ゼロの使い魔×ポケットモンスター 仮題名『メタモン物語』 作:蜜柑ブタ
使い魔召喚の儀式から、3日。
メタモンは、相変わらずルイズに変身する。
覚えた仕事を実行するためには、どうしても人間型でないといけないようだ。だが、なぜ主人であるルイズ?
っという疑問はさておき、あんまりにも頻繁にルイズの姿になるメタモンに、ルイズの方が折れた。というか、もう諦めた。
なぜならいくら怒っても変身するのをやめないからだ。
日も経てば、自分そっくりの使い魔が尽くしてくれるのには、慣れてくる。
メタモンの変身の再現度は高い。
だが、仕草や表情が本物と違う。そこまでは再現できないのか、あえて再現していないのか、どっちなのかは分からない。
ルイズの後ろを、ルイズが追いかけて歩く、そんな光景は、最初こそ奇妙であったが、数日も経てば見慣れるものだ。
間違い探しだ、などと勝手にルイズとメタモンを見比べて間違い探しをしようとする生徒までいる始末だ。
ルイズは、ヤレヤレと思いつつも、昼ご飯の最中、ルイズに変身しているメタモンに水を注いでもらっていた。
なお、メタモンが雑食の大食いであるため、メタモンのことを教えてくれたシエスタが気を利かせて、賄い食と野菜の切れ端や肉の端っこなどをたくさん持って来てくれているので食事問題は解決している。
メタモンは、最初こそナイフとフォークの使い方も分からなかったようだが、ルイズの使い方を見て学んだらしく、すぐに使えるようになった。
パンを両手で持ってモグモグと嬉しそうに口いっぱいに頬張って食べている姿は、ルイズとは違う幼さを感じさせ、ルイズは、その食事の光景を見ていて……、姉から見た妹とはこんな感じなのだろうか?っと思った。
まあ…なんか、可愛い気がするのである。
ルイズは、末っ子だ。上に二人姉がいる。もし自分に妹がいたらこんな気分になるのだろうか?
そう考えていると、メタモンが、ふと何かに気がつき、床に手を伸ばした。
そこには、香水が落ちており、メタモンは、クンクンと香水を匂った。
「あら? その色…、モンモランシーのかしら?」
見覚えがある色の香水の瓶に、ルイズは、そう思った。
「それ…、私のですわ。」
「あら、やっぱりモンモランシーのだったのね。」
そこへやってきた金髪の少女・モンモランシーに、ルイズがそう言った。
「なんで持ってるのかしら?」
「拾ったのよ。ほら、メタモン、返してあげなさい。」
ルイズがそう言うと、メタモンは、モンモランシーに香水を渡した。
そうして食事の続きを…っと思ったら…。
ガシャーンだの、バリーンだの、と騒音。
見れば、金髪の少年・ギーシュが頭からモンモランシーにワインをぶっかけられている光景があった。
「嘘つき!」
モンモランシーは、涙を散らして食堂から走り去っていった。
残されたのは静寂…。
硬直していたギーシュは、やがて、ハンカチで頭から滴るワインを拭いた。
「彼女達は、バラの存在の意味を知らないようだ…。」
っと、キザったらしく言っているが、周りのヒソヒソ声で、ルイズは、理解した。
ギーシュは、二股をしたのだということを。
するとギーシュは、なぜか、ルイズとメタモンのところに来た。
「なによ?」
「君が軽率に香水を拾ったおかげで、二人のレディの名誉が傷ついたじゃないか。」
「はあ? 何言ってんのよ? バカじゃないの? メタモンは、そこの床に落ちてた香水を拾って、モンモランシーに返して、モンモランシーが香水をあんたに返しただけでしょ? それを責任転嫁するなんて…。」
ルイズの言葉に、周りからも、そーだそーだ! お前が悪い!っとヤジを飛ばした。
ギーシュは、顔を赤くしてプルプルと震えた。
