ユウカとナル、そしてオトモ二匹は今日も朝から狩り出掛けるため荷車に乗っていた。
昨日の戦いを見たナルは、ユウカはもう大型モンスターを相手にしても問題ないと判断し、予定を繰り上げ今日から本格的な大型モンスターの狩猟に移ることにした。
「気になってたんだけど、双剣って結構扱いが難しいって聞くけど何でいきなりそれにしたの?」
「何でって言われましても…ハンマーみたいな大型の武器は私には重すぎますし、片手剣は左右違うものを持つから重心が安定しないから消去法で決めたんですよ」
「まあ、ボウガンとかにしなかったのは正解だと思うよ」
「何でですか?」
「一狩り行って帰ってきて、弾買ったらもう金がないんだもん。金がぜーんぜん貯まらないんだこれが!」
それは貴女が狩りの後に大量の酒を飲んだりするからなのではないかとユウカは思ったのだが、大声で笑っているナルには決して言わなかった。
「さて、では改めて確認ね!今回の狩猟対象はアオアシラ。お互いがアオアシラを挟み撃ちにするような立ち位置で攻めて、お尻を向けられた方が兎に角攻撃!OK?」
「はい、大丈夫です!」
最近村の近くに出没していることもあるというアオアシラ。村に派遣されている他のハンターは更に上位のモンスターの相手で暫く帰ってきていない為に二人が引き受けることとなった。
渓流のベースキャンプに辿り着いた。
辿り着くなりアオアシラを探しに走り出すナルを追い掛けてユウカも走った。
「多分水辺で魚でも捕ってると思うからあそこに向かうよ!」
ナルの予想は当たり、アオアシラは渓流エリア6にいた。
「攻撃始め!私が撃ってる間にユウカは回り込めぇー!」
挨拶代わりに火炎弾を撃ち込んだナルはアオアシラの標的となる。
「あっはっはっ!ほーらこいこい!」
ナルはちょこまかと動きながらも確実にアオアシラの体に弾丸を当てていく。
そして後ろに回り込んだユウカも攻撃を始めた。
鬼神化したユウカの猛攻でアオアシラが転倒。背中をナルに向け腹はユウカの方に向けられている。二人とも全力攻撃を仕掛けている。
更に頭部は二匹のオトモが攻撃をしているため、最早リンチしているようにさえ見えた。
そんなことだからあっという間にアオアシラは討伐された。
「いや~楽勝、楽勝!早く剥ぎ取って帰ろうか!」
伝説のハンターが初めて会ったときは逃亡したというアオアシラだが、大したことはなかった。
二人は帰りの荷車に乗り、山道を登っていた。
「ねぇ何か聞こえない?」
ナルが何かを感じ取ったようだ。
ユウカも耳を澄ませてみる。そうしたら、少し下の森林で木が倒れる音がした。
音の鳴る方を見てみると何かが気をなぎ倒しながら、自分達と同じ方角直進していた。
ナルがライトボウガンのスコープで覗いてみると、直進している正体がドスファンゴであるとわかった。
「まずい!このままだと村の方にドスファンゴが突っ込むかもしれない!ここからだとボウガンでも攻撃できないし…降りてからじゃ間に合わない!兎に角村に伝えなきゃ」
ナルは荷車に乗せてある電鍵で村にモールス信号を送った。
村ではナルから送られたモールスを村長が受信した。
「村、方角、ドスファンゴ、直進、警戒せよ。理由はわからないけどドスファンゴが近くに来ているようね。村全体に警戒体制の連絡をお願いします」
ユウカ達はガーグァに全速力を出させて村に急行していた。しかし、いくら全速力を出させてもドスファンゴには敵わない。少なくとも三十秒は遅れてしまう。
もしドスファンゴがこのまま村に行ってしまえば、三十秒で村の三割は壊される可能性がある。
激しく揺れる荷車でユウカは双剣を研ぎ、ナルは装備を脱いでいた。
「何やってるんですかナルさん!?」
「ナルガ装備には気配を消してくれる能力がある。何でか知らないけど私にはあんまり効果無いみたいだけど、取り敢えずドスファンゴの注意をこちらに向けて、村に向かわせないようにするよ!」
ナルは体を張ってドスファンゴの注意を引き付けるつもりである。
そして、村が近づいてくると驚きの光景が広がっていた。
「あっ!教官がドスファンゴと戦ってる!」
連絡があってから七分。村では教官が若者数名を引き連れて迎撃体制を作っていた。
村に繋がる道に落とし穴を張り、見張りを着けてどの方角から来てもいいように準備していた。
そして、罠にはまったら教官がヘビィボウガンで麻痺弾を撃ち時間稼ぎをしていたのだ。
「よし!喰らえ通常弾レベル3!こちらに気づけ!」
射程範囲ギリギリから撃った弾丸はドスファンゴにダメージは与えられなかったものの注意を引くことに成功。
ドスファンゴはナル達の方に突進してきた。
「ユウカ!この荷車からジャンプ攻撃!やれる?」
「やってみせます!」
ドスファンゴの突撃に合わせてユウカは荷車からジャンプ、上からの攻撃に無防備なドスファンゴは成す統べなくその場に倒れた。
ユウカは乗ることに成功し、ドスファンゴの背中をナイフで滅多刺しにしている。
そしてダウンが取れたところで鬼神化を発動、ナルと教官の掩護射撃を受けながらドスファンゴの腹を切り刻み討伐した。
「二人とも今日は大変だったな!お陰で村は救われたぞ!」
全てのことが終わった頃には夕方になっていた。
「いや~一時はどうなるかと思ったけど、村も無事だし良かった良かった!今日はじゃんじゃん飲ませてもらうよ!」
昨日もじゃんじゃん飲んでいたじゃないかとユウカは心の中でナルにツッコミを入れつつ、温泉で体を癒していた。
温泉の中でも酒を飲んでいるというのに、ナルさんはまだこれから飲むつもりなのかと少し引きぎみのユウカであった。
それにしても、何故ドスファンゴはあんな行動に出たのだろうか?
何かから逃げていたのだろうか?それとも、誰かが村に呼んでいたのだろうか?
原因はわからない。しかし、自分が狩りを続けていけば答えは見つかるとユウカは信じていた。
この異変の元凶が古龍だろうと何であろうと倒せるハンターになると改めて決意した。
キャラ紹介 教官
三十四歳
身長180cm 彫りが深く男前な顔である。
あの伝説のハンターの技術指導もしたという教官の息子。装備は親父から譲り受けた大切なもの。
ハンターとして活躍していたのだが二十四歳の時ドボルベルクとの戦闘で右足を負傷。
日常生活に支障が無いまでに回復したもののハンターとしての道を絶たれた。
その後はハンターの基礎を再度勉強し直し、親の後を継いで教官となった。
今回はヘビィボウガンを使い固定砲台となることでドスファンゴの足止めを行った。
新人ハンターの任命許可証も持っており、ここ出身のハンターは優秀なハンターが多いという事実はあまり知られていない。優秀なハンターを出してくれるからギルドとの仲は良好。