味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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ちょっと別枠で投稿し続けたから、こっちの感覚薄くなってしまった。申し訳無い。
流石に1週間以上経ったら謝らないといけない性質なんで……長年やってるついでに仕事もやってるから、言うまでもなく身体が死んでまう。ヤベーわ。

つくづく読み返すと同じ展開ばっかり続いてるなと思う。本当に申し訳無い。
でも、早い段階で過去とか書いておかないと後々で忘れたりとかキャラ個別でのエピソードとか書いたりする予定とかするから、なるべくそうしておきたかったのよね。


ロマンシング馬鹿 中

 グレイによるドローンでの調査で数日経過した後、いよいよドリーマーが逃げたという場所を見つけた。直ちに全員を会議室に集まらせ、今回の作戦について話し合う。

 

「それでは作戦会議を始める。とは言っても、至って簡単な内容だ。先日調査を出させたドローンの情報からドリーマーの潜伏場所を割り出せた。地図で見る限りだと丁度生産プラントから近場にある事というのは大体予想が付いてただろうな」

「今回の作戦は敵基地の破壊や鉄血の捕獲。捕まえた後、何時も通りボルテージロッドでアヘらせて正気に戻してくれ」

「ついに卑猥な言葉が出ても戸惑ったりする様子が無くなったわね……」

 

 あんまり現実を直視したくないHK416。あの方法が世界を救う手段の一つだと思いたくても認めたくない気持ちがいっぱいだった。

 実際その気持ちは分からない訳でも無い。よく「バカは世界を救う」だの「エロが世界を救う」だの一部の層ではそんな表現展開もあったと言えばあるのだが、実現させたのはこれが何気に初である。

 しかし、先日にケンジとエージェントが鉄血達に巻き込まれた際には身動きが取れないという理由もあってか、先にケンジが一方的に全滅させたという事もあってか、殺された鉄血兵を回収して今後どう使うかはザックに任せる事にはしていた。

 

「それにしても……今日ザックさんが居ませんね……」

「トイレでも行ってんじゃないのか?」

 

 だが、そのザックが今居ない状況のまま会議が続いていた。ちょっとだけ不安になったカトレアとトイレに行ったんじゃね?とトンプソンはそう思い込んでいた。

 

「逃げられた場合はどうする?」

「地獄の果てまで追い駆ける。或いは何とか追い着けるまで追い駆ける。どんな方法使ってでも」

「流石、良く分かってるね~しきか~ん♪」

「その追い駆ける方法が何処ぞの桃白白だったらどうするんだよ?」

「わぁ~……何時も通りで素敵ね~しきか~ん……(白目)」

 

 丸太1本で空を飛ぶ指揮官―――考えただけでも凄いシュールな光景しか浮かばないし、それで襲い掛かるとなると余計ホラーが増す。

 敵対しなくて良かった……とこの場に居る全員が誰もが思うだろう。あのUMP45でさえそう言えばそうだった……と目のハイライトが消えて「言わなきゃ良かった……」と思ってた位だ。

 とりあえず、話を戻そうとヘリアンが軽く咳払いする。

 

「ゴホン!静かに!改めて作戦を繰り返し伝える。最優先は敵基地の破壊、生産プラントの破壊だ。生産プラントは出来る限りなら有効利用という事で何とか無傷で済ませたい。鉄血兵はなるべく殺さずに捕獲。ドリーマーもそれに含まれる。最悪の場合、殺傷許可が降りる場合もあるし、何時何処で罠が仕掛けられているか分からん。放っておいた所で何をしでかすか想像も付かないからな」

「そういう事。それじゃ作戦開始―――」

「指揮官様ぁぁぁぁぁ!!大変でございますぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」

 

 会議が終わった直後、カリーナが慌てた様子で会議室へと入って来た。何だ何だと他の戦術人形も騒ぎ出し、ヘリアンが聞き出す。

 

「騒々しいぞカリーナ。何があった?」

「はぁ……はぁ……そういう訳にも行かないんです!というか、ここにザックさんは居ませんでしたか!?」

「ザック?あれ……?そういや居ないぞ……何?ザックがどうしたの?」

「結構前までザックさんが開発してたモノが……先程無くなってたんです!極めつけはザックさん本人を幾ら探しても見当たらないって事なんです!!」

「げっ!?」

 

