味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ 作:ホワイトアクア
私はもうバレンタインはどうでもいいと思ってるので、その日はドラクエ5を3つ同時にプレイする人の動画を見ている最中です。ちなみにビアンカ派。フローラは金持ちというハードル高くて恐れ多いし、デボラは……すまぬ、私はまだノーマルで居たいのだ……可愛いんだけどね……。
リア充爆発しろとか相変わらず騒がれたりしてますが、幸せならそれで良いんですよ。
ただし、NTRテメーはダメだ。NTRは下手すると記憶に結構残るしダメージは大きいし、報われないというか何というか……そういう感情移入が出来てしまうからかね。だから好きになれんのよ……絵はエロくて良い同人とかあるのに、何故NTRなんだ……救いは無いんですか!?
「お疲れさまー。今日も頑張ったね、しきかーん」
そう言って、彼のテーブルの上にコーヒーを渡す。彼も相当疲れたのか身体を動かしてはバキバキと骨を鳴らし、リクライニングが出来るモフモフした椅子で寄り掛かっていた。
何気に今日はやる事がいっぱいあったと言っているけど、確かにそうかもしれない。だって、今日はちょっとした都合で他の指揮官達は居ないから。その代わりとして私達404小隊が手伝ってあげたんだけど、それはあくまでも建前。
「今日に限ってアイツ等どっか行っちまうしよぉ……デートやら何やらお察しの身ですけどね」
「随分と不満そうだけど、私じゃ不満~?それとも、416とか9とかの方が良かった?」
「え?何で二人が出て来るの?何か関係あるの?」
「指揮官……幾ら貴方でもそこまで鈍感なのは許せないわ」
「え、だって今日ってそんな特別な日じゃ……あー……悪かった。すっかり忘れてた」
どうやら嘘でもなく、本当に自覚無しで今日が何だったのか忘れていたらしい。彼が言うには「これまで旅とかしてた癖で、カレンダーとか見ないタイプだから」とか言ってたけど、正直それはそれでどうかと思った。
「そっか……今日はバレンタインデーか」
そう。今日は世間だと有名なあのバレンタイン。今日という日に限って友チョコだったり、好きな人に渡したりと色々と騒いでいたらしい。その為、AR小隊が鷹山指揮官を連れて行ったり、エージェントがケンジさんにチョコを渡すのを見ちゃったり……ともかくそういう日。
ちなみに私は言うまでもなくグレイ指揮官に渡すつもり。彼には色々と感謝はしてるし、何よりも好きだって事には変わり無い。それは404の全員も同じ気持ち。少しでも彼に対する感謝とか気持ちとか、そういうのを形で変える為のチャンスだと思って、一週間前から他の戦術人形達も交えてチョコ作りに挑戦していた。だけど……。
「わぁっ!?粉入れ過ぎちゃった!」
「……なあ、M4。必ずしもバーボンじゃないとダメなのか?ジャックダニエルは?」
「変にトライするより、ちゃんと作った方がマシですよM16姉さん!!だから、ジャックダニエルはダメです!!」
「えっと……バニラエッセンス……って、これ洗剤じゃない!?」
多少、グレイ指揮官と一緒に料理した経験があるからマシな方かもしれないけど……やっぱり難しい。
私達戦術人形は戦う事しか知らない。どんなに知っていても所詮は情報に過ぎず、生きる為にも任務を遂行する為にも余計な事は要らないと見向きもしなかった。まあ、スプリングフィールドやm45の様に予め料理作れる人形だったらマシだけど。
ただ、実際にこうしてやると誰もが料理経験とかした事無いのか、慌てふためく様子が次々とその目に留まる。きっと、彼が居なければ戦術人形が料理を好きになるなんて事は滅多に無いだろうし、ましてや彼の料理が無ければ今の生活が続くなんて事も無かっただろう。
(やっぱり敵わないなぁ……)
たまに指揮官をからかう時もあるけれど、それでも私は彼に弱い。何か、こう……手懐けられた猫みたいな感覚で、あろう事かありのままの姿を見せている気がする。
