東方聖交差 ウルトラマンX幻想入り   作:さわたり

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例大祭の原稿やれや


第1話

法界に、爆音が響き渡る。

 

「うわああああ!!」

 

叫び声がこだまする。

 

「怪物だああああ!」

 

人々が逃げ惑う。

 

『私は…限界のようだ』

 

誰かが助けを求める。

 

「あなたは……あなたは………!!!」

 

光が私を包み込み、一つになっていく。

 

「ユナイト…ですか」

 

そして、その腕を振り上げた。

 

「エックスーーーッ!!」

 

 

 

「!?」

 

飛び起きた私の横に、鋭い日差しが刺さりこむ。かかった毛布を退け、立ち上がってみる。どうやら魔術の研究中に寝てしまったようだった。誰かの気遣いの毛布をたたみ、私は完全に目を覚ました。

 

「魔界での夢とは…。懐かしい」

 

そうして、外へと歩みだした。爽やかな日差しに背を伸ばし、深呼吸。そうして私は一度室内へ戻っていく。すでに起きていた寺の面々に挨拶をし、今日の1日が始まる。

 

数あるマルチバースに存在する土地『幻想郷』。あなたたちの知る宇宙を『ファントムスペース』と命名するなら、ここはそのレベル3の宇宙の一つ。

 

「昨日はどうだったの?」

 

「訓練ばっちりです!いつでもいけますよ!」

 

「いいでしょう、いつでも戦えるように。この前の巨大宇宙人は姿を消して逃げてしまいましたから」

 

分かりやすい違いを挙げるとしよう。宇宙人と怪獣がいる、それがこの宇宙である。もっとも、最近現れた正体不明の存在というわけだが。そしてこの時の私は、多次元宇宙など思考の隅にもなかった。

これは、そんな場所で起きた一つの知られざる戦いの物語である。

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

「そういえば今日も水蜜が居ませんね。一輪知ってる?」

 

「いえ、なんかさっきふらっと外に出て行って…それっきりです。二時間前ですね」

 

畳に座ったまま、私達はそんな会話を繰り広げた。今日以外にも、彼女はいきなり姿を消すことがたまにあった。いつも元気に帰ってくるのだが、どこに行ったかはぼんやりしている。いつしか私達は彼女に何をしていたのかを聞くことは無くなっていた。

 

「まあ、いつもどおり戻ってくれるでしょう。ありがとね」

 

「ならいいですけどねえ」

 

そんな風に話を終えた二人の元へ、とてとてとこいしが駆け寄る。ちょうど話が終わったところだったもので、話題が転換。こいし曰く、この幻想郷で旧地獄ツアーが行われているとか。

 

「ほえー、懐かしいですねえ」

 

「今日はそのためにもう着替えてあるんです」

 

「あー、白蓮外着だねー!…そろそろ行く?」

 

「んー、まあいいでしょう。今日はもう出ちゃいましょ」

 

「そういえば旧都エリアと地底殿以外行ったことないですねー。こいしはどうか知らないですけどね。楽しんでくださいねー!」

 

そうしてささっと準備を終えると、こいしと手を繋いでお出かけである。内心不安と楽しみが微妙に混ざった状態であるが、うきうきとしたこいしを見ればそんな不安感は薄れていった。どこか親子みたいだと、恥ずかしながら思う。

 

「はぁーいあたいから離れないで下さいねー!今回お連れするのはかつて地獄として使われていた廃墟の数々!!それではごあんなーい!!」

 

クルーは火焔猫燐である。こんな仕事もするのかと感心しながら、列に並んで私は歩きはじめた。集合場所の妖怪の山近くの草原から地底の抜け洞窟は近く、力のある妖怪が先導が故に妖怪も襲ってこない。快適な観光になりそうだと、一安心だ。

 

「頂上近くの風穴だと蜘蛛に襲われるわ急降下だわで散々だけど、こっちは楽なんだよね!ただ場所がわかりづらい上帰ってこれなくなりがちなのであたいの先導なしに来ちゃダメだよ!」

 

「妖怪とかは出るのかい?」

 

「あーもううじゃうじゃだね。あたいはここではブイブイ言わせてるから襲われないってだけ。高確率で死ぬ!」

 

ツアーに参加してるのは人里でも相当な物好きばかりだが、ことさら変わり者であれば妖怪のお燐に質問なども飛ばすのだ。お燐もお燐でしっかり質問に答え、それなりにツアーガイドをしている。

 

「コレが針山地獄!見ての通り、人が住んだり絶対できない地形だよねー。触らないほうがいいよ。死ぬほど鋭いから」

 

「やっぱり痛いんですかね」

 

「そりゃあ痛いだろうよ。コレが全身にぶっ刺さるんだから」

 