 嫌な予感がした。きっとザックは自分の作った魔改造品を使い、鉄血の基地に乗り込むつもりだったのだろう。彼と一緒に作業していた戦術人形もどうやらこの後の展開が読めていた。

 何よりもザックが一昨日辺りから配達の伝票を見せたのだが、彼はその伝票にある地域周辺を虱潰しに探しては鉄血と迎え撃つ……なんて事も考えられる。

 

「つーか……アイツ、先日まで鉄血の部品使ってまで何を作ってたんだ……?」

「イージスとか使ってたけど……もしかしなくてもロボットか?一人用の」

「一人用のポッド?(難聴)」

「中の操縦士が潰されてしまうから止めて差し上げろ」

「あー、もう……聞いての通りだが、急いで現場に向かう。カリーナ、大至急トレーラー準備!」

「は、はい!只今!!」

 

 パタパタとカリーナは慌てて出て行き、グレイ達も戦いの準備を始める。何も言わずに行ってしまったアイツは後で説教だな、と思いつつも表情はアイツらしいなと笑っていた。

 仲間が敵地のど真ん中に行ったのにも関わらず笑みを浮かべるグレイにカリーナが聞いて来た。

 

「どうしてそんなに余裕なんですか……?」

「アイツの事だからどうせ生き残れるって信頼してるから。ケンジの時もそうだったけど、強くなり過ぎてあんな感じになったとしか言えないし」

「どんな事でさえ経験がモノを言うしな……きっと作っていた物も絶対に鉄血とかを蹂躙させるには充分な威力発揮するだろうよ。ロボットで……」

「何だろう……普通に想像出来てしまうのが複雑ですね……」

 

 カリーナも段々とグレイ達の常識に汚染されつつあった。また、事情も事情なのでエージェントやデストロイヤー、更には正気に戻っては働いている鉄血兵も連れて行くという……正に夢の部隊とも言えるチームとなっていた。

 

「武装の方は大丈夫かエージェント?」

「問題ありません……が、デストロイヤーが変な武器を持って来ているのですが……」

「これ使う!」

「ロケットランチャー……んん?何か一回り大きくないか……?」

「はい。人間や戦術人形が使うには余りにも大き過ぎますが、決して使えない事ではありません。デストロイヤー、これを一体何処で?」

「整備室から!」

「トンでもない武器を作ってくれたなアイツ……」

 

 何となく察したケンジ。あのロケットランチャーの使い道も後々になって判明する事になる……。

 

 

 

 

 

 所変わって、ドリーマーが逃げたとされる基地ではグリフィンの動きを見ながら次の行動をどうするか考えていた。鉄血が人類に宣戦布告してから少しずつ人類を追い詰め、ついには人類滅亡間際まで追い込んでいた筈だった。

 だが、ここ最近で人類の反撃が活発化した。基地は破壊され、鉄血兵がグリフィンの手によって連れて行かれては手駒とされ、果てには自分の仲間ですら自らグリフィンに寝返ってしまうなど、とにかく踏んだり蹴ったりでは済まされない位に追い込まれていた。

 

「それもこれも、全部あの気持ち悪い人間達が悪いのよ……!」

 

 グレイ達がグリフィンに入隊した時を境に鉄血の勢力はたった数日間で大幅に減らされた。一人は人間とは言い難い動きをしており、一人は化物に変身しては空を飛び、一人は大量の爆弾を持っては好き勝手に爆破したりなど……これまでの被害は相当数え切れない程になっていた。

 

「どうする?あの化物には簡単な手段だと通用しないぞ」

「最悪の場合ゴリアテ起動させてまでやるしか無いわよ……!そうでなきゃ、本当にエルダーブレイン様に顔向け出来ないわ!」

「確かに……やられっぱなしという訳にも行かないからな。いや、アレだけは何としてでも阻止しなければ間違いなく鉄血が壊滅する」

 

 ゴリアテとは鉄血が開発した自爆特攻型兵器の事である。他の武装は持たず、ただ自爆での爆発に特化した兵器だという。これによる自爆の威力は部隊は壊滅的に追い詰めてしまう程強力と言われている。

