午前六時、日ノ出と共にユウカとナルは渓流へと出発した。
「改めて言っておくけど今回の目標はジャギィ十匹を狩るだけだからね?そんな緊張しないでよ」
がーグァの荷車に乗り渓流へと向かう中、ユウカはひどく緊張していた。
訓練所で武器の扱いなどは教わったし、訓練用に捕獲されていたモンスターとも戦ったことはあるのだが、野生のモンスターと戦うのは初めてなのであるから仕方無いことだ。
「まあ、もしもピンチになったら私が後ろから援護してあげるから練習通りにやりなよ!」
「はい!」
ユウカは装備してきた双剣を取り出し強く握りしめた。
装備はユクモ一式装備、武器防具共にユウカの為に新しく作られたものである。
「ほら、キャンプについたよ!」
「わぁ凄い景色…」
キャンプ地は渓流の中でも高い場所にあり、遠くを見渡すことが出来た。
景色に見とれていたお陰で多少は緊張を忘れることが出来た。
「それじゃ早速行ってみよー!近くにジャギィの生息している場所があるから付いてきて!オトモ達は採取に専念してね!」
ナルが猛ダッシュでキャンプから出ていった。
「ま、待ってくださいよー!」
慌ててボックスの中から地図と応急薬等を手に取り、後を追い掛けた。
草が無く、腐りかけのモンスターの死骸がある地図上では2と記されている場所にたどり着いた。
「ひぃふぅみぃ…ここにはジャギィが四匹いるね!取り敢えずあいつら倒してみようか!」
「はい!」
ユウカが双剣を手に取ると、こちらに気が付いたジャギィ二匹が襲い掛かってきた。
「うわぁ!」
多少テンパりながらも前進しながらの斬りつけにより、ジャギィ一匹が絶命した。
「やった!」
「油断するのが早すぎるよぉ!」
ユウカの右側からタックルしようとしてきたジャギィをナルの弾丸が仕留めた。
「ほら、残りの二匹を倒せー!」
「うおぉ!」
二匹のジャギィに反撃の隙を与えることなく討伐した。
「さ~て、お次は…」
続いて移動したのは水の流れる自然豊かなマップ6である。
そこで三匹のジャギィを倒したユウカは、だんだんこの狩りの空気に馴れてきていた。
「次はどこですか?」
「この洞窟の中にいるはず!」
洞窟の中に入ると、待っていたのは大型モンスタードスジャギィであった。
「あちゃ~ボス殿とご対面しちゃったか~。まあ、折角だし狩ってかない?」
「え~!?無理ですよ!いきなり野生の大型モンスターなんてぇ!」
「ほら、そんなことしてたらドスジャギィ気が付いてこっちきたよ、早く抜刀抜刀!」
「……わかりました。行きます!」
双剣を構えた瞬間、ユウカの目付きが変わった。
横で見ていたナルが少し本能的に恐怖を覚えるほどの狩人のオーラを、ユウカは放っていた。
「はあぁぁ!」
ドスジャギィの噛み付きを前回転で回避し、側面を斬りつける。
ドスジャギィがユウカの方向にタックルをすれば、そのタイミングを見て尻尾と地面の間に入り込み避けて見せた。起き上がればすぐに斬りかかりドスジャギィは転倒してしまった。
「今だ!」
ここぞとばかりに鬼神化を発動し突っ込もうとしたが、ドスジャギィはあっという間に起き上がってしまった。
しかし、起き上がった瞬間の僅かな隙だけでも突こうと素早く斬りかかる。
このままでは不味いとドスジャギィは手下を呼ぶために鳴き始めた。
この間にもユウカの攻撃は止むことがなく、気付けば鬼神強化状態になっていた。
ユウカはスタミナが減ってきて動きが鈍くなってきた。
ジャギィ達がユウカに攻撃を仕掛けようとするが、十メートルほど離れた距離から飛んできた通常弾に阻止された。見守っていたナルの援護射撃である。
「雑魚は私がやっとくから~、ドスジャギィ倒して良いよ!ユウカなら絶対いけるって!」
「わかりました」
既にかなり弱ってきて足を引きずっているドスジャギィ、ジャギィを囮に逃げようと企んでいたのだったが、ナルの援護もありあっという間に追い付いてきたユウカの追撃を受けることとなる。
剣の乱舞、右に左に瞬く間に増える切り傷、ドスジャギィの体がボロボロになっていく。
そして、鶏冠を破壊した攻撃が最後の一撃となりドスジャギィは死んだ。
「はぁ、はぁ、ふぅ……」
緊張状態から解かれたユウカは力が抜けてしまい、立てなくなって終いにはその場に座り込んでしまった。
「お疲れさん♪残りの討伐目標は私がやっとくからちっと待っててね~」
正午過ぎ、二人は村の手前まで帰ってきていた。村まであと僅かだが、ここからは歩いて門まで行くことになる。
「あーお腹空いた~大して動いてないのにお腹は空くもんだねー」
ナルがユウカに話しかける。
「私はもうクタクタで、食欲があまり出てきませんよ…」
「ハンターなんだから、ちゃんと食べないとダメだからね?今日はガーグァの肉を五個ぐらい食べなさい!」
「ええぇ!そんなに無理ですよぉ」
「おうユウカちゃんと…ナルさんだっけか?お帰り」
村の入り口の門の前で、一日中座っている自称鬼の門番が声をかけてくれた。彼曰く、かつてこの村を救ったハンターとは親友だったらしいが、あまり信じられない。
「ユウカったら行くときはあんなおどおどしてたのに、たまたま出会ったドスジャギィを目の前にしたら急にハンターらしくなっちゃってさ~。いやぁ鬼神化を使う前から鬼神の如き風格だったんだよ?」
「ふゅ~、この子はほんとにあいつを越えるかも知れねぇな~」
「あいつって?あの伝説のハンターですか?」
「ああ、何たってあいつはロイヤルハニーを採取するクエストでアオアシラに遭遇したとき、ビビって逃げ帰ってきたからな~。それに比べてユウカちゃんはすげぇぜいきなり出てきた大型モンスターを倒すんだからよぉ!」
「そ、そんな~私はナルさんがいたから安心できただけですよ!」
「そう謙遜すんなって、昼飯まだ何だろ?引き留めちまって悪かったな」
「そうだった、私もう腹ペコなんだよー!ユウカ、早く行こ!」
「はい!」
新たな伝説は、まだ動き始めたばかりである。
キャラ紹介 ナル
二十歳で三年目の若手ハンター。
故郷ではナル姉と呼ばれ慕われている。
身長は170cmあり、スタイルが良い。
ハンターにしては異常に長いロングヘアーである。
ナルガクルガの防具をしているが、それでも他のハンターよりモンスターから目立つ存在感を放っている。ガンナーでなければ一生ガーグァの卵を手に入れることは出来ないだろう。
時折金遣いが荒くなり、弾を買ったら財布が空になることもある。
ハンターとしての素質は充分にあるが、遠距離武器以外の扱いはからっきしである。