オラリオディズニーダンジョン   作:カイバーマン。

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ディズニー豆知識

『レスキューレンジャー』

長編テレビアニメシリーズ、「チップとデールの大作戦」に登場するお助けチーム。

皆の纏め役でありクールなリーダー、チップ

お調子者でトラブルメーカーのデール

発明品を作って皆を助ける紅一点のガジェット

力持ちで頼りになるが、筋金入りのチーズ狂いのモンタリー

小さい体を活かして潜入や追跡を得意とするハエのジッパー

彼等は猫探しから世界の危機まで、とにかくなんでもやってのける凄いチームであり、物語は終始彼等のドタバタ騒動が主軸となっております。

毎回ハラハラするし凄く面白いので、今はディズニー専門の配信動画サイト「ディズニーデラックス」で視聴可能なのでよろしければ是非

ちなみに東京ディズニーランドのトゥーンタウンにある「ガジェットのゴーコースター」はガジェットがガラクタを集めて作ったアトラクションです。

余談ですが当時観ていたアメリカの子供達は、そのガジェットのせいで大人になってから特殊な性癖に目覚めたとかなんとか……

私はあの黒毛のライオンのせいで目覚めかけました


カラー・オブ・ザ・ウィンド

お助けチーム、レスキューレンジャーのおかげで窮地を脱したベル・クラネルは彼等に連れられ、なんとか落ち着ける場所に案内してもらった。

 

彼等に連れられ、なんとか落ち着ける場所に案内してもらった。

 

レスキューレンジャーの拠点である大木が中心に生えている、オラリオの子供達の為の公園だ。

 

「ここならもう安全だよ」

 

「さあさあ、ゆっくりと落ち着いて話を聞かせて」

 

「ありがとう……はぁ~……」

 

チップとデールに誘われて、公園にあるブランコの上に腰をつくと、ガックリと肩を落としてため息をつくベル。

 

「初めての都会だからって浮足立ってたのかな……」

 

「おいおいなんだなんだ、せっかく助けてやったのに随分と元気がないみたいだな」

 

「いやその……自分がちょっと情けないなと思って……」

 

「ハハハ、確かにちと情けないぞ坊主、1日で二度もあんな悪党に騙されるなんて! あいたっ!」

 

初めて来た都会の洗礼を受け、ショックを隠しきれてない様子のベルにモンタリーが思わず笑ってしまうと、そこへ頭上からハエのジッパーがポカリと小さな手で彼の頭を叩く。

 

そして酷く落ち込む彼を心配そうに見上げながら、紅一点のガジェットが優しく声を掛ける。

 

「あなた名前は? どこから来たの?」

 

「えーと、ベル・クラネル、ここから物凄く遠い田舎から数日掛けてオラリオに……」

 

「そんな遠い所から? そこまでしてオラリオに来たって事は、やっぱりここで冒険者になる為に?」

 

「うん、亡くなったおじいちゃんが、ここでは自分が望めばどんな夢でも叶えられるって」

 

そういえば名を名乗るのを忘れていたとベルは改めて彼等に自己紹介。

 

そしてここに来た経緯と動機を話すと、「なるほどね」とガジェットは腕を組みながらうんうんと頷く。

 

「夢を叶える為にわざわざ遠い所から来るなんて凄い事じゃない、あなた見かけによらずかなりタフなのね」

 

「そう、なのかな……よく「爺さん譲りの頑固モン」って馬鹿にされてたけど」

 

「それは別に馬鹿にしてる訳じゃないわよ、頑固って事は一度やると決めたら周りに何を言われても絶対に譲らないって事でしょ、つまり自分が目指す信念が強いって事じゃない、それって凄く大事な事だと思うわ」

 

そう言われて悪い気はしないと頬を掻いて照れ臭そうに顔を赤らめるベル、少しだけ元気が出た様子の彼にガジェットはニッコリと微笑むと、そこへすかさずデールが彼女の傍に駆け寄って

 

「ガジェット! 僕もかなりの頑固者だよ! 一度やると宣言したらやり遂げるまで絶対に譲らないんだ!」

 

