どうも、ふぁもにかです。きつい展開ラッシュなポポ編中盤です。これさえ、このポポ編さえ超えれば、その先にきっと和気あいあいとした温泉回が待ってますから、ね?
ポポがマリーに第9小隊への伝言を残して救護室を去ってから、1週間後。廃都ファーレンハイトでのお務めを無事に終えたことで、世界中に漏れなく風のクオリアを埋め込むことができたため、ポポのエクリプスに向けての準備はほぼ完了した。あとは、エクリプスの後に待ち受ける激戦での勝利を盤石にするために、いくつか布石を打つのみだ。
――その布石の1つとは、ポポが第9小隊との死闘に持ち込むこと。
ポポが過去に逆行する前に味わった、あの絶望的なカルテジアンとの戦い。敗因はわかりきっている。ポポたちが弱かったからだ。ポポたちが力不足だったから、カルテジアンに好き勝手に蹂躙されてしまったのだ。よって、同じ過ちを繰り返さないためには、少しでもアルトたちに強くなってもらうしかない。特に、星のクオリアを持つアルトに強くなってもらわなければ、マザー・クオリアの調律なんて夢物語でしかない。
祝歌計画を発動させ、エクリプスが開始されてしまえば、月から延々と人類殺害装置である天使が降臨するようになるため、悠長に修行するような時間はそう安々と確保できなくなる。だから、ここで。ポポが第9小隊に入り、祝歌を奏でる前に、第9小隊には、一度ポポと全力で戦ってもらう。アルトたちに、ポポとの戦いでしっかり経験を積んでもらう。
そのために、ポポは第9小隊を王都の東の森に来るよう伝言を残した。太陽の位置からしてもうすぐ約束の正午だ。もうすぐ、第9小隊がポポの前にやってくる。ポポはこれから、第9小隊と戦い、みんなを傷つける。みんなを助けるためにみんなを傷つける。
ゴウラ火山では、サクヤを絶望させて暴走させた。王都ではリゼットを見捨てて魔剣カルブンケルの呪いで苦しませた。ポポはあとどれだけ、みんなを救うという理由を盾にして、みんなを傷つけないといけないのだろうか。
(ダメ、余計なことは考えないようにしないと……)
「――ポポ」
「ん。みんな、ちょっとぶりだね」
ポポが己に纏わりつく邪魔な思考を振り払うようにかぶりを振っていると、ポポの前方から第9小隊の面々が姿を現す。アルトに名前を呼ばれたポポは、微笑みとともに第9小隊に声をかけるも、正直、今のポポが上手く笑顔を作れているか、自信はなかった。
「して、ポポ殿。いかなる用件で、我々第9小隊をここへ呼び出したのだ?」
「クラウス隊長ならポポのやりたいこと、薄々わかってるんじゃないかな? 来て、ポポの使い魔たち」
「「「ッ!?」」」
クラウスの問いかけに、ポポは態度で回答を示す。ポポはスッと右手を挙げて、第9小隊を取り囲むようにして15体の使い魔を召喚した。内、10体は漆黒の体毛に覆われたポイズンウルフ。残る5体は、蝶の羽で羽ばたく妖精アネモネ。ポイズンウルフは唸り声を零して第9小隊への敵意を全面的に表明し、アネモネはポイズンウルフの後ろから、弓に矢をつがえて第9小隊を冷徹に見据えている。
「さすがに王都で暴れるつもりはないから、みんなをここに呼び出したんだ」
「……ポポ殿は祝歌計画に参加するつもりがない、ということでよろしいか?」
「うん、そうなるね。カシミスタンでポポが言ったことはその場しのぎの嘘だったんだ。じゃ、話はこれくらいでいいよね? 今からポポはみんなを殺すから、死にたくなかったらがんばって抵抗してね」
ポポが第9小隊に明確に攻撃の意思を示した。その事実にアルトたちが酷く動揺する中、ただ1人冷静さを保ち続けているクラウスは、ポポに問いを投げかける。対するポポは軽くクラウスに返答してから、使い魔たちに第9小隊への攻撃命令を発しようとして――。
「待ってくれ、ポポ!」
