味方からも敵からもヤベー奴扱いされた指揮官達のいるドルフロ   作:ホワイトアクア

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2ndGクリアした後、すぐに3rdプレイ。楽し過ぎて書く時間すら忘れてた……。
2ndGに比べたら大分威力下がったけど、やり応えある。ただし、クルペッコてめーは駄目だ。途中で鳴き真似してラングロトラ呼ばれた時はかなり焦ったわ……。


COUP DE GRBCE

 何かトンでもない所で始まってしまったセルゲーム。地球が人質(確かに人も含まれているが……)とされ、失敗すれば鉄血だろうとE.L.I.D.だろうと惑星諸共崩壊待った無し。ここは全力で止めなければならない。

 

「さあ!見せて貰おうか!テメェ等の藻掻きとやらをな!」

「勝てないからって、んな危ねぇ力に染まりやがって!買った俺達が言う台詞じゃねぇけどよ!!」

「フフフ……何とでも言ってろ!今はテメェ等を殺すのがアタシの最高の瞬間!さあ、楽しいパーティーの始まりだッ!!」

「この狂人め!」

 

 戦術人形どころか殺人マシーンと化した彼女。彼女の威圧にグレイ達は若干身震いしているのに対し、周りの戦術人形や鉄血人形はその恐ろしさにブルブルと震えている。何せ、元から怖そうな性格だったのに、それを何倍かに増幅させたかの様なヤバい雰囲気を纏っているからだ。

 

「ど、どうするんですかコレ……?」

「指揮官のバカ!何でアイツ等は次から次へと余計な問題持って来るのよ!!」

「んー……でも、これまで散々問題が起きても指揮官が解決してくれたから、そこまで心配する要素は無いと思うんだけどなぁ」

「いや、今回ばかりは焦って下さい。あのただならぬ殺気……もしかしたら本気で世界壊そうとしてますよ。もしも、彼女が勝ってしまったらこの星は終わりを意味しますから」

 

 戸惑うM4、少々恨めしそうな目で睨むWA2000。彼等の事だから勝てると信じているG11だが、間違い無くあれはそこ等のレベルじゃないと確信しているエージェント。

 それぞれ思う所は色々とあるのだが……その間に紛れて一際強い恨みをCZ75に向けている者がたった一人……。

 

「モゲろ……そのデカチチ……モゲろ……」

「え、えっと……45姉……さっきからどうしたの……?何か怖いよ……?」

「妬ましいのよ……」

「何が……?」

「アイツの……あのデカい胸がァ!!だって有り得ないでしょ!?あんな大きい身長と同時に胸なんて替えのパーツでも無ければ殆ど無理だって言うのに!くっ……あの斧を持った瞬間にあんな劇的なビフォーアフターを生むなんて誰が予想出来るの!?」

 

 あの冷静沈着でちょっと残忍な所があるUMP45がそこまで言って乱れるとは思わなかっただろう。彼女の意外な一面が見れたのかちょっとだけビックリしている一同。だが、正直な話それを理由に怒って欲しくなかったというのが全員が思っていた事。

 元々小さい胸にコンプレックスを抱いていた事もあり、今回のあの変わり様は彼女からすれば「私にも代われ!」と怖い顔で迫られてもおかしく無い。もっと言えば、グレイ達ですらもこれには予想外とも言えていた。だが、本当に恐ろしいのはここからだ。

 

「屑がぁ!」

「おわっ!?」

 

 彼女が振り落とされた斧をサッと避けるグレイ。ドゴォ!と強烈な一撃はここの部屋に大きなクレーターを作るには十分だった。

 

「どう見ても斧の威力ではありません、本当にありがとうございました」

「実況している場合か!?」

「余裕かましてんじゃねぇ!」

「ぎゃああああああああああ!!!?」

 

