俺のドラゴンなボールが無い転生 作:DB好き
後ろから素材1に声掛けられたけど無視してお二階に上がると、そこに居たのはデブくて老けたナメック星人の素材2。オッス! オラビナスと挨拶すると「……何か用ですか異星人の方」と不機嫌丸出しで言ってきたから、いっちょやってみっか! と超スピードでドラゴンボールを取る。
「おう、用はあるで~。このドラゴンボールと俺ともう1人の奴の潜在能力を開放してくれや」
面倒やから周りくどいのはなしで直球に言うと眉をしかめて「ムゥ……」って唸る。
何やねん悩む必要が無いやろーが、パパッとやりゃあ済むやん「そこまでだ!」ん? 素材1が中央の穴から湧いて来よった。
「邪悪な者よ、これ以上の狼藉は許さんぞ! 命が惜しければドラゴンボールを置いて即刻立ち去るがいい!」
歯を剥き出しにして顔に血管浮き上がらせとる……変顔で笑わせようとしとんのかな? それにしても強気やなー、俺が戦闘力8000に抑えとるからかめっちゃ調子乗ってるやん。
っつーかまた邪悪な者って言われたわ。お前ら兄弟か! って位一緒の事しか言わんな……いや兄弟みたいなもんやった。記憶を継承して繁殖しとるから卵を吐いてる奴がもう1人増えると同じやもんね。まるでマトリョーシカやな。
「貴様聞いているのか!」
マトリョーシカについて考えとったらボーッとしてもうたわ。
「あぁ? 俺は別にお前なんかに用はねぇぞ。用があるんはそこにいる爺の能力とドラゴンボールだけや」
「き……貴様、何故最長老様の能力を知っている!?」
こいつと無駄話すんのは時間の無駄やからサクッと気絶させるか? それにしても名前何やったっけ? おっかしいなぁ~、数年前ならアニオリやGT、映画合わせてオリキャラの名前とか大体パッと頭に思いだしとったんやけどな。こいつがピッコロと合成して、ピッコロのレベルを上限開放した位しか思い出されへんわ。
「……さっさと答えろ!」
うるっせぇなぁ……。あー、確かナメック星人って頭さえ無事なら再生出来るってピッコロが言っとったな。
首飛ばして黙らせるか
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「……さっさと答えろ!」
ネイルは自分を見ているようで見ていないビナスに怒声を浴びせるが返事は無い。しびれを切らしたネイルは、ここで暴れられて最長老に被害が出る事を懸念し、ビナスを摘まみ出そうと行動に移そうとした……その時、ビナスの鎖骨から右頬にかけて1本の血管がビシリと音を立てて浮かび上がり、何の感情も無い表情と目がネイルを捉えた。
ネイルはぶるりと震え、嫌な予感がしながらも油断なく構える。すると、ターレスが真ん中の穴から飛び出して「お前何してんだよ」と呆れの感情を含んだ言葉をビナスに投げかけた。するとビナスから嫌な予感がしなくなり、感情が戻った表情になってターレスに抗議する。
「しゃあないやんけターレス! 潜在能力を引き出せや言うても聞かへんもん」
じゃあ、これしかないやろとドランゴンボールを持っていない右手で握り拳を作り、ビナスは暴力で解決する事をアピールする。ターレスはハァ……と溜息を吐いてビナスの隣へと降り立ち、ネイルと向き直って少しバツが悪そうな顔で「済まねぇな、こういう奴だからよ」と少しおどけた調子で言った。
最長老はビナスの雰囲気が軽くなったのと、ターレスの暴力で解決する展開は不本意だと感じるその様子を見て、ターレスの内なる気を探る。
すると邪悪そのもののビナスより、邪悪だが奥底に光りの心が育ちつつある事がわかった。最長老はターレスの方がこの場を上手く穏便に事を進める事が出来るかもしれないと思い、ターレスが中心になるようにまずは「あなたは?」とコミュニュケーションの初歩である相手の名前を聞きだそうとする。
ターレスはビナスの分も含めて軽く自己紹介する。その後間髪入れずに最長老は何故この惑星に来たのか? 何故ドラゴンボールを知っているのか? どんな願いがあるのかという質問をし、ターレスは素直に質問に答える。
