味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ 作:ホワイトアクア
グリフィンの射撃訓練所。ここでは既に知っての通り、対鉄血やE.L.I.D.に備えての戦闘訓練が行われており、戦術人形だけではなく指揮官であるグレイ達も使っている場所である。今回もまた発泡する音が何度も響き渡る中、時々金属同士が鳴り合う音が聞こえる。
「随分長くやってるなぁ……」
その様子を遠くで見ていたフランが呟く。そこで戦っていたのはエクスキューショナーやジェリコ、そしてHK416。対して相手をしてあげているのはグレイ。この時、グレイは珍しく簡単な銅の剣や鉄の剣で彼女達の訓練に付き合っていて、理由も木刀なんかだとちょっと緊張感が欠けたりとかそんなものだった。
「中々やるわね指揮官。射撃だけじゃなく、近接戦闘もエリートだったなんて」
「褒め過ぎだ。それこそ剣の型とかに囚われるやり方じゃないから、一瞬でも気を緩めれば大怪我なんて事も有り得るぞ。慢心ダメ絶対」
模擬戦なのだが、こうして余裕も残しながら会話している辺り大した度胸とも言うべきか。それを示すかの様にサバイバルナイフで攻撃を仕掛けるHK416や持っていたブレードに対して剣で受け止めたり、回避しながらも反撃を繰り出すグレイ。時折、ラッシュとかもし始めては動きを目で追いかけるのがやっとだった。
「ねえ、何かあそこだけ次元が違うんだけど」
「仕方無いよ45姉。戦術人形の大体は銃を使うのが殆どだから別の武器を使うってのは中々見られないんだよ。指揮官達が色々と知識とか持ち込んでしまったってのもあるけどね」
それで救われた事は幾度もあったが、逆に色々と万能過ぎて本当に戦術人形要るか?と問いたくなる程。だが、彼等も戦術人形達もそこは深く気にしないスタンスを貫いていた。
「おい、指揮官!アタシと勝負しろ!」
突然、勢い良く現れては怒鳴り込む様な声が響く。そこに居たのは赤い髪のツインテールをした少女で、手には斧、もう片方の手にはハンドガンが握られていた。
「またかCZ75。これで何度目だ」
「何度でも挑んでやるよ!アンタ等だけ強いとかアタシのプライドってモンが許せねぇんだよ!接近で強いのはこのアタシだ!」
何処となくバトルジャンキーの雰囲気を出しているのはハンドガンの「CZ75」。彼女も少し前にグレイ達が製造で作り上げたのだが、初対面で会った時のインパクトがヤバかった。その理由は言うまでも無く持っていた斧が原因。銃と一緒に近接武器を持った戦術人形が現れるなんて事は早々に見られなかったのだ。
「あ?何見てんだよ」
「いやいや!見るも何もその斧何!?こえーよ!」
「お前、それ投げて使ってとか無いだろうな……?」
「知ってんのか?だったら話が早ぇな。アタシはこの斧を使って、相手を絶対ぶっ殺すまでが本業だからな!」
「トマホークでもするのか!?」
こんなので背後からサクッとやられたりなんかしたら……ゾッとする。特にトマホークなんかは頭にクリティカルヒットした場合、グロテスクな展開が頭を過る。
そもそも、何で彼女が斧を持ってまで戦うのか資料を調べると、北米大陸でネイティブ・アメリカン達が手斧を改良したモノらしく、それが19世紀までのインディアン戦争で活用されていた事が由来となっているらしい。それ以降も一部の兵が使用してたりと、ナイフよりも威力があるからという理由で採用されたとかそんな話があったらしい。
「手斧持ってフラついている様子とか見ると怖いとしか言えないんだが」
「でも、面倒見がある……のかな?まるで天龍みたいだぁ……」
「13日の金曜日に出て来そうだな。それとも第五人格とかDead by Daylightにゲスト出演とか果たした?」
「何だよ揃いも揃って!アタシが殺人鬼か何かとか言いたいのか!?」
『え?違うの?』
「よし、そこに並べテメェ等!纏めて殺す!!」
と、何とも下らない理由で一触即発。しかし、結果としてCZ75は敗北した。最初こそグレイが相手だった時は木刀で挑んで来るとは思わず、舐め腐っていると考えていた。だが、いざ実力を発揮すればCZ75の攻撃は躱され、斧を投げても何故か金属が鳴ったかの様に上へと弾かれ、ハンドガンで攻めても何時の間にか距離を詰められてはボコボコにされて終わっていた。それがとてつもなく悔しかったのか、何度も何度も挑んでは負けるの負けるを繰り返し、勝つまで諦めなかった。
