味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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また一ヶ月遅刻だぜ!大体家に戻って来たら動画とかゲームとかやってて、気付いたら時間遅くなって……頑張れよ俺……!
で、モンハンはミラボレアス参戦だし、ドルフロはガンスリンガーガールとコラボ。ググって調べたらアレか、主題歌があの落ち着いた雰囲気の。小さい頃、兄が目覚まし代わりでCD流してたの思い出す。

でも、内容がなぁ……どんな話なのか調べたけど……これアレだ。ニーアとかまどマギに続く位のしんどい話になる……次々と女の子死ぬんでしょ?辛いわ……(白目) 救いは無いんですか!?
アニメとかゲームとかで自分の推しの少女が死ぬのってマジで辛い……そういう物語だからってのもあるんだろうけど……それでも苦手なのよね……その手の話……。


夢か現実か 下

 アルビノの少女を連れ出し、中央の部屋へと戻って来た一同。残す扉も覗き窓がある鉄の扉だけとなった。

 

「さて……お待ちかねのボス戦でございますが、準備はよろしいでしょうか?」

「全くよろしくないんですがそれは」

 

 扉の奥に何が潜んでいるのかも分からないので、この先には鷹山が安定するだろうと思い、「さっさと行け」やら「あくしろよ」と急がせる野次が飛ぶ。友達や仲間ではあるものの、時にはこうして鬼畜な行為をしてまでやらなければならない時もあるのだ。

 

「いや、無ぇよ。そんな友情捨ててしまえ」

「そうは言うけど、俺達武器無いんだよ。鷹山も同じかもしれないけど、お前の場合は俺達より次元とか越えてるから……」

「いざとなれば武器を錬金出来るんだろ?」

「バグ技でもするんですよね?」

「そういう時に限って小心振るの止めろよ!俺は便利キャラとかじゃないからな!?」

「常識じゃ語れない程やりたい放題やっておきながら何を今更」

 

 それはお前等もだろうが!と突っ込む鷹山だが、今はこんな些細な事を悠長に気にしてる時間など無い。しょうがないと覚悟を決めた鷹山は小窓から部屋の中を覗き込んだ。部屋の中は薄暗いと感じるものの、若干見える程度の明るさだった。しかし、その奥から何か引き摺る様な音が部屋の中を徘徊しているのが分かった。

 目を凝らして奥を覗き込むと、赤と黒の入った胴体、色妙に歪んだ頭部や大きな鉤爪、そして翼の様なものが生えているのが見えた。 その姿は例えて言うなら巨大な蝮。或いはドラゴンとも言えるのだが、蝮やドラゴンというには余りにも程遠く、冒涜的な不気味さを漂わせていた。これを見た鷹山は即座に理解した。

 

「あー……成程。コイツは俺じゃないと通用しないタイプだわ。いや、頑張ればグレイ達でも出来なくないけど……相手が相手だからな。文句言えねぇわ」

「え、マジで?」

 

 さっきまでの雰囲気とは違い、本当に鷹山だけにしか出来ない相手かもしれないという事を告げられたグレイ達も思わず戸惑う。ならば、この手の相手をどうやって倒すのかがポイントとなるが……。

 

「弱点は……うーん、強い光を浴びればダメージは通るっぽいけど、物理でも行けるんじゃないかなー」

「正体不明の相手に物理で特攻すんのかお前」

「強い光って言ったが、懐中電灯程度の力でやられるのかそいつ?そんなに光が強いとは考えにくいけどな」

「おいおい、誰が懐中電灯を使って攻めるって言ったよ。そんな事をしなくても俺には……いや、俺達には誰にも寄せ付けない眩い光を持ってるじゃないか」

『え?』

 

 一体何を言ってんだコイツ、と思ったのも束の間。いきなり鷹山がズボンとパンツも含めてスルスルと脱ぎ始めたではないか。衝撃の行動にグレイ達は唖然となり、女の子は顔を真っ赤にしてわたわたと慌てふためく。

 

「何脱いでんのお前ェェェェェェェェェェ!?」

「男のライトって言ったら、俺のおいなりさんしか無いだろ。コレであのマムシドラゴンに一発一発お見舞いしてやるぜ」

「それはあくまでもアニメとかゲームとかの話であって、実際に股間なんて光らねぇぞ!」

「でも、今こうして光ってるんだが」

「だから何でだァァァァァァァァァァ!!!?」

 

 良く見ると、本当に見えない位に強いフラッシュが股間を包み込んでいた。何故その発想に至ったのかは余りにも意味不明だが、少なくとも正気の沙汰にも程がある。下半身をフルチンにしたまま、鷹山は鉄の扉を入って行く。すると、さっきまで暗かった部屋が股間の眩い光によって周囲が照らされ、潜んでいた化物の正体の姿も見破った。

