鬼滅の刃 if    作:高島 秋

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これからは定期更新にしていきます!
鬼滅の刃の方は第2、第4日曜日!

では!どうぞ!


最終選別

最終選別とは、藤襲山に置いて鬼のいる中七日間生き残る試験である。これを突破すれば晴れて鬼殺隊に入隊が叶うのだが、生き残ること自体が困難であるため、難関であるとされている。鬼殺隊士達が生け捕りにした鬼の数は数十体に上るため、鬼を殺す力が無ければまず生き残れない。例年一割も生き残ればいい方とされていた。果たして今回は何人生き残るのだろうか。龍ヶ峰裕清と胡蝶カナエの二人は生き残ることは前提でどちらがより多くの鬼を殺すかという話をしていた。負けた方がなんでも一つ言うことを聞くという条件付きで。それを聞いた周りの者達は口を大きくあけ目が今にも飛び出そうなほど驚いていたのは言うまでもない。案内役の双子と思われる二人にもかなり驚かれていたが二人がそれを気にすることは無かった。

 

「じゃあ俺は西からまわる。カナエは東から頼む」

「えぇ、気をつけてね」

「カナエもな」

 

短いやり取りを交わした二人は藤の門を潜り鬼の住む空間へ足を踏み入れた。その瞬間、異様な空気が漂ってきたのは言うまでもない。鬼独特の匂いに加え、肉が腐敗した匂い。今まで藤の花によって遮られていた匂いが二人の身体を包み込んだ。思わず鼻を覆ってしまう匂いだ。だがそれで悲鳴をあげている場合ではない。一体でも多く鬼を殺さなければならないのだから。

カナエが東の方へ向かって走ったのを見送ると裕清は西に向かって走り出した。最終選別に出てくる鬼は今まで一人か二人程度しか食べていない奴しかいないと聞いている。だがこうして鬼を殺すことに関してまだまだ新米である子供たちが送り込まれ、そしてその殆どは戻ってこないのであればそれなりに厄介な奴が生き残っていると思っておくべきだろう。五人、十人ぐらい喰っている鬼がいても何ら不思議ではない。

 

それでもあの二人はなんら問題ないだろう。裕清に至っては継子であったのだ。二人とも簡単に殺られはしないだろう。二人が今回の最終選別に望むと聞いていた産屋敷耀哉はそう考えていた。いや確信していたかもしれない。将来、柱とも成りうる存在がどのような結果を残すのか、少し楽しみにもしていた。

 

「さて、今回は何人の子供たちが帰ってきてくれるかな?」

 

西へ向かって走ること数分。早速鬼と出くわした。背丈は高いがひょろひょろとしたいかにも弱そうな鬼である。そう判断した裕清は納刀したまま構えた。鬼に視認され、襲いかかってくるまで僅か二秒。地面に這いつくばり四足でひとっ飛びに来た鬼を、裕清は一刀両断にする。

 

龍の呼吸 壱の型 牙龍一閃

 

牙龍一閃は納刀した段階から対象物を真一文字に斬り裂く技である。範囲は使用者の身体能力にかなり依存し、五メートル程なら今の裕清の範囲内である。父親はその倍ぐらいだったらしいとのこと。また切り口が綺麗であれば綺麗である程、その技を使いこなせている証となるそうだ。尚、納刀時からの抜刀の速さによるものなので、同時に一体以上は殺すことが叶わない。複数体の時は技を放った後にできる隙が命取りになる為、前提条件として相手する鬼が一体であることだ。

切り離した首から鬼の体が崩れていくのを確認した裕清は更に西に向かって走っていった。

 

東へ走っていた胡蝶カナエは鬼に襲われている人を見つけ、迷うことなく鬼の首目掛け技を放った。

 

花の呼吸 肆の型 紅花衣

 

「大丈夫ですか?」

「……は、はい」

 