ターレスは途中から最長老の思惑に気付きニヤリと笑う。確かにビナスに場を任せれば揉めることは火を見るより明らか……。これから先、ビナスの未来予知を全て信じている訳ではないが、またドラゴンボールに頼る事になる可能性は十分にある。
最悪ビナスは惑星の出禁をされても、自分だけは試練等で使える権利を有したままの状態でいたいと思い、最長老の思惑に乗る事にした。
そして最長老の問いである願いの内容を言えば会話が止まってしまうと予測し、今度はターレスから話題を振る。この惑星には自分達以外の異星人は来るのか? 惑星の規模に対して人数が少ないが何故だ? 等最長老に問いかける。
完全に場がターレスを中心となり、ビナスが蚊帳の外にいる状態となった。ビナスは途中までターレスを見ながら話を聞いていたが、飽きてドラゴンボールを色々な角度で眺めたり、ターレスの後ろでバレーのトスをして遊び始める。
このまま何事もなく、ドラゴンボールをターレスだけに使わせてビナスと共に惑星を去ってもらおうと最長老は考え、そろそろ2人だけで話がしたいと切り出そうとした。
だが、ビナスの態度を見て我慢の限界をならない者が居た……。
「貴様っ! 先程からなんだその無礼な態度は!! そんなに退屈ならばさっさととこの惑星から去るがいい! 嫌だと言うのならば力づくで叩き出してやろう!」
ネイルである。無理もない……彼の視点から言えば、勝手に自らが命を賭してでも守らなければならない最長老の家に入り、あまつさえその最長老から了解も得ずに勇士と認められた者しか手にする事がないドラゴンボールを奪い取り、更にはもう満足に動く事が出来ない最長老に向かって、潜在能力を解放しろと脅す不逞の輩だ。
怒らないわけがなかった。
ビナスがあからさまに暇だという態度をとり始めた頃から彼はビナスを睨み付け、ドラゴンボールで遊び始めてからは殺気を放っていた。それでもビナスはネイルの事に興味が無いので、彼女は欠伸という形で返す。
そこでネイルは我慢の限界が来る事になった。
ターレスはネイルに「おい、ほっとけよ。そうすりゃコイツは大人しいままだからよ」と宥めるが、ヒートアップしたネイルは止まらない。そんな彼を見てビナスはクシュンとくしゃみをし、どこまでもマイペースだった。
「く……、どこまでもわたし達を愚弄しおって……表に出ろ!」
ネイルはそう言うとビナスを一瞥して先に下へ降りて外に出る。ターレスはやっぱりこうなるかと最長老を見て肩を竦め、最長老も結局は荒事になってしまったと無念に思った。
肝心のビナスは欠伸をした後にドラゴンボールを抱え、壁際に移動するとドラゴンボールを下ろして座ると、膝を抱えて頭を沈めた……つまり、寝ようとした。
これには最長老と昔から知っているターレスでさえ「……え?」と戸惑いを見せた。そして暫くするといつまで経っても来ないビナスにしびれを切らしてネイルが来る。
「きっ、貴様ぁっ!! 何を寝ている!? 来いと言っただろう!!」
ネイルはこの時、人生で3番目の怒りの感情に支配された。
だが、その感情の大本の原因であるビナスは寝ぼけ眼でネイルを一瞥して「さっきから何か大声で言っとったけど、もしかして俺に言っとったんか?」と彼が向ける大声の向かい先を今初めて知ったと言わんばかりの表情で答え………………静かな空間の中でネイルの頭からプチッと音が聞こえた。
ネイルはこの時、人生で2番の怒りの感情に支配された。そこからは揉めに揉めた。罵詈雑言をビナスに浴びせるが、ビナスは「で?」と繰り返すばかり。
埒があかぬとネイルはビナスを蹴り飛ばそうと行動しようとするが、後ろからターレスに羽交い締めにされ「落ち着け! お前ここが最長老の家の中だって事忘れてるだろ」と叱責されて今居る場所が理解出来る程には落ち着く事が出来た。
そして今度はターレスがビナスに外に出ようと提案をする。ビナスは今回ではなく、悟空達と一緒にナメック星に来た時に潜在能力を上げればいいと考え、あっさりと承諾してターレスと共に外に出る……勿論ビナスを終始睨みつけているネイルも一緒だ。
「……こっちだ」
「おう」
ネイルを先頭にターレスが続き、戦いの影響が無いように最長老の家から離れるため東へと進む。
