アインの灰域走破船とか言うのに乗ると俺は救護室であれこれ調べられた。
まあ、解っちゃいたが、人間の適性検査云々では妖怪の俺のサンプルなんざ取れる訳がない。
ヒト型アラガミ用の器具とやらでも元が刀である俺の身体が受け付けないから、科学者らしい奴が頭を悩ませていた。
そんな様子をアインは静かに観察する。
「成る程な。確かにお前はアラガミとも人間とも違うらしい」
「だから、俺は妖怪だって言ってんだろ?ーーまあ、信じられんのも無理ないがな?」
俺はそう告げると心電図とやらの装置を外し、分身体を虚空から取り出して刃零れがないかを確認する。
「アラガミとも人間とも異なる存在か……非科学的だな」
「例え、世の人が科学を盲信しようと忘れるな。心せよ。そこに真実はない。
例え、世の人が常識や道徳に縛られようとも忘れるな。心せよ。許されぬ事はない。
俺のいた幻想郷って所の言葉だ」
「……深い言葉だな」
アインはそう言うと組んでいた腕を解いて再び俺に背を向け、扉の前に立つ。
「ついて来い。その武器を整備出来る場所に連れて行ってやる」
その言葉に従うと俺はアインと共に神機とか言う武器の保管場所にやって来る。
「ああ。アインさん、いらっしゃい」
「ああ」
アインは軽く手を上げて答えると並べられた神機を見る。
俺も改めて、神機って奴を観察する。
剣と銃と盾が組み合わさった面白い武器だ。
どう言う原理なんだろうな?
「いきなりで悪いが、こいつに見合う神機のコアを提供してやってくれ」
「は?」
整備していた奴はアインの言葉に何を言われたのか解らないって顔をする。
まあ、当然の反応だ。
「こいつは特殊な存在でな。偏食因子なんかの適正をすっ飛ばしてアラガミと旧世代の武器で戦っていた」
「旧世代の武器?」
「ああ。当然、アラガミには無力だったがな」
その整備士はしばし、考え込むと首を縦に振る。
「解りました。アインさんの頼みなら、なんとかして見ましょう」
「ああ。頼む」
アインはそう言うと整備士が持って来たコアとやらを俺に差し出す。
「こいつは元はアラガミのコアだ。
俺達の神機はそれを使ってアラガミと戦えるようになっている」
「成る程な。毒を以て、毒を制すって奴か?」
「そんなところだ。それでそいつをどうする?」
「そうだな?」
俺は神機のコアとやらを受け取るとしばし、考えてから胸に押し込む。
「えっ!?ちょっと、何をーー」
「言ったろう。こいつは特殊だってな」
俺はそんなアインの声を聞きながら、身体が変異するのを感じた。
完全に身体に馴染むと俺は自身の手足を見る。
何やら、赤黒い装甲みたいなもんが装着されちまったが、問題はなさそうだ。
鏡を見れば、俺の肉体は胴体と顔を除いて少し機械っぽくなった。
「成る程。これが神機って奴か?」
「いやいや!そんなの神機じゃないですよ!
この人、なんなんですか!?
ゴッドイーターやAGEとも違うでしょう!」
「本人曰く、妖怪らしい。
まあ、今のそいつは神機だ。コアを着けたんだから間違いなくな?」
アインはそう告げると俺を見据える。
「肩慣らしにアラガミと戦ってみるか?」
「……ん?ああ」
俺はアインに頷くと灰域とやらに向かう。
しかし、妖刀ムラマサじゃなくなっちまったな。
しばらくは妖刀神機ムラマサとでも名乗るか?
……長いな。