「あらそうなのデール、初耳だわ」

 

精一杯のアピールを彼女に見せつけるが、そこにチップがしかめっ面で参戦し

 

「全くなにが頑固者だよ、やる事なす事すぐ飽きて3日ももたないクセに」

 

「そんな訳ないだろ! 1週間はもつさ!」

 

「結局飽きるんじゃないか! なにが一度やると宣言したら絶対にやり遂げるだよ! 嘘ばっかり!」

 

「絶対とは言ってないもんねぇ! その日の気分によってはやり遂げるんだよ!」

 

「そういうのは頑固者じゃなくて気分屋って言うの!」

 

チップとデールの息の合った掛け合いを前にして、長年自分を育ててくれたあのミーアキャットとイボイノシシと被って見えてしまい、落ち込んでいたベルも思わずフッと笑ってしまう。

 

「ありがとう、なんだか少し元気が出た気がするよ」

 

「そうそう、下を向くよりもそうやって笑ってた方が良いわ」

 

「そうだ笑っとけ坊主、冒険者になるならこの先もっと大変な目に遭ったりするからな」

 

ガジェットの言葉に賛同してモンタリーがすぐに彼に声を掛ける。

 

「今の内に落ち込んでもすぐに立ち直れる心構えを持たんといかんぞ」

 

「そうか、ハクナマタタだね」

 

「ハクナマタタ? なんじゃそりゃ?」

 

「落ち込んだり嫌な事があっても、くよくよせずに気楽にいけって事、僕の育ての親から教わった言葉なんだ」

 

「ハハ、そいつは良い教えだ、お前さん良い親を持ったじゃないか」

 

「うん」

 

彼の言葉にふとティモンからの言葉を思い出し、おかげでいつもの調子に戻って来た。

 

つまづいて落ち込んでいる場合ではない、自分はまだオラリオに来ただけなのに、神様に眷族にしてもらって、冒険者にすらなっていないのだから

 

そしてしばらくレスキューレンジャーのみんなと他愛も無い話を続けていると

 

「?」

 

そこへフラフラとした動きで、ベルが見た事のない不思議な”乗り物”が公園の前を走って来た。

 

「あれってなに?」

 

「ああ、アレはガジェットがスクルージのじいさんに頼まれて開発した”人力自動車”だ」

 

「人力自動車?」

 

聞き慣れない言葉にベルがポカンと口を開けると、モンタリーの代わりに開発者のガジェットが答えてあげる。

 

「運転席の両足部分に4輪のタイヤを稼働させる為の二つのペダルを内蔵しているの、それを運転手が回し続ければ動力が作動して動くって仕組み、わかりやすくいえば湖に浮かぶアヒルボートの陸上版って所かしら?」

 

「ん~僕はそのアヒルボートってのもよくわからないんだけど……」

 

「けどアレはまだ成長過程なの、私としてはもっと開発を進めて、運転手がペダルを回さなくて済む仕様にチェーンアップ、別のもっと強い動力エネルギーを採用して馬力を上げれば、さらに遠い所まで走れる事が出来る筈だわ」

 

「ガ、ガジェットって凄いんだね……僕の頭じゃちんぷんかんぷんだよ……」

 

「あ、それといずれはスクルージおじさんに依頼されてる、自由に空を飛べる乗り物も造ってみたいわね」

 

「ホントに凄い……」

 

小さな体で考えるスケースが大きすぎる……ただの夢ではなく本当に実現するのだという自信たっぷりの彼女の表情に、ベルはただただ心底羨ましいと思っていると

 

彼女が作ったという人力自動車という乗り物が、強引に公園へと乗り上げると、こちらに向かってまっすぐに……

 

「て、ていうかあの自動車……なんか猛スピードでこっちに……! うわ!」

 

真っ直ぐ向かってきたかと思えば急にターンを描いてギリギリの所で曲がり切り、そのまま公園にあるジャングルジムに正面衝突。

 

目の前で起こった事故にベルが目を見開いて固まっていると、チップが肩をすくめて

 

「大丈夫、いつもの事」

 