 普通ならばこれは集団で向かって来た戦術人形や敵の兵器を壊す役割を果たしたりするなど、使用用途は多数あるのだが……事情が事情なので止むを得ず使わざるを得なかった。

 この自爆特攻兵器も既に大量生産されては直ぐに戦力として使える様に備えられている。仮に彼等が攻めて来たとしても、きっとこのゴリアテ相手では手も足も出ないまま死んで逝くに違い無いとドリーマーは嘲笑っていた。

 

「とりあえず、どのタイミングで襲撃する?」

「そうね……今はグリフィンの動きを確認する事には変わり無いわ。ついさっきまで私達をカメラ越しで見てからは何処でも見られている様な気がして……本当に不気味ね……」

「ここがバレるのも時間の問題だと言うのか……一旦警戒を強めるか、また別の拠点に移さないと―――」

 

 アルケミストが言っている途中、何処からか大きな爆発音が聞こえた。一体何事かと監視カメラで覗き込んだ瞬間―――

 

「なっ……!?」

「何だ……これは……!?」

 

 それは、突如として現れた。外見はイージスに似ているのだが、妙にデカくて、若干形も違っていた。

 後は何故だか分からないが、両肩から何か大きい収納パック+明らかにミサイルランチャーと思わしき発射機が。パッと見た瞬間、二人はヤバいと勘付いた。

 

((絶対殺しにやって来てるタイプだコレ!!))

 

 完全武装で来るとは予想外だったが、冷静になって見返せば相手はただ一人。というか、コレは装甲機械なのか。それとも人が乗っているタイプのモノなのか。

 どっちにしろ、そこまで苦では無いだろうと思っているのだが……先程の爆発で只事じゃないのはドリーマーやアルケミストにも充分伝わっていた。カメラ越しで「彼」が話し掛けて来る。

 

『大人しく投降しな。でなけりゃお前等全員纏めて爆破しちまうぞ。もっとも、本当ならば敵討ちという名目で殺っても良かったんだがな』

「声が聞こえる……という事は、あのイージスみたいな兵器に人が乗っているという事か……」

「何にせよ、私達に刃向かう者は誰であろうと何だろうと死んで貰うしか無いわ。つまり、貴方は今ここで死ぬのよ。精々無様に這いずり回って死ぬ姿を見せて頂戴」

 

 ドリーマーの命令に従い、鉄血兵や無数の装甲機械やゴリアテがイージスっぽい兵器の元へと迫りつつある。普通ならばたった1体の機械で無数の敵と殺り合うには少々無理があるだろう。特に自爆特攻兵器があるなら尚更だ。

 それでも、そんな状況下の中で「それ」を操作する彼は不安など一切見せず、余裕の笑みを見せていた。

 

「さて……元鉄血工造整備開発員による一仕事だ。行くぞ、ガチャピン」

『Initializing―――Ready』

 

 PTX-140R/Hardballer(ハードボーラー)……通称「ガチャピン」と呼ばれた機械と共に、ザックは戦場を駆け抜けた。

 

「チケットを大量に喰らいな!」

 

 収納パックからガトリングを取り出し、両手に持ちながら素早い動きで鉄血兵を翻弄させ、すれ違いの瞬時に相手を蜂の巣にしてまで撃ち続ける。

 

「アツアツのローストチキンにしてやるぜ!」

 

 次に装甲が硬い敵相手にはゼロ距離からのショットガンやロケットランチャーを使ってまで装甲ごと壊し、更にはホーミングレーザーやフレイムランチャー、ミサイルランチャーまでもを使っては殆どの敵を一掃。

 

「これが魔改造魂だァァァァァァァァァァ!!」

 

 最大の強みはブラストシェルランチャーによる大量のミサイルを発射。落下する大量の爆弾の雨には当然耐え切れず、至る所で被害が拡大。

 一連の台詞を吐いた後「完全にメタルウルフ感覚だなコレ……だが、後悔はしていない!」とノリノリで敵を倒し、基地を破壊し、工場をストップさせる事に成功した。

 

「一体何処からあんな武装を持ち込んで来たのよ!?」

「これは正直マズいぞ……!」

 

