残り92日
「おはようございます」
「はいおはようございます」
まぁ全くもって寝れなかったのだが。
しかし挨拶というのはとても大切だ。一日の始まりを挨拶で始めるのはとても気持ちがいいからである。うんよく分からんやっぱり寝床無いのダメや眠い。
「まぁ気持ちはわかるよ。こんな所でまともに寝れるわけがないし」
でしょうね。今まではいい香りのするシナの家のいい香りのするベットで寝てたから突然自然と一体化したら寝れるわけなどあろうはずがない。女の子の香り最高ですねほんと。
「それより彼女、どうやら学校に行くみたいだけど」
「…どこにもいないが」
「そりゃもう行っちゃったからね」
「早く言えよ!」
昨日の重い足取りは何が原因かはわからないがあのまま学校に行かせるのは些かマズイ気がする。何かしらのストレスを抱えたまま行かせるのは爆弾を持ち歩かせているのと一緒だ。
「さっさと追うぞ!」
「…へーい」
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「…忘れてた」
「でしょうね」
今日は平日、学校敷地内に入ったら即ゲームエンドだ。救うもクソもない。
「いっその事ぶち破るか」
「ダメでしょ、それこそゲームエンドだと思うけど」
「…いや?」
そういえばまだ心当たりがある。この時間暇で研究してるかなんかしてるとても暇そうなやつが。憶測だが。
「ダメ元でもあいつ呼ぶぞ」
「心当たりあるんだ?」
「こういう時に使えそうなやつがいるんだよ」
ダメならば仕方がない。また機会を変えるしか道がない。が、今この可能性に信じる他ないのも事実である。
「…いないとかやめてくれよ?」
俺は少しばかりビビりながらも学校のインターホンを押した。
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「よく来たね、さあさあ好きな席に着いてくれ」
「…遠慮なく座らせてもらうよ?」
「どうぞどうぞ、君達は御客人だからね」
どうやら俺の想定通り、こいつは暇をしていたようだ。
「少しは校長らしいことしたらどうだ?」
「この時期は暇なんだよ。それに暇だった方が君たちにも好都合だろう?隼人君?」
「…まぁな」
そしてこいつは俺の名前も認識しているようだ。という事はこいつで間違いないだろう。
「…それに、そちらの御客人についても少し確認したいことがあるからね」
校長は視線を郵便屋へと向けた。
どうやらこの男も分かっていることを分かっているようでやれやれ、と首を振っている。
「貴方の予想通りですよ。僕は組織の人間だ」
「やっぱりね」
「ただし貴方の危惧していることにはなりませんよ。僕は今回隼人君達の味方なんで」
「…ふぅん…」
まぁそりゃそうか。こいつにとっちゃ相手が組織の人間という時点で疑わしさMAXだろう。
「…それより、そろそろ貴方の名も明かしてくれませんかね?観測者?」
「…!」
この男はやはり目の前の女に対して観測者、とはっきり言った。どうやら今回の予想は何も間違いはなかったようだ。よかった。
「…観測者、って言う時点で名前くらいわかるだろうに」
「直接貴方の口から聞きたいんですよ」
女も観念したようで仕方が無い、というように口を開く。
「…灘 芙佳。君…いや、君達の思っていた通りさ。初代と呼べば少しは分かるかな?」
「…お前が、か」
予想していたとはいえやはり本人から聞くと重々しくなってしまう。予想と事実では言葉の重みが違うということなのか。
「聞きたいことは山ほどあるけど今回そんな暇はない。単刀直入に言わせてもらおう」
「ほうほう。なんだい?」
「俺らの学校の出入りを自由にしろ」
ほんほんほん、と灘は続ける。
「…別にそれは構わないがね。自由になったとして一体どうやって彼女を見守るって言うんだい?」
「それは…」
「後先考えない行動は自分の首を絞める。今回君達は接触しないスタンスを取るならそれを曲げない方がいいと思うけど。ただでさえ不確定因子がいるんだし」
「耳の痛いお言葉で」
こいつの言う通りだ。学校には先生もどきがいるしあいつに任せるというのも一つの手だろう。しかしそれだけで問題が解決しなかった場合、そこに時間が割かれるのはどうしても回避するべきだ。
そこまで考えると同時にとてもいい案を思いついた。我ながら自分の才能が怖い。将来はノイマンみたくなれるかもな。
「…なら面白い案があるんだが」
「すっごく嫌な予感しかしないね。僕は席を立ってもいいかい?」
「ダメに決まってんだろ」
「…で?その案とは?」
「シナのクラスに転入手続きよろしく」
「…うわぁ…」
なんでやねん。