 変な事をボヤいていたら怒られ、仕返しのつもりなのか「ヘルヒート」という斧から放たれたエネルギー弾が高速でグレイ達に迫って来た。

 もうハンドガンだとかマシンガンだとかそんな比じゃなく、生易しいとかのレベルじゃ済まされない。ホーミング機能が付いてるのが余計ヤバいのか銃の意味とは一体何だったのか疑いたくなる。寧ろ、お前ホントに銃要るか!?と言いたくなる程。

 

「ぎゃぁっ!!あで!痛でででで!!」

「あんの野郎……!滅茶苦茶な攻撃しやがる!」

「ヤバい!防御取らないとマジで死ぬ!」

「ちょっと!?こっちに流れ弾来ちゃってるじゃないの!!」

 

 ヘルヒートの出す数が多かったのか、グレイ達じゃなく他の戦術人形も巻き添えに。本当に見境なくなので、地球崩壊よりも先に自分達が殺られると危機感を抱く戦術人形達。彼女達は少しでもCZ75を止める為に銃を取り出し、照準を彼女へと向ける。

 

「やっている事は思いっ切り裏切り行為とかそんなのに近いけど……」

「けど、ここで止めなければ危ないのは確かです……やりましょう!」

 

 こんな形で仲間に銃口を向けるのが怖いと思ったFive-sevenだったが、ウェルロッドの言葉に全員が同意する。タイミング良く合わせて全員で一斉射撃する方針だ。その間にもグレイ達は彼女の攻撃を避け続けていた。

 

「どりゃァァァァァ!!」

「わぁぁぁぁぁっ!?」

 

 イビルチャージからのブルー・アブニゲイトという強烈なタックルをぶちかますCZ75。何とかギリギリで避けるフランが何時倒れてもおかしくない位見る側にとってはハラハラしていた。

 それと同タイミングでグレイが先に彼女の元へと辿り着き、持っていた鉄の剣や銅の剣で攻撃を仕掛けるが……。

 

―――カキンッ!

 

「んなっ!?攻撃効いてねぇ!?」

「これは……鋼体持ち(ペネレイト)か!?」

「それで攻撃のつもりか!」

 

 戦術人形が出して良い音じゃない有り得ない光景が。どんなに攻撃しても彼女は鋼でも纏っているかの様に硬く、傷すら中々付かない。それ所か持っていた鉄の剣や銅の剣がパキンッと割れるなど不測の事態が起き始めた。直後―――

 

「ぶち殺す!!」

 

 カッ!と恐ろしい表情で睨んだCZ75。そして……。

 

死ぬかぁ(轟炎斬)消えるかぁ(斬空断)!!土下座してでも生き延びるのかぁ(裂砕断 これぞ我が奥義・三連殺)!!!」

 

 斧を大きく上から下へと振った後、次に下から上へと振り上げ、浮き上がって落ちて来た所を首元を掴んだ後にズドンッ!!と床に叩き付けた。

 

「がはぁっ……!?」

「グレイ!?」

「何時まで寝てんだ!!ぶるぁ!!」

 

 倒されても容赦なくトランプルで踏み付けられ、漢の振り上げで少し遠くへと吹き飛ばされてしまう。

 吹き飛ばされたグレイは吐血しながらもフラフラした状態でゆっくりと立ち上がる。骨が折れてないかとか中の臓器が破裂してないか割とマジで心配していた。

 

「がはっ……!ゲホッ……!」

「指揮官!」

「ぐっ……!こんな強烈な一撃喰らったの……初めてだ……!」

「物理効かないとか聞いた事ねぇぞ!?」

 

 自分達の持っている武器では到底役に立ちそうにもない。現にCZ75に向けて剣を振ろうとしたが、彼女の身体は傷一つすら付かない。最初は仲間を傷付ける行為に躊躇っていたグレイだったが、アレを見た瞬間にこれは仲間を斬るどうこうの話じゃないと即座に理解した。これ以上他に打つ手は無し……そう考え始めた時、ケンジが何かを閃く。

 

