ゼロの使い魔×ポケットモンスター 仮題名『メタモン物語』 作:蜜柑ブタ
今回から魅惑の妖精亭へ。
原作と違う展開です。
メタモンは、その後機嫌を損ねたルイズの機嫌取りに必死だった。
事情(アンリエッタが逃避行しかけた件は無しで)を聞いたキュルケ達は、そりゃメタモンが悪いけどメタモンを躾てないアンタも悪いと言われていた。
メタモンがとても賢くて、躾の必要も無いと思っていただけに、まさか王家に伝わるヘキサゴン・スペルをコピーしてあんな大技を繰り出し、アンリエッタを殺しかけたなんてことになるとは思わなかったのだ。
メタモンからしたら、ワルドが裏切った時のような感覚でアンリエッタがルイズと敵対したから敵と判断し排除しようとしただけなのだ。それは現場にいたルイズが分かっている。だから、怒るに怒ることもできない。メタモンがただ…ルイズのために行動した優秀な使い魔であるから。
ルイズがどうしようかと苦悩していたとき、問題の元凶になったアンリエッタから直接の命が下ったのだ。
あんな騒ぎを起こしておいて、この期に及んでなにを?っと思ったことは飲み込む。一応は女王だ。未遂とは言えアルビオン側に逃避行しかけたことは秘密だから。
悶々としたまま顔に出さないよう努めつつ、メタモンと共に命令を実行するため行動を起こす。
ルイズが無言で手紙を見つめているので、メタモンが後ろからのぞき込んで手紙の中身を見た。
“この世界”のメタモンではないが、コピー能力を駆使して文字の読み方を覚えたメタモン。手紙の内容を理解した。
要約すると、情報収集である。
民間人達の間で交わされる噂話など。
『ボク、得意!』
「確かにあなた以上の適任者はいないわよね…。でもこれは私に下された命令だから。」
『ボク、頑張るよ!』
「あのね、メタモン。あなただけが頑張っちゃダメなの。分かる? 私も民間人に扮して情報収集するの。いいわね?」
『えー?』
「なによ? その『えー』って? 私じゃできないって言いたいの?」
『……だって、ルイズは貴族だよ?』
メタモンが言わんとしていることは分かる。生まれてこの方貴族の、それも名門の公爵家の娘として育ってきたのだ。それなのにいきなり民間人になれっと言われてできるはずがない。
「で、でもやるっきゃないの!」
『えー…。』
メッチャ心配そうなメタモンの顔に、ルイズは一生懸命強がった。
こうして夏休みの期間を使った任務が始まった。
***
メタモンは、服ごと擬態すればいいが、ルイズはそうはいかない。
なのでアンリエッタから支給されたお金で民間人の服を買う。もちろん地味めの。
「う~…。」
『やっぱり…。』
「違うわよ! これは気合いよ!」
貴族の服と比べて圧倒的に着心地の悪い質の服に不服そうに声を漏らしたルイズに、メタモンがやっぱりか…っと声を漏らしていたのでルイズは慌てて違うと否定していた。
服を整えたら、次は任務中の住まい探し。
ルイズは、正直安い宿はイヤだった。だがお金は限られている。頭じゃ分かっているが生まれついての環境と身に染みついた贅沢が拒否してしまう。
『ルイズー。』
「…なに?」
『情報を集めるには良いところがあるよ!』
「どこ?」
『酒場~!』
メタモンが壁に貼られたアルバイト募集の紙をバシバシと手で叩いた。
「そうね…。確かに酒が入れば本音も飛び交うでしょうね。良い意味でも悪い意味でも…。」
『ね!』
「でも、いやよ。酒臭いところなんて。」
『え~。』
「分かってるわよ! 贅沢言ってることくらい! でも、どうしろってのよ、もう!」
『ルイズ…。』
「姫様もまた無茶なことを…、なんでなのよ…。」
ルイズがブツブツと呟きながらうずくまってしまったので、人目が集まる。メタモンは、ルイズを無理矢理立たせて路地裏に逃げるように移動した。
人目のない路地裏の建物の壁を背に、ルイズは膝を抱えて丸くなってしまった。メタモンは、心配でハラハラしながら変身を解いた。
「まあ! メタモンじゃない!」
いきなり低いが、妙な色を帯びた男の声が聞こえた。
「あの子の故郷以外で久しぶりに見たわ! 人間に化けて溶け込むこともあるって聞いたことがあるけれど!」