西に進みながらビナスはターレスに何か用でもあるやな~と他人事のように思い、返事もせずに気絶したデンデとドラゴンボールがある地上に降り、神龍を周りに人が居ない場所で呼び出すために準備をしようとした……すると後ろから轟音が響き、土煙が舞う。
土煙が晴れるとそこに居たのは勿論ネイルだ。
ネイルは顔中の血管を浮かび上がらせ、獣のような笑みを浮かべてくつくつと笑う。ネイルはこの時、人生で1番怒りの感情に支配された。後から来たターレスに声を掛けられても聞こえぬ程だった。
そしてビナスが煩わしそうに振り返ると、ネイルは問答無用でビナスの鼻に向けて思いっきり殴り掛かった。だが、ビナスは既に右半身が前になる半身だったので、体を仰け反りながら左膝を脱力して避けると同時に、ネイルを前方に投げ飛ばすようにして背負い投げをした。
ネイルは体を半回転して難なく着地をするが、右肘の内側から指先と肩口へ走る感覚が麻痺する程の痛み……そして喉に鋭利な異物が入りこんだかのような激痛が走る。肘を見るとそこには第1関節が入る位のへこみ、そして喉を撫でると同様のへこみがあった。
蹲りたくなる程の痛みのおかげで冷静になったネイルは、吹き出る脂汗を掻きながら自分をひどく叱責する。
……わたしは何て愚かなのだ! 怒りに身を任せ、フェイントも何もない馬鹿正直で見切るのが容易い攻撃を仕掛けるとは……!! おかげでこの様だ!
ネイルはビナスの事を邪悪そのもので、人柄も今までに見聞きと受け継がれた知識に無い程最低だったが、今の一連の動きで強者なのだとわかった。もしや今まで自分を怒らせる発言と態度だったのでは? とネイルは推測し、今度は油断はしないと慎重になる。
が、勿論ビナスにそんなつもりはない。一方でターレスは一連のビナスの動きにヒュウと口笛を吹いて感心し、少し離れて腕を組んで観戦する。
今度は彼に止める気は無い。最長老の家で放っておけと忠告し、手を出さないよう体を張って止め、十分にネイルに義理立てした……。その上でまだ怒りが収まらずに仕掛けるなら、死んだとしても本望だろうし自己責任だと考えた。
まぁ、それは建前で本音はアイツの技をじっくり見てぇってだけだがな。
とターレスは薄く笑う。そんな彼を見てビナスは浅い溜息を吐き、そしてネイルに向き直って両手を軽く開いて正眼の構えをする。
合気だ。
これはまだターレスに見せてはいない。カウンター特化の合気は、力で攻めて攻め潰すスタイルのサイヤ人にとってあまり相性が良くない。だが、ある程度修羅場を潜り、戦闘において冷静になって待てるようになっているならば別だ。
ビナスは猫じゃらしを取り合う遊びを経て、ターレスは十分に合気を使えると……そして体験させるのではなく、見せた方がいいと思った。ターレスがビナスの目線になって戦うと、ネイルは仮想クウラ相手として丁度いい身長差だからだ。
自身が見知らぬ仮想相手になっているとは知らずネイルはビナスに猛攻を仕掛ける。だが、ビナスはネイルの半分の戦闘力を上限としながらも攻撃をいなし、隙があれば小手返し、中国武術の歩法でネイルの攻撃を単発で終らせ、八卦掌の円の動き等で引き倒しては追撃を寸止めする。
更には気弾も避弾経始の要領で弾き、時には歯が付いた気のバリアによって、気弾の側面を回転して滑って回避をし、技が決まる度にターレスをチラリと見た。
ターレスはビナスが合気の構えを見せた時、未だ知らぬ技があったのかと彼女の引き出しの多さに苛立ちもした……だが、コチラに注視しながら技を披露する事数度……、彼女の意図に気付くとターレスの心臓がドクリと一際大きく鼓動し、口角が知らず知らず上がる。
俺に技を見せて物にしろって言うのか? 上等だぜ、お前の技を全て俺の物にしてお前を超えてやる。本当にお前はいい女だぜビナス。サイヤ人の特性を知って限界まで強くなれた。神精樹の実を知って限界を超えられた。格上相手の技術を知れた。広い宇宙ではフリーザでさえ弱いのだと知った。
全部お前のおかげだビナス……。ありがとよベジータ王子様、こんな極上の女が目に入らない節穴でよ。
こいつは絶対に俺の物にしてやる。
ターレスはビナスと一緒ならばどこまでも強くなれると確信をした。