特に心配した様子も無く彼がそう言うと、車の後部座席のドアがゆっくりと開き

 

「う~イタタタ……ランチパッド! 毎回どこかに追突しないと気が済まんのかお前は!」

 

怒鳴りながら出て来たのはスクルージ・マクダック、そして運転席からは事故を起こした筈なのに平然とした様子で、彼の専属運転手であるランチパッド・マクワックが降りて来た。

 

「問題ないっすよ、また修理すればいいんですから、旦那、よろしくお願いします」

 

「修理の費用はお前の給料から引いておくからな!」

 

「おおっと、てことは今月も俺の給料はゼロって事っすね、んん?」

 

減給処分を受けても特に動じることなくマクダックはヘラヘラと笑い飛ばすと

 

彼はすぐにベル達の方へと振り返り

 

「わぁお! レスキューレンジャ~!」

 

「へ? うわっぷ!」

 

歓喜の叫びと共にハイテンションに駆け寄って行くと、何故か勢いよくベルに抱きつき、華奢な体を屈強な肉体でブンブンと振り回す。

 

「会いたかったぞレスキューレンジャー! 俺はお前達の大ファンなんだー!」

 

「い、いや僕はちが……ぐお!」

 

「ランチパッド! その子はレスキューレンジャーじゃなくて僕達が助けた子だよ!」

 

「?」

 

ベルの事を隊員だと勘違いしたのか、強いハグで彼の細身の体をへし折らんばかりに抱きしめる。

 

即座にチップに促されて、ランチパッドはさっと拘束から彼を離してあげる。

 

「確かによく見たら……完全に初対面の少年だ」

 

「ゼェゼェ……!」

 

「初めまして少年、俺はランチパッド・マグワック、良い奴だ」

 

「初めまして……」

 

なんだかすごい勢いのある人だなと圧倒されながら、フラフラとランチパッドと握手する。

 

「そしてあそこにいるのが俺のボスのスクルージ・マクダックさんだ、超イケてて超リッチな超凄いお金持ちだ」

 

「はぁ……」

 

「わしの紹介はいい、さっさとレスキューレンジャー達と話を進めさせてくれ」

 

彼に紹介されながらスクルージはフンと鼻を鳴らすと、話をする為に早速レスキューレンジャーの隊員の方へと歩み寄って来た。

 

「予想通りここにおったな、実はオラリオに詳しいお前さん達にちと頼み事があって来たんじゃよ」

 

「頼み事だって? おいおいまたなんか無茶な事をやらせるんじゃないだろうな?」

 

「安心せい、ちょいとした人探しでな、冒険者候補を見つけて来て欲しいんじゃ」

 

「冒険者候補? こりゃまた妙な依頼だな」

 

彼の依頼は大抵かなり無茶苦茶なので、モンタリーは今度は何をやらせる気だと眉間にしわを寄せる。

 

「そんなもん探してどうする気なんだ?」

 

「実はわしの所で働いている神がおるんじゃが、一向に眷族が出来なくて焦ってるみたいでの……このままだと仕事に集中出来んみたいだし、それでわしがわざわざあ奴の為に冒険者志願の子を探す事にしたという訳じゃ」

 

「へぇ~、アンタにそんな面倒見の良い所があったんだな」

 

心底嫌そうな顔でスクルージが事の経緯を伝えると、モンタリーはなるほどなと頷いていると、一緒に話を聞いていたデールがふとハッと気付いた。

 

「冒険者志願の子ならもう見つけたよ!」

 

「なんじゃと?」

 

「ほら! そこにいる子さ! さっき僕等が助けたんだ!」

 

嬉しそうにデールが指差した方向に目をやると、そこにいたのは戸惑った表情で突っ立っているベル。

 

「ベルはオラリオで冒険者になる為に遠い所から来たんだって!」

 

「なんと、こりゃまた好都合じゃな」

 

「え~と……」

 

勝手に話が急展開に進んで一人置いてけぼりにされているベルをよそに、スクルージは観察する様に目を細めて彼を下から上へと眺める。

 

