俺のドラゴンなボールが無い転生   作:DB好き

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つまり、今ので完全に俺を怒らせてしまった訳だ!

 俺はベジータを見据えながら柔軟体操をする。そんな俺をベジータは腕を組んでニヤニヤと笑いながら立っている。この第3トレーニングルームは直径50m、頂点の高さが15mの半円形のドーム。ベジータとの距離は10m……俺達の戦闘力であればゼロ距離に等しい。

後ろを見るとナッパとラディッツも腕を組んで壁にもたれかかって立っていた。

 

腕を組むのはサイヤ人のデフォルト立ちか?

 

 

それにしてもベジータは余裕綽々の態度やな、ええぞーそうこなくちゃ楽しくないわ。確かトレーニングルームで模擬戦をする時は気弾は禁止やったな。上等、殴り合いとか望むところやで。

 

「おいお前、戦闘力はいくつだ?」

 

そっか、ベジータは今スカウターを着けてないから分からへんのか。俺もまだ大体しかわからへんけどな、それより気になんのがお前呼びやな……、自己紹介してないから当たり前やけれど俺の名前知らんっぽいな。

あれ? でも何でファーストコンタクトと同義なあの時にこんな奴って言ったんやろ? もしかして俺の名前は知らんけれど噂は知ってるってやつかな。

 

「3400っす、王子様ーお前呼ばわりじゃなくてビナスって呼んでくれませんかね?」

「ふん! お前の名などどうでもいい。それにしても戦闘力3400だと? ウォーミングアップ程度にしかならんな」

 

……これは名前知らんかった反応やな。まっええわ、今は戦闘に集中するかね……。俺は精神を戦闘に完全に切り替え、気を全身から放出させてベジータを見据える。

小細工は後々悟空達が戦う時に響いてしまうから使わない方がええな。ならば真っ向勝負!

 

俺は地を蹴り、ベジータに正面から向かう。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

「シィッ!」

 

ファーストコンタクトはビナスの渾身の打ち下ろしの右に対し、ベジータは余裕を持って右手で受ける。部屋全体へと響く程の爆音と衝撃だが少しも動じない。

 

ビナスはビクともしないベジータに舌打ちをする。約4倍の絶望的な実力差の壁を感じながらも薄く笑みが零れる。

一矢報いるならば油断している今しかない、ビナスはそう思い次の行動に移る。真上に飛び、高速で回転し武空術で速さを増してからの全体重を乗せた踵落としをする。

 

ベジータを中心にして15mの皹が地に走るが全くのダメージを受けていない、ビナスは構わず気を体全体噴射し、フィギュアスケート選手のように横回転し、高速の裏拳を放つ。

 

だが、そんな音速を軽く凌駕する程の拳はベジータの動体視力からすればスローモーションと同義であり、わざと当たらなければ食らう事はほぼ無いのだ。

ベジータはビナスの裏拳を躱して手加減をした右ジャブをビナスの顔面に放つ。すると雷鳴のような音が鳴ってビナスは1秒に4度縦回転をする速度で吹っ飛んで行く。そして数度地面をバウンドしてから15m程転がってからやっと止まった。

 

ビナスはすぐに立ち上がろうとするが、脳震盪を起こしてしまってうまく立ち上がれない。地面に頭が当たる間際に後頭部を抱えるように防御をしても尚このダメージだ。

 

そんな様子を見てベジータは舌打ちをして「もう終わりか」と呟く。

 

いつもそうだ。自分がちょっと叩いただけで皆ダメになるか、勢いは消沈する。手加減をするから組手をやろうと言っても二の足を踏む奴等ばかり……、そんな不甲斐ない同属達に怒りを感じるも、自分はエリートの中エリートであり、天才なのだから仕方がないと思う事にした。

 

ベジータは未だ立つのを梃子摺っているビナスを見るとコイツも自分の二撃目を受ける度胸は無いだろうと思い、帰るために出口の方へ向かおうとする。

 

その時ビナスは脳震盪からある程度回復し、顔を上げると口の端から血を流しながら獣のような笑顔で声を上げる。

 

「もう1本頼むわ王子!」

「ほぉ。ククク、いいだろう」

 

それから何度も何度も向かって行くビナス、そして迎え撃つベジータ。ビナスの打たれ続けた体は赤から内出血を起こした紫と変化し、主に攻撃を防御していた左腕は折れ曲がり、攻撃していた右手の指も全指折れていた。

 

それでもビナスは笑いながら気絶した。ナッパと気の衝突を感知していつの間にか来ていたターレスがビナスを治療室へと連れて行く。

ラディッツは同族にも容赦しないその残虐性に青ざめて、暫く身動きが出来なかった。

 

 

運ばれていくビナスを見ながらベジータはこいつの性根はともかくサイヤ人としては認めてやってもいいと思った。ただ、断じて人として見直したのではない。

 

 

ここまで人として認めない理由は、ベジータがビナスと初めて会った日まで遡る。

 

 