「……外が駄目ならば、内側で攻めるか」

「けど、どうやってやる?見ての通りアイツの身体は尋常だぞ」

「別に武器を使ってどうこうしろとは言ってない。そうじゃなくとも手段は他にも方法がある。という訳で……時間稼ぎを頼む!俺は医療室で薬を作って来る!」

「あ、おい!」

「大丈夫!すぐ戻る!なるべく援護も呼んでおくから!」

 

 走り出したケンジは一旦ここから離れ、医療室へと走って行った。一瞬逃げたと思ったが、本当にそのつもりで行ったのならばら藁にも縋りたい所。だったら自分達はなるべく時間を稼ごうと彼女の前へと立ち上がる。

 

「ほう……あれだけの攻撃を受けても耐えたとはな。ククク……あのディムロス以外にも我が飢えを満たす相手がこの世界に居ようとはな……」

「コイツ……!!」

 

 キッと強く睨むHK416。グレイは止めとけと制止したが、我慢が出来なかったのかHK416はグレイが持っていた木刀を取ってからCZ75に向かって走り出す。

 

「指揮官を傷付けたのを許さないわ……!覚悟なさい!!」

「抜かせ!その貧弱な武器を手にした所でアタシに勝てると思っているのか!!」

「やってみなくちゃ分からないわよッ!!」

 

 恐れる事なく走るHK416。持っていたアサルトライフルでCZ75に向けて撃ったが、やはりダメージはさっきと変わらず効果が薄い。

 

「引き裂いてやろうか!」

「きゃっ!ふ、ふん!当たらなければどうって事無いわよ!」

 

 \ヌワーーーーーッ!! ア、アルケミストォォォォォォォォォォ!! ナンダイマノコウゲキハ!?/

 

「………」

「どうした?当たらなければどうって事無いんじゃないのか?」

「よくも私の仲間を!!」

「いや、避けたお前が悪いからね!?」

 

 殺・魔神剣を避けたHK416だったが、避けた先でまさかのアルケミストが攻撃の巻き添えに。何だか気まずくなったのか、自分で避けたのをゴリ押しで無かった事にしようと謎の逆切れをしたHK416に流石のグレイもツッコミを入れた。

 

「ふん、雑魚が……だが、退屈凌ぎには丁度良いだろう……皆、纏めて殺してやる。それなら寂しくは無いだろう?ククク……」

「そうやって言っていられるのも今の内よ!!」

 

 走って来るHK416に対して、CZ75は斧を振ったが、HK416は直前でバックステップをした後にラッシュを叩き込んだ。何度も慣れたという事もあってか、間髪入れずに攻撃を続ける。CZ75も反撃を繰り出そうとするが、行動を読まれているかの如く躱されてしまう。

 

「ぐぅ……!ちょこまかと逃げやがって!」

「こんなモノじゃないわ!指揮官や皆を傷付けた痛みは!もっと、もっと苦しみなさい!」

「卑しい小娘が……!ならば、望み通り貴様が先に死ぬ番だ!!」

 

 再度、斧での攻撃を仕掛けたかと思えば、空いていた左手を使ってHK416の首元を掴む。一瞬、苦しくなった次の直後、デス・アビスで床へと叩き付けられた後、デス・イン・アビスで更に強く叩き付けられる。

 

「がっ……!」

「虫けらが!今死ね!すぐ死ね!!骨まで砕けろォ!!!」

 

 掴んで来るのは予想外だったのか、かなりのダメージを受けてしまうHK416。そのまま床に倒れ込んでいる所をトランプルで再び踏み付けられそうになったが、寸前の所でCZ75に向けてアサルトライフルの弾が襲い掛かる。いきなりの攻撃にストップしたCZ75は涼しげな表情でその方向をギラリと睨んだ。

 

「アタシの邪魔をした愚か者は誰だ……?」

「貴女の相手は私よ!!」

 

 振り返った先にはUMP45がアサルトライフルを構えていた。しかも、背中には同じ様にグレイから一時的に借りた弓と剣、盾まで背負っていてフルアーマー状態だった。

 

「ほう、404小隊のリーダーUMP45様が直々にお出でになるとは。誠、光栄の極みだな」

「これ以上好き勝手な事はさせないし、指揮官を傷付けるならば私もキレるわ。それに……今だって貴女のその身体が憎たらしいのよ!!」

(理由が小さ過ぎる!!)