服は安物、ブーツもボロボロ、手に持っているのはスーツケース、白髪紅眼のまるで子兎の様な人畜無害な少年……

 

「ふ~む……ぱっと見じゃとどこか冴えない印象のある田舎もんって感じじゃな、おぬし」

 

「ハハハ……え~とベル・クラネルです」

 

「しかしどこか成長性に見込みがありそうな気がする……」

 

「本当ですか!?」

 

「気がすると思っただけじゃ、ま、あ奴にはこれぐらいのモンが丁度良いじゃろ」

 

褒められてるのかけなされているのかわからない微妙な評価を受けたベルだが、スクルージはそんな純粋無垢そうな反応を見て、「ふむ」と顎に手を頷いた。

 

「お前さん、冒険者志望なんじゃろ、だったらウチで雇ってる神の眷族にならんか?」

 

「ええ良いんですか!? あれ、でも僕みたいなので良いんですか?」

 

「お前さんの望み次第じゃ、向こうに選ぶ権利など無い」

 

「えーと……どんな神様なんです?」

 

「どんな神様か……う~む」

 

誘ってみると思った以上に食いつきが早いベルであったが、彼から神の事について尋ねられるとスクルージは難しい表情を浮かべて黙り込む。

 

本当の事を話したら逃げられるかもしれない……

 

「まあ会ってみればわかるじゃろ……」

 

「ひょっとしてあの! ヘラクレス様みたいな方とか!?」

 

「ヘラクレス!? ギリシャ一の英雄か!?」

 

「はい、やっぱり神様に遣えるのだとしたら、ヘラクレス様みたいな皆に憧れるヒーローみたいな方が良いとずっと思ってまして」

 

「……」

 

ヘラクレス、不遇な幼少時代を乗り越え、やがては英雄と呼ばれるほど成長し、最後には冥界の神・ハデスを打ち破って本当の愛を掴み取った正に真のヒーロー。

 

人間だけでなく神々からも称賛されたというその圧倒的なカリスマに、ベルも祖父の話を聞いて幼少期から惹かれた一人だった。

 

そんな彼と比高しながら、キラキラした目をしながらそう語るベルにスクルージは苦い顔

 

しかし対照的に話を聞いていたランチパッドは「おお!」と嬉しそうに

 

「なんだ少年、ひょっとしてヘラクレスが好きなのか!? 俺も大好きだぞ!」

 

「本当ですか!?」

 

「ああ、俺の”親友の同僚のアマゾネスの双子の妹の方”に彼の英雄譚を聞いてから、俺はすっかり彼に憧れを抱くようになってしまった」

 

目をうっとりさせながら英雄ヘラクレスに思いを馳せると、ランチパッドはベルの肩に手を回して

 

「気に入ったぞ少年、今から俺の行きつけの店、「豊穣の女主人」でランチにしよう、そして日が暮れるまで俺とヘラクレスについて語り合おうじゃないか」

 

「おいランチパッド! 勝手に話を自分で進めるな! お前がこの子を連れて行く場所はそこじゃないだろ!」

 

「あ、すんません」

 

そのままベルを連れ出して店に行こうとするランチパッドをビシッと叱りつけて呼び止めるスクルージ。

 

昼食よりも先に済ませなきゃいけない事情があるのだ。

 

「まずはわし等に付いてきて神に会って欲しい、それで奴の眷族になってくれれば良い、簡単じゃろ?」

 

「はい、でも神様ですか……僕初めて会うんで緊張しちゃうな……失礼な事とか無いようにしないと」

 

「そりゃこっちの台詞じゃよ……あ奴が上手くやればいいんじゃが……」

 

「え?」

 

「いやなんでもない……」

 

まだ見ぬ神様にベルは緊張しながらもどこか期待してそうな反応をするので

 

スクルージは「あの女神」を前にして彼がどんなリアクションを取るのか、今から心配だった。

 

「話がまとまったなら行く事にしよう、さっさと車に乗れ」

 

「あ、はい!」

 

「ランチパッド、さっさと運転席に着け、戻るぞ」

 

「あ、その前に豊穣の女主人でドライブスルーして良いっすか?」

 

