間に合ったけどギリギリすぎてチェックほとんどしてない!
許してください!!
皆さま!今年一年、お世話になりました!!
評価や感想で本当に元気をいただきました!!
それでは皆さま、良いお年を!!(あと少し)
「は? は、初恋……?」
紅音と大晦日の夜中、日付が変わる手前に並んで初詣に向かう途中、どういう経緯なのか、まさかの問いを受けていた。
「はい! 前に瑠美ちゃんから楽郎さんの初恋は親戚の方だって聞いて、少し気になってたんです!」
「あいつ何でそんなこと知ってんだよ……そして軽々しく教えるなよ……」
順調に外道に染められていく妹に憤りを感じつつも、とりあえず聞かれた初恋について思い出す。
――二人で来た遊園地……何故かシークレットシューズを履かされる俺……手を繋いでジェットコースターへ……係の人にかわいそうなものを見る目をされる俺……激しい空気抵抗……ふと見えた隣の満面の笑みの従姉……。
「ごめん、やっぱりあれは話したくない……というか思い出したくない……」
「だ、大丈夫ですか……?」
「おう……」
「楽郎さん、初恋はいい思い出じゃないんですか?」
「まあ……紅音はどうなんだ?」
「私ですか? 私は――」
「あ、ごめんやっぱなしで」
「えぇ!? 何でですか!?」
「あーいや、何と言うか、紅音から俺以外の男の話を聞くのがちょっと複雑で」
「あ……えと、で、でもすごく前の話ですよ?」
「んー……やらない方向で」
「わかりました……じゃあやっぱり楽郎さんの初恋の話を聞かせてください!」
「なんでだよ! つか何でそんな初恋にこだわるんだ……?」
「だってその……やっぱり楽郎さんの事もっと知りたいですし……」
ぐ……こいつ最近俺がどうすれば堕ちるかなんとなくわかってきてるな……。
「わかった……初恋、ではないが……子供の頃の話をしよう。これは、瑠美は絶対しらん話だぞ」
「聞きたいです聞きたいです!!」
「はあ……あれは俺がまだ小学生だった時の話だ」
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まだはっきりと自分の趣味は見つけることが出来なかった俺は、暇さえあれば両親に外に連れまわされてた。
父親に海に連れてかれては、母親に山に連れてかれる。
まー魚に海に引きづり込まれたり、蜂に追い掛け回されたり散々な目にあってたわけでさ。
その時点でインドアなタイプなのは自覚してたから、ちょっとうんざりしてた頃だ。
夏休みのある時、いつもと変わらず母親に連れまわされて、どこの地方だったか忘れたが、とある山に連れてこられたとき、隙をついて母親のとこから逃げ出したんだ。
で、見つかりたくないもんだから、隠れる場所を探しててさ。
子供ってのは人の家の庭に入るのも意外と躊躇わないもんでな、知らない家の庭に隠れたんだ。
そこで出会った少女に俺は引き込まれた。
すげーいい天気の日にもかかわらずその子は布団で横になってたんだけど、俺が庭に入ってきたことがわかって、ゆっくりと身を起こしたんだ。
なんつーのかな、薄幸の美少女的な子でさ。
思わず少し見惚れたくらいだ。
とはいえ勝手には言ってきたのは俺だったし、下手したら家の人を呼ばれると思って、いつでも逃げる準備をしてたわけだけど、予想に反してその子は普通に話しかけてきたんだ。
その子は割と床に臥せることが多かったみたいで、いろんな話を聞きたがってた。
まあ、連れまわされてただけあって、話のレパートリーは多かったから、そのまま長い間、他愛ない事ずっと話してた。
でも、それだけでも楽しかった。
気が付けば日も落ちる位ずっと話してた。
流石にその後は母親に見つかって引きづられるように家に帰ったって感じ。
子供ながらに、また会いに行こう。
今度は一人で来よう。
なんて思ってたりしたけど、結局その後、俺はその子の住んでる場所に行くこともなく、今に至ってる。
ただ大事な思い出として、俺の中で今もその子は残ってる。
なんつーか、ひと夏の恋的な?
