なんとか出来上がりまして。
間に合ってよかった……。
3月24日の夜。
寝る少し前に、楽郎さんからメッセージが届きました。
サンラク:あー……今大丈夫か?
秋津茜:はい!
サンラク:その……だな……
サンラク:明日、時間もらえない?
秋津茜:明日ですか? 明日は部活もありませんし大丈夫ですけど
秋津茜:どうかしたんですか?
サンラク:どうかというか……恋人の誕生日くらい、ちゃんと祝いたくてな
「あ……!」
そうだった、明日は私の誕生日。
サンラク:もし、予定入ってるなら……ほんの少しでもいいんだ、会えないか?
秋津茜:あ……だ、大丈夫です!!
秋津茜:あの、私の一日貰ってください!!
サンラク:お、おう
「……わぁ……楽郎さんがお祝いしてくれるんだ……明日が楽しみ……!」
あ! お父さんとお母さんに説明しないと!
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紅音の誕生日、癪ではあるが鉛筆に相談してランチの店も予約してある。
プレゼントも用意してはある。
後はとりあえず、待ち合わせ場所で一時間前くらいに待っておけば……。
「あ! 楽郎さん! こんにちわ!!」
「うぉ!? 紅音!? ……は、早いな……」
「えへへ……楽しみすぎて二時間も早く着いちゃいました……! 楽郎さんも早いですね!」
「待たせないように先に来ようと思ってたんだよ。まさかさらに一時間も前にいるとは思わなかったが」
「はい!」
「はいじゃないわ。とりあえず……この辺ウロウロでもするか。まだ予約した時間には早いしな…………っと、危ない危ない。先に言っとかないと」
「え?」
「紅音、誕生日おめでとう」
「あ……はい! ありがとうございます!!」
「それと、これはプレゼントな」
「わぁ……! ありがとうございます! えっと、開けてもいいですか!?」
「どうぞ」
「……わ! ヘアピンですね!? ……ふわぁ…………綺麗……」
「一応、色々考えて二種類選んだ。部活の時でも使えるように丈夫なのと、普段使い出来るようなタイプな……バイトしてる訳でもないし、このぐらいしか手が出せなかったが」
「楽郎さん…………」
「ん?」
「……すっごく嬉しいです!! 大切に……大切にします!!」
「そりゃよかった」
飛び上がりそうなくらい喜ぶ紅音を連れ、ウィンドショッピング。
結局一回ゲーム屋に入ったあたり、ゲームで知り合った俺たちらしいと言うかなんというか……。
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色々見て回るうちに、ちょうどいい時間になったので、予約していた店に向かう。
「おー……」
「なんというか……すごいおしゃれなお店ですね!」
「だな……」
鉛筆の指示そのままで予約したから特に調べもしなかったが、ここ学生が入って大丈夫?