 

 せめて吹き飛ばされた彼氏の事を優先してやれよと心の中で突っ込む全員。そんな彼女の理由をCZ75は大笑いした。

 

「フハハハハハッ!404小隊たるリーダー様がそんな小さな事でこのアタシを殺すとはな!何とも下らない理由だ。だが、如何なる理由であれどアタシはこの身体が気に入ってる。譲る気などありはせんがな。それでも欲しいのならばいっその事アタシの仲間になれ。そうすれば何もかも手に入る!胸も!尻も!長い身長さえも!貴様のボディは製造された頃からずっとその貧相な身体のままで生きて来た。これが、今の段階での史実だ。だが、今すぐ仲間になれば十分に間に合う。製造会社だろうとネットだろと最後に掴んでしまえば問題は無かろう……それこそ正妻の座を勝ち取る事が出来る!さあ、足掻いて見せろ、自分を変えたいとな!フフフ……ハーッハッハッハ!」

「くっ……!」

「いや、そこ揺らぐ所じゃ無いだろ!?どんだけ自分の欲望に忠実なんだよお前は!?何処のお父様だよ!?」

(M16姉さんが珍しく突っ込んだ!?)

 

 実際、敵として増えても困るし、それで地球滅亡ならば尚更。何時もはだらしないけど、いざという時には頼りになるなぁ、とM4は思っていたが……。

 

「それに、お前が裏切るかどうかはともかく、地球とか壊されちゃ、これから先ジャックダニエルが飲めなくなる生活とか私は絶対に嫌だからな!そんな誘惑に負けるなUMP45!!」

(少しでもM16姉さんを信じた私がバカだった!!)

 

 M16、お前もか。寧ろ今の発言は人としてちょっとクズ過ぎると思うのだが、そんな姉を少しでも信じたM4は物凄く後悔し、余りのショックに他の戦術人形やAR小隊の面々も同情した。

 しかしながらも、そんな事は分かってると呟きながらもUMP45はCZ75を睨む。

 

「そうだ、その目だUMP45!デカい胸という憎しみと殺意に満ちたその目をアタシは待ち望んでいた!それでこそ殺し甲斐があるというもの!さあUMP45、その憎しみをアタシに向けて掛かって来い!アタシの乾きを癒せ!!」

「言われなくても、やってやるわよ!!」

 

 HK416に代わり、今度はUMP45がCZ75の相手になった。基本的には彼女の攻撃をなるべく直撃しない様に避け続け、少しずつダメージを与えるという方向で行くつもりだ。

 一方で強く床に叩き付けられたHK416はむせながらも何とか起き上がり、一時撤退してこの場を離れようとするが……。

 

「男に後退の二文字はねぇ!絶望のシリングフォール!!

 

 HK416の頭上から突如として現れる無数の鉱石(というか見た目は完全に岩)の数々。このままでは彼女に直撃してしまうのだが、先に気付いたグレイがHK416の所にまで走った後に彼女をダイブして抱えた。

 

「ぎ、ギリギリセーフ……!」

「指揮官……!」

「何とか間に合ったみたいだな……ってか、今の何だ!?魔法か!?」

「魔法が使える戦術人形なんて聞いた事無いわよ……!」

「ほう、漸く起きたか。二人纏めて殺すのもまた一興か……」

 

 正に前代未聞。それでいて滅茶苦茶強いというデタラメな能力。それでも何とか近付いては攻撃を続けるグレイ達。後からザックやエルも援護に入り、集中砲火でダメージを与えるも、全く効いているかすら怪しく見えてしまっていた。