そんな声を聞きながら、針を見つめてみる。確かにコレに刺されてはたまったものではないだろう。私は表情を青くする。死が怖くて寿命を断ったのだから、コレがと思うと恐ろしいものだった。対しこいしははしゃいでいる。

 

「次は血の池…ん?なんか変だね」

 

「…ごほっ、ごぼっ、ごぼごぼ!」

 

「誰か溺れてるじゃないか…!あたいの仕事増やされると困るんだよねェ!!」

 

赤い池の中で、人影がバタバタと暴れている。一行が驚愕する中、迷わずお燐は飛び込んでいた。だがその時、気づけば私も水中に居た。無意識に体が出ていたようだ。ざわざわと騒ぐ客達の前で、お燐は溺れていた少女を引っ張りあげた。

 

「…姐さん!?」

 

「水蜜!?」

 

溺れていたのは、見まごうことなき村紗水蜜であった。赤く汚れた服が、どれほどもがいたのかを分からせてくれる。ひとまず引っ張り上げたところへこいしが駆け寄り、にっこりと笑った。

 

「どう?気持ちよかった?」

 

「何を言って…!」

 

「いいんです姐さん。私は…望んで溺れてたんです。笑ってくださいよ、こんな血を忘れられない愚か者を」

 

私はどんな声をかければいいのかわからず、うつむいてしまう。お燐も同じようで、困ったなとでも言うような様子で頭をかいていた。そんな様子をひとしきり眺めたのち、こいしは何か石のようなものを投げ込む。

 

「あはははは!!いいねいいねいいね!!」

 

大声で笑う彼女に、呼応するように何かが現れた。赤いてるてる坊主という形容が似合うか。後に知ることではあるが、円盤生物ノーバがその名前である。不気味な鳴き声をあげながら、ノーバは赤い霧を放ち、そして空を舞っていく。

 

「アレは…!?」

 

「ノーバさ!ブラックスターのかけらとこの血の池もとに作ったんだよ。フフフ、ハハハハハ!」

 

相変わらず笑い続けるこいしの姿を見て、お燐は訳がわからないという顔だ。その瞳を覗き込み、私は『中身がある』ような気がした。この、古明地こいしにである。誰かが取り憑いているというのは、容易に想像できた。

 

「はァ!!」

 

「危ないなぁ!」

 

殴りかかったのを容易に避けながら、こいしは蹴りの反撃を繰り出した。私に一言「任せた」と言うと、お燐は観光客達を安全な場所へ案内し始める。こいしを心配していたが、私を信じてくれてもいたのだろうか。とにかく、私達の攻防は続く。

 

「ったく、ラチがあかないなあ」

 

そんな風に言うと、こいしはその手をハサミへと変えた。驚く私をよそに、彼女はばちんばちんと斬り付けを放つ。しかし、自分で言うのもなんであるが生身での戦いは慣れたもの。彼女に負けるつもりはない。

 

「…やっとできそうだね。怪我をすると面倒だ!」

 

「…大きく!?」

 

巨大化したかと思えば、彼女はセミのような姿の巨人になっていた。宇宙忍者バルタン星人。人里に現れた宇宙人である。暴れまわるバルタン星人に敵うはずもなく、私は吹っ飛ばされた。駆け寄る水蜜であるが、彼女もどこか息苦しそうである。

 

「…苦しい……!!」

 

「これは…変身の魔術の回路が光って……!!」

 

その顔には、びっしりと術式なようなものが光っていた。それは私が施した巨大化、変身の魔法。彼女の意思に関係ないということは、つまり暴走状態だ。嫌な予感は的中し、水蜜が変身した沈没海獣ムラサメは暴れ始めた。うめき声のような鳴き声から、知性は感じない。

 

「…くっ」

 

緑と青が目立つ、鋭い姿。それがムラサメの特徴である。ヒロイックでもあり怪物らしくもあり。良くも悪くも水蜜の内面が大きく現れた姿と言える。そんなムラサメから逃げるのは心苦しいが、私にできるのはそれだけである。しかしそれもかなわず、バルタン星人の蹴りをくらい、相当な距離を吹っ飛ばされた。身体強化を持ってしても、どうにか意識を保っていられるレベルだ。

 

『…ユナイト』

 

「あなたは…エックス…?」

 

『やっと声が届いた。あの時は私を解放してくれた。なら…今は!』

 

そんなとき、光の声が私に響く。眩くあたりを包み込んだのち、私は視界を取り戻した。あの日のように、私は『ウルトラマンエックス』と融合、いや、ユナイトしていた。

 

「ウルトラマンだって…?この宇宙に来たウルトラマンはO-50の兄弟だけじゃなかったわけ?」

 

『さあな、行くぞ白蓮!』

 

「ええ…シュアッ!!」

 