カナエに助けて貰った人は後に、あんなに美しい技は初めて見たと語ったそうだ。当人はそれを聞いた時、それは嬉しそうにはしゃいでいた。

カナエ自身それなりに戦える自信はあったが、初めての鬼狩りで一人ぼっちというのはかなり不安に駆られていた。一人で相手できるのだろうか。もし複数で襲われた時、対処出来るだろうか。等と悪い想像ばかりしてしまっていたのだが、今一体倒したことによって、ある程度の自信を取り戻していた。今までの鍛錬は決して無駄では無く、ちゃんと実力として付いていると。ただそれでも一人なのは不安なので、危ない人を助けながら、人を集めていくことにした。

 

一日が経過し三体程鬼を殺した裕清は、がっかりした気持ちが強かった。母を殺すことになった鬼程の奴はいない。いや居ないことは分かりきってはいたが、可能性が無い訳では無いと思い、わざわざ走り回って同程度の強さを持つ鬼を探していたのだ。母を殺された恨みを未だに心の内に秘めている裕清からしたら、今回は恨みを晴らす機会を得られるかもしれないと思っていたからだ。それなのに、今まで出てきた鬼はどれもこれも一太刀で殺せる雑魚鬼。恨みを晴らすどころか、鬱憤が溜まる一方である。技の質が落ちるから精神は常に安定させておけと父から教わっている為、鬼と対峙した時には鎮めているのだが、人間限界がある。鬱憤が溜まりすぎるのはよくないと裕清は思い、鬼を探すついでにそこらを走り回ることにした。鬼若しくは人の気配がする所へ向かって走り、斬り殺すか鬼の情報を聞き出すかという行動を繰り返していた。

そんなことをしていたらあっという間に一日が過ぎ去り、あと五日かなどと小さく言いながら、退屈した表情を裕清は浮かべていた。それをたまたま目撃した他の参加者は、その様子に呆れていた。いや可笑しいやつと思っていたかもしれないが。

 

三日四日五日と過ぎていき、六日目を迎えた朝。西側の鬼はある程度狩ったと考えた裕清は東へ向かい始めた。鬼が東へ集まり始めていると思ったからだ。最終選別が終わるまであと一日と少し。であれば最初に太陽が上がる東側にまだ生き残っている人らが集まると考えた。鬼は鼻が利くのかは知らないが、人の匂いを辿って東に向かうかもしれない。だから東へ向かおうと思ったんだが、これが中々精神的にきつかった。行く道中に幾ら死体を見ただろうか。いや死体が残っているのはまだマシかもしれない。鬼に体を喰われ尽くした人もいるだろう。無駄な考えだと分かってはいるが、やるせない想いがある。あれだけ鬼を狩ることに執着していたのなら助けて回ればよかった等と今さら後悔する。

それと、妹。百合を剣士にしなくて良かったと強く思える。もしこれ以上大切な人が自分の周りから消えていくなんて耐えられるだろうか。答えは否である。知り合って大した日数の経っていないカナエやしのぶらもその内の人たちだ。まぁ理由の大半が百合がとても懐いているというのがあるからなんだが、理由はこの際関係ない。だからこそ、カナエの安否が気になった。今までの鬼程度ならカナエも一瞬で殺せるだろう。だがもし、考え得る限りの最悪の鬼が現れたら。結果はわからない。そういう結論に達したからか、歩幅が徐々に大きくなり、そして走り出していた。

走って一日も経てば何人かの剣士達を見ることが出来た。そして更に進むと、怪我をしていた人らの救護をしている者を発見し、近づいた。

 

「カナエ。無事だったか」

 

少し間を置き、大きい目をぱちくりさせながらカナエは答える。

 

「えぇ、無事よ。それよりどうしてここに?」

「向こうに居ても鬼がいないからな」

 

手短に答える。カナエならこれだけでも伝わる筈だ。しのぶ程ではないがカナエは頭がいい。それこそ鬼殺隊に入らなくても大丈夫であると思えるほどの。いやそれ以前に顔がいいから貰い手は数多だろう。それはしのぶにも言えるのだが女性としての愛想の良さがない。その点、いつもにこやかなカナエは、という事だ。

さて、今目の前で行われているのは、負傷者に対しての救護だ。どこで学んだのか包帯代わりの布で器用に巻いていく。目の前のこいつは出血を抑えるように、その隣は添え木をしているので骨折というところか。そしてここであることに気づく。予想していたより遥かに、人が多いのだ。だが同時に負傷者もそれなりにいる。既に治療を施されたものから話を聞くことにした。

 

「なぁこれは一体」

「言いたいことはわかるよ。僕達はここまであのカナエとかいう人と一緒にここまできたんだ」

「一緒に、か?」

 

よく全滅しなかったな。というのが率直な感想だった。この大人数で動けば否応なしに鬼と遭遇する確率は高まる。当然死ぬ可能性も高まるわけだが、それに了承したということなのか?