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「後になって母親に聞いてもそこが何て場所だったかまでは覚えてないんだよなぁ……ま、色々各地歩き回ってたし仕方ないっちゃ仕方ないんだけどさ」
そこまで話し終えたところで、紅音がポカンとした顔をしていた。
「どうした……?」
「え!? あ、えっと……その、嬉しくて」
「?」
「楽郎さん。やっぱり私の初恋の話も聞いてもらっていいですか!?」
「いやさっき断ったろ」
「いえ、絶対聞いてもらいたいんです!」
「ええぇ……?」
急に真剣な顔で言うもんだから、とりあえず紅音の話を聞くことにした。
「私、今でこそ元気ですけど、昔は少し体が弱かったんです」
「え、紅音が!?」
黙って聞いているつもりが、予想だにしない言葉につい口を挟んでしまった。
紅音は苦笑いをしつつ話を続ける。
「ですね……今みたいに走り回れるようになったのは小学生の高学年くらいになってからなので、低学年はほんとに運動を禁止されるくらいでした」
「はぁー……」
驚くべきことだが、そういう事もあるもんなんだな……と考えた後に、ふと思う。
何で今紅音はその話をしたのだろうかと。
そこを問う前に、紅音は続きを話し始めた。
「だからずっとお布団で過ごすことの多かったある夏の日に、お家の庭に一人の男の子が入り込んできました」
「ッ! …………」
「男の子は私の知らない話や面白い話を、体験談を含めて色々とお話してくれました」
「それって……」
「男の子が来てくれたのはその一回だけでしたが、私の心にずっと残ってた、大事な――私の初恋です。…………えへへ、聞いてくれてありがとうございました!」
「…………………………マジか、そんなことある?」
「私もビックリしました! 私の初恋の話がまさか楽郎さんから聞けるなんて思ってもみませんでした!」
「合わせたわけじゃないんだよな……」
「あ、楽郎さん酷いです! 疑うならあの時してくれたお話しの内容話しますか? 私全部覚えてるんですから!」
「いや……悪かった。疑ったわけじゃないんだが、つい……つか俺自身は流石に何話したかまでは覚えてねぇって」
「むぅ」
そんなことを話しているうちに、近くの神社に到着した。
「というか中でもうカウントダウンやってんな……」
「という事は年明けですね……!」
――さん!
――にぃ!
――いちぃ!
――ゼロォォォ!
「「あけましておめでとうございます」」
「楽郎さん、今年もよろしくお願いしますね!」
「おう、今年もよろしく……さて、さっさと行こうぜ。既に激混みしてるから骨が折れそうだ」
「そうですね! 行きましょう」
そう言って紅音は俺の手を引いて前を行く。
「危ないから走るなよ?」
「わかってますよ! ただ今は、楽郎さんと手を繋ぎたかっただけです!」
「~~おまえはほんと……ズルいわ……」
「? 何がですか?」
「何でもないよ」
「あ! そうだ楽郎さん! 新年の最初にやる事って、初まるまるって言いますよね!」
「ん? あー、確かにそうだな」
初笑いとか初すべりとかあるわな。
「楽郎さん楽郎さん!」
「なんだよ?」
「大好きです!!」
「~~ッ!? いきなりどうした!」
「楽郎さん、今私に恋しましたか!?」
「はいぃ?」
「恋です恋!」
「いや……その、ずっとしてるが……」
「したんですね!?」
「え、えー……? その……はい」
「やた!」
「だからなんなんですかねぇ……」
「これで今年の楽郎さんの初恋は私が貰いましたから!!」
「はい……?」
それはどういう……あ、いや、なんとなく言いたいことわかったかも。
「ふふ、変なこと言ってごめんなさい! でも私、楽郎さんの初恋の相手になりたかったんです! 楽郎さんの初恋を悪い思い出じゃなくて、いい思い出にしたかったので!!」
「く……ははは! そりゃどーも」
心配しなくても、俺の中に残ってる初恋は、従姉じゃなくて、あの夏休みに出会った少女――紅音だって。
秋津茜の二次創作で始まった話なので、今年を締めくくるのは秋津茜にしたいと思ってたので、出来て良かった……!