右腕を左にやり、構える。エックスがそうしたのと同じ動きだ。あの日の魔界での戦いを、私は鮮明に思い出していた。私が殴ると思えば、同時にエックスも殴っている。エックスが蹴ろうと思った時、私も蹴ろうと思っている。一心同体にユナイトし、その戦いが始まる。

 

「だああああ!」

 

私はまず真っ先にムラサメに殴りかかる。そのまま相手の反撃に合わせてラリアットに切り替えつつ、バルタン星人へとドロップキックを繰り出した。

 

「っと…セヤッ!」

 

起き上がりながらバルタン星人が放った赤色冷凍光線を岩を盾にして避け、一気に接近。アッパーを食らわせ、バルタン星人を怯ませた。しかし目的は達成した為か、バルタン星人は満足げである。そのまま姿を消してしまった。

 

「シュワッ!」

 

残るムラサメであるが、水蜜が暴走しているだけである。倒してしまったり、スパークドールズにしてしまうことは望ましくない。私は構え直し、とりあえず相手を疲弊させる手に出ることにした。

 

「…っ!」

 

「ぐああああああ!!!」

 

相手の突撃を受け流して地面に投げる。ムラサメは咆哮をあげ、再び私達の方へ迫った。口から放った高圧水流をXバリアウォールで防ぎ、跳ね返す。勢い余って怯んだムラサメを前に、私は構えた。

 

「…できますよね」

 

『もちろんだ。行くぞ!』

 

『「ピュリファイウェーブ!!」』

 

手から放った光線を浴び、浄化される。そうして水蜜の姿に戻り、そのままぼちゃんと血の池へと落水した。私もエックスと離れ、人の姿へ、どんどん沈んでいく水蜜を追った。だが、意識はあるというのに彼女は沈むことをやめない。

 

「…待ちなさい!」

 

「行かせてください」

 

私は魔力に声を乗せ、彼女へ放った。だが彼女のからの返答は、意外なもの。このまま沈ませてくれと、水蜜は言ったのだ。

 

「いつも思うんです。私はどこまでいってもただの船幽霊だって。溺れてみて、死に近づいてみて気づいたんです。まだ、そう、未だに死の感覚を味わいたがってるんです。他人に限らず、自分に」

 

「そんな…!」

 

私の声掛けも彼女の耳に届いても心には届かない。死にそうな顔をしながら微笑むだけ。涙が流れているのかもしれないが、見えはしない。そうなって初めて、彼女の赤く染まった服が抗ったからではなく自らずっと溺れていたからということに気づいた。

 

「私はあなたみたいにはなれない。あなたのように輝けない。星のあなたは私という深海生物には眩しすぎるんですよ。ここに居させてください。何度も死ぬほど溺れて、贖罪でもしてますよ」

 

「…なりません!それは違う!!あなたは輝いてはいないかもしれない。でも、私が太陽になれるのならあなたは地球だ!恒星を追う、一つの惑星!その上に美しさや醜さ、様々なものが詰まっています。でも……それ全て愛して見せます!だから沈むな地球よ!!そして…太陽と呼べるほどに…輝いて生きてみせる!」

 

私は、夢中だった。正直どんなふうに泳いだとか、全く覚えていない。だが、あの瞬間の水蜜の手の冷たさは忘れないだろう。まだだ。まだ彼女を奥から救えたわけではない。私は、彼女達の太陽でなくてはいけない。

 

「…もう、こんなことはしないで!」

 

水蜜は答えなかった。それを言った時には既に外であったが、どの道から地底を出たのか、そんなことさえ覚えていない。だが、その時人里へ向かっていたノーバを止めなければいけないと思ったことは、分かる。

 

「…ユナイトです」

 

『よぉーし、行くぞ!』

 

気に入ったとかで、エックスは私の小さめな巻物へと入っていた。魔神経典改め交差経典をその手に、私は構える。広げた巻物から現れたスパークドールズを術式的に読み取り、発動。一度閉じ、X字にした巻物の軸を構え、私は空に掲げた。

 

「エエエェェエーーーーッッックス!!!」

 

広がったXの光の中から、一度腕をクロスさせ、そして右手を突き出しながらウルトラマンエックスは巨大化した。ノーバはこちらを振り向き、赤い霧を放つ。降り始めた赤い雨の中、私は駆け出した。

 

「シュアッ!!」




円盤生物ノーバを撃て!
そして、幻想郷に終わらない宴が訪れる。
萃香の企みとは?そして巨大化した彼女との戦いの行方とは?
スイクイーンの猛攻の中…!

次回、東方聖交差
「うたげは止まず」


というわけで、いかがだったでしょうか。エックスとひじりんがユナイトします!
今までの文に比べかなり短いです。今後はもっと描写とかも頑張りたいですねー。
そして本作は客演も予定してます。pixivの光巨人から二作品、ニコニコ動画の光巨人から一作品の予定です。そういうわけで、よろしくお願いたしまづ!
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