「正直、銀河最強の戦士に勝つとは思ってせんでした。流石は月読村正ーーいえ、妖刀ムラマサでしょうか?」
「今回は依姫の手柄だ。俺はほとんど何もしていない」
月の民の拠点に戻った俺は待っていた豊姫にそう言うと周囲を見渡す。
どうやら、月兎達は俺を警戒しているようだ。
まあ、この現状で敵だったり、味方だったりとコロコロ変わっていたからな。
警戒されるのも仕方のないところだろう。
依姫も疲れきった顔で自室へと戻っていったし、俺を擁護する人妖もいない以上、ここは敵地も同然だろう。
もっとも、妖怪に戻った今の俺にはどうでも良い事ではあるが・・・。
「あとはヨリヒメを倒せば問題ないな?」
「ええ。それから先は貴方のお好きにどうぞ」
豊姫はそう言うとヨリヒメまでの進路を画面に映す。
その動きから大まかな経路が解った。
成る程な。大体把握した。
しかし、この動きはまるでなんらかの意図があるように感じるのだがな。
「おい。こいつの周囲はどうなっているんだ?」
「今更、貴方に隠し事しても無意味でしょう。■■■■■さまにもお会いしたんですし・・・」
発音は理解出来なかったが、恐らく、八意永琳の事だろう。
豊姫は俺に紙の資料を見せる。
どうやら、なんらかの研究所を徘徊しているようだ。
そして、顔は依姫のそれだった。
成る程。これは確かに依姫には言えない訳だ。
まさか、自身のアラガミが存在しているとは口が裂けても言えないだろうな。
俺は懐に資料を入れると踵を返して拠点を後にしようとする。
「・・・少し話をしても?」
豊姫の言葉に俺は立ち止まると背を向けたまま、豊姫の言葉に耳を傾ける。
「私は今でも妹を愛している。だから、このアラガミ化したヨリヒメさえも愛しい」
「だから、今まで手を出さなかった。
だが、そうもいかなくなったってところか?」
「ええ。新たなゴッドイーターの登場でヨリヒメが知られてしまった。
あの子を解析されると言う事は月の民の事を再び知られると云う事」
「だから、始末せざる終えなくなった、と?」
俺の問いに豊姫は何を言うでもなく、キィーと音を立てて椅子に身を預ける音を響かせる。
「私はわがままでしょうか?」
「俺に聞くな。今更だろう?」
俺はそれだけ言うとそのまま、扉から出る。
そして、拠点を後にして目的の場所へと向かった。
その途中、黒いアラガミと遭遇する。
確か、アヌビスとか云うアラガミだったか?
なんらかの死体を喰らうアヌビスは俺に気付くとゆっくりと此方に顔を向け、俺と対峙する。
よく見れば、アヌビスが喰らっていたのは人のようだった。
まあ、なんだろうと丁度良い。
俺の能力は血を浴びれば、浴びる程、強くなる程度の能力であるように月読村正もアラガミを食らえば、食らう程、強くなる。
ならば、戦闘を回避するよりも戦った方が後々の為と云うものだ。
俺はゆっくりと正眼に月読村正を構えるとアヌビスと戦闘を開始する。