 

「うん。当然、鬼も来たんだけどその大多数は撃退または殺すことが出来ていた。まぁそれも、カナエさんが最初に来た鬼を一人で相手し倒したことによって、みんなの士気が上がったというのが大きいんだけどね」

 

正直、感心せざるを得なかった。例え一人での相手が難しくても、複数ならそれなりに戦えるのだろう。恐らく生き残ってるのはそういう奴らだ。だが一つ疑問がある。

 

「全員が同じ呼吸使いではないだろ」

「うん」

「ならどうやって、連携した」

「あぁそれは簡単だよ。同じ呼吸使いを集め、別々に分けたんだ。そうすれば知っている呼吸同士だから連携が取れるんだよね」

 

予想はしていたがかなりの大博打であることに変わりはない。殆どが今日初めて会った奴ばかりの中、果たして連携が取れるのだろうか。いや極限状態ならではなのか。まぁこれも今の現状が答えなのだろう。最初何人いたかは知らないし聞きたくもないがここにいる人数、11人が生き残っていると考えるとその作戦は有効であると言える。今回参加しているのは50人程だと聞いている。二割もここに揃っていれば今回は上々だろう。あと一日、耐えるのもそう難しくはないだろう。

だが、これは例年一割にも満たない数しか生き残らない最終選別。そんな何人も生き残るほど、生易しいやつじゃないと知るのは最終日である。そこで鬼の本当の恐ろしさを知るはめになるとはこの時誰一人として、考えていなかった。

 

 

「ふむ。今宵は綺麗な月だ。」

 

 

そうして迎えた最終日。これを乗り切れば合格だと既に安堵した表情の者がちらほらいる。何人か生還し、既に鬼殺隊として活躍している者に話を聞くと、選別中に一度でも気を抜いたら死んだも同然。例え選別を突破してもその後すぐ死ぬ。とのことだ。実際そうだった。裕清達の目の前には鬼が複数体現れ、あっという間に五人死んだ。気の緩みが無ければ今まで通り対処出来たであろう強さの鬼だ。そしてその状況を理解する前に死んだもの二人。残り四人という状況の中、鬼は五体。数的不利で尚且つ一体妙な鬼がいるということで、逃げの一手というところだがこれより東側へ逃げる場所などない。仕方なく四人は応戦するしかなかった。

雑魚鬼と思われる四体は裕清とカナエで倒しきった。残り一体になり今度は数的有利に持ち込めたのだが、この鬼は今まで殺した鬼とは訳が違う。基本血鬼術とは人間をそれなりに喰わないとまともに使えたりなどしない。つまり、目の前にいる鬼は少なくとも複数喰っていることになる。今までの鬼と違い理性があり会話ができる。鬼との会話なんて不気味で仕方ないが情報を得たい身としては有難い。

 

「お前は今まで何人喰った」

「ふむ。50は喰ったな」

 

50ともなれば一般隊士でも死ぬ可能性が高い鬼だ。何故そんな鬼がここに。いや、一体ぐらいいるとは思っていた。ただ、その可能性はないと勝手に思いたかっただけ。

 

「毎度毎度美味そうな子どもがくるからな。殺そうとしてくるから逆に喰ってやったわ。お前もその口か?」

「いや、ならお前は今日で終わりだ」

「そう言って今までも何人も死んだよ。最後にはごめんなさいなんて言ってなぁ。あれは傑作だった」

 

気づいたらカナエが抜刀し、自分の背丈の2倍あろうかという鬼に斬りかかった。だがそれは難なく遮られる。腕を腹から生えさせ、上空へ伸ばしたと思ったら物凄い勢いで収縮していきそしてカナエの刀を受け止めた。刀で。

