ちょい短くなってしまったけど、久々に秋津茜。
貰ったゲロと浮かんだ単語組み合わせだ感じです。
「うおぉ……こりゃすげー雪だな……流石に今日はロックロールによるのはやめておくか……」
学校終わり玄関を出ると、雪がしんしんと降りしきっていた。
「……でもまあ、これはこれでありか」
少々帰り道は面倒と思えたが、このあたりでこんな雪の日も、中々あることではないので、年甲斐もなく新雪を踏みながら走って帰ってやった。
ことのほか楽しい。
「ふぅ……別に降るのはいいけど、家着いてから止むのはほんと勘弁してほしい」
玄関先で頭の雪を掘ろっていると、後ろから声をかけられる。
「あ! おかえりなさい!!」
「んん? …………ただいま」
陽務家の人間らしからぬ、非常に明るい声に振り向くと、案の定満面の笑みを浮かべた隠岐紅音が立っていた。
「えへへ、おかえりなさい楽郎さん。タオル持ってきますか?」
「いや、この程度なら大丈夫だな。紅音はまた瑠美と遊びに来たのか?」
紅音の性格的に、サプライズで俺に会いに来るってタイプでもないだろうし。
「えと、と言いますか、今日はお泊りさせてもらおうと思いまして」
「ん、また唐突だな。最近は瑠美も俺に気を使って、そういうイベントはすぐに俺に言ってくるのに」
紅音と付き合い始めてしばらく、瑠美が「恋人が家に泊まりに来るのに油断した姿は見せたくないでしょ」とニヤニヤした顔で言ってきたときは、ちょっと本気で鉛筆をぶっ飛ばしたくなった。
あいつ妹を悪の道に染め上げてやがる。
「今日は電車が止まりました!!」
「あー…………」
紅音はここから少し離れた地方から電車で通っている。
確かにこの珍しい大雪じゃあ電車も止まるか。
で、急遽帰れなくなった紅音がうちに泊まると。
「なるほどな……ん、瑠美は部屋にいんのか?」
「あ、いえ。瑠美ちゃんは私に鍵を渡して直接バイト先に行くって言ってました」
「またそれか。労働の鬼だな…………ん、噂をすれば、か」
ちょうどと言うべきか、件の瑠美からメッセージが届いていた。
瑠美:電車止まったから帰るの遅くなる、ご飯はバイト先の人が奢ってくれるらしいから食べて帰る。
瑠美:ちなみにお母さんもお父さんも今日は帰ってこないから。
「マジかよ」
思わず声に出る。
「どうかしたんですか?」
「ん、瑠美も電車止まったから帰ってくんの遅くなるとさ」
「えっ、そうなんですね……」
「……ついでに、今日は両親ともに帰ってこないと」
「ぁ…………その……」
「……いや!! 瑠美は遅くなるだけで帰ってくるから!! 別になんもないし! 飯どうすっかなって話な!」
「あ、あ、はい!! そうですよね! えっと、私何か作りましょうか!?」
「いやー大したもん冷蔵庫に入ってなかったはずだし、どっか食べに行こう。近場だったら雪で動けないとかじゃないしな!」
危ない、なんか変な空気になりかけた。
少し前にノワルリンドの奴が変なこと言ったせいだな多分。
とりあえず、瑠美には気を付けて帰って来いと送っておく。
「外食ですね! なんか久しぶりです!」
「俺もそうかも。なんだかんだで軽食で済ませるところあるし」
ライオットブラッドとか。
「とりあえず、寒いし温かいもの……麺類とかだな。なんか食べたいのある?」
「わんたんめん!!」
「お、おう……」
想像以上の勢い、かつすごくキラキラした顔で紅音が言う。
どうしたどうした。
「……あ! えっと……その、わんたんめん、です……」
「いや、敬語とかは別にどうでもいいけどさ。……好きなのか? ワンタン麺」
「はい……その、家族で外食するときはいっつも頼んでてて、だからいつも聞かれるみたいに……」
「勢いで答えたと」
「うぅ……はい……」
紅音はテレなのか俺に敬語が抜けたのを気にしてるのか、少しだけ恥ずかしそうにしている。
「はは、いやいいんじゃねぇの? じゃあワンタン麺あるとこ行くか。近くのおすすめある?」
「あ、はい! 私が家族とよく行くところも近くにあります!! すごくおいしいから楽郎さんにもおススメしたいです!!」
「よっしゃ。んじゃ、そこ行くか」
「はい!!」
店に向かう途中、ちょっとしたいたずら心が芽生える。
「なあ紅音」
「? なんですか?」
「ワンタン麺って答えたとき、家族にするような反応をしてくれたわけだけど、それはつまりもう俺も家族として扱ってもらえてるってことでいい?」
「ふぇ!? あの……えと……」
「くく、いや紅音じょうだ――――」
「その……はい……いつかそうありたいと思ってます」
「――――――――」
「? 楽郎さん……?」
「あ、いや……そ、そっか」
「はい!」
ちょっとからかうつもりが、どでかいカウンターを食らってしまった。
次の秋津茜は誕生日話にしたい(願望)
間に合えば……。