俺のドラゴンなボールが無い転生   作:DB好き

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音楽に世界は関係無い

 あれれぇー? おかしいぞぉー。なんでパンツ無いんやろ? 俺確かに穿いて来たよな? 無いもんはしゃあないから茂みから帰ってきたらターレスに「いくらお前でも下着くらいは穿けよ、痴女か」って言われたわ。

 

いくらお前でもってどういう意味やねん!

 

「ちゃうわ! 穿いてたのに消えてもうたんやって! ってか何で知ってんねん。覗いてたんやろ! お前変態か!」

「お前がデケェ声出すから聞こえただけだ。それと下着が勝手に消えるわけねぇだろ……、ここ大丈夫か?」

 

 額を2本の指でトントンと叩くターレスを見て腹立たしい思いとは別に、どこか俺はデジャブを感じた。どこで見たっけかなー? あっ、思い出した。ドラゴンボールのコラ画像で悟空がオメェのここおかしいんじゃねぇか? って言ってるのや! 

 

悟空なら言わへんけれどコイツなら普通に言うわ。

 

「おうおう、ターレスさんよぉ。ナッツ星侵略の前に俺と喧嘩してぇってか?」

 

俺はやる気満々で睨みつけるが、ターレスはどこ吹く風の表情でスカウターを外し、ポッドに入れて閉める。そして岩に腰を下ろして座り込み、今度はスカウターを着けていた方の耳をトントンと叩いた。

 

 

 また頭大丈夫かってジェスチャーかと一瞬思ったがそうではなく、聞かれたらマズイから外せという合図をターレスはした。まぁ、侵略の度に気分が高揚してマズイ事を言う可能性があるから、まずスカウターを外す事から始めるのが俺とターレスの通例やけれど、すぐに話しがしたい場合は今の合図になる。

 

 

「待てよ。お前の下着がどうこうは今は置いといてだ……少し話しがしてぇ。警備兵かどうかは知らねぇが奴等との距離は近くて1万キロ位はある。奴等がここに来る頃に話し終えるには十分な時間だ」

 

 

 何やねん真面目な顔をしおってからに……。ターレスの言う通り確かに戦闘力300~500の奴が13人居て、430の奴が気の形からして大声を上げながら身振り手振りで指示を出しとるな。それと、バイクに乗るような動きをしとるから乗り物で来るつもりやな。時速は……1300キロ位か、しゃあないなー今は聞いたるわ。

 

俺はスカウターを同じくポッドの中に入れた上で閉め、ポッドに飛び乗り胡座をかいてターレスを見据える。

 

 

まぁこの雰囲気、今の戦闘力、年齢、ターレスの性格で考えれば言いたい事は1つしかないやろうなぁ。

 

 

 

「なぁビナス。そろそろ戦闘力を抑える生活を止めて俺達2人でフリーザをぶっ殺さねぇか? そして俺達で宇宙を支配しようぜ」

 

 

やっぱりそう来たか。

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「なぁビナス。そろそろ戦闘力を抑える生活を止めて俺達2人でフリーザをぶっ殺さねぇか? そして俺達で宇宙を支配しようぜ」

 

 ターレスはニヤリと笑いながらビナスに共謀を持ちかけた。ビナスは暫く沈黙し、口を開いた。

 

「無理やな。お前は変身前のフリーザを殺るつもりなんやろうけれど、あいつは多分一瞬で最終形態になれるぞ」

「だったら、お前が考えた技の太陽拳からの気円斬で殺しちまえばいいだろ」

「…………へ?」

 

 ターレスはビナスがキョトンとした様子で聞き返した事が、よく聞こえていなかったのかと思って繰り返し「お前が考えた技の太陽拳と気円斬で殺せばいいだろ」と少し声を大きくした。

 

「……いや、あれはえーっと、俺が考えた技やないんやけれど」

 

 ビナスは気まずそうにアハハと笑いながら体と尻尾を揺らして答え、ターレスは技を教えてもらう時の事を思い出す。こいつは確かに自分が考えた技とは言ってないが「どや、この新必殺技! これならフリーザにも通用すんぞ!」と胸を張って尻尾を犬のようにブンブンと振りながら言っていたので、あたかも自身が編み出した技ですとターレスからはアピールしているように見えた。

 

「じゃあ誰の技なんだよ?」

 

 ターレスは小手先の技だが、自分より格上を想定としたよく考えられた組み合わせ技だと思った。そして、そんな技を考えられる奴ならば他にも便利な物を覚えている筈だと推測し、この侵略が済んで可能ならば接触して他の技を教えてもらおうと思った。

 

 

「え? あー……、まぁいいか。クリリンと天津飯の技」

 

 