 戦術人形の方も黙ってはいられないが、かと言ってカウンターの一撃が恐ろしいし、遠距離でも魔法を使うという状況に中々その一歩が出せない。迂闊に刃向かえば簡単に殺されるからだ。ただし、死ぬ事はならず単純に気絶程度で済むが。

 

「くっ……!援護しに行きたいけど、返り討ちが……」

「あの意味分からない攻撃も何なのよ……上から岩が降って来るなんて……」

「攻撃もあまり効かなそうだし……どうすれば……」

「でしたら、ここはわたくし達にお任せを!」

 

 判断に迷っている中、一人の戦術人形が声を上げる。振り向くと、そこに居たのはライフルを持った戦術人形2体だった。

 

「グリフィンのジュピター砲と呼ばれたわたくしに不可能は無くてよ!」

「鋼体だろうと鋼鉄の壁であろうとも、この私が貫いて見せよう」

 

 その人物というのはIWS2000とNTW-20。彼女達は俗に言うアンチマテリアルライフルと呼ばれた強力なライフル銃で、種類にもよるが大体の威力は戦車の装甲を貫く程の強さを持っている。

 

「どうしてここに……?」

「ケンジ指揮官から異常事態が発生したという報告を受けた。事情も詳しく知っているが……本当に変わり過ぎだろ……」

「わたくし達はその援護ですわよ。見た限りだと、あの身体に傷1つすら付けられないそうですわね。ならば、ここでこそわたくし達の出番ですわ!」

「流石のアイツでもこのライフルの弾で貫かれたら苦しいだろうな。まあ、身動きを封じる事が出来れば尚更だが、何とかして見せよう」

「本当に大丈夫かしら……」

 

 どうやら自慢の高火力をぶつければ、無敵のCZ75にも風穴が空くのではないかと思っているそうだ。余裕の表情を見せる二人に対して、AR-15はジト目で見つめた。どうせ挑んだ所で返り討ちになる未来が絶対に見えてしまっているからだ。それは他の戦術人形も同じ気持ちだった。

 そうこうしている間に、彼女達は指定のポイントに動いた後で伏せた状態のままでタイミングを待つ。スコープの先にはグレイとUMP45が剣で何とか傷1つ付けようと頑張り、少し遠くからパワードスーツを着たザックやカオス化したエルが銃で撃ちながらもCZ75の攻撃を避けてから反撃の繰り返しを行っていた。それでもまだCZ75は倒れる事は無い。

 

「ッ!止まったぞ!」

「一斉に行きますわよ!」

 

 グレイとUMP45が少し離れ、ズシッ、ズシッという擬音が出て来そうなCZ75はゆっくりと二人の前へと近付いて行く。歩いている今がチャンスだと感じた二人は照準を彼女に合わせ、タイミング良くトリガーを放った。放たれた弾丸は物凄いスピードで彼女の胴体に目掛けてヒットはしたが……。

 

―――ベキッ!ベキッ!

 

「「なっ……!?」」

 

 うん、知ってたと言わざるを得ない光景が。二人の放った弾はCZ75の胴体を貫くかと思えば、有り得もしない堅さで弾がグシャッと潰れ、パラッと下へと落下していく。トンでもない光景に何かの見間違いだど現実逃避したくなるが、これが現実だ。当然ながら撃たれたCZ75はその方向に向けてギロリと睨んだ。

 

「貴様等ァ……遠くから姑息な真似事を!縮こまってんじゃねぇ!灼熱のバーンストライク!!