きっと404として情けない姿かもしれないが、その辺り416は同情していた。彼女も「私が完璧じゃなかったら私の存在意義が無くなる……ああ、だけどそんな指揮官に愛されている以上何も文句は言わないわ……」とビクンビクンしてたけど。どう反応すれば良いのよ……。
とにかく、当日になるまではドタバタしてたけど、何とか作り上げる事は出来ていた。折角の機会を逃す訳にも行かない。だから、私は意地悪そうな顔を浮かべて指揮官に話した。
「あら~?もしかして、指揮官もチョコが欲しいの~?」
「チョコねぇ……良くても義理とかじゃね?ってか、そもそも俺等の関係既に知ってるの殆どだろ?渡すヤツ居る?」
「居るんじゃないかしら。だって、貴方は完璧を超えた完全無欠の指揮官よ。貴方によって頑張れた子は他だって居るわ。それこそ、日頃の感謝という気持ちを込めてまで」
「感謝要素あるかなぁ……?そりゃ、たまに仮面被りながらパンツ一丁で走ってたりとかした経験あるけど」
『…………』
「無言止めてよ!どう言ったら良いのか分からないじゃん!!」
だって、そう言われてしまうとどう言ったら良いのか本当に分からないんだもん……これまで散々ヤバい案件しか起きてないから、正規軍とか鉄血なんかじゃ「変態の集うグリフィン」だとか「あそこの指揮官はヤベー奴」だとか言いたい放題なんだもん。否定しないけど。
このまま気まずい空気が流れ続けるのも嫌だったから、とりあえずは指揮官にチョコを渡してあげる事にした。
「はぁ……もうムードも何もかも台無しだから、あげちゃう。はい」
「あ、45姉が渡すなら私も!」
後から9達が次々と指揮官にチョコを渡す。その際、ちょっとだけ指揮官の表情が明るくなった気がした。
「あ、くれるんだ。ありがと」
「別に要らないなら良いよー?」
「仮にチョコが無かったとしても、愛してくれるんだろ?別にそれがバレンタインじゃなくても、一緒に居てくれるだけで嬉しいから」
予想外な答えに私のメンタルモデルが大破しそうになった。これに釣られて9達も同じ反応をしている。9なんて「ハァアアアアアアアアアアン!!」なんて声上げてるし、40に至っては「ぬおおおおおぉぉぉぉぉ……!」と荒々しい声を上げている。G11なんてソファで顔を埋めて「うぅぅ……」と唸っていた。
きっと私の表情もニヤニヤしているに違いない。何これ……すっごい恥ずかしい……そんな台詞を言うのは正直卑怯。何時の間にか私はからかわれていたのか。
「ヒュー!言ってくれるじゃん、色男!」
「9、貴女別の意味でテンション上がって壊れてるわよ……指揮官も指揮官だよ?そういうのは二人きりとか、こう……カップルが仲良くというか……」
「おや、何だ45ー?もしかして嫉妬かー?モヤモヤしちゃったりしてるのかー?」
「う、煩いわよ40!」
ああ、こんなのは私らしくない。40からも笑われたし、今すぐにでも死にたい気分だ。でも、指揮官がこうしてまで正直に言ってくれているという事は、そこまでして私……いえ、私達の事を愛してくれているんだと思う。
だからこそなんだろうか。たまにこういう疑問が沸いて来てしまう。
「ねえ……もしもさ。もしも、グレイ指揮官が私や皆に出会う事なんて無かったら……その時、貴方は他の好きな女の人とかにそういう口説き文句とか言えてたのかな?」
「な、何だ?今日はさっきから大人しかったり荒げたりして情緒不安定になってるが……というか、その質問ってif的なものか?んー……」
ちょっとだけ考える指揮官。だけど、数秒後には何事も無かったかの様に笑顔に戻り―――
「無いな、絶対!」
と、答えた。正直そこまで割り切れる上に清々しく言えるのは他に居ないと思うが、念の為聞いてみた。多分、自分がバケモノだからとかそういう理由があるんだろうなと私は思っていた。
