りに音符を空中や地面にばら撒いて足場を作る。そして作った足場を使ってサソリ・オミクロンとの距離を詰めていく。

 

「いいね♪これならいける気がする!」

 

「ヴヴォォ!!」

 

 サソリ・オミクロンは自身の毒針を叶に刺そうとするがリズミカルビートの力でリズミカルに動いている叶には擦りもしなかった。そしてサソリ・オミクロンとの距離を充分に詰めた叶はドリームーブレードでサソリ・オミクロンを何回か斬った後、チェンジャーの右サイドにあるボタンを押して必殺技を発動させる。

 

「私のフル夢リズム受けてみろ!」

 

 

「プリキュア・リズミカル・ブレイク!!」

 

 叶は必殺技を発動させた後、サソリ・オミクロンの真上に無数の音符の流星群を降らせる。必殺技を受けたサソリ・オミクロンは浄化されて怪物と人間に分離する。そしてその後、怪物の方だけ爆発と共に消え去っていった。叶は変身を解かないまま美影の元へいく。

 

「美影さん、その夢力…大切にね!」

 

 叶は美影にそう言い、倒れている空野と奈那を連れて自分の家へと帰るのだった。

 

 

 そして家に帰って来てから数時間後、空野と奈那はようやく目を覚ました。奈那は近くに自分が敵対?している2人がいるのに驚いていた。

 

「なっ、何であなた達がここに!?」

 

「何でって…ここ私の家だもん!」

 

「はぁ?私の家?…………えぇー!!!」

 

「どうする?泊まってく?」

 

「結構よ。んじゃ帰るわ」

 

 叶に泊まってくか問われた奈那は結構よと言い、足早に家の外へと出ていくのだった。

 

「あの…助けてくれてありがとう」

 

「あんな所に2人を置いてけないからね!…ってあれ?これは何?」

 

 叶は空野と話している途中、奈那が横になっていた場所にドリームバッテリーの様なものが落ちている事に気づく。

 

「リベラティオ…ブレイブ?どういう能力持ってるのか分からないけど、これ空野さんに渡しておくよ!」

 

「えっ…!私は別に欲しくないし…」

 

「まぁそういう事言わずに受け取ってよ!」

 

 叶はそう言いながら空野にリベラティオブレイブ・ドリームバッテリーを渡す。

 

「…ありがとう。じゃあ、私そろそろ帰る」

 

「わかった!んじゃまた明日、学校で!」

 

 叶は空野を敷地の外まで見送り、姿が見えなくなるまで手を振り続けた。空野も叶に向けて小さく手を振り返していた。

 

「…明日はどんな夢力が見れるんだろうなぁ…!」

 

 叶は紅い空に浮かぶ夕日に顔を向けながら小声でそう呟くのだった……

 

 

 

to be continued.......




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