 

 シリングフォールと同じく、魔法を唱えると今度は爆炎を纏った弾が幾度も降り注ぎ、床に直撃すると爆発を起こした。途中で断末魔が聞こえたが、それすらも掻き消され、煙が晴れた頃にはヤムチャのポーズで倒れる二人の姿が。

 

「ホントに何しに来たのよアイツ等!?」

「噛ませ犬ってレベルじゃない程の出落ちっぷりだったなぁ……」

 

 対物ライフルとは一体何だったのか。任せた結果がこのザマである。一応、これでも死んではいないみたいだが……再び起き上がった時のショックは多分大きいかもしれない。

 

「はぁ……失望したぞ……」

「よくもアルケミストをやってくれたわね!!」

「うぅん?」

 

 今度は背後から気配を感じたCZ75。見れば、そこにはドリーマーと自爆兵器であるゴリアテを無数に連れながら現れた。表情は怒りに満ちていたが、理由は言うまでもなくCZ75の殺・魔神剣の流れ弾に喰らったアルケミストが倒された事に対する怒りだった。

 

「無敵だろうと何だろうと関係無いわ!この爆発で耐えられるのはほぼ不可能よ!アルケミストの仇、ここで取らせて貰うわ!!」

 

 わらわらとゴリアテがCZ75の所へと近付き、一斉にペタッと彼女に張り付く。数秒間のカウントをした後、凄まじい爆発が発生し、彼女の姿が完全に見えなくなった。

 

「アハハハハハ!この威力で耐え切った戦術人形は居ないわ!恨むなら自分の行いを―――」

「自分の行いを何だと言うんだ?」

「ハッ……!?」

 

 だが、煙が晴れた頃には無傷のまま普通に立っていたCZ75の姿が見えていた。さっきまでの余裕は一気に無くなり、正に絶望と言わざるを得ない感情が彼女に襲う。

 

「どうした、笑えよドリーマー。それでアタシを殺すんじゃなかったのか?」

「な、何故生きているの……!?」

「フン、その程度の攻撃がアタシに通用するとでも思っていたのか?つまらん、全く以てつまらん相手だ。今度は……アタシから行くぞォ!!」

「ひっ……!?」

 

 ブチ切れた彼女は斧を前方に構えると、先端から何かをチャージし―――

 

「貴様にアタシと戦う資格はねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」

 

 極太レーザー「チープエリミネイト」が発動。余りの恐怖と攻撃の速さにドリーマーは完全に動けないまま彼女の攻撃に巻き込まれ、レーザーは訓練場の壁を突き破った後に外へ出て、数秒後にレーザーが消えると100m先以上までドリーマーが吹き飛ばされ、そのままバタリと倒れた。これでもまだ死なない程度で辛うじて生きていたのが彼女なりの融通とでも言うのか。

 

「ちょ、今の何!?」

「何ちゅー恐ろしい技を……壁ごとぶち破るとか化物の次元を超えてる!」

「完全にジュピター以上の破壊力だよねアレ……」

 

 近付いても死、遠くに行っても死。明らかに自分達が太刀打ち出来る相手じゃないと感じさせるのは十分伝わっただろう。つくづく何でこうなったのか現実逃避する者も次第に現れた。

 

「あんなの……どうしろって言うのさ……」

「私達……何を守ってたんだろうね……?」

「そこ!絶望するな!まだ死んでもないのに諦めるな!」

「ん……?」

 

 何とかジェリコが叱咤して士気を高めようとするものの、これでもかと容赦の無い攻撃が続く。ギリギリで避けるのが精一杯で、ケンジの秘策を待つ為に時間稼ぎをしているに過ぎないのだ。だが、ここでG11がある物を見付けた。

 

「あれは……CZ75のハンドガン……?」

 

 CZ75からハンドガンが落ちていたのをG11は見つけた。落としたのに気付いていないのか、それともわざと捨てたのか分からない。が、今ならアレを奪えば多少攻撃手段は少なくなる筈だとG11は思っていた。そう決めると、G11はコッソリと戦っている間に落ちているCZ75の銃を取りに行く。

 

「……後、もうちょっと……」

 

 こっちを振り向くなよ……と心の中で祈りながらも、少しずつ銃との距離が詰められる。そして、後もう少しという所で……。

「取った……!」

 

 何とか見付からずに彼女の銃を奪えた。ホッと一安心したG11だったが、安堵した彼女に悪夢が襲い掛かる。

 

 

 

DISILLUSION

「貴様ァ……生かして帰さん!!」

                                    BLAST CALIBER

 

 

 

「うぇっ!?」

 

 割りと遠い位置までいた筈なのに、こちらの動きを察知でもしたのか般若以上の怖い顔で迫るCZ75。そして……。

 

「アイテムなぞ……」

 

―――ガシッ!