その日は破壊神ビルスがベジータ王の頭を足蹴にしていたのをベジータが目撃した日である。それを見た瞬間ベジータは頭が真っ白になる程の怒りを感じてビルスに向かって行った。

父親が足蹴にされて息子として怒ったのではない。そんな事をされても尚抵抗しない父親の姿が同等の力を持つ自分に投影されて、自身が足蹴にされている気分だったから向かって行ったのだ。

 

 

だが、向かって行ったのはいいが一睨みだけでベジータは体の自由が利かなくなって動けなくなってしまった。余りの実力差にショックで自分と父親の怒りから誰にも会いたくなくて、人気のない道へと進んでいた所「お願い止めて!!」と女の声が響いた。

 

ベジータは声がする方向へと足を進める。正義感ではない。ただ女を襲う暴漢にこの鬱憤を晴らしたいがために向かった。

 

そして曲がり角を曲がり、見た光景はベジータに破壊神ビルスの事をしばらく忘れる程の衝撃を与える。そこには大人のサイヤ人の尻尾を掴み、力が抜けている姿をイッヒッヒッヒッヒと笑う幼女……ビナスが居た。

 

女が女を性的に襲う、しかも自分と同年代の子共が……。ベジータは混乱をして建物の影に隠れてしまい、完全に出るタイミングを失ってしまった。

 

 

 

「ぐひひ、そんなタイツ1枚のエッロイ格好で、こんなエッロイ尻がくっきりするパンツ履いてエッロく尻尾を俺の前でフリフリさせやがって……誘ってんだろ? あぁ?」

「そ、そんなわけないでしょ! っていうかあんた女だし子供じゃない、それに私は普通の格好よ!! 今なら許してあげるから離しなさい!」

 

「うぇっほぉーい! それが普通とな? どんだけエロイねんサイヤ人は! これは風紀の乱れを正さねばならない! ……って事でエロイ君をまずは取り締まりまぁす!!」

 

変な屁理屈を言いながら、掴んでいる尻尾を右へ左へと引っ張るビナス。そしてそれに合わせるように揺れる女サイヤ人の尻。

 

「ぶへへ、やっぱ誘っとるやんけ! 口では嫌々言いながらも体は正直やのー! 前フリのボケかな? 尻をフリフリしてるから前フリってか!? よし、ツッコミは任せろ!」

「何訳分かんない事言ってるの!? バカじゃないの!」

 

 

女サイヤ人はビナスを少し涙目で睨みながら罵倒する。だが、そんな反抗的な態度もビナスにとっては「くっ殺か? くっ殺か?」と言って益々気分を良くしたビナスは尻尾を持ち上げる。

 

「あっ!」

 

艶やかな声を出し、女サイヤ人は尻尾を引っ張られる痛みを緩和するために自然と尻を突き上げる。その扇情的な光景にビナスは益々気分を良くしていく。

 

「やっぱ正直やんけー、しゃあないなスーパーサイヤ人ゴッドなハンド捌きを体験させたるわ」

「やっ、やだ!」

 

そしてビナスはいやらしくお尻を撫で回し始める。ここまで見ていたベジータは動揺の極みに達して物音を出してしまう。

 

その音に注意を逸らされたビナスは尻尾を掴む力が緩む。女サイヤ人はその隙を見逃さず、ビナスを振り払い走って逃げて行った。

 

「あ~あ、後もうちょいで素直にしたったのに」

 

ビナスは心底残念そうにボヤキながら歩いて行き、ベジータの脇を通る時に冷たい目をしながら「見てんじゃねーよ、空気読めやマセガキが」と言った。

 

言われたベジータは動揺していたのですぐには反応できず、呻くだけとなった。ちなみにビナスはこの時ベジータとは気付いてはいない。

 

そこからは悪い意味でビナスに注目する事になった。ある時は動物の糞を木の棒にくっつけて他の子供を追いかけるビナス。

ある時はまた女サイヤ人や異性人の女に触りまくり、そして咎められたなら「幼女やから犯罪じゃないやろ」と全く悪怯れた様子がない。

 

 

困った女性達はビナスの両親になんとかしてくれと頼み込み、説教ついでにどれだけ強くなったかを確かめた。

だが、その時ビナスは戦いに夢中だったのと、受けた過度な暴力によって「そう言えば何か言っとったな」位にしか覚えてはいなかった。

 

 

これがベジータがビナスを人として認めない理由である。その上惑星ベジータが消滅し、女サイヤ人はビナス1人だ。帝王学を学んでいたベジータはその問題に頭を悩ませる。

 

何故なら「サイヤ人を復興させるにはもしかしてこんな超絶下品な女と結婚しなければならないのか」と思っていたからだ。

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 気が付けば慣れ親しんだ空間っていうのは大事やな! 治療ポッドの中がこんなにも安心するとは思わんかったわー、実家のような安心感ってやつかな。

 

それにしても王子ツエー、全く歯が立たんかったわ。界王拳出来れば覚えたいな、そうすりゃスーパーサイヤ人になるまでの格上殺しとして使えるからな。

 