「どうしたの、アルト?」
「どうしたも何もあるか! なんで俺たちが戦わないといけないんだよ! なんでポポが俺たちを殺そうとしてくるんだよ!?」
「それがポポのお務めだからだよ。ポポがお務めを達成するためには、みんなを殺さないといけないんだ。だから、早く剣を鞘から抜いた方がいいよ、アルト。それともアルトは無抵抗で死ぬのが好きなの?」
「たとえポポが俺たちを殺す理由があっても、俺たちがポポと戦う理由がない! 俺は、ポポに剣を向けられない……!」
アルトの強い制止の言葉に、ポポは使い魔への指示を中断する。その後、ポポが第9小隊を殺害する理由を問われたポポは、すっかり便利なワードと化した『お務め』という言葉を駆使してあいまいな言い方にとどめる。そしてポポは、アルトに戦ってほしいため、アルトに武器を構えるよう告げるも、アルトは頑なにポポと戦わない意思を声高に主張するのみだ。
だけど、このアルトの反応は、ポポの想定内だった。だからこそ今日を迎えるまでの1週間で、ポポは『動機』を用意したのだから。
「じゃあさ。この前のアマツの焔鎮めの儀の時に、ポポがサクヤを殺そうとしていたって言ったら? それでもアルトはポポと戦わない?」
「……え?」
「はぁ? なに言ってんの、アンタ? そんなバレバレの嘘に何の意味があるのよ?」
「嘘じゃないよ? サクヤがドロシーにさらわれて、ゴウラ火山に連行されていた時。第9小隊はどうにかサクヤを助けることができたけど、疑問に思わなかった? あの時のゴウラ火山での風の荒れ狂いように。なぜかドロシーの都合の良いように、マグマが第9小隊とサクヤを分断したことに」
「ッ!? アンタ、なんでそのことを知ってんのよ。……あれが、全部アンタの仕業ってわけ?」
「うん。あれもポポのお務めのためにこっそりドロシーをサポートして、サクヤを殺そうとしたんだよ。結局は失敗したけどね。まさかアルトがリゼットの水魔法を信じてマグマを突っ切ってくるとは思ってなかったから」
「……」
ポポがひょいと繰り出したまさかの爆弾発言に、アルトは言葉を失い、立ち尽くす。アルトに代わってサクヤが呆れまじりの口調でポポの主張をウソと断ずると、一方のポポはサクヤが殺されそうになった当時のゴウラ火山の詳細な状況を細やかに語っていく。結果、ポポの言葉に信ぴょう性が増したことにより、サクヤもまた、言葉を失った。代わりに、ポポを鋭い眼光で見据え、刀の柄に手を添える。
「それだけじゃない。3年前に、ポポがカシミスタンに火を放ったって言ったら?」
「……ポポ、何を言ってるの?」
「ニキ、不思議に思わなかった? どうしてポポがあんな絶妙なタイミングでニキとモルディを助けられたのかって。そんなの簡単だよ。カシミスタンの大乱はポポのマッチポンプだったんだ。まぁ、ポポの放火を機に、ルドルフがニキのお母さんのサイージャを殺して、福音使徒をカシミスタンに引き入れて、王立騎士団と殺し合いを始めたのは想定外だったけど」
「……」
サクヤはやる気になったようだ。しかしまだ、動機が足りない。ポポは続けてニキへと向き直り、己こそがカシミスタンの大乱の元凶であると告げる。目をパチクリとさせてポポを凝視するニキに対し、ポポが自身の嘘を補強するべく言葉を重ねると、ニキはスッと目をつむって黙考状態に移行した。
「ユアンは、ポポがポート・ノワールでなんて言われているか、うわさを知ってるでしょ?」
「嵐を呼んで建物を壊し、悪風で病気をばらまき、海風を操って津波を起こす劣悪な魔女、ですか」
「そう。全部全部、事実だよ。全部、ポポがお務めのためにやったことなんだ。……これでわかったでしょ? ポポは慈愛の魔女なんかじゃない。ポポはお務めのためならどんなことだってできちゃう悪い魔女だ。そして、ポポに課せられた次のお務めは、第9小隊を全員殺すこと。……ねぇ、これでもまだ戦う理由がないだなんて、言わないよね?」
