味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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リングコンはそんな使い方しません編。また、一番最後辺りは完全にヘリアンさんが別人と化します。何か済みません。



リングフィットライン 下

 最低な阿鼻叫喚も終わり、さっさと次の人にリングコンを渡した。鷹山がアレだったのに対し、グレイだけ普通に腕と足と腹筋の胴体だけだったというのが地味に嫌でもあったが。

 

「さっきのアレは何だったんだ?実物じゃないんだよな?」

「ちゃうちゃう。良くても大人のオモチャ程度。具現化出来たのは多分巨根湖の力が奇跡を齎してくれたんだと思う」

「何なの?根元にミサンガでも巻いてるの?」

「別に巨根でも何でも無いのにどういう流れでこうなるんだよ」

 

 ただただ呆れしか出なかった。

 鷹山の次はケンジの番が回って来たが、リングコンを使った別の攻撃を想像しろと言われてもパッと思い付く事など簡単とは言い切れない。

 

(この形状で考えろと言ってもな……想像した力が反映されるなら、浮かせる事も可能か?)

 

 悩むケンジだったが、やれるだけやってみるかと目を閉じてイメージを浮かべる。頭の中にイメージキープさせながら掴んでいたリングコンをゆっくりと放す。すると……。

 

「う、浮いただと!?」

「うおっ!?マジか!」

 

 フワッとリングコンが宙に浮き始めたのだ。念の為に糸とか付いていないか確認したが、それっぽいモノは一切見当たらず。言うならば、ケンジは念動力みたいな何かで浮かせているのだろう。

 

「へぇ~……やっぱり想像力とか無いと動かせないものなんだな。逆にマッスルパワーとかそういうのは一体何処から湧いて来るのか……」

「深く考えたら負けだ。今の時点でトレーニングもクソも関係無くなって来たからな。で、ケンジはそれをどうやって使うんだ?」

「そうだな……」

 

 宙を浮いているリングコンをじっと見た後、そのままケンジはリングコンを上に浮かばせながらもグッと込める様にエネルギーを流す。エネルギーを注入されたリングコンはカッ!と黄色いオーラを放つ。

 そして、そのまま頭上に浮かせ、何処かで見た事ある様なポーズをした。それを見た一同は……。

 

「はぁぁぁぁぁっ!!」

「え、ちょ、嘘だろ!?」

「一旦離れろ!危ねぇぞ!」

 

 これ全力でやるパターンだと察したグレイ達は少しだけケンジから離れる。ある者は物陰に、ある者は伏せたままじっと見つめる。ギュルギュルと回りながらオーラを纏ったリングコンを―――

 

気円斬(このハゲー)!!」

 

 思いっ切り大きく投げ、目の前のビルや瓦礫とかを次々とスパッと切り落とした。ケンジ、まさかの人気だったとされるアレを再現させちゃったのである。先程のグレイや鷹山に比べて、こっちの方は段違いだった。

 

「マジかよ……」

「や、確かに円形だけどさ……ドラゴンボールも出来るとか誰が想像したよ!?」

「ケンジ……まさかとは思うけど、そういうのを想像してたのか……?」

「あ、ああ……自分でもかなり驚いている方だけど……まさかの再現の高さにビックリした。もしかしたらコレも行けるかな……?」

 

 今度はリングコンを持ったまま天を掲げる様なポーズをした後、グッと前へと向けた。そして、リングコンの中心から青白いエネルギーが集束する。

 

「今度はあの技やんの!?」

「止めて下さーい!地球がー!地球そのものがー!!」

「ケンジ!上に傾けろ!じゃないと何もかも崩壊する!」

「言われなくとも自重するつもりだ!ファイナルフラッァァァァァァァァァァシュ!!」

 

 地響きと共に強烈なエネルギーの光線が斜めに向けられながら一直線に放たれる。その威力は途中で立ち塞がる様に建っていたビルをいとも容易く崩せる程。放たれた光線は次第に小さくなり、スッと消え失せた。放った後だったのか地面が少し抉られているのが現実味を帯びている。

 

「……コレで何もかも壊せるならさ、戦術人形要らないのでは?」

「戦術人形をサイヤ人と比較しちゃアカン。レベルが違い過ぎる」

「何だか色々と可哀想な気がして来た……そう言えば、これってフィールドでジョギングしている時は空気砲が撃てるんだったか?押し込むとどうなるんだろうな」

 