 

「今日も俺の股間の紳士は絶好調だぜ」

 

 そう呟く鷹山だったが、他の人から見れば変態と最低のダブルセットの汚名が付けられているだろう。暗闇に潜んでいた化物もいきなりの強い光に苦しみ、同時にスッと垣間見た頭のおかしい変人相手を見て―――

 

『何なのだ、これは!どうすればいいのだ!?』

 

 と、困惑しただろう。きっと心がそう叫びたがっていたに違い無い。だが、せめてコイツに殺られるという無様な死に様だけはしたくないと鷹山に向けて噛み付こうとするも、スッと避けられてしまう。

 

「喰らえ!森部のじーさんの奥義!!」

 

 そのまま化物に目掛けて突っ込み、殴る、蹴るの連続を繰り出す。一見ただのパンチとキックにしか見えないが……。

 

「通打!あびせ蹴り!通打!あびせ蹴り!」

 

 ドカッ、ボカッと殴られる音が響く中、化物は一方的にやられたままだった。少しでも反撃出来るんじゃないのか?と思うかもしれないが、その逆。『反撃出来なくさせている』のだ。

 この技は実際に日本で存在すると言われている「骨法」……というモノに近い何かである。通打の場合は殴ると力が抜けるかの様な感覚に追われ、あびせ蹴りは敵の背後から蹴るという技で、相手の向いている方向を変えるという異質な力を持っている。

 つまり、この二つの技を組み合わせて延々とやっていれば、相手が雑魚同然に弱くなる上に一方的に完封出来るという恐ろしい技なのだ。今でもこれで虐げられている化物は痛いと訴えているかの様な声を出し続けていたが、こちらからすれば早く元の世界に戻せと暴力で訴えられる形となったとしても仕方が無いだろう。

 

「やっぱりこういうのは鷹山に任せて正解だな。フルチンさえ無ければ」

「女の子に変なトラウマ植え付けた感が半端無ぇ。後でボコそう」

「そもそもどうしてこうなったんでしょうか……」

「………」

 

 そう言いながら呆けている間にズシンッと大きな音が。気付けば鷹山があの巨大なマムシドラゴンを倒し終わっていて、何事も無かったかの様に下着とズボンを穿いてニコニコした表情で戻って来た。わざわざ持ち出した22口径のショート・オートマチックも無意味に終わってしまった。

 

「うぇーい!俺の勝利ー!ねえねえ、俺どーよ!完璧っしょ!って、あだだだ!痛い!痛い!止めろ!俺のタマキン蹴るな!」

 

 ただし、セクハラは絶対に許されないという事で全員にボコられた。気を取り直して、化物が居たとされた部屋の辺りを見回る一同。すると、化物を撃破した影響なのか、さっきまで暗かった部屋が段々と白くなっては明るくなり、懐中電灯や蝋燭を灯す必要は無くなった。

 代わりとして入って来た扉の先にもう一つの扉を見つけ、その中へと入る。中は手術室のような場所となっていて、中央には椅子型となっている手術台と付随したレーザー照射器。そして、それを操作すると思わしきタッチパネルが設置されてあった。

 

「何だコレ?手術用のレーザー?」

「タッチパネルには残り使用回数1って表示されてますけど……何なんでしょうか?あ、タッチしたら画面が変わった……」

「『毒摘出操作』、『毒検出検査』、『使用注意事項』……何の用途に使うのか分からないから一度説明を見るか」

 

 使用注意事項のパネルを押すと、次のメッセージが表示された。メッセージには「この機械は一度使用する毎に点検が必要となります。点検をせずに使用する事は人体に危機を及ぼす可能性があります。」と警告表示が出されている。

 

「流石にこの手の修理というのは分からんな……すまん、鷹山。頼めるか?」

「任せて」

 

 とはいえ、ドライバーも工具も無いので精々機械で異常が無いか動作チェックする程度だ。時間もそんなには掛からず、すぐに使用出来る状態へと戻る。

 

「で、どうするよ?残り使用回数1回だけしか無いけど」

「摘出はともかく、検査する人物なんて居るのか?」

「俺達は毒とかに触れてもいないし、飲んでもいなかった筈だからな……そうなると……」

「この子……ですかね?」

 

 話の流れからして、一緒について来た少女だけしか残されていなかった。少女も不思議そうにきょとーんとした顔で見つめる。その純粋無垢な顔はまるで天使みたいに輝いていて、その辺の男なんかとかは一発でノックアウトだろう。