「「次に車で店に突っ込んで来たらタダじゃ置かない」と、あそこの店主が言っておったぞ」

 

「う~怖い、俺何度かあそこで働いてるエルフの子にシメられてるんすよね、やっぱまっすぐ行く事にしまーす」

 

寄り道したがるランチパッドにジト目で警告して運転席に乗せると、ベルを引っ張って後ろの座席の方へ

 

「それじゃあレスキューレンジャーのみんな、今日は本当にありがとう」

 

「ちょっと待てベル」

 

「え?」

 

最後にレスキューレンジャーの隊員達の方へ振り返って礼を言うベルであったが

 

そこへチップが腑に落ちない様子でよじ登って車の窓から飛び乗って来た。

 

「さっきのスクルージさんの態度、ちょっとおかしいと僕は思うんだ、だから僕等も一緒に行った方が良いかも」

 

「そうね、眷族になる相手が変な神様だったら心配だわ」

 

「ハッハッハ! ガジェット、変じゃない神様なんているのか? アイツ等ロクでも無い奴しかおらんぞ、ただし、アストレア様を除いてな」

 

「とりあえず僕等もついて行こうよ! なんだか面白そうだし!」

 

「え~と全然構わないけど……大丈夫ですよね?」

 

「……好きにせぇ」

 

チップ、ガジェット、モンタリー、デールと順に口を開いて彼について行くことを志願。

 

ここで彼等を追い払ったらますます疑われると思ったスクルージは、反対の窓に目をやりながら素っ気なく承諾。

 

かくしてベル・クラネルは眷族にして貰える神がいるという中心街へと赴く事になるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方その頃、スクルージが眷族候補を探してくると言われ、期待を胸にじゃが丸くんを売り捌いている女神・ヘスティアはというと

 

「フフ~ン、早く連れて来てくれないかな~」

 

「あのさぁ女神様、自分の眷族探すなら普通自分自身で探すもんじゃないの?」

 

店の前で機嫌良さそうに鼻歌を歌う彼女に、じゃが丸くんを買いに来た一人の冒険者の少年が呆れた様子で話し相手になっていた。

 

彼の名はマックス、父の後を追ってとあるファミリアに入団するも、未だに過保護な父からまだ未熟だと判断されている事に少し不満を持つ、反抗期まっさかりのティーンエイジャーだ。

 

「はぁ~ウチの神様がこんなんじゃなくて良かったよ、僕なら絶対に嫌だね、ほぼ間違いなくお先真っ暗だし、お先というか今もだけど」

 

「ああ! そういう事を本人の前でよく言えるな君は! 君は一体親からどんな教育を受けているんだ!」

 

「父さんからの教育を真に受けてたら、それこそ僕は人生お終いだよ……」

 

マックスの皮肉にヘスティアはプンスカ怒って反論し、彼女の口から出た「親」という言葉に彼は思いきりしかめっ面。

 

「というか今もあの父さんの事でウンザリしてるんだ、僕は冒険者になって必死にやってようやくレベル2になって、ようやくダンジョン探索の遠征に参加さしてくれると思ったら、ただのサポーター役だってさ、あんまりでしょ?」

 

「ん? サポーターってなんだい?」

 

「……ファミリア作ろうとしてるのにそんなのも知らないの?」

 

父に対する不満を愚痴るマックスだが、探索系ファミリアを作りたいと思ってる彼女が、冒険者としての用語もまるで覚えていない様子でキョトンとしている事にますます呆れた。

 

「要するにアイテムの保管を受け持ったり、倒したモンスターから出て来る魔石を拾い集めたりとか、つまり雑用係って訳、戦いもしないしただ後ろから見てるだけ」

 

「そうか、けどそれを任されたのならキチンとこなすべきなんじゃなかい?、君の父親は君にだからこそ出来ると思ってその仕事を託したんだろ」

 

「いやいやこんなの誰でも出来る簡単な仕事だって、だって僕と一緒にサポーターする相方は、団長の飼ってるペットだよ?」

 

