モンスターハンター ~ユクモ村新たな伝説~   作:ゆーこー

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飛竜の卵を運べ

「孤島で飛竜の卵の五個の運搬クエストですか?」

 

クエストカウンターにはユウカとナル、そしてデニスの姿があった。

 

 

「はい!何でも某国の上級貴族様が病気になってしまったらしく、栄養のあるものを必要としているらしいんです」

下位クエストを担当する受付嬢も少々困った顔をしながら説明をしている。

「本当はこんなことに貴重なハンターさんのお時間を使いたくはないのですが、ギルドとしても、ユクモ村としても外国との貿易を少しでも有利にしようと考えてるらしいんです。なので皆さんにお願いしたいのですが…」

 

「私はいいですよ!ユクモ村の為ならなんだってします!」

「あたしゃひとつくらい多めに取ってきてそいつを食べさせてもらえりゃいいかな~?酒に合うからね」

「へへ、女二人だけで行かせるわけにはいかないぜ。俺も行くぞ!」

 

「皆さんありがとうございます!私感激です!それでは、お願いしますね!」

 

 

 

 

 

「まさかこんなに早く一緒に狩りをする日が来るとはな」

「そうですね、私ナルさん以外の人との狩り初めてなのでちょっとドキドキしてます!」

ガーグァの荷車に乗った三人は、ハコビールと呼ばれる飲むと運搬が楽になる不思議なビールを飲み、お互いの狩ってきたモンスターについての話題になった。ナルが最初に話す人になった。

 

「あたしはやっぱナルガクルガかな~ここに派遣される前結構狩る場面あって、お陰でこのフル装備だしね~」

「ナル、ナルガクルガを一人で狩ってたのか?」

「うん。まあこれでもHR3だしね~」

「そ、そうなのか」

 

デニスは驚いていた。自分より一世代若い女性が自分よりHRが高く、自分では到底倒せないナルガクルガを倒しているのだから。

 

「ユウカちゃんはどのモンスターが一番印象的なんだい?」

「私は……やっぱギギネブラですかね…あんなに怖い思いしたのは生まれて初めてでしたよ……」

「あぁギギネブラね、確かにあいつの毒は強力だし大変だよな」

「ユウカったら捕食されかけてさ~お陰でユクモ装備はボロボロで、今は私のお古のハンター装備を貸してるの」

「ほ、捕食されかけたのか…それは大変だったな」

デニスもギギネブラはHR昇格を賭けて戦ったことのある相手だったが、捕食行為に合ったことはなく、回りでもギギネブラに捕食されて帰ってきた者を聞いたことが無く驚かされた。

 

「デニスさんはどのモンスターですか?」

 

「俺は…クルペッコだな」

「クルペッコか~確かに印象に残るよね~あの何でもありな感じの鳴き声とか今でも嫌だよー」

「そ、そうだよな!」

 

デニスに取っては今でも行きたくないような相手であり、嫌なんてレベルではない。ユウカの方もそうですね~と軽く同意している。デニスは悟った。二人は自分なんかより遥かに格上だと。

 

 

 

 

 

 

孤島に着き、三人は飛竜の巣に向かった。

最初は三人で卵をひとつずつ持っていき、ジャギィ等に追いかけられながら納品した。

 

続いて、二個の卵をナルとデニスが運び、ユウカは群がるジャギィやブナハブラを倒しながらキャンプに向かっていった。

 

 

「あれ?」

拠点のキャンプに繋がる道が大きな岩で塞がれていた。

何かの気配を感じたユウカが後ろを振り向くと、口から炎が漏れだし、低空を滑空している暗い緑色の飛竜が接近していた。

 

「ナルさんデニスさん避けて!」

 

二人は急いで横に走り、滑空してきたリオレイアを避けることができた。

 

「あっちの道はまだ塞がれてないようだ!ユウカちゃん悪いがそいつの足止めを頼む!」

「任せて下さい!」

ユウカは双剣を手に取り、リオレイアとの戦闘体制に入った。

二人はジャギィ達の巣を通る危険な迂回ルートを通って拠点を目指した。

 

「ユウカ~リオレイアは炎も吐くしサマーソルトって呼ばれてる一回転して尻尾の毒を喰らう技もあるから気をつけてね!」

 

「はい!」

 

ナルとデニスは走って避難した。そちらには行かせないぞとリオレイアの前にユウカが立ち塞がった。

 

リオレイアは地面に降り、突進してきた。

いつもなら回避行動を取るのだが、後ろにはまだデニスとナルの姿が見え、回避したらそのまま二人の元に行かせてしまう。

ユウカは咄嗟に突進してくるリオレイアに向かって走りだし、リオレイアの顔の手前でスライディングをして懐に忍び込み、双剣を足に斬りつけた。

双剣は深く入った為リオレイアは転倒した。

 