「ってか、別に俺だけじゃなくても良くね?鷹山とかフランとか良い訓練相手居るぞ?」
「それで済むなら解決してるっての!こっちは色々と理不尽にやられたんだぞ!?それ所か、一番一番最弱のポジションだった二人ですら戦えてんじゃねぇかよ!!」
CZ75の言う最弱のポジションというのは「ザック」と「ケンジ」の事を示しており、この二人はそれぞれの専門特化故に攻撃力は比較的一番弱い方だと言われていた。戦力として例えると、フランより少し下ぐらいの実力。
だが、ここ最近で彼等にも変化が見られた。ザックの方は超高速戦闘を基準としたパワードスーツを開発し、それを自らの装着しては銃などの鍛練を繰り返した結果、それなりに動きが慣れたと本人は言っていた。逆にケンジの方は農業で偶然見つけた種を育てた結果、見た事の無い実を見つけ、食べると超人的な能力を得たという。しかしながら効果はそんなに長くは続かないらしく、これを改良すべく調合を繰り返した結果、1日限定で発揮出来るという優れものへと変化。増産も兼ね、これを使って戦い方を修得すべく、最近は大太刀を使って鍛練しているという。
「どっちもバケモノ並みに強かったぞ!!ホントにお前等人間かよ!?」
「人間……なのかなぁ……?エルに関しては魔銃だから、いざとなれば変身するから、実質人間辞めてるちゃあ辞めてるな」
「普通、パルクールとかでも高い所はピョンピョン登って飛んで行きますから、そこまでは人間の領域だと思いますよ?」
「そんなので前線で戦う指揮官なんて聞いた事ねぇぞ!」
後にも先にも、こんな指揮官達が居るのはここだけだろう。今日もまたCZ75の相手をすべく、適当に相手をし、適当にダメージを与えてから終わらせた。もう戦い方とかも大分把握したのか、CZ75の動きを読みながら相手をする日々が続いた。
「畜生!何なんだよアイツ等……!」
その後、CZ75は自室に戻ろうとしていた途中だった。毎回負けてばかりだったのか、それに対する怒りが収まらない彼女。何時か絶対にアイツ等を泣かすと心に誓ったのだが、時折グレイ達には絶対に勝てないという不安も過る。
「こんなんじゃダメだ……もっとだ……もっと強くなりてぇんだ……!」
『ククク……強くなりたいのか?』
「ッ!誰だ!?」
いきなり何処かからかCZ75に向けて声が聞こえた。辺りを見回したが、回りには誰もおらず彼女だけが取り残された廊下だけしか見当たらない。
「……空耳か」
『誰が空耳だと言った。貴様に問い掛けたばかりだぞ』
「……ッ!だから誰だって言ってんだよ!ついでにお前は何処に居るんだよ!隠れてないで出て来い!」
『そいつは無理な話だ。俺は隠れているんじゃなく、訳あって動けない身体なんでな。貴様自身が来なければ話が進まん。俺はこっちだ』
声の聞こえた方向を見る。その先はザックやグレイ達が戦場に残された機械や旅先とかで入手したモノを溜め込んでいる部屋の方からだった。運が良かったのか、扉はロックされておらず、すんなりと中へと入れた。
「うわっ、汚ねぇ……何だよこの部屋……で、声掛けたヤツは何処に居るんだよ」
『ここだ、小娘』
その先を見ると、CZ75の目にある物が留まった。それは禍々しい形をしていた大きな斧で、刃からも簡単に人を殺せそうな形状をしていた。そして、斧からは邪悪なオーラが漂っている。
「……お前か、アタシを呼んだのは?」
『そうだ小娘。貴様は強くなりたいと願ったな?ならば、この俺を手に取れ。そうすれば貴様の望むがままの力をくれてやる』
「ホントかぁ?こういう話って大概人の身体を乗っ取るとかそんな話聞くけど、テメェの目的って何だよ?」
『目的か……ふん、そんなものは当に消え失せた。本来ならば俺はアイツを殺し、あの女を手にするつもりでもあったが、俺は敗北した。幾度もその怨みを糧に復讐を誓ったものの、ヤツは俺の前には現れず、何時しか俺もアイツ等も死んだ。気付けば見知らぬ大地で俺は目覚め、この形だけで俺は常に孤独だった。だが、知ってか知らずか俺を持ち帰った愚か者が居たが、やはり最後はこんなゴミ箱へと置きやがった』
「それって、ただ単純にお前を扱える様なヤツが居なかったとかじゃねぇのか?」