 気になったので押し込んで見ると、ポーヒーという音を出しながら緑色の弾が発射された。弾は着弾した瞬間大きな爆発を起こし、煙が晴れた時には巨大なクレーターが出来ていた。

 

「………え?」

「何だ……今の……イレイザーキャノン……?」

「今のが空気砲って言いたいのか……?どう見ても破壊砲じゃねぇか……」

「空気とは一体何だったのか……」

 

 明らかにこれまでのタイプとは桁違いの攻撃力だったし、下手すれば本当に世界が終わる。とりあえずコレは封印しておこうと一同は決め、今度はザックの方へとリングコンが渡される。

 

「俺の場合、どうなるんだろうな?工具?」

「あながち否定出来ないのがな……基本、開発で籠りっきりのお前が何をイメージするんだ……?」

「分からん。俺だって何も思い付かないし、適当に何か出てくれれば良いよ」

「適当って……」

 

 どうせ自分のヤツなんて大した事無いよ、と自虐染みた内容を呟くザック。しかし、この流れを断つのもまたどうしようかと思ったので、軽くスクワットをしてみた。すると……。

 

―――ゴンッ!!

 

「アレェ!?」

 

 なんということでしょう。スクワットしたら、何故かパンジャンドラムが空から降って来たではありませんか。

 いや、それはおかしいとザックもこれはノーカンだと言い、今度は腹筋をやってみたが……またしてもゴンッ!!という音と共にパンジャンドラムが現れた。じゃあ、空気砲も……?と恐る恐るやったら、案の定パンジャンドラムがボンッ!と前から飛び出して来た。

 

「どうしてこうなった……」

「お前絶対英国面に呪われてるよ。或いはズルズルとゆっくり引き摺り込まれてる」

「ヤバいな……今後、製造した人形が全部パンジャンドラムとかなってたら悪夢だ……或いは非常食とかがマーマイトとかスターゲイジーパイとか……」

「それは絶対に起きないから安心しろ。ましてや後者だったらイギリス出身除いて殆どの戦術人形から文句、批判、ブーイングの嵐が来るから……」

 

 念の為に言っておくが、イギリス料理全てが不味い訳ではないのでご安心を。ちゃんと美味しくも定番なメニューがある。例えばフィッシュアンドチップスとか。ただ、何を間違えたのか予想斜めの発想ばかりの行動しか言い表せないのが現実である。

 ちなみにパンジャンドラムは正常に動き、近くに居たE.L.I.D.を銃殺からの爆発四散で吹き飛ばした。意外と使えるのだが、よりにもよってパンジャンドラムはなぁ……と溜め息を吐く程だった。

 

「次は……俺だな」

 

 流れるがままに今度はエルがリングコンを持つ。エルは即座に想像したのか、リングコンの形が変化する。リングコンはトゲみたいなのが付いたチャクラムみたいになったが、一部の先から炎を模った様な部分が付いていた。

 

「フレイムリベレーターか……」

「何時からキーブレード使いになったんだお前」

 

 エルの持っていた武器も大昔にアーカイブにあった某有名ゲームから出たもの。これを出すエルも中々良い趣味を持っているし、良いアイデアとも言えた。

 

「で、これをこうすれば……エターナルフレイムも使える」

「もう何でもアリだなリングコン」

 

 念じながらもう一個同じ武器を作り出し、なり切った感じで武器を投げ飛ばすエル。その動きは完全に元機関8番目の彼に似ていた。ある程度やったのか満足気にほっこりし、リングコンをクラウスに渡す。

 

「エルの想像方法を見て、コレでも行けるじゃないか?」

 

 グッと念じるとエルと同じ方法でリングコンが二つに増えるが、更にここでもう一度別の形をイメージする。すると、リングコンは3つの刃が付いた手裏剣みたいな形へと変化した。

 

「ほい、アキュラの完成」

「今度はスタイリッシュアクション目指すつもりか」

「最早リングコンの原型が無い……最後に期待してるぞ、新人」

「え、俺ですか!?」

 

 最後の最後で無茶振りを振られたフラン。しかし、いざ言われてもどうしよう……と悩んでいた。円形な武器なんて何も思い付かないし、かと言って空気砲に近い武器なんてあっただろうか?と脳内巡って考えていた。直後―――