 

「なっ!?」

「ふふふ。いいだろう?これは今までに殺した子どもらが持ってた刀だ。今まで散々見てきたからなぁ。俺も使い方ぐらいわかるぜ」

 

そう言って鬼は刀をカナエに向け振り回した。形なんてものは無いし、剣士などとは到底呼べないが、それを補う余りある力と速さがある。しかも手数の多さも問題だ。四腕にそれぞれ刀を持ち、カナエにジリジリと迫る。

 

「カナエ!どけ!」

「!?」

 

咄嗟に動いてカナエと入れ替わる形で鬼の前に出て刀を振るう。その様子を見た鬼は刀4本を交差させ、防御に入る。

 

龍の呼吸 参の型 龍爪

 

素早い切込みで三つの切り傷を深く刻む技。肩を引き、腰の回転を上手く利用して勢いよく切り込む為威力はかなり高い。並の鬼なら体が三つに分断される。難点は有効範囲が狭く、力にかなり依存する為、それなりに鍛えてないと次へと繋がらない技でもある。要するに、使用者の体にかなり負担をかける技である。

 

この技のお陰で鬼が持つ刀を破壊することに成功。更に追い討ちをかけようと技を繋げようと思っていた裕清はここで一つ思い出す。

今までに子どもらが持ってた刀だ。

つまりまだ、"刀"は残されている。

そう思い咄嗟に後ろへ下がったのは結果的には好判断だった。先程までいた位置には十字に刻まれた跡があった。

 

「ほう。よく避けたな小僧。だが、例えわかった所でこれ以上対処できんだろぅ」

 

できるできないじゃない。やらなきゃいけないんだ。鬼を抹殺する為。滅ぼすためには。ここで立ち止まるわけにはいかないんだ。

裕清のただならぬ気配を感じたカナエと負傷した2人の剣士はその恐ろしさから、一体、どちらが鬼の気配なのだろうかと考えてしまった。

2人の攻防は激しさをさらに増した。裕清は鬼の刀が尽きるまで只管折り続けるつもりなのだろうか。先程から一切鬼に直接斬りかからない。対する鬼も只管受けに回る。こちらは恐らく裕清の体力切れ及び、刀が劣化し折れることを期待してか。そして刀の予備と鬼としての特性を考慮した上での受け。ここまで見ると、裕清が考え無しに突っ走っているとしか思えない。

遂に直接攻撃をした。しかしそれは腕を切り落としたに過ぎず、鬼は瞬時に再生させ手を裕清の首へ伸ばした。しかしそれは裕清が鬼から奪い去った刀でまた切り落としそして懐へ潜り込んだ。

 

龍の呼吸 壱の型 牙龍一閃改

 

本来は納刀時からの抜刀の速さを利用したものだが、今回は未納刀の状態で体を捻り回転させながら放った言わば超近距離技。弱点は言わずもがな範囲が短いこと。そして三半規管が弱いと酔ってしまうこともあるとか。

 

「ふふふ。この俺を切り殺すとは。中々歯応えのある剣士よな」

「一つ聞きたい」

「……なんだね?」

「鬼舞辻無惨を知っているか」

「ふふふ。ふふふ。ふふふ」

「…………」

 

鬼舞辻無惨について語ることなく、剣士紛いの鬼は死んだ。

 

 

そうして朝を迎えたことにより、最終選別を突破した。

その人数僅か4名。

そう、これが鬼と戦うということなのである。

常に自分の生死を掛け戦い、どちらかが死ぬまで終わることはない。

鬼殺隊隊士の卵たちは、呼吸を使いこなし、技の練度を高め、より多くの鬼を殺さなくてはいけない。

守る為、奪われたから、憎いから。理由は色々あるが、こうして、鬼狩りは今日もまた、どこかで刃を振るう。

 

 

「ほう。奴の息子が生き残ったか。」

 

 

 

 




本当は21時に出そうと思ったのだ…
これでとりあえず、序章は終わり!(の予定)

(*´∇`)ノ ではでは~
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