「ふぃ~疲れた~」
現在の時刻は午前十一時、渓流のベースキャンプでユウカとナルは休憩していた。
というのも、今日は朝から突然この近くまでやってきたアオアシラとドスファンゴを同時に相手したからである。
「何かがおかしい!これは面倒なことが起こってるに違いない」
誰でも思い付くことではあるが、ナルの予想は当たっていた。間も無く、ギルドから二人宛に緊急の依頼が届いた。
ドスファンゴとアオアシラが同時出現した元凶がクルペッコと判明、二人はそのままクルペッコの討伐向かってほしいというものだ。
「一度帰ってからじゃまた大型モンスター呼ばれかねないし、さっさと行くっきゃないでしょ!」
ベッドで体力を回復し、こんがり肉でスタミナを回復したナルは、ユウカを連れて再び狩りに出掛けた。
クルペッコを探すこと三分、遂に見つけた。
しかし、見つけるが少々遅かったようだ。
ステージ9のかつて神社の類いだったであろうものの鳥居の上で独特の鳴き声をするクルペッコ、それに釣られて現れたのはドスジャギィだった。
「はぁーもう弾が枯渇しそうなんだけど…」
ナルが溜め息をつきながら残っている通常弾Lv2を装填する。
クルペッコはこちらに気が付いたがそのまま立ち去った。
「取り敢えずドスジャギィの相手は私がするから、ユウカはクルペッコの足止めを!あいつが鳴き始めたら支給された音爆弾を投げるんだよ!」
「はい!」
ユウカが駆け足でクルペッコの後を追い、ドスジャギィがユウカの邪魔をしないようナルがその間に入りボウガンを撃ち始めた。
「ほらほらぁ!HR3は伊達じゃないんだよぉ!」
珍しく本気なナルはドスジャギィを翻弄する。何時にもましてちょこまかと動き相手の攻撃を避けながら、自分の攻撃だけはしっかりと当てていく。
ナルは対アオアシラの余りの火炎弾を装填した。
「さて!これでフィニッシュだよ!」
本日ナルの持ってきたボウガンはヴァルキリーファイア。
二等同時狩猟だったのでドスファンゴをユウカに任せ自分はアオアシラを担当していた。その為、ソロで強いこの武器を選択したのである。最近二人で狩猟しているため中々散弾を使えずうずうずしていたナルは、散弾と火炎弾でアオアシラを仕留めていた。
取り巻きのジャギィもまとめて消し去りたいという気持ちはあったが、散弾は使いきってしまっていた。
そして今、残りの火炎弾を全てドスジャギィにブチ込んだ。
場所は変わってお隣のステージ7
クルペッコとの戦闘を始めたユウカだったが、鬼神化中にモンスターを呼ばれてしまった。
幸い大型ではなくブルファンゴだったのだが、その突進のせいでリズムを崩され、鬼神化出来ずにいた。
オトモのメラさんは大型しか目に入らないのでブルファンゴの処理は自分でやるしかなかったが、そちらに気を取られているとクルペッコが何を仕出かすかわからないのでブルファンゴ除去も思うように進まない。
突進してきたブルファンゴを回避し、背後から双剣で斬り殺した。その隙を見てクルペッコが再び鳴き真似をする。
しかし今度はユウカが音爆弾投げることに成功した。
クルペッコは突然の大音量に驚き、動きが止まった。
この隙を逃すユウカではない。鬼神化し、ガラ空きの懐を猛烈な勢いで斬り続ける。
クルペッコは堪らず空中に逃げ出した。
「しまった、アイツにペイントボールをつけていない!」
そのまま何処かへ移動しようと上空へ昇る最中、一発の弾がクルペッコに命中した。
クルペッコはそれを気にせず逃げていったが、もう慌てる心配は無くなった。
「ごめーん!遅れちゃったわ!」
片手を顔の前に出しメンゴメンゴと言いながら謝りつつ近寄ってくるナル。遅れはしたものの、良いところでペイント弾を当ててくれた。
「クルペッコは滝の方に向かってるよ!」
二人は後を追い掛けてステージ6に移動した。
ナルに残されたのは通常弾Lv1のみ。ナルはクルペッコの火打ち石を狙い撃ちしている。そのほとんどが狙い通り火打ち石に直撃する。
そして、火打ち石のより下に位置する足周りでは、ユウカが双剣でクルペッコの下半身全体を斬り続けている。