『あの子って、シエスタのこと?』
「あらまあ! 知ってるの? 私はスカロン。あの子の伯父よ。」
「はあ!?」
それを聞いたルイズがバッと勢いよく顔を上げた。
そこにいたのは……、なんというかなんというかなんというか…、アレだ、良く言って個性的な…男がいた。
ルイズが、思わず、うわぁ…っと声を漏らす。スカロンは、そんなことは慣れているらしく反応はしなかった。
「なんで、あなたがシエスタちゃんのことを知ってるのかしら?」
「そ、そりゃあ…。むぐっ!」
メタモンに口を塞がれた。
『あのね、あのね。シエスタと知り合いなの。ボク。』
「まあ、流暢に喋れるのね。でも、こんなところでどうしたの? 変身なんか解いて。」
『あのねあのね…、とっても困ってるの…。』
「あらあら、どうしちゃったの? もしかして住むところとかに困ってるとか?」
『あのね…、とっても大事なことするの、ミンカンジンの情報を集めるの。』
「あらまあ…、なにか事情がありそうねぇ? まあいいわ、なんの事情かはさておいて、メタモンちゃん、民間人の情報が欲しいならうちに来る? うちは宿をやってるの、酒場もしてるから情報盛りだくさんよ?」
『ホント?』
「ええ。本当よ。よかったらいらっしゃい。」
『ルイズも連れて行っていい?』
「るいず? そっちのお嬢さん? いいわよ。…見たところお仲間のメタモンじゃなさそうねぇ。」
「わ、私はメタモンじゃないわよ!」
「あら、そうなの? ごめんなさいねぇ、じゃあ、こっちよ、ついてきて。」
『行こう、ルイズ!』
「なんで…あんたがここまで取り決めちゃうのよ…。」
自分はメタモンの主人なのに…っとルイズは肩を落としながらメタモンに手を引かれて歩いた。
スカロンと名乗った男は、ひとりと一匹を案内し、魅惑の妖精亭という店の中へ入った。
スカロンは、変身を解いているメタモンを抱き上げて、こっちよとルイズを案内した。
案内されたのは、屋根裏の部屋だった。埃まみれで、クモの巣も張ってるし、コウモリもいる…、最近までずっと人が入ってなかったことが窺える。
「文句は無しよ?」
「うぐ…。」
文句を言いかけたルイズの先手を取ってスカロンが目を光らせて言ったので、ルイズは言葉を詰らせた。
「ねえ、メタモンちゃん。どうせなら働かない? ただで住まわせてあげるなんて虫が良すぎるでしょ?」
『う、うん…?』
スカロンの香水が辛くて息を止めてたメタモン。
「だ・か・ら、うちで働きながら情報収集しなさいな。その方が効率的だと思わない? きちんと働けば報酬はちゃんとあげるわよ。」
『ルイズ…、いい?』
「……もう勝手にして。」
「あなたもよ、ルイズちゃん。」
「はあ!? なんで!」
「メタモンちゃんの飼い主かも知れないけど、ま・さ・か、メタモンちゃんだけに働かせて自分は鼻ほじってふんぞり返っているつもりはないでしょうねぇ?」
「わ…私は…!」
『いいよー、ルイズ。ボク頑張るから!』
「ダ、ダメよ! メタモン! 私もやるから! あんただけにやらせないから!」
「トレビアン! その意気よ。じゃ、今夜から頑張りましょうね? じゃあ今から制服あげるからついてきて。」
「……なんでこうなるのよ…。」
『ルイズ…。』
「あー、もうそんな顔しないで。私だってやるっていったらやるんだからね!」
心配するメタモンに、ルイズがビシッと指差して強気で言い放ったのだった。
こうして、メタモンとルイズは、夏休み返上でアンリエッタからの任務のため、魅惑の妖精亭という店という店で働くことになったのだった。
メタモンひとりにやらせるって選択もルイズにはできました。
でもメタモンだけにやらせるとなにが起こるか分からないからと言う理由と、あと自分自身のプライドにより任務を遂行。
このネタのルイズは、原作のようにアンリエッタに絶対忠実的な感じじゃないです。むしろなんとなく不信感を持っている。
そして頭で分かっていて、物わかりが良い。でも公爵家の娘として温室育ちだから色々と抵抗感はある。
次回は、チップレースかな?
さて、メタモンを女の子として変身させるか、ルイズに変身状態で双子という形で働かせるか……。