 大丈夫だと高を括った結果がコレだ。収納パックからは明らかに持ち込んで収納出来る範囲の度が越えていて、しかも未だに弾切れになる様子は見受けられない。

 ならば逆転を狙うのみ、とゴリアテを投入させて自爆特攻をさせようとしたが―――

 

「邪魔すんじゃねぇ!!」

 

 空になったロケットランチャーをバットの要領でフルスイングし、ゴリアテを吹き飛ばした。飛ばされたゴリアテは数メートル先で数秒後に爆破したが、その爆破した場所が自分の基地の一部にヒット。

 完全に自分達側が致命的なダメージを受けてしまっていて、これにはドリーマーにも表情が消え失せては怒りと焦りを見せ始める。

 

「早く!早くそいつを殺しなさい!!」

 

 冷静な判断が出来ず、ただ殺せと言うばかりのドリーマー。しかし、どんなに撃とうとも避けられるし、当たってもそこまで損傷が見受けられず、まだまだ動ける様子でいた。

 ゴリアテを使って自爆してもヒョイッと軽く爆破範囲から逃げられたり、サッカーみたいな感覚で蹴り飛ばされてはそこで爆発したりし、最早全滅になるのも時間の問題だろう。それでも諦める様子は無い様子だが。

 

「仕方無い……ドリーマー、ここは一旦後方まで下がるぞ。いずれアイツもこちらに追い駆けて来る。生産プラントは諦めた方が良い。今は自分の身を案じるべきだ」

「くっ……!何か手立てはあるというの……?」

「残りの数で奴を集中砲火させよう。一時的に動けなくさせた後、包囲された状態から射撃……それと同時にジュピターからの援護射撃を使えば後はどうにかなる。幸い、相手はあの気持ち悪い動きをする奴等とは別物だ。まだ希望はある」

 

 やれる事ならばどんな手を使ってまでやろうとアルケミストが悪い笑顔を浮かべた。果たしてその一手がザックを止める切り札となるのだろうか……。

 

 

 

 

 

「うわぁ……」

「こりゃ酷いな……」

 

 一方でザックの後を追い駆けながらも、敵基地に乗り込んだグレイ達。だが、グレイ達が来た頃には鉄血の基地は殆ど壊滅状態に追いやられていた。

 無惨に散った装甲兵器や息はあるものの、瀕死までやられた鉄血兵など……見るからにしてザックがド派手に決め込んだのだろうと察した。

 

「重傷を負った鉄血兵は運んでやれ。その際、反撃されない様に武器を取り上げておく様に」

「了解しました」

 

 怪我した鉄血兵はケンジが軽い治療を施してからトレーラーに運ばれて行く。かなり怪我を負った為か、鉄血兵も反撃しようとする意志は全く見られなかった。

 

「おい、しっかりしろ!誰に殺られた!?」

「それはひょっとしてギャグで言ってるのか指揮官」

「な……謎のロボットが……いきなり襲撃して来た……」

「って、お前も言うのか!?」

 

 どう考えてもグリフィンの指揮官が原因だというのに、完全に仲間みたいなノリで言う鷹山にM16がツッコミを入れたが、まさかの鉄血兵が正直に答えた事に驚いていた。

 敵同士なのにこんな感じで良いのか戸惑っているのも束の間、遠くの方から大きな爆発音が聞こえていた。

 

「向こうからか……皆、急ぐぞ」

「はいはい、りょーかい」

 

 きっとあそこでまだザックが戦っていると確信したグレイ達はすぐにそこへ駆けつけた。次第に近付くと爆発音だけでなく、何か撃ってる音も段々と聞こえ始め、暫くすると予想外な光景を目にした。

 

「おいおい……ヤバくないかアレ?」

 

 グレイ達が見たのは、四方八方から放たれる鉄血の攻撃を避けたりしながら撃ち返す1つのロボットだった。だが、鉄血の数があまりにも多く、しかも要塞砲であるジュピターまでもがロボットを狙って攻撃している。

 たまに当たったりしているものの、こちらが来る前に長丁場で戦い続けていたのか、ロボットの胴体から火花が飛び散ったりしていた。

 