 

使()ってんじゃぁ!」

 

―――ズドンッ!ズガッ!

 

「ねえええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」

「ウボアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!!」

 

―――ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!

 

「わぁぁぁぁぁっ!?G11ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」

「畜生にも劣る下劣な行為!見逃す程の腑抜けじゃねぇぞ!!」

 

 一瞬にして希望から絶望へと変わった瞬間だった。あんなに頑張ったG11も彼女の逆鱗に触れた事により完膚なきまでにボコボコにされた後、ヤムチャのポーズをしながら倒れた。

 

「な、何て理不尽な……」

「銃ってアイテム扱いだったの!?そんな訳無いよね!?」

 

 理不尽の極みというのはこの事だろう。そんな時に……。

 

「大丈夫か皆!?」

「遅いぞケンジ!お前が来るまでの間、犠牲者また増えたんだからな!!」

 

 息を切らせながらも、約束を果たして戻って来たケンジが再び訓練場へと現れた。彼の手には3つの瓶と1本のナイフを持っていた。その内の一つの瓶は残った2つの瓶と比べて色が違っていたが、彼はその瓶に入っていた液体を飲んだ。

 

「貴様ァ……性懲りも無くアイテムを使いやがって!!」

「鷹山!アイツの所にまで走れ!!」

「え、俺!?」

「良いから!!」

 

 この時、遠い位置から見ていた鷹山に向けて指示を出したケンジ。鷹山は言われた通りに彼女の所へと瞬時に移動したが―――

 

「正面から来いッ!!」

 

 いきなり現れる事を予測でもしていたのか、斧を上へと振り上げてから鷹山を吹き飛ばすCZ75。そのまま彼女の背後へと流れる様に落ちたが……。 

 

「貴様ァ……アタシの背後に立つんじゃねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!

「ちょっと待てぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!?」

 

 鬼の形相で近付き、ズシンズシンと物凄い足音を出した後に持っていた斧で粛清の一閃。これまた強烈な一撃で、普通の人間ならば死んでも当然なのだが……。

 

「痛ぇ!!自分でやっておきながらこうするか普通!?」

 

 と、何故か普通にピンピンと立ち上がっていた。先程受けた傷ですら本来無かったかという程の復帰力で。その直後に―――

 

「Room!!」

 

 ケンジが思いっ切り叫んだ。彼が叫ぶと、彼を中心にドーム状の何かが大きく広がり、ここ一帯全てを包み込んだ。予め残っていた2つの瓶の蓋を開けた後、1本はナイフに塗ってから指をクイッと動かすケンジ。

 

「シャンブルズ!!」

「何ッ!?」

 

 すると、鷹山の居た位置とケンジの居た位置が入れ替わり、CZ75の前にケンジが現れた。ケンジは液体を彼女の顔に目掛けてぶっかけた。

 

「ぐっ……!」

「インジェクション……ショットッ!!」

 

 すかさず、狙いを定めたケンジは持っていたナイフで彼女の胴体を突き刺した。すると、さっきまで硬かった胴体にナイフが軽々と入ったのだ。この光景に全員が驚き、CZ75は予想外という反応を見せた。

 

「がぁっ!?き、貴様ァ!!」

「ったく……運動不足の俺になんて事をやらせるんだ!だが、これでお前の鋼体は一時的だが打ち消した!これで無敵とも言えまい!」

「貴様……このアタシに何をした!?」

「腐食作用があるクイーンランゴスタやオルタロス、フルフル亜種やオオナズチなどの唾液とか酸、他にもありったけのモンスターが持っている腐食効果のあるモノを全部ミックスさせた液体だ!」

