味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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前回の反省踏まえて書こう!→書けた。疲れた。もう書けないからモンハンやる→やっべ、5日遅れてる……書かなきゃ→あれ、見直すつもりだったのに、次から次へと書き足す内容が増えてきた……→完成。文字数も増えた→(゜∀。)

大学の時、書いた文章は一旦寝かせてから再度見直すと良いって言われた経験がこんな形で発揮した……どうしてこうなった。


ロマンシング馬鹿 上

 グリフィン開発室―――

 そこで何かトントンと叩いたり、ジリジリと何か焼く様な臭いが漂う中で働き続ける人物がいた。

 

「……よし、調整はこの辺りで大丈夫だな」

「ザックさん、これは何処に置けば良いんでしょうか?」

「その辺に置いといてくれ。それもまたすぐに使うからな」

「分かりました」

 

 ザックと呼ばれた彼……即ちアイザックの指示に従って金属のパーツを運ぶカリーナ。カリーナだけじゃなく鉄血人形達や手の空いてる戦術人形、果てにはヘリアンがその様子を観察していたりと結構な大人数がここに集まっていた。グレイ達は任務に出掛けているが、早く終わり次第そっちに向かうとの事だそうだ。

 

「しかし……こんなの集めてどうするんですか?もう壊れて使い物にならないとは思いますけど……」

「確かに起動部分をやられてしまえば使い物にはならん。だが、それぞれのパーツは修理次第で新品同然の強度に戻せる事が出来る。壊れたからと言って捨てるのは素人の甘い考えだ」

 

 そう呟く彼の後ろには大量の機械がゴロゴロと転がっていた。よく見ると、その機械の殆どの部分に鉄血のマークが残されている。ザックが集めているという機械は大半が鉄血工造で作られた大型兵器の残骸だったのだ。

 イージス、ニーマム、マンティコア等の残骸を集め、それを使って何かを作ろうとしていた。その回収の為に鉄血兵やエージェントを使って怪しまれない様に回収を頼んだらしい。

 

「随分と手慣れた様子ですね……」

「まあな。オッサンだが、これでも機械には強くてな。その他にも独学で学んでは自己流の改造なんかもした経験があるからお手の物だ」

「一体何処でその技術とかを学んだんですか?」

「鉄血工造」

 

 鉄血工造という言葉が出た時、その場に居た全員が一斉にザックの方へと見た。まさか彼が鉄血と深く関わっていたとは思わず、混乱したり、警戒しては銃を取り出す戦術人形も居たりしたのだが……。

 

「待て待て、最後まで話を聞けって。確かに鉄血工造と聞けば警戒するのはもっともだが、基本的に俺は前線で戦うとかそういうのじゃない。あくまで人形の製造とか銃とかの兵器開発の担当をしていただけだよ」

「ならば、何故その事を言わなかった?」

「オッサンの事情を聞いて何になる?言う機会なんて早々無いかと思っていたし、言うとか言わないとか以前に蝶事件が始まる3年前に俺は鉄血を辞めていたんだ。実際、鉄血で働いたのは5年だったが……訳あって辞めたんだ。だから、言う程警戒される要素はほぼ無い。機密情報とか持ち込む云々よりかは自分からバーンと出て行った位だし」

 

 キッと睨まれながらもヘリアンに質問を投げ掛けられたが、ザックは淡々と返す。整備士みたいな立場に置かれた彼が3年前に辞めていたというのならば、わざわざ鉄血に情報を売る様な真似事は無いに等しい。そうなると裏切り行為は絶対に無いと言い切れたのか、ヘリアンは警戒を解いたのだが……。

 

「ならば、何故お前はグリフィンに入った?グリフィンに入る前、グレイ達と同行していたのと何か関係があったのか?」

「そんなんじゃありませんよヘリアン殿。俺は自分のしたかった事が出来ない事にイラついて鉄血を出て行ったんですよ。言うならばガキみたいな発想です。出て行った後、3年は自分の独学で色んなモノを作ってて……その際に彼等と会ったんです」

 

 あの日、忘れもしなかった思い出が頭の中で再生されていく―――

 

 

 

 

 

 ザック・アルバード……それが鉄血工造で働いていた時の名前だった。彼は元から機械とかの類いに興味を持っていて、機械に関わりのある学校で技術を学んだ。学校卒業後はすぐに働き口を探し、とりあえず金が無ければ生きていけない他に、男のロマンとかそういうのを作れれば良いなと淡い期待を抱いていた。