「ふふふ……随分と手こずらせてくれたわね。だけど、これで終わりよ。さっさと死んでしまいなさい」

『ヤバいな……まだ耐えれる位だが、抜けられるか……?』

 

 監視カメラからはまだドリーマーとアルケミストが高みの見物をしていた。数分前、彼女達はザックを殺す為にありとあらゆる手段を考えた。アルケミストが考えていた通り、ザックを特定の位置までに誘き寄せてから予め待機していた鉄血兵や装甲兵器を出させてから360度全方位からの集中砲火でロボットごと彼に目掛けて攻撃を始めた。人と変わらない小さな武器では只の豆鉄砲に過ぎなかったが、そこから要塞砲であるジュピターやゴリアテまで投入すれば話は大きく変わって来る。

 

 これにはザックも危機を察したのか、なるべく出口を切り出して突破口を作ろうにも装甲兵器や大量のゴリアテが立ち塞がる影響で出れないままでいた。多少のダメージは覚悟しながらゴリアテと装甲兵器を優先したが、時たまにジュピターからの攻撃が降り注ぐ事があった。これを避けるだけでも精一杯だったりする。

 

「エネルギーが底を尽きそうだが……行けるか?」

 

 敵の攻撃やゴリアテを上手く使って巻き込めば多少はマシになるかもしれない。問題はジュピターの方をどうするかなのだが、一か八かでゴリアテを投げて試すという考えも浮かんでいた。

 

「行ってみるか……」

「おいおい、仲間外れは良くないなァ!俺も仲間に入れてくれよ!」

「ん!?」

 

 何処からか聞き慣れた声がザックの耳に届く。その直後に大量の爆弾が鉄血兵と装甲兵器に襲い掛かる。言うまでもなく合流を果たしたグレイの爆弾矢だった。グレイの他に鷹山達や戦術人形までもが鉄血兵に向けて攻撃を仕掛けてくれた影響なのか、ザックに向ける攻撃が大幅に減った。一先ずは一時的に助かったとも言えるだろう。

 唐突の乱入に敵は混乱し、今がチャンスだと思ったザックはゴリアテをジュピターに向けて投げた。タイミングを計ってからゴリアテに向けて銃弾を放ち、見事ヒットした後に爆発が起きる。しかし―――

 

「げっ……まだ耐えてやがる……」

 

 ゴリアテを1個や2個程度では崩れないのか、ジュピターはまだ動いたままだった。ならば、残りのミサイルを使ってまで崩してやるとザックはありったけの全てを放った。また、然り気無くザックの行動をチラッと見えたのか、グレイや鷹山もゴリアテを飛ばしてはジュピターに当てるなど、微力ながらも手助けを軽く行っていた。

 

「崩れろォォォォォォォォォォ!!」

 

 空になるまで撃ち続け、煙で視界が悪くなりつつあった。少し時間が経つと、全ての武器を全部使い切ったのか攻撃を一旦ストップさせた。暫くして煙が晴れるが、装甲に損傷が目立ってはいるものの、まだジュピターは稼働したままになっていた。幾ら何でも弾が足りなかったのである。

 

「くそっ!もう予備の弾が無いぞ……どうする……?」

 

 もう少しで壊せそうだというのに、倒せそうで倒せていないという現実が立ち塞がる。他の仲間に頼むのもアリと言えばアリなのだが、自分で決めた事だからせめて自分の手で片付けたかった。これで万事休すかとザックが悔しそうな表情を浮かべた途端、ケンジ達がこっちに向かって走って来るのが見えた。

 

「ザック!」

「ちょ、お前等!危ないぞ!まだあの砲台を壊し切ってない!」

「だからだよ!これ使えないか!?」

 

 と、ケンジ達は背負っていた物をドンッと降ろした。それは先程デストロイヤーが使おうとしていたロケットランチャーみたいなモノだったのだが、それを見た途端にザックの表情が変わる。

 

「これって……VS用のロケットランチャーじゃないか!こんなのを何処で!?」

「あの子が持ってた。何かグリフィン内で武器を探そうとしていたらこれ使えないかどうか迷ったそうだが、見つけた場所がお前の開発室から出たって聞いたら何となく使い道に気付いてな」

「そうか……ありがとう、助かった」

 