「まあ、ずっと前に答えただろうバケモノ云々の話もあるんだが、女性が好きだとかそういう概念すっぽかして一生旅してたなんて可能性も否めないからな。だって、必ずしも運命的な出会いだーとかそういうのってあんまり見ないだろうし、あのイイ女はあの場所に住んでいるって感じのストーカー紛いな事はしたくねーよ?まあ、言うならば気ままに流れるだけの人生に従ってばかりになるかもしれないけど、本当に成さねばならない人生だとか出来事に関しては自分の力で切り拓くつもりだよ?」
けど、それは意外な答えだった。これには私を含めて皆が唖然となった。でも、よくよく冷静になって考えれば当然だったかもしれない。
彼は自分の将来とか興味が無くて、何もかもハッキリとしない人生を送っていた。だけど、旅をきっかけに自分のしたかった事とか将来の夢だとか、それらも含めて何かが見付かるかもしれないと決心し、鷹山指揮官やエル指揮官だけじゃなく、彼を中心にして集まっていた。
そうして気付いた頃には語り合えては協力し合える仲間が居て、楽しく過ごしながらも時には厳しい場面に遭遇したり、決して彼女とかそういうのを作らないまま過ごしていた。
(いや、多分それだけじゃない……)
この質問が必ずしもグレイ指揮官だけに向けた質問という訳じゃない。
趣旨がズレているかもしれないが、例えばエル指揮官とケンジ指揮官がこうしてグリフィンに出会う事が無ければ、トカレフもといカトレアは今こうして生きてはいなかっただろうし、コミュニケーションが得意なケンジさんが居なければ鉄血と会話するなんて展開も絶対に見られないなんて事態が頭に過る。
(そして……私や40も……)
きっと出会っていなければ私は復讐の憎悪が尽かないまま殺し尽くしていたのだろう。鉄血を殺すと誓いながら。
ちょっとしたズレでこんなにも違って来るんだなと思うと嫉妬とは別の心苦しさというのがあってか、それが余計に辛い。何で私はそんな余計な質問をしちゃったんだろうか。
それでも、指揮官は出会っていなかったとしても幸せだったのだろうか。出会っていなかった私達は一体何処まで狂っていたのだろうか。もう何が何やら分からなくて、怖くて、不安になってしまいそうだった。だけど―――
「大丈夫」
「え……?」
「絶対に見捨てたりはしないし、離したりなんかしないから。だから、そんな顔するな」
「あ……」
不安になっていた私の顔を見て察してくれたのか、私の頭を撫でてくれた。指揮官からすれば、人形だから人の体温とかそういうのが分からなくて冷たいだけなのかもしれない。
けど、私からすれば凄く温かくて心地が良い……いや、彼の事だから温かいとかそういうのは気にしないかもしれないけど。
「人生楽しんだもん勝ちだ。暗く考えたりしてちゃどうしようも無ぇし、そんなもしもの話をした所でどうにかなるって訳じゃないだろ。らしくないぞ」
「……そうよね。ごめん、深く考え過ぎてたみたい」
「うん、お前はそうやって笑ってるのが一番似合ってるわ」
「そういう指揮官も今の人生とかが一番合ってると思う。という訳で、抱っこして頂戴」
「え、何で!?」
「あ、ずるい45姉!」
「指揮官の抱き枕は私だけ……」
皆に抱き着かれてあたふたしている指揮官だけど、やっぱり私は彼が居ない世界じゃないと幸せと感じない。私は貴方に出会えて良かったと心から思ってる。
「ふふ、大好きだよ、しきかーん」
だからこそ、一生貴方を離さないし離したくない。貴方が私の幸せを叶えてくれた分、私も皆と一緒に貴方の幸せと夢を叶えてあげるから。
面倒掛けちゃうかもしれないけど、これからもよろしくね。私の旦那様。
本当ならばAR小隊だったり、他のキャラ書きたかったりしたかったが、リアルタイムに合わせて間に合わせたい気持ちが強かった。だから、期待していた人には申し訳無い……済まぬ……済まぬ……!
そんな事より、早く他のキャラについての話とか書けと言わざるを得ないのだがね……遊び過ぎにも程あるが。