珍しくハッキリとした正論を言って来るヘスティアに対し、マックスは首を横に振って苦笑い

 

「せっかくレベル2になれたのに……全くなんでそんな事を僕がしなきゃいけないのさ、僕なら絶対に立派な冒険者として父さんだけじゃなく、団長や副団長にも認められるぐらい大活躍できる筈なんだよ」

 

「ふむふむ、つまり君は今の現状の扱いに不満を感じている訳だね」

 

「ああそうだね、せっかく昇格記念にヘファイストス・ファミリアにいる友達に盾を造ってもらったのに……」

 

そう言ってマックスが取り出したのは銀色に光る新品の盾、素材そのものはさほど高価な代物ではないが、結構頑丈に造られているのがよくわかる。

 

オラリオでも有名な鍛冶師が多く集う、ヘファイストス・ファミリアの眷族が造った一級品だ。

 

「ちなみに僕の父さんが持ってるのはヘファイストス様直々に造ってもらった盾だけどね、流石にそれは高過ぎて今の僕じゃ無理だけど」

 

「なるほどヘファイストスかぁ、やっぱりヘファイストス本人が造るとなるとお金がかかるのかい?」

 

「そらもう物凄い高いんだってさ、億が付くぐらいだとか言ってたっけ?」

 

「ひゃ~オラリオに庭付きプール付きテニスコート付きの大豪邸が建てれちゃうじゃないか」

 

「けどウチの主神が父さんの為にポンと出してくれたんだって、やっぱ主神が自分達の為にそこまでしてくれると、ファミリアとしては誇らしいし今後も頑張ろうって思えちゃうよね」

 

「ぐぬぬ……耳が痛くなる話だね……」

 

マックスのいるファミリアの主神は財産面に関してはかなり豊からしい。

 

その反面、今日一日の食事さえ満足でない貧乏女神のヘスティアは、それを聞いて惨めになるばかり

 

「フン、まあいいさ、その内ボクのファミリアだって君の所の神に負けないぐらい凄いお金持ちになってやるんだからね、そしてヘファイストスにボクの子の為に造ってもらうんだ」

 

「アッヒョ、そりゃ無理なんじゃないかな、そもそも眷族さえいないのに」

 

「いいんだよ! 夢を持つ事ぐらい勝手だろ! 君の所の神がいつも言ってるじゃないか! 夢は必ず現実に出来るって!」

 

思わず父と同じ笑い声を発しながら小馬鹿にして来るマックスに、ヘスティアは両手を上げながら怒鳴り散らす。

 

「今に見てろよ! いつか君が入りたいと思うぐらい! 立派なファミリアを作ってやる!」

 

「ハハハ、絶対に無いだろうけどやるだけ頑張ってみれば? んじゃ僕はもう行くから」

 

彼女の全く期待できない理想が虚しく響くと、マックスは笑い飛ばしながら彼女からじゃが丸くんを受け取って後にする。

 

サポーターとして遠征に行くと言っていたから、きっと向かう場所はダンジョンであろう。

 

「く~あんな若者にまで馬鹿にされるなんて……ボクの女神としてのカリスマも、下界に来てからどんどん下がって来ているんだなぁ……なんかもう泣きたい」

 

マックスの背中を見送りながらガックリと首を垂れて落ち込みつつ、ヘスティアは自分とは全く比べモノにならない彼の主神を思い出す

 

「何億ヴァリスを自分の子の為に出せて、子供達からも強く慕われて、おまけに今ではロキやフレイヤに並ぶトップクラスのファミリアを築いた、”新参者の神様”としては大したもんだよ全く……ハハハ」

 

渇いた笑みを浮かべながら段々と自分が情けなくっていくヘスティア

 

眷族というのはいわばそのファミリアの主神にとって我が子同然である、子の為に親がそこまでしてあげれるなんて、同じ神である身としては素直に立派だと認めるし、子供達に慕われている事にも羨ましいとさえ思えてしまう。

 

果たして自分にも”彼”と同じ真似が出来るのであろうか……

 

「なんだか自信無くしちゃうなぁ……」

 