『かもしれんな。聞けば、ここは銃という武器を使って戦っていると聞いたが、俺からすればそんな姑息な武器こそ不必要だ。今に必要なのは圧倒的な破壊力、全てを切り裂く力、何事にも負けぬ意志。そうだろう?』
そりゃ確かになと納得はしたが、こんな禍々しい武器からそんな話を聞かされるとは思わなかった。何だか色々と矛盾しそうな気がしたからだ。
『そして、貴様が現れた。貴様はどうやら斧を使える使える様だな。それならば、俺の力をここで潰える事は無くなりそうだな。どうだ?ここは1つ俺を取り込んでみないか?』
「取り込んで……どうなるって話だよ?」
『今の貴様は軟弱な小娘に過ぎん。ついでにその貧相な身体もどうにかしてやる。どうだ?悪い話では無いだろう?』
「貧相は余計だ!ぶっ殺されたいか!?」
『ククク……憎まれ口を叩く程の余裕はあると見た。それで、受けるのか受けないのかどっちだ?』
「……胡散臭いけど、何もしないってよりかはマシだな。これでも訓練してるけど、どんなに積み重ねても勝てる気がしねぇ。なら、悪魔に魂を売ろうがやってやるよ!」
『良いぞ……その意気込み、気に入った。今から今から俺は貴様の斧だ。さあ、名前を言え!この俺の名前を!』
「ああ、良いぜ!言ってやるよ!アタシの相棒―――」
次の日、今日も訓練所では他の戦術人形も交えながらの鍛練が行われた。ザックやケンジも感覚を忘れない為にここへ来る日が多くなっていた。
「今日も来るのかね」
「まあ、あの子の事だから絶対に来るでしょ」
CZ75の事だから、絶対諦めるなんて事はしないだろう。それが彼女の良さでもあるのは指揮官であるグレイ達も知っている。今日も軽く相手しようと思ったその時だった。
「来てやったぞ、指揮官」
「おー、今日もめげずにやって来……た……?」
CZ75の声が聞こえたので振り返るグレイ。だが、彼女の姿を見たグレイが固まった表情を浮かべる。それはグレイだけじゃなくここに居た全員が唖然となる程だった。
「ククク……どうよ、新しく生まれ変わったアタシの姿をよぉ!」
以前の彼女はちょっとばかし小さい感じの少女だったのだが、今の彼女は完全に別物となっていた。身長はグレイ達と同じ大きさの大人の体型となっており、小さかった胸もバインバインのナイスボディへと劇的な変化を遂げている。おまけに凄い腹筋と両手両足に筋肉がついていて、強者感溢れる雰囲気が漂っている。
特にUMP45は自分の胸をペタペタと触った後、目と口から血を流しながら恨めしそうな目で彼女を睨んでいた。だが、やっぱり目立つのはあの禍々しい斧だった。昨日までのあの斧は一体何処行ったと言いたくなる様な、そんな危険なモノを彼女は軽々と片手で持っていたのだ。
「え、ちょ、誰!?お前本当にCZ75!?劇的に変わり過ぎだろ!?ってか、その斧って何なんだよ!?」
「あの斧……あれ、確か旅先の途中にあった闇市とかで売ってた呪いの武器とかじゃなかったか?何か良いなと思って買った覚えがあるんだが……」
「何でそんな危ねぇモノ買ってんだ!!絶対ヤバい事が起きるって分かってたじゃねぇか!それをずっと放置してたのかよ!!」
お前が原因かい!と戦術人形からの視線が熱い。因果応報とはこの事か。やっぱり残り物はちゃんと処分すべきだったと今更ながらも後悔が積み重なる。
「テメェには散々苦汁を飲まされ続けて来たからな……確かにアタシは何度も敗北した……だが、テメェ等の尽きぬ憎しみがアタシに再びチャンスを与えたのさ!」
「そこまで恨み辛みで言ったか!?それともまだ13日の金曜日とか言ったのを気にしてた!?」
「アタシの悪口などどうでも良い。今は貴様等と殺り合いたいのさ!さぁ、始めようか……アタシとテメェ等とのセルゲームを!今度こそテメェ等が死ぬ番だ!ま、力加減間違って地球を壊してしまいそうだがな!クハハハハハ!!」
(『地球が人質にされたァァァァァァァァァァ!!!?』)
何故だか分からないが、鉄血よりもE.L.I.D.よりも一番厄介な出来事と関わってしまった。
CZ75のムキムキになった姿はアズールレーンのホノルルだと思って下さい。そのホノルルに腹筋やら腕、足に筋肉がついてる状態。最高だと思わんかね?
ガンダムだと思った?それともFGOかと思った?残念、テイルズからだよ!!
という訳で、次回は地獄が始まる……!その内、ディムロスは犠牲になって貰わねば。