 ――――誰だよとターレスは呟いた。そんな奴等フリーザ軍に居たかと記憶の限り思い返すが覚えが無い。珍しい名前だし、そんな多彩な技を使う奴等なら絶対覚えている筈なのだが、もしかしてチェック漏れか? とターレスは自身の迂闊さを呪いながらもビナスにどんな奴等だと尋ねる。

 

 

「あの、んー。地球人と確か三つ目星人だったと思う。そんで頭がハゲやな」

 

 

ビナスの口から余計に覚えておかないとおかしいワードが出てくる。もしや……とターレスは思い始め、ジト目でビナスを見ながら口を開く。

 

 

「俺が知ってる奴等か?」

「いやー、知らんなぁ。今地球に居る筈やから会う事は絶対に無いわ」

「じゃあ何でお前が知ってるんだよ?」

「あー……、あれやあれ。前言うてたやん? 俺には未来の事がちょっとわかるみたいな? そんな感じのやつで知ったんやで」

 

 んふふっと笑うビナスにターレスは深いため息をつく。ターレスはビナスのこの未来の事がわかる能力というものを嘘だと確信している。だが何故惑星ベジータが爆破される事や、超サイヤ人の成り方。それとサイヤ人の瀕死から回復すると急激にパワーが上がる事を知っているのかわからない。

 

ビナスのこれまでの言動や行動、共に居た時間や友好関係から推測するならば、未来を知る能力はただの野生の勘であり、先のクリリンと天津飯という人物はビナスの脳内で作り上げた者達か、夢の中で出てきたのではないだろうか? そう考えればしっくり来る。

 

ターレスは微笑みを浮かべてビナスの事を優しい目で見る。ビナスは少したじろいで「な、何やの?」と尋ねる。

 

「帰ったら精密検査を受けてもらって暫く入院しとけよ」

「はい? ちょっ、意味がわからへんねんけれど。今俺どこも怪我してないし、病気でもないで?」

 

 

 ここだよ、こことターレスはまた自分の頭をトントンと叩く。それを見たビナスは能面のような無表情となって立ち上がり、口元を上品に手を当ててアハハハハと女性らしく笑ってからポッドから飛び降りる。

 

そしてビナスは気を最大限に噴出しながら吼えた。

 

 

「俺は怒ったぞーーー!!! ターレスーーーーッ!! そこらの道端のクソみたいにクソッカスのボロボロにしたるわ!!」

 

 

 かぁっ!! とビナスは気合一閃、ターレスに殴り掛かるが、寸での所で上空に逃れたターレスはフッと不敵に笑いながら警備兵達の所へ移動を開始する。これは逃げるためではない、ビナスとの戦闘の余波で警備兵の連中を始末するためである。

 

「へっ、いいぞこのプレッシャー……。あいつとの戦いは楽しくてしょうがねぇぜ」

 

 気の感知でビナスが追ってくるのを感じ、ターレスは独り言を呟きながら今回は勝てるだろうか? と思案する。ここまでの戦績は一々ビナスは覚えていないだろうし、隠れて記録しているのがバレたらからかわれるだろうから言わないが2710戦100勝2610敗だ。

 

初めて勝った時は自分の部屋に戻り、飛び跳ねながら喜んだものだ……、今思い返すと少し恥ずかしい気持ちにターレスはなった。

 

 警備兵達の気が数㎞先まで近づくと頃合いだとターレスは地に降り、それを見たビナスも地に降りる。

そして数時間2人は戦い、その余波で近づいて来ていた警備兵達全員を葬ると、最後は2年ほど前からしている恒例の砂漠地帯か岩盤地帯に行ってお互いが大猿になって殴り合った。

 

 これはまだターレスには理由を言っていないが、ビナスが超サイヤ人ブルーになれなかった、もしくは合わなかった時のために、超サイヤ人4になるための保険であるのと、ついでにターレスに理性を出来るだけ無くさないための訓練だ。

そしてまた数時間が経ち、お互いが大猿から戻るとビナスは気絶しているターレスを抱えて収容所へと向かった。

 

 

 

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 あ~あっ! 何で侵略の前に無駄な体力を使わないとあかんねん。これも全部ターレスのアホが悪いんや。結構なダメージ貰ってるし、俺も超しんどいんやぞ!? それをこいつは暢気におねん寝しやがって……。

 

 

んへへへへ、罰として気絶しとる間ケツドラムでもして遊んどいたろ。

 

 

俺は心の中で文句を言いながら、収容所の中をターレスを俵運びの要領で抱え、演奏をしながら進んでいく。すると曲がり角から光線銃を持った警備兵が飛び出し、銃を構えた。

 

「動くなっ! 少しでも動いてみろ、即座に撃つぞ!」

 

 まぁ、居るのは気付いてたけれどねー。それにしても何で逃げなかったんやろうな? 結構派手に暴れてて見られてる筈やなのに……、見えへん位置やったんかな? それでも俺達がここに居るって事は出て行った連中が全滅って事やのにな。もし俺が警備兵の立場やったら普通に逃げてるやろうな。

 

「ん? お、おい! こいつ等サイヤ人じゃないのか?」

「その通り。サイヤ人やぞ」

 

 俺がケツドラムをしながらサイヤ人だと答えると警備兵達は目に見えるように動揺し、銃を構えたまま後ずさっていく。おーおー、良い具合に怖がっとるなぁ。さっすが悪名高いフリーザ軍の先兵として名を馳せてるだけはあるわ。

 

「いよぉ~っ」と掛け声をし、ターレスのケツを能に使う小鼓のように叩きながら後ずさっていく警備兵を摺り足で追い掛ける。摺り足で移動こそ日本の歴史、文学であり心やで! 