下界に降り、半年経っても未だに一人も眷族がおらず、しがない貧乏生活を送っているせいでついネガティブに陥ってしまい、ポツリと弱音を吐きながら「はぁ~……」とどっと深いため息を一人ついていると……

 

「こうなったらいっその事天界に還って……ってのぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

そんな彼女の下へ突然巨大な鉄の塊、スクルージが所有する車が豪快にまっすぐ突っ込んで来たのだ。

 

落ち込んでいたのも束の間、悲鳴を上げながらヘスティアは命からがら横に飛び退き寸での所で回避すると

 

さっきまで彼女が突っ立っていた場所、じゃが丸くんの屋台を吹っ飛ばして車はようやく止まった。

 

「こりゃランチパッド! わしの店をぶっ飛ばしおって!」

 

「大丈夫すよまた建てれば、旦那は金持ちなんですから」

 

「そういう問題じゃない!」

 

壊した屋台が屋根の上にパラパラと落ちて来る状態で、社内ではスクルージとランチパッドの会話が聞こえて来た。

 

轢かれかけた自分をよそに、二人共全く心配する素振りすら見せないので、地面に倒れていたヘスティアは少しムッとした表情。

 

「コラー! こっちは危うく轢かれる所だったんだぞー! お店の事よりボクの事を心配しろー!」

 

「あ、あのー大丈夫?」

 

「?」

 

車内で揉めている二人に怒りを訴えていると

 

車のドアを急いで開けて、彼女の下へ颯爽と駆け寄って来たのは見知らぬ白髪紅眼の少年

 

轢かれかけた自分を、神だと気づいていない様子で慌てて声を掛けに来てくれた。

 

「ごめんなさい、怪我とかしてない、かな……?」

 

「……」

 

後頭部に手を回して謝りながら手を差し伸べてくれた少年に、女神はただただ口をポカンと開けて固まった。

 

するとハッと我に返ると、彼女は上体を起こしてすぐに彼が差し伸べた手を両手で取って

 

 

 

 

 

「君! ボクのファミリアに入らないかい!?」

 

「……え?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




ディズニー登場人物紹介

ランチパッド・マクワック

あひるの飛行機の操縦士
世話好きでよく仲間を助けに行くが、天然で頭を使うことが苦手で人が良く騙されやすい。
フライトトラブルを起こす事が多く本人曰く「墜落専門」
そしてあらゆる乗り物を運転できる。だが最後はやっぱり追突したり事故を起こす。

自分に嫌気がさして一人旅をしている時にスクルージと出会い、それからは彼の下で働くことに。

スクルージには暑苦しさからなのか煙たがられる事もよくあるが、なんだかんだで自分の相棒として信頼されており

一度解雇した事があったのだが、その後も大丈夫なのかずっと心配して監視していたり、死んだと思った時は強いショックを受けて悲しんだ。

冒険少年クラブのリーダーをしており、子供の面倒見も良い。

苦手なのは泳ぐこと、それとヘビとサメ。

また惚れっぽいところがある。

本作でも彼は変わらずスクルージおじさんの下で働いています、神の恩恵を受けていないのに素手でモンスターと戦ったりと相変わらずアクティブです。

とあるファミリアにいる狼人を一方的に親友と思い込んでたり

とあるファミリアにいるエルフに惚れて何度も玉砕してたり

とあるファミリアにいるドワーフに腕相撲を挑んで骨を折られたり

とあるファミリアにいるアマゾネスの妹に親友自慢対決をしてたり

とあるファミリアにいるアマゾネスの姉に恋愛相談を聞いてもらったり

とあるファミリアにいる金髪金眼の少女の事を「俺に憧れている」と決めつけてたり

とあるファミリアにいるパルゥムの団長に言いくるめられて、何時の間にか遠征に参加してしまったり

とあるファミリアの主神に「なんだったらウチの所に来てもええよ」と勧誘されたりと、原作同様、謎の人脈を広げているようです。

そんな彼の活躍に今後もご期待ください

代表作は『わんぱくダック夢冒険』『ダックにおまかせ ダークウィング・ダック』『ダックテイルズ』

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