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「うぅ……うあぁ……んぅ……?」
……ここは……?いや、いい……一夏と戦って、久しぶりに生を実感できた……それだけでも満足だ……
「うー……」
毛布、だろうか?暖かい……え?
(な、何で暖かいんだ……?いや、まず毛布があることがおかしい……)
……どうやら、私は起きて、この訳の分からない白昼夢から目覚めないといけないらしい、夢の中で起きるというのも変な話だが……まず、意を決して起きる。
(……普通の部屋か、少々物が少ないくらいだな……)
ここは部屋らしい。物が少ない。パッと見だからよく分からないが……次にベッドから降りて本格的に探索しよう。そう思い立ち、ベッドから降りようとすると、少し滞空した。普段からベッドで寝ていたから分かる。いつもの私ならベッドから降りようとすればすぐ足がつく。
(……身長が縮んでいる……?あり得ない……それが本当なら、若返っていることになるが……)
……こうなればしょうがない。鏡を見る。この手に限る。
「……はぁ……」
ついため息を吐いてしまう。一夏と戦っていたときにはなかったが……あの時以来すっかり癖になったらしい……
私の愛した女。彼女がいなくなって以来、私は腐った。元々復讐に狂っていた、そこにもっと燃料が加わったら、もっと燃え上がるのは必然だった……故に、燃え尽きるのは早かった。一夏の身内を襲い、殺した。一夏は俺に襲いかかり、俺も反撃し、俺たちはもう引き返せないところに来た。俺は八つ当たりぎみに魔王となった。一夏は理性的だった、専用機持ちの義務を果たそうとした、アイツは英雄になった。そんな俺たちが殺し合うのは当然だった。
(……ついに来たか……さぁ、鏡や鏡や鏡さん……私の……俺の姿を写し出せ……!)
そうして、俺は鏡を見た……そこにいたのは……
(……冗談だろう……?何で、何でお前に……!?)
そこに写っていたのは……ピンクの髪に、青の瞳、その顔立ちは俺の知るものより幼い、だがそれでも分かる……
(……不知火……)
俺がIS世界にまで連れてきた、とても、とても、愛しい少女だった……
「……何、で……」
訳が分からない、一夏と戦って、死んで、挙げ句の果てに不知火になっている?頭が溶けそうだ……
「……家族はいないのか……?」
いたらいたでどうごまかそうか……それでも頼れる人がいるなら心強いのだが……
「……はぁ……」
誰が言ったか、「ため息を吐くと幸せが逃げる」だったか……そう言えば、さっきから声が聞き覚えあると思ったら……そういうことか……
「あのISは……やはりない……だが……それでもいい……」
もうあの力はこりごりだ……
『……私は……あなたが嫌いです……その力があなたを狂わせている……!』
「……っ……」
過去の記憶が、過去の言葉が、俺に突き刺さる。
「……不知火になって………生き返って……それで私にどうしろって……?」
あぁ、ため息をはいてもどうにもならない、分かっているのに吐かずにはいられない……こんなときに限って窓から見える空は腹立たしい青色だった。
スヤァ……