BLACK LAGOON model Ogre 作:411ayumi
“イエローフラッグ”。その店で、一人の男が座っていた。
「・・・お客さん、その実、何だい?」
「・・・これか?」
初老の男、シワシワで、まるで生気を感じさせないその男は、死神にも見えた。
「“悪魔の実”、知らないかい?」
「・・・オイオイ頭イってんのかい。そんなもん御伽噺だろ?」
御伽噺、悪魔の実の話は世界でもかなり有名な御伽噺として知られている物だ。
かつて、この世には大海賊時代があり、その時代を生きた海賊達の一部は、悪魔の力を使えた。とも言われる夢のあるような話として、どの国にも有名だ。
だからと言って、それが実在したかどうかは別の物だ。確かに、かつては“ドレスローザ”と呼ばれた国もあるらしいが・・・
「どうだかなあ・・・」
男は、立ち上がった。
「置いとくよ。ここに“若いお兄さん”が来たらこれを食わせてやってくれよ」
「お、おい! 代金・・・って、あれ?」
初老の男は、まるで“そこに居なかった”かの様に、消えていた。微かにみればそこに“砂が落ちている”こと以外、これといって異常なことは無い。
(・・・オイオイ、俺はヤクなんてそんなやってねえぞ!?)
店長、バオの額に冷や汗が浮き出た。だが何も無かったかの様にすぐさまカウンターに戻った。
だが、確かに机には、“赤黒く禍々しい実”が置かれていた。
…………
「この酒場は酷い、地の果てだ」
一人の日本人、そして3人の“犯罪者”達がイエローフラッグで酒を飲んでいた。
「うまい喩えだ」
日本人、岡島録郎は単なる旭日重工資材部東南アジア課の会社員だった。ある仕事の中で、彼ら、“ラグーン商会”の面々に連れ去られ、今に至る。
「はァ・・・」
思わず溜息が付いた。嫌になるほどの喧騒、乱闘。本当に嫌になったのだろう。
周りを見渡しても、ヤバいやつばかりだ。
だが、ふと視線を横にしたとき、歪なソレが見えた。
「・・・何だ、これ」
赤黒く、禍々しいソレ。まるで地獄の果実と言わんばかりのそれは、どこか、中毒にも思える魅力を放っていた。
食わないと、いけない。そんな意思が、手を伸ばさせた。
「・・・」
触っただけで、圧倒的な力のようなものを感じた。だからだろうか、周りを1度見渡してから
ガブッ!
それを、食べた。
「まじぃ・・・」
この時、世界を動かすほどの、“悪魔の力”を持った犯罪者達による戦争が始まろうとしていたなんて、誰も考えていなかった。………