ポポは今度はユアンに視線を送って発言を促す。対するユアンが渋々ポポの要望に応えてうわさの内容を口に出すと、望み通りの回答をユアンから引き出せたポポは、自分がいかに悪であるかを盛大に主張する。そうして、ポポは改めて第9小隊に問いかける。未だに武器を構えていないのは、アルトだけだ。
「……アルト、剣を構えてください。ポポと戦いましょう」
「ニキ。だけど、俺は……」
「アルト。私はポポと半年間、カシミスタンで同じ時を過ごしました。だからこそ言えます。今のポポの言ったことは噓です。たとえお務めとやらがポポにとってどれほど大事でも、それでもポポは一線を越えるような人じゃありません。ポポはびっくりするくらい繊細で、優しい人ですから。たとえ『誰かを殺せ』とか『街を滅ぼせ』とか、そんな残酷な『お務め』を誰かから宣告されたところで、人を殺す罪悪感に押しつぶされて自分を殺してしまう。ポポはそういう人なんです」
「……」
「アルト、ポポと戦いましょう。マリーの言う通り、今のポポはおかしくなっている。だからこんなでたらめな言葉を並べて、私たちと殺し合いをしたがっているんです。……アルト、私もあなたもかつてポポに救われた身。だったら今度は私たちがポポを救う番です。そのためにもまずはこの局面を共に切り抜けましょう」
「……そう、だよな。ごめん、ニキ。まずはこの戦いを制して、ポポの本音を聞きださないとな」
「ええ、その意気です」
そろそろ第9小隊を焚きつける動機の在庫が尽きつつあるために、どうしたらアルトに戦意を抱かせることができるかを内心で悩み始めるポポをよそに、ニキがアルトに説得を試みる。ニキがアルトに対し、これからポポと戦う理由を『ポポを傷つけるため』ではなく『ポポを救うため』と定義してみせたことで、ニキの説得は成功し、結果としてアルトはポポを見据えて剣を構えることとなった。
「第9小隊、陣形展開! 守りを固めつつ、まずは我らを取り囲む彼女の使い魔を撃退する!」
「みんな、第9小隊に一斉攻げ――」
第9小隊全員が戦う意思を胸に抱いたことを機に、クラウスが隊員に指示を出す。一方のポポは第9小隊を包囲するポイズンウルフとアネモネたちに攻撃指示を出そうとした、刹那。ポポの上空で渡り鳥の高らかな鳴き声が響いた。以前、カシミスタンの様子を逐次報告してもらうためにポポが手懐けた渡り鳥たちには今、世界各地を自由に飛び回ってもらい、何か異変があった時だけポポに報告してもらうように指令を出している。その渡り鳥がポポの元に帰参したということは、どこかで何か異変が起こったことと同義だ。
「どうしたの?」
そのため、ポポは己の使い魔たちへの指示を中断して、渡り鳥をポポの手のひらの上に着地させる。そして、動物と会話できるポポが、慌てた様子の渡り鳥からの報告を聞いた時、絶句した。
「え? ポート・ノワールが……?」
渡り鳥はポポに告げていた。【ポート・ノワールが燃えている。黒い服を着た人間の集団が、ポート・ノワールで人間をたくさん殺している】と。
「――ッ!」
ポポは即座に召喚していた使い魔たちを送還すると、風をまとって東の森から飛び立った。ありったけの追い風をポポに吹きつけて、ポポはポート・ノワールへと急行する。
「おいおい、一体どうしたんだアイツは? さっきまであんなに俺たちを殺す気満々だったってのに、鳥に何か話しかけたと思えば血相変えてどっかに飛んで行ったんだが……」
「ポポは前に、『動物と話すことができる』って言っていました。きっと、さっきの鳥さんから何かを聞いたのかもしれません」