 

 ケンジが彼女の顔に目掛けて投げた瓶の液体もその一つで、彼女の身体に攻撃が通ったのはそれが原因。持っていたナイフも「腐食ナイフ」と呼ばれる特殊な武器で、その腐食ナイフにあの液体を浸してから彼女の身体に刺し込み、更にダメージを通り易くする為に腐食が倍加したらしい。

 

「この軟弱者がぁ……!!断罪のエクセキューション!!

「シャンブルズ!!」

 

 CZ75が再び呪文を唱えて攻撃しようとしたが、ケンジもまた叫んだ後に鷹山と入れ替わった。上と下から魔法陣が現れては闇の力による噴出で攻撃を受けてからトドメの雷が降って来る。しかし、それを受けても鷹山は軽々と生きていた。

 

「おーっと、さっきはよくもやってくれたな?散々イジメてくれた分、身体で分からせてやるからなぁ!!」

「………ッ!?」

 

 CZ75は本能的に察した。今、鋼体が無い以上ダメージを防ぐ事など出来ない。その上でここで現れた鷹山相手だとどうなるか。答えは既に分かっていた。

 

―――ナギッペシペシナギッペシペシハァーンナギッハァーンテンショーヒャクレツナギッカクゴォ ゲキリュウデハカテヌナギッナギッゲキリュウニゲキリュウニミヲマカセドウカナギッカクゴーハァーンテンショウヒャクレツケンナギッハアアアアキィーンホクトウジョウダンジンケン

 

「命は投げ捨てるもの(キリッ」

 

 容赦無い攻撃が彼女に襲い掛かり、防ぐ時間すら無いままでCZ75は吹き飛ばされた。さっきまで傷一つすら無かった彼女が一瞬にしてボロボロになった。

 

「や、やった……勝った!勝ったんだ!」

 

 CZ75がやられた事を再確認したUMP9が喜びの声を上げる。それに釣られて先程から暗かった周りの戦術人形も一気に明るくなった。

 

「よっしゃぁぁぁぁぁ!!酒が飲めるぅぅぅぅぅ!!」

「地球が崩壊しなくて良かったぁぁぁぁぁ!!」

「もうあんな相手こりごりよ!」

「というか、その原因を作った指揮官が一番悪いんじゃないの!」

 

 喜びに混じってグレイ達に対する恨みもしばしば。まあ、今回は自分達の物忘れでこうなってしまったので、これからは整理整頓はちゃんとしようと痛感し、心から誓う一同だった。

 

「クックックッ……成程。油断して礼を失した様だ。ならば、改めて敬意を払おう!」

 

 が、喜んでいるのも束の間だった。さっき倒した筈の彼女の声が再び聞こえ始めていたのだから。恐る恐る振り向くと、そこにはさっきまでの傷が無くなっていた彼女が立ち上がっていた。

 

「馬鹿な……!あれだけの攻撃を受けてかなり致命的だった筈だぞ!?」

「残念だったな。アタシにはちょっとした再生能力があるから、腕の一本失おうが、頭を吹き飛ばされようが元に戻る。それがアタシだ」

「テメーはピッコロ大魔王かよ!?」

「さっきのはただのウォーミングアップに過ぎない。アタシはな……この斧じゃなくても戦える手段はあるんだぜ?」

「何……だと……!?」

「さて、準備運動はこの位で良いだろう。さあ、第二ラウンド始めようか……」

 

 絶望はまだ続く……。




エリザ「え、何あれ……グリフィン怖……(震え声)」

実質、ドルフロ終了のお知らせ。こんなの出現したら鉄血壊滅待ったなし。バラクーダ?そんなのワールドデストロイヤーで文字通り一発で沈めさせて貰います。

色々とフォントとか頑張った結果がコレだよ!見辛かったらすみません。

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