どうやらやり場の無い怒りをどこかにぶつけたくて、ルイズとメタモンを標的にしたのだ。
するとギーシュのマントを、メタモンが引っ張った。
「なにかね?」
そして視線がメタモンに向けられると、メタモンは、食堂の出入り口を指差した。
まるで早く行けと言いたげに。
「なんだい? 言いたいことがあるなら、言えばいいじゃないか。」
「メタモンは、喋れないのよ。」
「まったく、人のマントを断りもなく触るなんて、躾のなってない!」
ギーシュは、バシッとメタモンの手をたたき落としてマントから手を放させた。
その際に、メタモンに出されていた具だくさんのシチューの皿がひっくり返り、バシャッとギーシュの服にかかってしまった。
「ああ! お前! 勝手に人に触ったばかりか、僕の服を! 許さないぞ! お仕置きだ!」
「ちょっと! 待ちなさいよ! 今のは…。」
「ゼロは黙ってろ!」
ギーシュは、薔薇細工の杖を取り出し、メタモンに向けた。
メタモンは、キョトーンとした顔をして、杖の先とギーシュを交互に見た。
「立て! 広場でお仕置きをしてやる!」
「ダメよ、メタモン!」
メタモンは、困った顔をして、ルイズを見た。
だが、鼻息荒いギーシュの様子を見て……、困ったように笑って立ち上がった。
「メタモン!」
「よーし、それでいい。こっちだ。逃げるんじゃないぞ?」
「な、なあ、ギーシュ、いくらなんでも酷くないか?」
「そうだぜ。さっきのだって、どう見てもお前が…。」
「ちょっと小突くだけだ。殺しはしないさ。」
止めようとするギーシュの友人達だが、ギーシュは聞かない。
メタモンは、ルイズの姿のまま、ギーシュを追いかけ食堂から出て行った。
「メタモン!」
ルイズも後を追った。
***
広場に、野次馬達と、中央にギーシュと、ルイズの姿をしたメタモン。
「ゼロのルイズの使い魔! 躾のなってない君を僕が躾けてやる。」
ギーシュがそう宣言する。
メタモンは、困ったような顔をしているだけだった。
「僕の二つ名は、青銅。噂に聞くと、お前はゼロのルイズの爆発を使えるようだな。ならば、こちらも魔法を使わせてもらう。」
ギーシュが、薔薇の杖を振るうと青銅で出来たワルキューレが出現した。
メタモンは、右手から杖を生やし、その杖を握る。あくまで擬態であるため、身につけている物はすべて、メタモンの身体なのだ。
「いつでも来てもいいぞ。」
『…エクスプロージョン!』
擬態で作った杖の先をワルキューレに向け、メタモンが唱える。
ボガーン!っと爆発が起こり、ワルキューレが一撃で大破。そして吹っ飛んだ首から上が、ギーシュの顔に高速で激突し、ギーシュは倒れた。
シーンと場が静まりかえる。
「メタモン!」
人をかき分け、ルイズがメタモンに駆け寄った。
そして、中央に広がる光景に、言葉を失う。
バラバラに粉砕されたワルキューレ。ワルキューレの頭が横に落ちていて、それの横で倒れたギーシュ。
「なに…やったの?」
メタモンが喋れないのは分かっているが聞かずにいられなかった。
メタモンは、自分でもまさかこんな簡単に終わると思わなかったらしく、オロオロとしていた。
その後、騒ぎを聞きつけた教師達が駆けつけ、ギーシュは保健室へ。
その後、ギーシュは、頭に血が上っていたことを友人達に指摘されて説教され、あとメタモンがマントを掴んで外へ行くよう促したのは、泣いて出て行ったモンモランシーに謝れと言っていたのでは?っと指摘され、その後、ルイズとメタモンに謝りに来たのだった。
このネタのメタモン的には、あんまり喋る気がなく、呪文もポケモンで言う鳴き声の技程度にしか使ってません。
なお、メタモンに刻まれているルーンは……、ガンダールヴってことにしましょうか…。
でも武器を手にする機会があるかな?