「ポポさん、さっきの鳥さんの鳴き声を聞いて『ポート・ノワールが……?』と呟いていました。おそらく、どこかの地名ですよね? そこで何かあったのではないでしょうか?」
「ののか、その情報は値千金だ。ポート・ノワールといえば、風の属州『サウス・ヴァレー』の最南端に位置する港町だ。ポポ殿が飛び立った方向も同じく南。彼女がポート・ノワールへ向かった可能性は非常に高い。――総員、速やかにポート・ノワールへ出立する!」
ポポの急な方針転換にラスティが疑問を呈すると、動物と会話できるというポポの特性についてリゼットが言及する。すると、リゼットの情報に基づき、ののかが忍びとしての優れた聴覚で、ポポがポツリと零した呟きの内容を第9小隊に共有する。結果、ポポの目的地がポート・ノワールであると判断したクラウスは、ポポを追って第9小隊もポート・ノワールに急進する指示を下すのだった。
◇◇◇
ポポがポート・ノワールへと到着した時。ポポを待ち受けた光景は、地獄だった。
街の至る所には、住民の惨殺死体が転がっていて。床や建物の壁には血が飛び散っている。ポート・ノワールの幾多の建物から炎が沸き上がり、既に亡くなった人を焼き焦がしている。ひとたび鼻から息を吸えば、血と焼けた人間の肉が混ざったにおいがポポを容赦なく襲ってくる。
街にはいろんな死骸があった。首を断ち切られて血を噴出させる死体。胸を鋭利な刃物で貫かれた死体。腕や足のない死体。それらの死体の数々はまるで、敢えて残酷に殺しているのではないかというありさまだった。
「みん、な……?」
ポポは、ふらふらとした足取りで、街を歩く。一歩一歩の足取りが、重い。まるで、靴に鉛が仕込まれているかのようだ。誰か、誰かいないのか。生存者はいないのか。ポポは歩く。目を見開いたまま、街の中央通りを歩き進める。
「……だれ、か、いないの?」
今、ポポが見ている光景は一体何なのだろうか。ポート・ノワールでこんな悲劇が起こっているなんて、一体何の冗談なのだろうか。ポポは幻覚でも見ているのだろうか。何者かによって惑わされているのだろうか。そうだ、こんなのは嘘だ。だって、だって。ヒルダの魔法で過去に戻る前は、ポート・ノワールが滅ぼされるなんて、そんな展開はなかったのに。
ポポは上下感覚も平衡感覚も忘れて、燃え盛る炎の色も音も忘れて、地獄と化したポート・ノワールでポポが何をしたいのかも忘れて、ただ歩く。歩いて。歩いて。ふと、ポポのつま先が、何かにあたった。ポポは歩みを阻害されて、立ち止まる。ポポは視線を下に移す。そこには2人分の焼死体があった。
「町長さん……」
1人は、ボナンザ町長だった。ポート・ノワールの町長になった後に、ポート・ノワールに風の魔女の悪評を流し、ポポをポート・ノワールから追い出した人。ポポにありったけの罪悪感を埋め込ませて、ポート・ノワールを発展させるお務めに依存させるように誘導した人。
――そうか。ならば、全てが終わったら必ず戻ってこい。……お前はポート・ノワールの住民のために尽くしてこそ、存在価値があるのだということ、ゆめゆめ忘れるなよ。
――うん。ありがとう、町長さん!
だけど、ポポが過去に戻って、世界を守るためにサウス・ヴァレーから旅立つことを伝えた時、ボナンザ町長は最終的にはポポの意思を認めてくれた。ポート・ノワールでのお務めを投げ出して旅立つポポが、世界を守った後にサウス・ヴァレーに帰ってくることを認めてくれた。
「マルコ……」
もう1人は、マルコだった。ポポが過去に戻る前から、ポート・ノワール中にポポの悪評が流れていたのに、それでもポポを信じてくれた男の子。過去に戻ってからは、ポポとのムシバトルを幾度もなく楽しんでくれて、ポポに安らぎを、楽しい一時を与えてくれた男の子。
――またね、マルコ。
――じゃあね、タンポポお兄ちゃん!