一抹の不安はあったが、店内は落ち着いた雰囲気でそれほど高級感に満ちてはいなかった。
とはいえすぐに店員がコートを預かりに来たりと、普通なら絶対入らない店なのは間違いない。
「ん…………その服」
コートを脱いだ紅音が着ていたのは、普段の動きやすい恰好とは違う、淡い青色の、星柄のワンピースだった。
「あの……前におばあちゃんが買ってくれたんですけど、私運動してばっかりで、ずっと飾ってるだけだった服で……へ、変ですか? 私、陸上部だから足も筋肉質ですし……」
「いや、そんなことないぞ! その………………か、可愛いし、すごく似合ってる……」
「ぁ…………ありがとうございます!!」
はにかみながらも嬉しそうに笑う紅音をみて、こっちもより照れくさくなってくる。
「と、とりあえず座ろう!」
「で、ですね!!」
鉛筆の紹介の賜物で、すさまじく旨い店だった……と思うのだが、緊張と照れとでほとんど味わって食べることは出来なかった。
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食事も終わり、色々回っているうちに、気が付けばもう日も暮れだしていた。
かなり名残惜しいが、電車の時間もある。
そろそろお開きにするべきだろう。
家では家族ともお祝いしたいだろうしな。
「あー……じゃあ紅音、そろそろ送るわ」
「……そう、ですね……」
紅音も同じように思っていたのかはわからないが、送るという言葉に、どこか寂しそうな声で応えた。
駅まではそれほど歩くことなく到着する。
「それじゃあその……今日は楽しかったです! 本当にありがとうございました!!」
「ああ……………………」
挨拶もほどほどに紅音が改札を抜ける。
それを見送っていたわけだが……。
「うーん……やっぱダメだな」
そのまま紅音を追うように俺も端末をかざして改札を抜ける。
追いつかれた紅音はキョトンとした顔をしていた。
「え……えと、楽郎さん……?」
「……やっぱり紅音の家の近くまで送る」
「でも、えっと……」
「悪い、もっと長く一緒にいたいんだわ」
「っ!! ~~はい! 私もです!!」
今日という日の一緒にいられる時間を少しでも長く。
ほどなくして、紅音の家の最寄りの駅に到着する。
駅の外に出ると、既に暗くなっており、少しだけ雪が降っていた。
「おお……冷えると思ってたが、雪まで降ってるとはな」
「ですね……この位なら電車も止まらないと思いますけど」
「ああ、この前あっさり止まったもんな」
駅から紅音の家までは近いということなので、ここで見送ることにする。
「せっかくなのでお家まで来てくれてもいいですよ? お茶とか出しますし」
「いや、それはまた今度にしとく……さすがに心の準備が足りてないわ」
「? そうですか……」
少しだけ残念そうにする紅音に、改めて告げる。
「最後に、改めてになるけど…………誕生日おめでとう、紅音」
「はい……! ありがとうございます!! プレゼントも……大切にします!」
「そうしてもらえると嬉しいよ…………じゃ、名残惜しいけど、そろそろ駅に入るわ。…………寒いしな!」
そう言って駅に向かう。
「ぁ………………楽郎さん!!」
「ん? ――っとぉわ!」
呼ばれて振り返ると、勢いよく紅音が抱き着いてきた。
「おいおい、いきなり危ないだろ……」
「楽郎さん………………」
「どうした?」
「………………だいすきです」
「――――~~~~ッ」
耳元で囁くような言葉に、大きく心音が鳴る。
普段の紅音が出さないような声色と声量で告げられた言葉に胸が高鳴る。
あー……なんというか、胸が高鳴るってのはゲームとかでよく聞くが、体感するとこんな感じなんだな……。
強く抱きしめられているから顔までは見えないけれど、耳が真っ赤なのは寒さだけじゃないだろう。
かくいう俺も真っ赤な自信がある。
紅音は抱き着いたままゆっくりと話し出す。
「ごめんなさい、引き留めるとかそういうつもりじゃなかったんですけど……どうしてももう少し一緒にいたくて……」
「それは引き留めてるんじゃないですかねぇ紅音さん? ……まあ一本くらい電車遅らせるくらいかまわないわ。せっかくの誕生日だし、そのくらいのわがままは許容範囲だ」
「……はい、ありがとうございます」
会話をしつつも、一向に離そうとしない紅音に思わず笑みがこぼれる。
もう少し一緒にいたいのは俺も同じ。
この言葉は口には出さず、強く抱きしめ返すことで示す。
そして代わりの言葉に、さっき貰った告白の返事を。
「俺も大好きだよ、紅音」
硬梨菜先生の秋津茜告白ゲロは素晴らしいものだったんですが、あの話は本編軸と言いますか、楽郎君とのリアルが遠い設定での話なので、リアルを近く設定したこのユニバースでは使えない話でした…………が、どうしても抱き着いて告白の部分を書きたかったので、組み込んでしまいました。
二次創作ということで、どうかお許しを……!
それと、途中出てきた紅音ちゃんの服装ですが、Twitterで見かけた葉兎様のイラストがドストライクでしたので、参考にさせていただきました!(許可はいただきました)