 少女を見ていた瞬間、突然少女の顔色が悪くなる。汗でびしょびしょになり、弱々しい吐息となっては衰弱している様子が窺える。苦しそうにした後、黄色い胃液を吐き出した。

 

「ちょ、大丈夫か!?」

「何!?一体どうしたの!?」

 

 いきなり嘔吐するとは思わなかったのだろう。これにはグレイ達も一瞬だけ大慌てになった。ケンジが即座に応急処置をし、少女の意識を少しだけ回復させて落ち着かせた。しかし、何故彼女はいきなり吐き出したりなんて事をしたのだろうか。

 

「まさか……」

 

 ケンジはある事を思い出す。それは、東側にある図書室みたいな場所にある本棚の中で見つけたある内容。主に毒についての内容が記載されていたのだが、その中にある項目が書かれていた。

 

「頭痛を引き起こし、視界を揺らし、吐き気を催す……片方は現実に戻る毒であって、もう片方は身体を蝕む毒……2種類の内、2の毒と思わしき物はとっくに手にした筈……となると、1の毒は……そういう事か……!」

「ケンジ?どうした?」

「……お前等、良く聞け。さっき毒についての話をシェアしたよな?その中で1の毒が全く見当たらなかったと思う筈なんだが……もしかしたら見つけたかもしれん」

「見つけたって………え、まさか!?」

 

 大方察したのか、それに頷くケンジ。つまり―――

 

「1の毒は……この子の体内の中に入ってる。いや、入ってるって言うよりかは身体中に広まっている最中って言った方が良いだろうな。明らかに本の内容で見た通りの行動は途中まで合ってはいたんだが、余りにも長過ぎるし元の世界に戻れてない。このままあっちの毒を飲んだとしても、この子だけはこの空間に取り残されたままになる。既に体内に毒が回っている状況で別の毒を入れたとしても、効果は望み薄だ。相殺されたりする可能性もある」

「じゃあ、この子の体内にある毒をそこの機械で摘出した後に2の毒を飲ませれば……助かる可能性はあるって事か?」

「そう考えた方が妥当かもしれん」

 

 実行する前に見落としを見つけて良かったと安心する一同。このまま毒を飲んでいたら大変どころか悲しい結末を迎えていたかもしれない。現実に戻れる方法があるとするならば、絶対この子も連れて帰ろうと決意したのだ。この子も元々は自分達と一緒に巻き込まれた子に過ぎないのだから。

 少女には事前に毒を抽出はするけど少し痛みを感じる事や、終わったら終わったで別の毒を飲めば現実に戻れるという事を説明した。少女も最初はどうしようかと戸惑った後、意を決して毒を飲む事に同意してくれた。

 

「それじゃあ、早速毒を摘出するぞ。ここに座ってくれ」

 

 こくん、と頷く少女にケンジは頭を撫でて安心させた。座らせた後にタッチパネルを動かすと「毒摘出操作を開始します。患者を手術台に座らせた後、使用ボタンをタップしてください。」という機械音声が流れ、そのまま使用ボタンを押す。

 押すと機械が自動的に動き始め、少女の胸部に向けてレーザーが照射される。レーザーによって焼かれているのか、ちょっとだけ痛いという表情を浮かべる少女。

 

「もう少しだから耐えてくれ……!」

 

 祈り続けながらもレーザーは少女の体内に入っている毒を除去し続ける。数分後、機械がスゥー……と動かなくなった後に「毒の抽出が完了致しました。お疲れ様でした。」という音声が流れる。彼女の体内に広がっていた毒は完全に無くなったのだ。さっきまでの苦しい表情から一変し、今では元気そうな顔を浮かべている。

 

「毒は消し去ったのに、また毒を飲むってのも正直どうかと思うが……」

「そこは突っ込んだら負けだぞ」

 

 野暮なツッコミは置いといて。さて、改めて毒を飲んで死ぬという実行を移すのだが、その前にしなければならない行動が一つ。

 この空間を用意してくれた者が望んでいる死に方は一つ。「毒入りスープ」だ。2の毒が入った瓶もそんなに残されてないが、その為にわざわざスープを用意して均等に渡らせる様に配慮したのだろう。

 

「ちなみに、中央に置かれてあったスープどうなってるよ?」

「……まだ温かいな」

「俺、人数分のスプーン持って来るわ。野菜やら肉やら余計なモノが入ってない分かき混ぜ易いから、毒を入れたらすぐに混ぜるか」

 

 全員は一旦中央に集まった後、グレイが北側の部屋で人数分のスプーンを持って来た後に毒をスープに投入。銀のスプーンでかき混ぜ、先端が変色したのを確認すると「ヨシ!」とスプーンをスープから引き離した。スプーンが全員の手に握られ、変な緊張が生まれながらも覚悟してスープを掬う。

