神喰妖影剣ー神機化した付喪神の旅ー   作:陰猫(改)

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第十三話【銀河最強の片鱗】

 ギャラクティックナイトに俺が迫ると依姫が神機は銃形態に変えて援護する。

 それに対してギャラクティックナイトは盾で依姫の攻撃を防ぎ、俺の刀をランスで反らす。

「……おいおい。なんで、お前さんがアラガミに対する免疫持ってんだよ?」

 ギャラクティックナイトは答える代わりに俺を弾き飛ばし、四本の光る剣を此方に向かって射出して来る。

 俺はそれを分身体である刀を同じ様に飛ばして防ぐ。

「……痛っ!」

 分身体と本体が共有されてる分、俺の方はダメージを負ってしまったが、ギャラクティックナイトの背後を依姫が捉えた。

 だが、ギャラクティックナイトの奴は上昇する事で回避し、逆に飛び掛かって来た依姫にランスを向けて突っ込んで行く。

「依姫!」

 空中での飛行が出来るのなら、回避もまた出来るーー俺もそんなに慌てたりはしないだろう。

 だが、偏食因子を取り込んだ今の依姫にその能力の使用は封じられている。

「ーーっ!」

 依姫は猛スピードで急降下して来るギャラクティックナイトに対して盾を展開する事でなんとか致命傷を防ぐ。

 だが、ギャラクティックナイトの奴を相手にただでは済まない。

 ギャラクティックナイトは盾で防いだ依姫ごと地面にダイブしやがった。

「かはっ!」

 地面に猛スピードで叩き付けられた依姫と共に衝撃波が周囲に走る。

 ギャラクティックナイトは背中から叩き付けられて悶絶する依姫から神機を弾くと今度は俺に視線を向ける。

 正直、まだ光る剣を弾き飛ばした時のダメージが残っててバイタルが低下している。

 付喪神だった頃には感じない疲労感が俺を襲う。

 

 ーーさて、この状況でどうするか?

 

 あいつ、一頭身で俺の胴まで位しか身長がないのに馬鹿みたく戦い慣れしてやがる。

 これがかつて、銀河最強と言われた戦士か……。

 

 俺がそう思っているとギャラクティックナイトが明後日の方に飛んで行く。

 

 見逃してくれたのか?

 

 そう思った瞬間、ギャラクティックナイトが横一文字に次元を切り裂く。

 

 刹那、背筋がゾクリと凍る思いを感じた。

 そして、察した。察してしまった。

 

 あれはマズい!ーーと。

 

 俺はそれに備えてありったけの力を刀身に宿し、斬擊を飛ばす。

 

 次の瞬間、ギャラクティックナイトの切り裂いた次元から光が放たれ、周囲のアラガミやらを消し飛ばしながら、此方に向かって極太のレーザーが迫って来る。

 当然の如く、俺が飛ばした斬擊など、簡単に消されてしまった。

 

 万事休す、か……。

 

 俺は依姫に駆け出すとその身体を抱き締めてると身体を縮めて庇う。

「ーーーーーっ!!!!」

 そんな俺に猛烈な熱と光、そして、激痛が襲い、俺は声にならぬ絶叫を上げた。

 光が収まる頃には俺は黒く焦げ、辛うじて無事な依姫を抱いたまま、動く事すら出来ないでいた。

 そんな俺の前にギャラクティックナイトが舞い降りる。

 意識が遠退く中、ギャラクティックナイトがランスを地面に突き刺すと俺に手を差し出して来た。

 

 意図は解らない。

 

 だが、俺はその手を取らねばない気がした。

 俺はその手を黒く焦げて動かす度に出血する手でなんとか触れる。

 その瞬間、ギャラクティックナイトの思いが伝わって来た。

 ギャラクティックナイトの思いはただ一つ。

 

 "銀河を救う事"のみである。

 

 逆に俺の思いも伝わったのか、ギャラクティックナイトはランスを手にすると此方に背を向けて何処かに去って行った。

 

 恐らく、この世界を救う為に抗う者ーーつまり、人間を葬りに行ったんだろう。

 アラガミが星の抗体ならば、星にとってウィルスは人間と言う解釈なのだろうな。

 なんとかしてやりたいが、此処がヒト型アラガミになった俺の限界らしい。

 俺は依姫を抱いたまま、瞼を閉じるとそのまま、意識を失った。


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