 

 

「こっ、こんなふざけた奴等にこれ以上逃げてたまるかっ! やってやる!」

 

 

 おやおや? 俺が奏でる日本の心が通じたのか警備兵達は立ち止まって振り返る。クールジャパンは世界を越えた瞬間かなと思ったら銃を構えて乱射してくる。俺はそのまま受け止めるのではなく、手全体を気でコーティングして傾斜を利用して光線を弾く。こんなん気を感知出来るから目を瞑ってても出来るわ。

 

俺があっさり銃のエネルギーが尽きるまで弾き終ると警備兵達は呆然としていた。

 

「そんな」パパパンッ「攻撃が」パパパンッ「通じると」パパパンッ「思うとるんか?」パパパンッ

 

 俺は両手でい~い音がするドラムを叩く。そして「いよぉ~っ」と最後に良い音を出そうとしたら後頭部からもの凄い衝撃を受けた。

 

「へぎぃあ!!?」

 

変な悲鳴が出たなと他人事のように思いながら俺は気絶した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何か冷たい物が顔にかかったなと目を開けると、蟹が見えた。ん? 蟹やないわ、逆光で顔がハッキリ見えんくてシルエットしかわからんかったわ。

 

体を起こすと顔と上半身が濡れているのがわかったので、ターレスを睨んで「もっとマシな起こし方無かったんかい」と抗議をするとターレスは口元だけハハハッと笑ってから息を吸い込み……

 

「てっっっっめぇにだけはっ!! 言われたくねぇなぁ!!!」

「うるさっ!? そんな大声出すなや!」

 

 ターレスはヤンキー座りをして俺を睨みながら「お前マジでふざけんじゃねぇぞ?」と喧嘩越しに言ってくる。ん? 俺何かしたっけ?

 

「何を怒ってる理由がわかりませんってとぼけた顔してやがんだ、あぁ? 散々俺のケツを気がつくまで好き勝手叩いたのを覚えてねぇのか?」

 

 ………………あっ、思い出した。丁度良いドラムがあったから叩いとったんやったわ。俺は立ち上がり、周りを見ると囚人達が宴会をしていたので、俺が気絶している間にターレスは制圧した事がわかりすぐ帰るのか? と尋ねる。

 

「お前、そこはまず俺に謝ることが先……いや、謝罪の言葉を期待した俺が馬鹿だったぜ」とターレスはガリガリと頭を掻いて溜息をつく。

 

 失礼な! 俺が謝る事の出来ないコミュ障だとこいつは思っとるんか? 俺だって悪い事をしたなと感じたらちゃんと謝るぞ!!

 

「ちっ、もういい。ビナスこれを知ってるか?」

 

ターレスは小さな箱を取り出し中を開ける。するとそこには小さな植物の種があった。何やろ? 稲かな? もしかして農耕民族目指すってか?

ニヤリとターレスはあくどい顔をして笑い「これは警備兵達が厳重に保管してやがった物でな……植えたら惑星を枯らす神精樹の種ってやつらしい」

 

 

 俺は真剣な顔をして「ちょっと来い」と言ってターレスを囚人達から離れた所まで連れて行く。そして何だと訝しむターレスに神精樹の実について説明をすると、ターレスは獣のような笑みになり「つまり、もし超サイヤ人になれなくてもフリーザをやれるって事か?」と俺に尋ね、こくりと頷く。

 

 

 

「あ、でもフリーザには兄貴と親父が居て、兄貴のクウラは5億位で親父はフリーザの最終形態よりちょっと弱いくらいやったな」

 

 ターレスはそれを聞くと笑みを止め「お前はちょっと待ってろ。種を安全な場所に置くから」とどこかへ行く。何で待たなあかんねんなと文句を暫くブツブツ言っているとターレスが帰ってくる。

 

何をしとんねんとターレスに聞くが、俺の問いに反応せずにズカズカと俺に近づいて「そう言う事は早く言え!」と俺の頭に拳骨をする。

 

 

 

そこからはまた泥沼の喧嘩が始まり、お互いボロボロの体で帰還した。もー毎回こんなんやわ。

 

 

 

 

 


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