 そんな彼の心を突き動かしたのはゲームやアニメと言った面々の方で、特にロボット関係とかを見ると結構興奮するタイプだった。合体、変形、多重ミサイル、レーザーブレード……とにかく、男のロマンを見せ付けられた以上、こういう企業に就いてみたいと思っていた位だった。

 流石に変態企業とかはちょっとだけ勘弁願いたかったが、少しでも機械の製造とかに慣れようとしたのが鉄血工造だった。彼はそこで試験を受け、面接も無事に通って合格した。

 

 当初、初めて入った時にはイージスとかの大型兵器を作っているという情報も耳に入っていて、何時しかそれっぽい物を作ろうと必死になって努力した。しかし、まだ入社したばかりの存在なので最初は鉄血人形の製造とか銃とかの簡易兵器の開発、搬送ルートの確認など低い立場で仕事をやり続けていた。

 まあ、最初だから仕方ないし、こればかりはしょうがないと自分で納得しながらも着実に仕事をこなしていた。何時しか自分も大型機械の担当とかに選ばれるかもしれないのだから、地道に努力しようとひたすら頑張っていた。そう、頑張っていたのだが……。

 

「俺……こんな所で何してたんだっけ……?」

 

 その変化が起きたのは入社して5年後の事だった。あれだけ長年を経て働いているのにも関わらず、一向に地位が上がらない。それ所か、ますます鉄血人形の製造とかに追われる毎日が続いていた。

 そんな5年経ったのにも関わらず、彼の階級が一つも上がらないままが続いた。勿論、上司から直接階級が上がったなんて話もまだ言われてない。一体何時になったらこんな日が続くのか。来る日も来る日も同じ作業の繰り返しにザックはイライラし、ストレスもかなり堪って来ていた。これまで俺は何をしていたんだと自問自答してはその答えを求める位に精神的に参っており、最早廃人同然の状況に追い込まれていた。そして、ついに……。

 

「クソッ!!こんな仕事やってられるか!!俺はもう辞めるぞ!!」

 

 ついに耐え切れなくなったのか、辞職届をビターン!!と投げ付けて彼は鉄血工造を後にしたという。

 唐突でダイナミックな辞職にこれには働いていた全員がポカーンとなっていたそうだ。もう自分の夢さえ叶えられないと悟ったザックはいっその事自分でその夢を叶えてやると決意。5年も続けた結果なのか、彼の夢を叶える為の貯蓄は十分にあり、3年間ずっと自分の部屋で数々の魔改造兵器を開発したらしいとの事だった。

 ちなみに、彼が出て行ったあの後、本当ならばそろそろ彼を大型兵器担当のグループの一人にしようと話し合っていたらしいのだが、話を切り出す前にザックが辞めてしまい、これまで彼のお陰でスムーズに進んでいた鉄血工造も彼が居なくなった後かなり忙しくなり、彼の心情を察して出来なかった事や出て行ってしまった事を激しく悔いていたとの事だった。

 また改めて来てくれないか?と誘っても、「自分で作るわバカヤロー!」の一点張りだったしく、鉄血工造も彼を再スカウトするのは諦めてしまったという事らしい。そして、その3年後……あの事件が起きたのであった。当然、その蝶事件が起きたのはこの時ザックは知らないままでいたのだ。

 

「今思えば本当にガキっぽい事をしたなと思ってる。それだけの理由で一体どれだけの人達に迷惑掛けたのか……今でも凄い後悔している」

「凄いアグレッシブに動いたんですね……」

「グレイ達と出会ったのはその時だった。丁度近場で彼等が泊まる所を探していたそうだったから、ついでに泊めてやったのが始まりだ。その時はそろそろ貯まっていた金も尽きそうだったし、何か新しい技術があれば学びたいなんて考えもあったからそれに同行してたんだが……鉄血が暴走を始めたなんて聞いたのはその時だ。あの時は45と40の二人を助けるのに精一杯だったが、後々になって考えたら俺が辞めた仕事場も当然アイツ等に殺されたんだと実感が沸いてな……」

 

 自分も鉄血側の人間だったのにな……と寂しそうに呟くかれを見て、全員は気まずくなっていた。特にヘリアンは先程彼を警戒していたという理由もあってか、少々申し訳無さそうな気分になりつつあった。

 

