ゼロの使い魔×ポケットモンスター 仮題名『メタモン物語』 作:蜜柑ブタ
何にでも変身するんだから、雑食性で、かつカロリーが必要そうだから大きさの割に大食いだと思って。
翌朝。
ルイズが目を覚まし、寝返りを打つと、そこに自分の顔があってビックリした。
偽のルイズは、ちょこんっと顎を乗せて、その横のベッドに手を置いてルイズをジ~っと見ていた。その様はなんとなく、犬のようである。
「ちょ…。あっ…。」
あんた誰っと言いかけて、ルイズは思い出す。
昨日の進級試験である、使い魔召喚の儀式で、自分そっくりに変身する謎の軟体生物を召喚したことを。
「な…なんで、私に変身してんのよ?」
ルイズが起き上がりながら聞くと、偽のルイズは、ニコ~っとルイズとは違う笑い方で笑った。
どうやら、喋ることはできないらしい。
「…喋れないの?」
一応聞いて見ると、コクコクと頷かれた。
性格は素直なようだ。
外見こそルイズそっくりだが、中身は、犬猫みたいに思えた。
ルイズは、ベッドから降り、着替えることにした。
「……着替えるの手伝って。って、できるの?」
一応聞いてみると、立ち上がった偽のルイズがルイズの着ていた服を脱がせていき、ポイポイ部屋の中に脱がせた服を放った。
「ちょっと、投げずに畳むなり洗濯籠に入れてよね。」
すると偽のルイズは、ピタッと止まり、キョロキョロと周りを見回す。ルイズがココだと籠を示すと、投げた服を拾って籠に詰めた。
あら、賢いのねっとルイズは感心した。
教えれば、着替えもタンスから出して、着せてくれた。
細部まで人間に似せられるだけに、相応に賢いのかもしれない。
「ありがと。」
っと、お礼を言うと。ルイズがしない笑い方で、またニコ~っと笑うのであった。
「朝ごはん食べに行くわよ。……でも、その姿はやめて。」
すると、え~?っという感じで首を傾げる。
「ややこしいじゃない。同じ人間が歩いてたら。」
ルイズにそう言われ、偽のルイズは、渋々といった様子で軟体生物に戻った。
ルイズがそれを見てホッとし、扉を開けて廊下に出ると。
「あら、おはよう。」
「ゲッ…。」
「げっ、ってなによ?」
っと言いつつ、キュルケは、クスクスと笑っていた。
「あの変な生き物ちゃんといる?」
「変な生き物って…。」
「あんたの使い魔よ。」
「べ、別に変じゃ…な…。」
変じゃないとは言い切れず、ルイズは口を閉ざす。
そこへ扉の向こうからウニュウニュと蠢きながら、軟体生物が出てきた。
「へ~~、よく見ると可愛い顔してるじゃない。」
「どこがよ? 間抜けじゃない。」
「シンプルで、ゴチャゴチャしてなくて、いいんじゃない? ま、私のフレイムには負けるけどね。」
キュルケは、そう言ってオホホホっと笑い、自身の後ろに控えている大型のサラマンダーを撫でた。
軟体生物がジーッとフレイムを見つめる。
すると、ウニョーンと変化し、フレイムそっくりに変身した。
「あっ!」
「あらまぁ! もしかして何にでも変身できるの? ちょっと、フレイム、威嚇しちゃダメ。」
「あんたも、喧嘩腰になっちゃダメよ。」
お互いが自分の使い魔を落ち着かせた。
フレイムに変身していた軟体生物は、またウニョーンと変身し、ルイズの姿になった。
「ちょっとぉ、私に変身しないでよ。」
「へ~、ほんとすごいわね。ぺったんこなところまでそっくり。」
「なによ!」
「それより、食堂行かないの? 授業遅れるわよ?」
「うぐ…。」
「じゃ、お先に。」
キュルケは、そう言って先に行ってしまった。
ルイズは、ムスッとしつつ、大股で歩く。その後ろを、トトトっとつかず離れず偽のルイズがついてくる。
ルイズが立ち止まる。すると偽のルイズも立ち止まる。
「ねえ…、変身解いて。」
ルイズが、ブスッとした声で言う。
偽のルイズは、なんで?っと言いたげに首を傾げた。
「いいから、元に戻りなさい!」
ルイズが振り返って怒鳴る。
怒鳴られ、ビクッとなった偽のルイズは、また渋々という様子で変身を解いて軟体生物に戻った。
それで良しっと、ルイズがフンッと息を吐くと、また大股で歩く。
それを一生懸命ウニョウニョ動きながら、軟体生物が追いかけた。
アルヴィーズの食堂に入ると、軟体生物を連れたルイズに視線が集まる。
昨日のルイズに変身した軟体生物が、ルイズの爆発魔法を操ったことなどがあり、ヒソヒソと声が聞こえる。
ルイズは、自分の席に座ると、食事を食べ始めた。
しかし、ふと手を止める。
そういえば、この生き物…何食べるんだろう?っと。
机の下を見ると、軟体生物は、ジーッとルイズを見上げている。
ルイズは、試しに、綺麗に切られた飾りの果物を手に取って、差し出してみた。
差し出された果物を前に、軟体生物は、アーンっと口を開け、放り込まれた果物をシャクシャクと咀嚼し飲み込んだ。
なら、野菜は?っとサラダをフォークに刺して与えてみる。アーンとまた口を開け、放り込まれた野菜をムシャムシャ食べて飲む。
なら、肉は?っと、一口大に切った鶏肉をフォークで刺して与えてみる。アーンとまた口を開けて、放り込まれた肉を、モグモグと食べて飲む。
どうやら、肉でも野菜でも食べる、雑食なようだ。
ルイズに用意されていた豪勢な朝食の半分近くを食べたところで、ケプッと息を吐き、満足したようにウネウネ動いた。大きさの割に大食いなようだ。まあ、変身能力を考えると、それだけ栄養が必要なのかもしれない。
そうして朝食を食べ終え、食堂を出たときだった。
「め、メタモンだぁ!」
食堂手前で、そんな声が聞こえた。
ルイズがそちらを見ると、ひとりのメイドがビックリした顔をしてこちらを見ていた。
「…知ってるの?」
「あっ…、申し訳ありません! つい!」
メイドは、青ざめ深々と頭を下げた。
「顔を上げて。怒ってるわけじゃないのよ。」
「は、はい…。」
「ねえ、知ってるなら、教えて、この生き物のこと。」
「は、はい…。」
そうして、メイドは、この軟体生物のことを切れ切れとだが教えてくれた。
軟体生物の名は、メタモン。
生物や道具でも、何にでも変身できる不思議な生き物だそうだ。
そうして教えて貰っていると、予鈴のチャイムが鳴り、ハッとしたルイズは、メタモンを抱えて教室に走ったのだった。
結局、間に合わず、シュヴルーズに怒られたし、教室内の生徒達からも笑われたのだった。
ルイズは、他の使い魔達がいる教室の後ろにメタモンをポイッと投げ落とし、自分の席に座った。
そして、今日も元気に……爆発魔法を披露し、生徒達から怒られたのだった。
なお、メタモンは、床に同化するように変身していて、爆発から逃れていたため、他の使い魔と違い、唯一無傷だった。
でも、煙を吸い込んでしまったらしく、ケホッと煙を吐いたのだった。
シエスタから、メタモンの名を教えてもらう。
ところで、メタモンの強度(変身前)は、どれくらいなんでしょうね?
何にでも変身できるから、スライムみたいにツルッとしてて柔らかすぎるのか、ある程度硬さがあって抱えられるのか。
それとも、その場その場で硬さを変えられるのか……。