「前回、誰が死んだ?」
「それは事細かに、か?」
「そうだね、そっちの方がいいかも」
「…まずは茉莉花、愎華、3人組…名前思い出せんけど。後は校長、楓花、それに先生の奥さん…って所か?」
「…まぁ、上々か。それに宿の事も覚えてるなら不安要素もなさそうだ」
「そりゃあ、な…」
実際人の死ってのは何遍見ても慣れない。ていうか慣れたくなんかない。人の死ぬ所なんか見て興奮するのは変態だけで充分だ。
「じゃあ次。影魔君はあの後どうなったか…覚えてる?」
「…俺と一緒に死んだだろ。爆発に巻き込まれてな」
「ふーむふむふむ。そこまで分かってるならもういいか」
さて、と一つ間を置いて男は話し始める。
「50回目の隼人君、君は今まさに呪いにより物語が始まろうとしている。それはわかるね?」
「…そういうことだろうな、こりゃ」
「僕としてはね、今回で次のステップに進みたいのさ」
「へぇ、理由は?」
「飽きたから…ってのは冗談だとして」
冗談には聞こえねぇけどな。
「…彼女の苦しみ、痛みを抱き、悩み生き続ける姿をこれ以上見たくないのさ。見てるこちらとしても心苦しくなるしね」
「…一体何に苦しむってんだよ」
「はぁ…まだ分かってないんだね」
このクソ童貞が、と一言付け加えた。んだとこの野郎。
「君は支那美ちゃんに愛されてたんだよ。それこそ君がいなくなってから世界に絶望する程には」
「んな馬鹿な」
「馬鹿は君だよ。逆に君は目が覚めたら支那美ちゃんが自分のために死んでた、なんて聞いたらどう思うよ」
「そりゃ自害したく……」
…あっ。
「そういう事だよ。君もあの子も考えてる事は結局のところ一緒さ。似たもの同士ってやつだね」
「…そうか…」
冷静に考えてみてもそうだ。大切な人が自分のために自己犠牲をした、なんて聞いたら誰でも死にたくなる。かといって自殺なんて図ろう物なら大切な人が自己犠牲をした事を無駄にする、所謂葛藤に阻まれた生き地獄というやつだ。
「俺は……なんて事を………」
俺は前を向くことが出来なくなってしまった。ただひたすらに自分の足元を見ている。自分のやってしまった事は取り返しがつかないことだから。例え、何度やり直したとしても……
「だからこそ、やり直すんだよ」
その言葉に思わず男の顔を見てしまう。男は再びにっこり笑っていた。
「一度起きた過去を変えることなんて出来やしない。だからこそその過去を土台にして今を紡ぐしかないんだよ」
それに、と続ける。
「そんなことを繰り返さないからこそ今回は僕が来たんだ」
「…信じていいんだよな…」
「勿論だとも。だから」
また、一から時を紡ぎ直すんだ。
「…やってやるよ」
俺は必ず、同じ未来を起こしはしない。
俺は必ず、誰も死なせない未来を作る。
俺は。
「必ず全員揃ったハッピーエンド、お前らに見せつけてやるよ」
「…その言葉、嘘偽りはないね?」
「神に誓おうじゃねぇか」
「ふふっ…君が神、なんて存在すら疑わしいものに誓うだなんてね」
───どうやら決意は固いようだね。
「たりめーだ。男に二言はねぇ」
「よく言ったよ。流石、三代目の彼氏だねぇ。さて、それじゃあ……」
運命に反撃開始、といこうか?