覚えとれよ王子、いつかその100m位長い鼻っ柱を折ったるからなー。……ん? 別に俺が折らんでも悟空にリクームにフリーザと立て続けに折っていくな。

……まぁそこに俺1人加わっても問題無いからええやろ、ついでって事で俺も折ったろ。

 

 

 

 

 

 それから何やかんやと考えてたらもう2時間経ってもうて体も完治。俺は腹が減ったので食堂に向かう途中でベジータとラディッツ、ナッパにターレスと出会う。

ターレスが居るのは珍しいな、俺の後ろを付いてくる雛鳥かと思って可愛がってんのにもう俺離れかい。

 

「おいーっす」

「おお、ビナスか。もう体はいいのかよ?」

「おう、元気元気よ」

 

アニメで見た時、このおっさんこっわ! とか子供の時思ってたけどナッパって普通にいい奴なんやね。

 

「それは良かったぜ。お前にはまだ死なれちゃ困るからなぁ」

「何やねん、普通に元気になって良かったですねビナス様と頭を下げる位しろや」

「それは普通じゃねぇだろ」

 

はははっと俺とターレスは笑い合う。コイツほんまツンデレやな。

 

「おい、ラーディッツー。何黙っとるねん、何か言えよ」

「え? お、俺か? ま、まあ元気になって良かったんじゃないか」

 

何どもってんねん。もしかして俺にビビってるんかいな? まっええわ、俺はベジータへと目線を移すと不敵な笑みを浮かべていた。

 

 

コイツもわっるい顔が似合うなー、こんな奴が将来ヒルデガーンの時に一般人守るなんて、原作知らんかったら誰も想像出来んかったやろうな。

 

「どーも王子、さっきはお世話になりましたな」

「……ククク、いいぞ。その獣のような笑み、それでこそサイヤ人だ。お前にその気があるならまた遊んでやる、何時でも来い。まぁ一生掛かっても俺に一撃を喰らわせる事は出来んだろうがな」

 

そう言ってベジータは高笑いしながら食堂の方に向かっていった。

 

 ……獣のような笑みって何やねん。肉食系男子か! あ、今女子やったわ。ってか普通の愛想笑いやったつもりやぞ俺は! 両手で頬をムニムニと頬を触るけど別に普通やん。

 

それにしても何時でも来い、か……。壁はでかいな。取り合えず今日は飯食って寝るで!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い~よいしょー!」

「ふおお!?」

 

その前に俺は油断しているベジータの背中に蹴りを入れる。蹴りたい背中やったからしょうがないわな。

 

「うはははっ! 王子の一生の基準って超短いっすね!」

 

 ラディッツとナッパがこいつマジかよ……って顔しとるけれど、何時でも来い言われて背中向けて歩いとったら今でしょ! ってなるの当たり前やないか。ターレスは「やっぱりやりやがった」とか言ってめっちゃ笑っとる。

 

 

「き、貴様~! 今自分が何をしたかわかっているんだろうな!?」

 

ベジータは顔に血管浮き上がらせ、気を噴出しながらギロリと睨んでくる。お? お? 何時でも来い言うたのに逆ギレかいな?

 

「何怒っとんねん! 自分が何時でも来い言うたから仕掛けただけやん」

「バっ、バカヤローッ! 時と場所を弁えやがれーっ!!」

 

成程TPOを考えろって事かいな。まぁ冷静に考えればやったらダメやろうなって分かるけれど、俺は今戦闘熱が冷めてないからしゃあないな。

 

「王子~、それを先に言って貰わないと困りますわ。俺はてっきり本当にいつでも仕掛けても大丈夫ですよって思うやん。まっ、次からは言い方に気を付けてな王子」

「ふざけるなよ貴様っ! 俺を足蹴にした罪は今すぐ償わせてやる!! 覚悟しろよ!!」

 

 

 ベジータはそう言ってジリジリと俺の方に向かって来る。ん~戦ってもええんやけれど腹減ってるしな。あっそや、王子から逃げれるか試したろ。格上相手に戦う事も大事やけれど逃げれるようにすんのも大事やしな。

 

どうやって逃げたろうかなー、あっそや! 

 

「んふふふ」

「何を笑っていやがる? 自分のやった行いがどれだけバカだったか今頃気付いたのか?」

 

 んな訳ないやんけ。ふへへへお前なら……ってかフリーザ軍に所属している誰もが引っかかる事やってやんよ。

 

「あっ! フリーザ様!!」

「なっ、何!?」

 

 ベジータは勿論、周り居た奴等が一斉に振り向く。ククク、この隙に逃げさしてもらいまっせー! お? 何でターレスだけ俺の方向いて呆れた顔しとんねん! まっええわ、逃ーげよっと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あのさ~、ベジータ。部屋まで乗り込んでくんのは反則やろ、おかげでもう一回治療ポッドのお世話になったわ。

 

 

 

 

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