「……すまない、聞くべき話ではなかったな」

「いや、気にしないでくれ。結局の所、俺は逃げ出したんだ。あんな事があっておきながらも俺はまだグリフィンでのうのうと生きている。仲間の敵討ちすら取らないまま逃げ続けている卑怯者だ。いい加減現実と直視しないといけないんだ」

 

 後始末は自分でしなければならない。元鉄血工造の一人として、人間として。彼の心境に全員は黙るしか無かった。誰も彼を責める事は出来ないし、彼がそうしなければいけないのだからと自ら動いている限り、彼に余計な事はさせたくないから。

 

 

 

 

 

 エージェントから鉄血の基地を聞き出し、その基地の元へと訪れたグレイ達。とは言え、あのドリーマーが一枚噛んでいそうな予感はしているので、警戒を怠らずにやっていたのだが……。

 

「人の気配すら無いのは不気味だな……」

「既にここから離れたのか、或いは待ち構えているか……怪しさ満載って所は変わりないがな」

 

 グレイ達が来た時には鉄血が居る気配1つすら感じなかったという。物音も何も立たず、文字通り不気味な位に静まっていた様子には流石に警戒しない方がおかしかった。絶対何か仕掛けてあるんじゃないかと予測しながら。

 とりあえず入ってみようとグレイが先に入ろうとした。念の為、大きな爆発とか起きても困るので、出来るだけ遠くに離れて隠れて欲しいと言った後に突入した。

 

「ふふふ……さあ、いらっしゃい……。」

 

 そんな彼等の様子を監視カメラから覗いていたドリーマー。ドリーマーは放棄した基地からはまた別の拠点で彼等の動きを観察していたが、彼等を陥れてやろうと多くの罠を仕掛けていた。その罠にはアルケミストも関わっていて、アルケミストもまた彼等の様子をドリーマーと一緒にニヤけながら見ていた。獲物が捕まる瞬間を今か今かと楽しみにしながら。しかし、彼女達は彼等がその程度で終わる人間ではない事をこの後知る事になる……。

 

「ん?あ、ヤベっ」

 

 グレイが入った直後、何か引っ掛かった様な感覚が足に伝わり、直後に察したグレイは咄嗟に盾を構えてバック宙でジャンプした。触れた途端に爆発が起き、爆発が連鎖しながらもグレイの姿が見えなくなってしまう。相当な量の火薬が仕込まれてあったのか、かなり多くの爆発がいきなりのお出迎えでやって来る。これを見て引っ掛かったと大笑いするドリーマーとアルケミスト。

 

「アハハハハハ!ただ前だけ警戒してれば良いと思ってたのが裏目に出たわね!これだから人間は愚かで面白いわ!」

「グリフィンの指揮官サマがこんな簡単な罠で死ぬとは、滑稽なものだな。だが、これで少しでもダメージを与えた筈―――」

『危ねー……ボムホバー覚えてなかったら死んでたわ』

「「!?」」

 

 だが、モニターからはグレイの声が聞こえた。煙が晴れると、そこには無傷のままケロッとしているグレイの姿が見えていた。もう見慣れたのか「ですよねー」と納得する戦術人形達であったが、鉄血側の人形からしたら人間かどうかさえ疑わしい光景だった。

 

「な、何故だ……あの爆発では並の人間では確実に死ぬ筈……なのに、何故生きているんだ!?」

「爆発の中心点からは逃げられない状況だというのに、あれで無傷なんて……!」

『うん、知ってたわ。こうなるだろうと思ってたわ』

『あの爆発で何で指揮官生きてるの……本当に人間なの……?』

『この俺が鉄血の爆発くらいで死ぬと思っているのか?』

『滅相もございません』

 

 やってるやり取りがもう伝説の超サイヤ人みたいなノリになっていた。実際に強いと言えば強いのだが、ボマーに比べたらまだまだだと言っていた。比較する例えがおかしいとUMP45からツッコミを喰らった。実際あっちもあっちで爆弾を利用してポンポンと素早くジャンプするのだが、あれも割とおかしいと誰もが思うだろう。まだ普通に生きてる彼等を見ては悔しそうにするドリーマー達。

 

「くっ……化物め……!」

『俺が化物……?違う、俺は悪魔だぁ……!』

「コイツ、こっちを見ながら話してやがる!?」

『指揮官、何言ってるの?』

『や、何かえらく悪い事を言われた様な気がして』

 