 

「来世でも俺達ゎ……ズッ友だょ……!」

「不穏なワードを言い残すんじゃねぇ!!ほら、さっさと飲むぞ!」

 

 変なボケが入ったが、改めて毒入りスープを飲んだ全員。全部飲み干すと、激しい頭痛に襲われると同時に視界が歪み始める。

 その苦痛に耐えている状況は地獄と言っても変わらず、自分達の顔は今とてつもなく酷い事になっているのだろう。床に手をつき、頭を抑え、立つ事もままならない。少女もまたさっきと同じ様に苦しい表情を浮かべるが、ゆっくりと彼等の元に手を伸ばして優しそうな表情を浮かべ―――

 

「あ り が と う」

 

 と、彼女の口元がそう動いていたのを見た。それを見た彼等は安堵した表情を浮かべたままゆっくりと動かなくなり、視界が暗転した。その時、彼等の頭の中に―――

 

 

 

―――『勇敢なる者よ!現へと還るがいい!』

 

 

 

 と言う声が響いたが、「お前が還れ。二度と現れてくんな」と、満場一致で告げた者を罵った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……き……!しき……ん……!指揮官……!」

「んあ……?」

 

 誰かの声が木霊し、誰かに揺さぶられる感触がグレイの身体に走る。いや、揺さぶられる感触だけじゃない。あの硬い床で眠っていた時の感触ではなく、ふかふかの柔らかいベッドの感触。

 グレイはゆっくりと目を覚ました。周りをじっと見ると、そこは何時も通り見慣れた光景。間違い無くグリフィンでの自室で、隣にはグレイを起こそうとした404小隊の皆が揃いも揃って集まっていた。

 

「大丈夫指揮官!?もう目が覚めなかったらどうしようかと思ってたよ!」

「9……?ああ、そうか……」

 

 ちゃんと元の世界に戻れたんだな、と喜びの表情を浮かべるグレイ。最後の最後であの毒で本当に元の世界に戻れるのか不安はちょっとだけあったが、生きている分だけマシだろう。

 

「ちょっと、何笑ってるのしきかーん?割と心配したんだからね?」

「ホントよ。指揮官を起こしに行った45が慌てた様子で「指揮官が魘されてる!」って駆け寄った時はこっちも驚いたんだから」

「ちょ……!416!それは言わないでって言ったじゃない!」

「まあ、とにかく無事で何よりだよ。で、指揮官は何で魘されてたんだい?何か悪い夢でも見たの?」

「悪い夢?うーん、そうだなー……」

 

 さて、この話はどう説明しようか。正直に言った所で頭がおかしいとか、そんな夢あり得ないとあしらわれるかもしれないが。せめてここは秘密にしておこう。俺達だけしか知らない出来事なんだからと、あの出来事は記憶の中という事で留めておこうと。

 きっと自分と同じ様に生還したあの少女にまた会えるかなと心の中で祈りながら。それもまた実現するのはそう遠く掛からなかったが。




なお、今回のも後日談アリの予定で。これまでドルフロって色々とコラボしてたけど、ガンスリンガーガールは正直どうしようかなと迷ってる。原作見てないから何とも言えないが、少なくともやるからにはあの子達を救ってやりたい気持ちが。

これアレだ。奴隷との生活と同じ様な保護欲が掻き立てられるわ。頑張った彼女達を精一杯褒めてあげたい。彼女達の居場所になってあげたい。つまり―――

指揮官ズ「俺達が守護らねばならぬ。」

まあ、こういう事だろうよ(白目)



・俺のおいなりさん
変態仮面のお決まりの台詞。知らぬ間に他の男の股間触ってたとか一種のトラウマだと思うが。

・股間の紳士
金色のガッシュ!!に登場したビクトリームがチャーグルという呪文を使った際の一言。フルパワーまでチャージするとチャーグル・イミスドンという技となり、Vの形をした光線が発射される。チャージする順番は右腕、右肩、股間、左肩、左腕(アニメ版のみ追加された部分)、Vの華麗な力を頂点にという形となる。というか、あんな丸いのが股間なのか……。

・何なのだ、これは!どうすればいいのだ!?
ドラッグオンドラグーンの新宿エンドでアンヘルがプレイヤーの気持ちを代弁して言ってくれた台詞。いきなり音ゲーが始まるんだから、そりゃそんな気持ちにもなるわ。

・森部のじーさんの奥義
ライブアライブの現代編における森部生士が使ってたとされる「通打」と「あびせ蹴り」という技で、高原日勝がラーニング出来る技。実際、この二つでラスボス倒せたなんて事例もあるので、ある意味最強なのは森部のじーさんかもしれない。

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