 

「………あっ!」

「何か思い付いたか?」

「これ、もしかしたら使えるんじゃありませんか?」

 

 フランはリングコンを使って頭の中にイメージを描きながら撃った。その時、リングコンから青い弾みたいなのが発射され、着弾すると青い楕円形がその地点に現れた。

 方向転換をしながら撃つと、今度はオレンジ色の弾が発射され、今度はオレンジの楕円形が現れ……るのではなく、そこからゲートの様な感じで出来上がった。フランがそこを通ると、先程撃った青い弾の着弾地点から彼がスッと現れる。

 

「あ、ポータルガンか!!」

「正解です!」

 

 要するに、彼がイメージしたのはそれぞれの特定の位置に目掛けて撃つ事で瞬間移動が出来るワープゲートみたいなものだった。これはかなり有効な戦術手段として使えそうだった。が、結局……。

 

「真面目にトレーニングしながら戦ってたのって俺だけじゃねぇか!」

 

 グレイ以外は殆どリングコンを想像で魔改造したり、予想外な方法で攻撃したりと……誰もがトレーニングしないままで終わってしまった。気付いたらリングコンを使った攻撃方法しか考えていない。

 とりあえずテメェ等もやれ、と強引にトレーニングを使った攻撃方法で鉄血を翻弄させたり、時には地球を崩壊し兼ねない攻撃で鉄血を降参させたり、E.L.I.D.をスパスパ斬ったり炎の竜巻を起こしたりしてまた色んな方面から恐れられたのは言うまでも無かった。

 

 

 

 

 

 それから数時間掛けてグリフィンへと戻って来たグレイ達。今日は自分のフリースタイルとは別のやり方で戦ったのが原因だったのか疲れもピークに達していた。

 

「あー……疲れた。早くシャワー浴びて書類仕事再開させないとなー」

「し、指揮かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!!!」

「おうっ!?」

 

 通路を歩いていたら、突然向こうからUMP45が涙目になって走って来た。いや、彼女だけじゃない。M4もカトレアもスプリングフィールドでさえもやって来て、何か慌てた様子でグレイ達の元にやって来た。

 

「ど、どうしたんだ?何だか慌ただしく来たみたいだけど……」

「指揮官……ヘリアンさんが……」

「彼女がどうかしたのか?」

「あ、あの人が……見た事も無い筋肉ムキムキの女性達と一緒にトレーニングしていたのを見てしまって……しかも、肝心のヘリアンさんはもう……」

 

 うぅ……と泣き出すスプリングフィールド。見た事も無い筋肉ムキムキの女性達?そいつ等がヘリアンと一緒にトレーニングしている?

 それを聞いただけでも何だか嫌な予感がした。もしかしたら自分達は取り返しのつかない間違いを見逃していたのかもしれない。彼等は急いでヘリアンの居る部屋まで走って行き、勢い良くドアを開ける。そこには―――

 

「ほう、戻って来たか……うぬらを待っている間、おれは貴様等が望んだ通りの身体へと変わったぞ……」

(『何処ぞの拳王になってるぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!?』)

 

 最早、女という要素は無く、ただただ逞しい益荒男と化した。何をどうしたらそんな姿へと早変わりしたのか。しかも、口調まですら完全再現。ここまで来ると愛などいらぬぅ!!という言葉が妙にしっくりと来てしまうのは何故だろうか。

 気付けば周りには様変わりしたヘリアンを見て震えているUMP9や絶対に逆らっちゃ駄目だと恐怖するSOPMOD、酒飲んでる場合じゃねぇ!!と涙目になりながら助けてと目で訴えているM16や青褪めていたHK416等……彼女達だけでは手に負えなかったのだろう。

 

「ん……?」

 

 ここでグレイは見知らぬ女性が二人居た事に気付いた。そこには紫色の服を着た女性と何だか滅茶苦茶ムキムキなボディをしている金髪の女性が居た。グレイはその二人にそっと声を掛ける。

 

「あ、あのぅ……ちょっと良いですか……?」

「おや、これは失礼しました。もしかして皆さんが例の指揮官という事ですか?」

「え、何で知って……まさかヘリアンさんから聞きましたか……?」

「はい。トレーニングの最中で色々と聞かせて貰いました。あ、申し遅れましたが私は棚橋ゆかりと申します。そして、隣に居るのが―――」

「弦ムキムキだよ」

 