 監視カメラを見てニヤリと笑った彼。コイツに会ったら最後、命が幾つあってもおかしくないと危惧したドリーマー達。それでも、やられっぱなしで終われない。まだ基地の奥地には様々な罠が仕掛けられているので、誘き寄せながら随時罠を作動させれば良い。1回のダメージで大怪我を負わせれば有利に進む筈だとドリーマーは信じ込んでいた。

 

 一方、グレイはずっと立ち止まるのも何なのでその奥へと進もうとした。念の為、まだ罠が仕掛けられてもおかしくないので、対抗策としてあるモノを取り出した。それは漆黒に輝く鎧で、かなりの重量があった。グレイはこれを難なく着こなし、身に纏いながらもガシャガシャと走り続け、行った先々で仕掛けてあった罠をわざと強引に作動させた。時には爆発、時には銃弾の嵐。しかし、どんなに罠を作動してもピンピンしており、果てには鎧を着込んだまま避けるなんて芸当もするので、ドリーマーは頭が痛くなりそうになった。

 

『流石タートナックの鎧!傷一つすら無いぜ!』

『あれだけ重たいモノを着ながら良く動けるな……ガシャガシャうるせーし』

『んな事言ったら、世界のハンターさんだって同じ事やってるわ。これくらいは基本中の基本だろ?』

『え、ハンター?鉄血の?』

『違う、モンスターを狩る方のハンター。あの人達、爆発に巻き込まれようが、雷を纏った一撃を喰らおうが、まだ生きてる限り普通にスクッと起き上がるけど』

『何それ怖い』

「それは人間なのか!?」

 

 ついにアルケミストからもツッコミが入った。とばっちりを受けたのか、ハンター間違いされた鉄血の固有型戦術人形とされる「ハンター(別名:狩人)」も「え?え?」みたいな顔をしながら反応していた。

 

 グレイの方ではまだ先へと進んでいたものの、やはりというべきか続け様に爆発とかが起きた影響により、周囲にあった機材とかも爆発によって巻き込まれたのが多数あった。こりゃ迂闊に進まない方が良かったかもなぁ……と後悔していたが、どのみちフェイク情報なので壊しても問題無かったが、機械がまだ作動していたら逆探知も可能だったりしたのだが、何にせよこれで機械から情報を得る事は出来なくなった。

 

「今の爆発で機械全部お釈迦か……本当に大丈夫なのか?」

「どうせドリーマーという奴の事だ。また偽の情報を入れて混乱させようとしてるに違いない。姑息な真似を……」

「どーするの?手掛かり無しで探しても徒労に終わるぞ。ここは一旦立て直すか?」

「そうだな……所で、ザックは何してんの?」

 

 振り返れば、ザックが何か探している様子だった。彼が見ているものは山積みとなった段ボールを一枚ずつ見ていたらしいのだが、妙な事をしているなと誰もが気になっていた。

 すると、何かに気付いたのかザックは張られていたモノを何枚もベリッと剥がし、それを集めていた。

 

「自分なりに手掛かりを集めていたんだが、どうやら見つかったらしくてな」

「嘘!?というか、そんな近場に!?」

「ああ。だが、その前にこれを壊しておこう」

 

 ザックはプラズマカッターを取り出しては監視カメラに向けて放った。ここまでやっているのだから、どうせカメラでこれまでの様子を見ていたのだろうと考えたザックは急いでカメラを壊し回った。ザックのやっている行動に納得したのか、同じくグレイ達も急いで壊し始め、1分も経たない内に全ての監視カメラを破壊した。

 

「これを話しても見られてる可能性があるからな……場所を変えるぞ」

 

 誰も居ない基地を装いながらも、爆破するタイミングさえ窺っていたのだ。離れたのはある意味正解だと言えるが。

 ザックの言う通りに従い、まずは一度グリフィンに戻ってからその手掛かりというのを見せて貰う事にした。

 

「で、その手掛かりって何よ?」

「これだ」

 

 サッと見せた数枚の何かはグレイ達も一度は見た事のあるモノだった。

 

「これって……配達の伝票?」

「ああ。そもそもおかしいとは思わないか?物資や弾薬は使い切ってしまえば完全に絶望的な状況に近くなるのは確かな筈だ。それなのに、長く戦いが続いているのにも関わらず、未だに鉄血達が動いている。そんな鉄血達が一体何処から物資や弾薬とかを補給出来てると思うんだ?」

「言われてみれば……おかしいな」

 

 最低限思い当たるとするならば、略奪とかその辺りだろう。或いは、鉄血のAIが全ての鉄血兵に向けて大量に作れと命令されてもおかしく無かった。

 