 感謝の言葉を述べながら、ザックはデストロイヤーの頭を撫でながら褒めた。デストロイヤーも嬉しそうな表情を浮かべていて、本当に子供と同じ雰囲気が漂っていた。

 ザックは急いでロケットランチャーを右肩に装着させる。装弾数はたったの6発だが、その6発を全て当てたら逆転の可能性があるかもしれない。僅かな望みに賭けて、照準をジュピターに合わせながらロケットを放った。幸いにもジュピターの攻撃がザックに来る様子が一切無く、ジュピター目掛けて集中攻撃に専念する事が出来た。

 

「どうだ……?」

 

 これでまた全ての弾を使い切ったのだが、ジュピターはまだ少しだけ動けている様子でいた。ただし、装甲が剥がれて、ジュピターの起動する部分が丸見えの状態となっており、恐らくそこを狙えば止まるだろうと考えたと同時にザックは前へと出る。

 

「弾丸はもう無いが、俺にはまだもう1つの残された武器がある!!」

 

 左腕の武装からエネルギーが集束し、大きなブレードとなって形を変えた。ジュピターから再度撃たれる前に至近距離まで近付き、剥がれた装甲部分を横に一閃振り翳した。

 

「VSキャリバァァァァァァァァァァ!!」

 

 レーザーブレードがジュピターの起動部分を貫き、動きが止まった直後にジュピターは爆発を起こしながら跡形も無く崩れた。あのジュピターさえ破壊するとは想定していなかったのか、再びアルケミストとドリーマーが逃げ出そうとするが―――

 

「あっはっはっ、何処へ行こうと言うのかね?」

「「ヒイッ!?」」

 

 しかし、回り込まれてしまった!と表現されてもおかしくない位の勢いでグレイや鷹山が立ち塞がり、気付けば回りには戦術人形達が銃をこちらに向けながら待ち構えていたらしく、アルケミストとドリーマーはついにグリフィンの手によって捕縛されたのであった。




これだけ書いておきながらも、まだ中編なんだぜ……?もう少し構想練るの頑張れよ、俺。

・その追い駆ける方法が何処ぞの桃白白だったらどうするんだよ?
ドラゴンボールでは有名な移動方法だが、ブレスオブザワイルドでも半ばそれっぽい行動が出来る様になった。方法は言うまでも無くビタロック使用前提となります。

・一人用のポッド
これもドラゴンボール。主にブロリー映画で。

・PTX-140R/Hardballer(ハードボーラー)
ロストプラネットシリーズにおけるロボットで、ハードローラーはVSシリーズの中でもブレードを持っている。VSには合体要素とかロマン武器とか色々あるのだが、ハードローラーは群を抜いて一番最強と言っても過言じゃないロボット。ちなみに「ガチャピン」という名称は見た目が完全にガチャピンに似ている事から言われたとか。ソースは2ちゃんねる。

・チケットを大量に喰らいな!/アツアツのローストチキンにしてやるぜ!
最初に投稿したネタで使っていたメタルウルフカオスの台詞。ちなみに、本来ならば「これが大統領魂だ!!」が元となっている。そもそも前線で戦う大統領なんて誰も聞いた事無いと思う。ただ、どっかの錬金術師の大総統なら有り得る。

・それはひょっとしてギャグで言ってるのか指揮官
由来は「魁!!クロマティ高校」でのあの名場面から。

・VS用のロケットランチャー/VSキャリバー
ロストプラネットにおいて、VS武器というのが存在し、VS武器は取り外す事が可能でありながらも「普通に武器として使える」という最大の強さがある。担ぐと結構重いが、対人相手では一撃も同然。VSに取り付いておきながらも向きを調整すればそのまま補充出来るという凄い仕様。ただ、VSキャリバーはハードローラーの固定武器となっている為、決して外れない。残念。

・あっはっはっ、何処へ行こうと言うのかね?
言うまでもなく、某ラピュタ王の台詞。場面と言い方によっては最早悪役にしか見えなくなる。まあ、元々その人悪役なんだけどね。

・しかし、回り込まれてしまった!
ドラクエお決まりの逃げ切れない言葉。そもそも、モンスターはどうやって主人公達の後ろへ回り込めたんだろうか……?

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