 と、ゴツイ手でギュッと握手する二人。困惑しながらもその二人が何故こんな所に居るのかと聞いてみると……。

 

「私の筋肉がマッスル世界線を越えて強くなりたい、モテたいという願いが届いたのさ。だから、ゆかり君と一緒に行ったらトレーニングをしているヘリアン君を見つけたのさ」

「聞けば、ヘリアンさんはこれまで合コンで散々な結果で終え、最後の希望である筋トレに全てを賭けたみたいですね。確かにヘリアンさんの気持ちは分からなくも無いでしょうし、同じ女性として助けたい気持ちはありますからね」

(『女性……?』)

 

 そんなゴツイ姿で女性って何を言ってるんだ、とツッコミを入れたくなったが深く気にしない事にした。ついでに敵か味方すら分からない相手だというのに警戒しなかったヘリアンもどうかと思ったが。

 

(というか、この人筋肉で世界渡ったとか言わなかったか?)

(ヤベェ……筋肉で解決出来るって言葉が現実染みて来たんだけど……)

(この二人って確かVOICELOIDじゃなかったか……?)

「さあ、今からでも遅くない!世界を目指して天下を取ろうじゃないか!そして、マッスロイドという素晴らしい筋肉を是非この世界に広めよう!」

『お断りします!!』

 

 色々とややこしい事になるから帰れ!!と言いたかったが、言っても無駄だろうし何処へでも駆け付けて来るので彼等は匙を投げてしまった。

 後にVOICEROIDやらマッスロイドという存在を知った戦術人形達は「指揮官と同じ位にヤベー奴が来ちゃったよ……」とショックを受けていたとか。




前回が下ネタだった分、こっちはこっちでネタ塗れとなってます。

・巨根湖の力
TRICK 新作スペシャル3で出て来た尾古溝村の巨根湖の事。そこで「奇跡のミサンガ」を売っている商人が居て、上田を見て「同志……」と呟いていた。ちなみにそう言った理由は商人も上田と同じく巨根だった為。その後、ミサンガをアレの根元まで付けて喘ぐ二人の姿が……当時は大爆笑してました。しかも、後にこれが盛大な力を発揮するという……どういう事やねん!

・気円斬
ドラゴンボールのクリリンが使っていた技。ナッパだけじゃなくフリーザにも使ってた位に有名だった。

・このハゲー!!
不謹慎ながらもあのネタです。気円斬の事をハゲって言うのを止めろよ!あれ……?

・ファイナルフラッシュ
こちらもドラゴンボールのベジータが使ってた技の1つ。この技も軽く地球を滅ぼすには造作も無い威力を叩き出せるという。両手を構えた時、正にリングコンでも使えるやん!と思ってた。

・イレイザーキャノン
ブロリストならば知っているだろうドラゴンボールのブロリーの技。彼のお陰でデデーンを知ったのは初めてだった人も居るのでは?ちなみにブロリーの場合はベジータとは比べ物にならない位に滅茶苦茶強い。そりゃ伝説の超サイヤ人だからね、仕方無いね。

・フレイムリベレーター/エターナルフレイム
キングダムハーツのアクセルが使っていた武器とキーブレードの事。彼が機関だった頃はチャクラムの方を使っていたが、3Dと3では彼の武器を模ったキーブレードが登場。まさかお前までがキーブレード使いだとは誰も思わなかっただろう。

・アキュラ
DmCデビルメイクライの天使側の武器。両手に手裏剣という変わった武器であるが、これまた変わったギミックで面白い。ほぼ手に持ってバッサリとコンボ決めちゃえるしね。

・ポータルガン
アクションパズルゲーム「Portal」で登場した不思議な銃の事。Portalはこれを使って仕掛けを突破し、真相を解き明かすというゲームになっている。現実にあったら欲しいかもしれないが、使い方を間違えればマジで死ぬ可能性もある。

・拳王
言うまでもなく北斗の拳のラオウの事。

・棚橋ゆかり/弦ムキムキ/マッスロイド
以前私が知ったパンジャンドラムの茜ちゃんと同じく、今度は筋肉ムキムキを目指す茜ちゃんの方。どっちの茜ちゃんも本来は「Besiege」というゲームで知った。

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