サウス・ヴァレーでのお務めが終わり、次の地へと旅立とうとするポポ(男装中)に、マルコは元気よく手を振ってくれた。ポポとの再会を心から楽しみにしてくれていた。
「あ、ぁあ……」
もう、限界だった。気づけばポポの両目からはボロボロと涙が零れ落ちていて。ポポは立っている気力すら失い、その場にガクリと膝をつく。呼吸の方法さえもポポの頭から消え去り、ポポはただただボナンザ町長とマルコの亡骸を眺めるだけだ。
「――風の魔女。何か遺言はあるかしら?」
ポポが2人の焼死体の前で膝をついてから、どれほど時間が経っただろうか。気づけば、ポポは福音使徒の幹部たるダンテ・ドロシー・ルドルフと、福音使徒トップのヒルダに取り囲まれていて。ヒルダのデスサイズの刃がポポの首に添えらえるとともに、ヒルダから問いかけられていた。
「……どうして、どうして、ポート・ノワール、を?」
「あなたの故郷だからよ。世界中を駆け巡るあなたをおびき寄せて殺すための餌として、ポート・ノワールを焼き払ったの」
「……ポポの、せい?」
「そうなるわね」
「そっか……」
ヒルダから福音使徒がポート・ノワールを滅ぼした理由を告げられたポポは、力なく瞑目する。言われてみれば、福音使徒がポート・ノワールを襲撃するのは当然の帰結だった。福音使徒は魔女4人が祝歌を奏でることで始まってしまうエクリプスを防ぐために、必死なのだ。現状、レグナント王国は魔女を3人そろえていて、ポポ自身は孤月の丘でニキを自殺から救った件からも王国に協力的なのは明らかで。福音使徒にはもう後がない。だから、ポポを確実に殺すために手段を選ばないのも当然のことだったのだ。
ポート・ノワールは例外だと思っていた。いつの間にかそう決めつけていた。ポポの行動で、良くも悪くも過去を変えられることを知っていたはずなのに、福音使徒はポート・ノワールを滅ぼさないものだと勝手に思い込んでいた。その結果が、今ポポの視界に広がる、ポート・ノワールの惨状だ。
そうか。ぽぽは、しっぱいしたんだ。
しっぱいしたなら、もういちど、やりなおさないとだめだよね。
ひるだにおねがいして、かこにもどらないと。
でも、まだなかまじゃない、いまのひるだがぽぽのおねがいをきいてくれるかな。
きいてくれるわけ、ないよね。
なら、ときのくおりあだけもらえばいいや。
ひるだのむねをきりひらいて、ときのくおりあをうばいとろう。それがいい。
さぁ。やりなおそう。
こんどは、もっとうまくやってみせる。
ぽぽになくけんりはない。
ぽぽにぜつぼうしているひまはない。
あるとにかばわれたんだ。
ひるだからおもいをたくされたんだ。
だから、ひるだをころして、ときのくおりあをうばって、やりなおそう。
みんなをすくうんだ。
あるともひるだもみんなもすくうんだ。
ぽぽが、みんなをまもるんだ。
……こんどこそ、こんどこそ。
ポポはゆっくりと目を開く。その瞳には、正の感情も負の感情も込められておらず。ポポの表情は能面のようで。ポポは、ヒルダから時のクオリアを奪ってもう一度3年前に戻るという目的を達成するためだけの機械と化した。
「さようなら、風の魔女」
「ぽぽは、しなないよ?」
そして。ヒルダがデスサイズでポポの首を切断するよりも早く、ポポを起点として強烈なかまいたちを発生させて、ヒルダ・ダンテ・ドロシー・ルドルフを吹き飛ばしたのだった。
ポポ:金髪ツインテールな風の魔女。第9小隊がポポと戦うための『動機』を用意するとかいうモノクマムーブをかましていたが、ポート・ノワール炎上のお知らせを渡り鳥から受けたことで、第9小隊と戦っている場合ではなくなり、ポート・ノワールへと向かった。しかし、ポート・ノワールを救うことができなかったポポは、もう一度過去に戻る方針を固めたようだ。風の魔女が時のクオリアを使って過去に戻る時魔法を使えるかどうかは別にして。
アルト:原作主人公にして、記憶喪失な第9小隊の一員。一応、17歳。第9小隊の中で最もポポと戦うことを拒否していたが、ポポを救うという名目を得たことで、ポポと戦う覚悟を決めたようだ。
サクヤ:火の魔女にして、アマツの姫巫女として奉られている少女。現在は17歳。ポポからゴウラ火山でサクヤを殺そうとしていたと告げられたサクヤは、ポポの発言を鵜呑みにする気こそないものの、とりあえずポポを拘束して詳しい事情を聞きだすつもりで刀を構えた模様。
ニキ:土の魔女にしてカシミスタンの領主だった緑髪の少女。16歳。ポポからカシミスタンの大乱の時にポポが火を放ったと言われた際、ニキはポポの爆弾発言にびっくりこそしたが、ポポとともに過ごしたカシミスタンの日々に基づいてポポの発言が嘘だと判断した。
ヒルダ:福音使徒を統べる時の魔女。年齢は少なくとも千年以上。この度、ポポをおびき寄せるためにポート・ノワールを結晶化させずに普通に襲撃し、ポート・ノワールを滅ぼした。そして目論み通りやってきたポポを殺そうとするも、デスサイズの一撃は阻止されてしまったようだ。
というわけで、24話は終了です。本作品を連載し始めた時からさらっと置いていた『原作キャラ死亡』のタグが存在感を発揮し始めた回でしたね。さて、壊れ方に拍車がかかってしまったポポはどう動くのか。