「そうなると、考えられるのは生産プラントとかその辺りになる。だが、激化する戦争にはまだ大量に使う必要もある。量産するに限ってもそれを補う為に確保する必要もあるから、それを運ぶルートも必要になるのは道理だ。だが、どうやって運ぶ?わざわざ足でやるのか?或いは車か?」

「いや、車は多分出来ないって訳じゃ無いだろう。もしかしたら運転技能あるかもしれないし。ただ、安全策となると……偽名を使って運ばせた方が安定かもな」

「そういう事だ。で、俺が怪しいと思ったこの伝票だが……これは地図を見せた方が早いかもしれないな」

 

 モニターに地図を見せるザック。その地図は先程訪れた鉄血の基地周辺の地図であったのだが……。

 

「この伝票を見た時、まさかと思ったんだ。そして、地図と照らし合わせたら……思った通り、搬入から基地までの輸出ルートを割り出せたんだ。さっき言った通り、名前とかは偽名だし、届け先の住所もバラつきが大きかったが、大雑把に割り出すには十分だ。少なくともアイツ等が逃げた先はこの周辺までだと思う」

 

 該当する範囲を円形で示す。丁度、鉄血達が放置した基地から生産プラントまでの範囲まで行き届いていたらしく、恐らく逃げた先はそのプラントに近い部分だと思われる。距離はそんな遠くはなく、数十分で行ける範囲だ。

 

「グレイ、ガーディアンを使って周辺の索敵とか出来るか?」

「任せろ。怪しい箇所は念入りに撮影とかしておくからな」

「助かる」

 

 予めガーディアンで偵察させ、1体でも鉄血兵を発見した後、その動きを観察すれば、次第に逃げ込んだ先の場所も割り出せるかもしれない。だが、相手もそう簡単な間抜けではないだろう。いずれグリフィンの動きを察知して何かを仕掛けて来る可能性もある。せめて割り出せた所までは気付かれないでいて欲しいが。

 

「あの紙一枚で探り出せたのは凄いな。それも鉄血の経験だからか?」

「言ってしまえばそうなるな。まさか仕事で学んだ知識がこんな所で活かされるなんて思いもしなかったよ」

「これからどうする?見つけ次第お前も出撃するのか?」

「ああ。それに……俺にしか出来ない事をしなくちゃいけないんでね」

 

 もし、ドリーマー達が逃げた先があの場所だったら……その時は一人でもしなくてはいけない。過去と向き合う彼はもう逃げないと誓った。

 だから、出し惜しみは一切しないつもりだ。これまで培った経験を死んで逝った仲間達の為に披露する時が一刻も早く迫ろうとしていた。




元ネタ解説。

・ボムホバー
ゼルダの伝説 時のオカリナ及びムジュラの仮面でのTAS及びRTA必須テクニック。爆発のタイミングを見極め、バック宙をしながら盾を構えると何故か浮くというバグ技。これによって本来必須のアイテムやイベントをすっ飛ばし、攻略出来るという異様な形でゲームを進行する事が可能となった。ただし、ボムやボムチュウ持ってる個数がある限り続く。

・この俺が鉄血の爆発くらいで死ぬと思っているのか?
ドラゴンボールに登場するブロリーの台詞。「俺は悪魔だ」も同じくそれ。ちなみに滅相もございませんはパラガスの方から。元は映画の「燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」から。内容については実際に見て貰った方が早いと思う。

・タートナックの鎧
ゼルダシリーズにおける鎧が特徴的な中ボス。どのシリーズにおけても背中から攻撃しないとダメージが通らなかったり、兜割りからの連続攻撃すれば何とかいけたりとする彼だが、真正面から攻撃しても全て弾かれる。例え爆弾矢とかでも普通に防ぐ。グレイがこれを着ながら行ったのはその耐久というか、普通に耐えれる強さがあったから。

・モンスターを狩る方のハンター
簡単に言うと、モンスターハンターのハンターの事を示す。考えてみればハンターも割りと人間辞めてる。リオレウスから火球を喰らおうが、ジンオウガから電撃を喰らおうが、大タル爆弾Gで吹き飛ばされようが、HPが残ってる限り普通に起き上がれるヤバい人。防具無しでも普通に1回は絶対耐えてる……筈。流石にG級とかだと話が違って来るが。モンスターの殆どの攻撃を「ぐあぁ!」とか言うだけで済んでるが、普通の人間だと一発で死ぬ。ハンターェ……。

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