 

狩猟依頼の出ていない大型モンスターを討伐することはあまり望ましくない。

生態系を崩す可能性もある他、違法な狩猟が多発するからだ。特にギルドに登録されていない者の違法な狩猟はギルドナイトと呼ばれる一種の特殊部隊により暗殺される。

これはハンターとなる者なら必ず習うことであり、ユウカも当然認知している。故にリオレイアの足止めはしても討伐はしない。以前、ナルがギギネブラと遭遇した時はギルドに連絡して許可を得ていたから問題無いのだが、ユウカは手紙のように細かいことまで連絡出来る類いの物は持ち合わせていない。

 

上位のハンターとなるとある程度権限を与えられ事後報告で良いのだが、下位のハンターで日も浅いユウカにはそんな権限はないのである。

 

 

転倒したリオレイアの背中に乗り、剥ぎ取り用のナイフで背中を刺す。

リオレイアは体を回転させたり抵抗するのだが、効果的に背中からユウカを引き剥がす術が無かった。

リオレイアが悔しさと苦しさで大きな咆哮を上げた。

ユウカは堪らず耳を塞ぎ、咆哮が止むのを待った。止んだならば直ぐ様攻撃を再開、間も無くリオレイアは再び地面に横倒れになった。

 

 

ユウカは十分な時間稼ぎが出来たと判断しこの場を離れようとしたのだが、空から火の玉が飛んできて事態が悪化した。

このリオレイアの夫であろうリオレウスが、妻の咆哮を聞きつけやって来たのだ。

 

 

倒れていたリオレイアも起き上がり、空はリオレウス、陸はリオレイアに制圧せれてしまった。

最早ただの下位ハンターでは命など無いレベルである。

 

ユウカは空からの火の玉を回避しながら陸からの火の玉も回避した。

空からリオレウスが滑空して襲ってきたのを避ければ、間髪入れずに陸からリオレイアが火の玉やブレスで追撃してきた。

回避に専念することで無傷のユウカだったが、さすがに疲れが見えてきた。

 

ジリジリと追い詰められ、断崖絶壁の岩山に背中が着いた。この岩山の頂上には丁度リオ夫婦の巣がある。

リオ夫婦が口の中で炎を吐く用意をしている。絶体絶命、万事休すである。

 

「うおぉぉぉぉ!」

リオレウスより遥かに高い場所から男の雄叫びが聞こえた次の瞬間、リオレウスの左翼を支える骨を大剣が斬り裂いた。

 

「ユウカちゃん!逃げるぞ!」

「デニスさん!ありがとうございます!」

 

二人はリオレイアから全速力で逃げ出した。

リオレウスは左翼が動かなくなりそれなりに高い高度から落下したこともあり未だに地面で喘ぎ悶えていた。

「ところでナルさんは?」

「囮になっている!」

 

デニスが指を指したのは先程まで自分達がいた方向でそこには後から降りてきたナルが飛竜の卵を抱えていた。

 

「っしゃぁーーー!卵泥棒だぞ奥さぁん!!狙うならこっちだぁ!」

 

 

リオレイアはカンカンになり、ナルに向かって突進してきた。

ナルはそれを避けて卵を割って中身を空の樽に入れると逃亡した。

 

「へへーん!自分の分ゲット~さあ二人供全速力で逃げるぞぉぉぉ!」

 

 

後に残されたリオ夫婦は可哀想なものであった。

旦那は翼の負傷で巣まで戻れず回復するまで一週間はかかり、大切な卵を合計六個も持っていかれたのだ。

リオレイアも若干ではあるが脚を負傷し、夫婦は共に最も得意とする舞台での必要不可欠な部位を傷付けられたのだ。

 

 

 

 

 

一方ハンター三人は楽しそうなものだ。

 

 

帰りの荷車でもナルはご機嫌だった。

「いや~依頼は無事クリア。おまけにしっかり自分の分の卵をゲット出来たしあたしゃ無問題だよ。今夜の酒が楽しみだ~」

「折角だし皆で一緒に飲もうぜ?」

「えっ私はまだ未成年ですしお酒は控えときます…」

未成年の飲酒は禁止されていないが、体に何かしら害があるのを知っているので積極的に飲む子供は少ない。ハコビールは狩り用に調節されているので例外である。

 

「ジュースでもいいからよ、な?」

 

「じゃあ少しだけなら……」

デニスの押しに負けて今日はユウカも酒場に行くことになった。

 

 

 




キャラクター紹介
某国上級貴族

ユクモ村とは貿易関係にある世界から見た中堅国。
比較的モンスターの少ない地域にある国で、安定した農作物の輸出やサービス業が盛ん。ハンターの用な職業はあまり必要とされていない。
その為栄養価のずば抜けて高いモンスター由来の希少な素材が出回ることはまず無い。
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