足周りをグルグル回りながら攻撃しているユウカが、クルペッコの目の前に来た瞬間、クルペッコは予備動作無しの突進を仕掛けるのだが、狩りに集中しているユウカは回転してそれを回避する。
そしてナルの狙い撃ちでついに火打ち石の一部が破損した。その瞬間クルペッコの意識は火打ち石の方に全て向けられてしまった。ユウカはその隙を見逃さず素早く左足だけを集中攻撃し、クルペッコをダウンさせた。
ダウンしたクルペッコは羽や足をバタつかせるが、ユウカは後ろに回り込んで無防備な背中を斬り始める。
ナルは顔面にひたすら弾を撃ち込み続けていた。
三十秒後、やっとの思いでクルペッコは起き上がり、そのまま飛び立った。
「うわ!ちょっと遠いところだね…アイツが最初にいたところまで行くよ!」
ナルは弾を装填してエリア9へ向かった。
「げげっ!」
エリア9には新しいドスジャギィが子分のジャギィを三匹連れて待ち構えていた。
しかし視点を少しずらすと、鳥居のようなものの上でクルペッコが寝ているのが見えた。
「アイツ、寝る前にドスジャギィを呼んだな…なんて賢いんだ!」
「ナルさん!クルペッコのいる場所は私じゃ攻撃できない!通常弾で攻撃してください!」
「もっちろーん!ドスジャギィの方は引き付けといてよ!」
ナルはジャギィを掻い潜りながらクルペッコを狙える場所に移動。一発目の通常弾がクルペッコに当たると目を覚ました。そして起き上がりこちらに気づくまでに合計八発の通常弾を当てることに成功した。
「クルペッコがまた逃げてくよ!」
大分クルペッコも弱っている。次の一撃が決定打になってもおかしくない程にはボロボロであり、それ故ここから遠いエリア2まで一気に逃げ出した。
クルペッコを早く追いたいが、ドスジャギィは始末しとかないと不味いと考えるナルの気持ちを察したオトモルガーが、シビレ罠を設置しドスジャギィをはめることに成功した。
ドスジャギィはオトモ二匹の攻撃とハンター二人の総攻撃に合い見るも無惨な死骸へとあっという間に様変わりしてしまった。
「よし!急いで追うよ!」
この時既に午後一時、こんがり肉ひとつしか口にしていない二人には流石に疲労の色が濃い。
二人がエリア2に辿り着いたときにはクルペッコが何らかの鳴き真似をしていた。
ナルはすかさずライトボウガンを構え、鳴き袋を狙撃。
クルペッコの鳴き真似を止めたと思われるが、はっきりとはわからない程度には辺り一体に鳴き声が響いてしまった。
クルペッコは低空飛行をし、嘔吐物のような塊を二人目掛けて吐き出す。
「これに当たるとちょっち大変だから当たんないでよ!」
「はい!」
驚くことに、ユウカは迫り来る嘔吐物の球を避けながらクルペッコに急速に接近していった。
「トドメだぁ!」
ユウカは渾身の力で地面を蹴り、ジャンプした。
そして、最高点まで到達すると双剣をクルペッコの腹部目掛けて振り下ろした。
この一撃が本当にトドメとなり、クルペッコは絶命した。
「いや~お疲れさん!今日は随分と長いこと戦ったし、早く村に戻って一杯飲ませて貰うよ!」
「ナルさんいつも飲んでるじゃないですか~」
ユウカはナルの話に笑いながらクルペッコの剥ぎ取りを終え、迎えの荷車に乗って村に帰る。
「それにしても、クルペッコが最後鳴き真似してましたけどあれは何の鳴き真似何ですかね?」
「もしかしたらナルガクルガかもね~、ただあそこに現れなかったし大丈夫だとは思うよ。一応村に戻ったらギルドの人に報告はしとくけどね~」
そこまでナルが話していると、相槌を打つ声すら聞こえなくなったのでユウカを見てみた。帰りの荷車の上でユウカは眠ってしまっていた。
「才能がすごくて忘れてたけど、この子まだまだ新米なんだよね~こんだけ連続で狩ってればそりゃ疲れますか~」
ナルは村につくまでユウカをそっと寝かせておいた。
そして村に帰ると今日もナルは飲むのであった。
キャラ紹介 ルガー
ナルのオトモアイルー
全身真っ黒の毛並み
小賢しい性格でモンスターの注意を引き付けようとナルとは別方向から攻撃を仕掛けるのだが、ナルの存在感が強すぎてあまり効果を感じられないのが悩み。近接攻撃と爆弾を使った攻撃で主に大型モンスターを狙う。