ゼロの使い魔×ポケットモンスター 仮題名『メタモン物語』 作:蜜柑ブタ
“彼”なのか、“彼女”なのかは、分からない。
それでも、この出会いはきっと運命だったと、思える。
けれど……。
「…まっ…て…。」
ルイズにそっくりな、彼女の“使い魔”が、ルイズが乗っていこうとした馬に代わりに乗っていく。
「い…か…ない…で……。」
急激な眠気にルイズは抗えず、どんどん意識が遠のいていく。
ルイズそっくりに変身したその姿は、見知った人物でも見分けがつかないほど精巧だ。
けれど、その顔に、大きな覚悟を秘めた表情を浮かべている。
そして、彼なのか彼女なのかは分からないが、ルイズそっくりに変身しているルイズの使い魔は、馬を走らせていった。
「…メタモン…!」
そして、必死に伸ばした手は空しく空を切り、ルイズは夢も見ないほどの眠気によって意識を失った。
自分の身代わりにするために、出会ったのではない。
***
ルイズは、その日。
春の使い魔召喚の儀式で、その生き物と出会った。
いくら魔法を使っても爆発しか起こらないため、ゼロなどと揶揄されるルイズが行った、何度目かの大爆発の末に、現れたのは、薄紫色の軟体生物であった。
目は点みたいに小さく、鼻も耳もなく、口はあり、微妙な微笑みを浮かべている。
ちょっと間抜けっぽい顔をした生き物だった。
なんだあれ? なにあれ? っと他の生徒達がざわつく。
ルイズもルイズで戸惑っていた。
美しく強い使い魔を望んでいたのに、やってきたのは、得体の知れない軟体生物。
それも間抜けな顔をした軟体生物。
コルベールが、ルイズにコントラクトサーヴァントの儀式を促す。
ルイズは、ビクッとし、けれど、進級のためには背に腹はかえられないと思って、仕方なくその軟体生物に使い魔の儀式を施そうと近づいた。
すると、ウニョ~ンとその軟体生物が動き、あっという間にルイズとそっくりの姿へ早変わりした。
ピンクの髪の毛、鳶色の瞳、白い肌、お世辞にも発育が良くない体格と身長、マントから制服、杖まで再現されていた。
そのことに、ルイズもコルベールも、他の生徒達も驚いた。
そして、偽のルイズが手と一体化しているであろうがそうは思わせないほど精巧な杖を手にした手をルイズに向けた。
ハッとしたコルベールが慌てて魔法を使いルイズを跳ばす、その瞬間。
『エクスプロージョン!』
ルイズそっくりの声が聞いたこともない呪文を使い、ルイズがさっきまでいた場所に爆発を放った。
元々は、謎の軟体生物だったソレが、ルイズ特有の爆発の魔法を使ったことに、場が騒然。
ルイズが、オロオロしていると、偽のルイズが杖の先を、またルイズに向けた。
ハッとしたルイズは、慌てて逃げると、またエクスプロージョン!っと唱えられ、爆発が起こる。
なんだアイツ!?っと他の生徒達が慌て出す。すると、偽のルイズは、そちらにも杖を向け、中空に向けて杖の先を向けると、エクスプロージョン!っと唱え、中空で広範囲の爆発を起こして生徒達とその使い魔達を脅かした。
エクスプロージョン!エクスプロージョン!っと、何度か…たぶん、5回ぐらいだろうか、唱え終わると、杖の先からポッと煙だけが出るだけで終わるようになった。
どうやら打ち止めらしい。
コルベールが、今だ!っとルイズに叫び、ルイズは、今度は逆に慌てている偽のルイズに向かい、コントラクトサーヴァントの儀式の呪文を素早く唱え、偽のルイズを捕まえて、無理矢理キスをした。
ルーンが刻まれ始め、その痛みで、キャア!っと悲鳴を上げた偽のルイズが、徐々に軟体生物に戻っていった。
軟体生物に戻ったソレが、プルプルと震え、痛みにのたうっていた。
「あの、ミスタ・コルベール…、この生き物はいったい?」
「さあ…、私もこのような生き物は…。」
そう会話している間にルーンが刻まれ終わり、軟体生物は、きゅうっ…と目をバッテン状態にして、気絶した。
ルイズが召喚し終わったことで、使い魔召喚の儀式は終わり、他の生徒達や教師のコルベールがフライで飛んで学院に戻っていく中、ルイズは、気絶している軟体生物を抱えて、歩いて学院の寮に帰った。
寮に帰ると、使い魔用にこしらえておいた、藁の上に軟体生物を置き、ルイズは、なんて日だ…っと、疲れてそのままベッドに横になった。
それが、謎の軟体生物・メタモンとの最初の出会いであった。
よくよく考えたら、メタモンが姿だけじゃなく、技までコピーできるのってどういうことだろう?
ポケモンの不思議。
冒頭は、短編でのアルビオンでの撤退戦での一幕。