1話が秋津茜で10話がルスモル、20話がヒロインちゃんで30話に鉛筆。
意図したわけじゃないけど、意外とバランスよく来てる気がしますね。
前回の話から今回の間、天音永遠による陽務楽郎の陥落作戦を考えてはいた気はしますが、こっちが書けちゃったのでしょうがないです。
すっ飛ばします。
二次創(ry
「お兄ちゃん! 早く!! 座る!! ……正座!!」
「いや正座はしねぇよ!? 何であいつの出る番組見るのに正座して見にゃならんのだ!」
俺は瑠美に引っ張られるようにテレビの前に座らされる。
どうも鉛筆――永遠が全国放送の人気トーク番組に出るんだそうだ。
なんでも女三人が集まって本音でトークするとかいうよくある感じの番組だとか。
あー……もしかしてだいぶ前に言ってたやつか?
見ろって言ってた。
そんなことを考えている内に番組が始まっていた。
映っていたのはよく知る外道とよく知らない二人。
「あいつはいいとして、他の二人は誰だ?」
「んー確かなんとかって言うアイドルグループの一人と、最近売り出し中の若手女優さん、だったかな? やっぱり永遠様がダントツに美しいね!」
その話はスルーしておこう。
「アイドルと女優ね……アイドルで言うなら俺はまだエイト氏の方がいいな」
何度か顔を合わせた(お面付)からか、妙にエイト氏の好感度は高い。
というか、色々苦労してそうな子だから応援したくなる。
「えー? 笹原エイトって私はなんかこう、頑張って作ってる感が好きじゃないかな」
なんだとエイト氏を馬鹿にするなよ。
つか色々外面作ってるのはあいつも一緒だろうよ。
「そんなことより見て!! 永遠様がテレビで喋ってる!! きゃぁぁぁぁぁッ!!」
いやそりゃ喋るだろうが……あいつのことだから、この手の番組だと当たり障りのないようなことしか言わない気もするが。
…………いや、待てよ? 確か前に――――。
そんなことを考えてると、途中で思考を遮るようにテレビの音量が上がった。
「おいこら瑠美、なんで音あげた」
こちらの言葉はどうやら聞こえなかったようで、そのままの音量で番組が進行していく。
…………しかし、ほんとに当たり障りない事しか言わないな………………ん、いやなんか途中で空気変わったか?
『それで、天音さんはどんな人がタイプなの? 顔とかさ』
『後、年上好きとかさ』
『おっとその質問来ちゃう? うーん、タイプかぁ……』
「お兄ちゃん見てる!? 永遠様の恋愛観にメスを入れる気だよこの子たち!」
「んお? おお……おお?」
あいつの恋愛観……?
流石になんて答えるのかは気になったので、黙ってテレビに集中する。
『んー、まあ顔はいいに越したことないけど、一緒に過ごしていれば特に気にならなくなるからあんまり気にしないかな? 後どちらかと言えば……年下?』
『あー確かにそれはあるかもぉ。と言うか天音さん年下派なんだ!? なんか意外な気がする!』
『わかる! なんかナイスミドル好きそう!』
『ちょっと、どんなイメージなのさーそれ』
『じゃあさ、内面は? どんな感じがいい?』
『あ、えーっと、やっぱり一つ好きなことを持ってて、それに本気で取り組んで、本気で楽しめる人とか、だねぇ』
『わーなんかかっこいい!』
『えー、でもそういう目標的なのじゃなくて、自分と一緒の時に見せてくれる内面みたいなのは?』
「……この女優さん傷跡残そうとしてるのか、グイグイ永遠様に切り込んでいってる……! 永遠様のファンとしてあまりいい気はしないからいつもなら喝だけど、内容は気になるから今回はアッパレをあげてもいいかもね! お兄ちゃん!」
「……………………」
「お兄ちゃん?」
「え、あ……お、おう。そうだな……」
何か、何か大事なことを忘れている気がしてならない……あいつ何でこの番組見ろって言ったんだっけ。
『天音さん……?』
『ああ、ごめんごめん。そうだね……私がむちゃくちゃなことを言っても、笑いながら乗っかってくれる人がいいかな。口では文句言ってても、一緒に楽しんでくれる人』
『あーちょっとしたわがままは聞いてほしいよねー』
『でも、天音さんがいう無茶苦茶って全然想像できないね』
『あはは……』
『他にはないんですか!?』
『なんか天音さんのこと聞く機会なんてないし色々知りたいね』
『他、ねぇ……』
『やっぱり、私を驚かせてくれる人が好きかな。私の予想なんてはるかに超えてくる驚かせ方してくれるような奴。そういうの、すごく楽しいから』
「「『『………………』』」」
あいつがそう言った瞬間、画面の中の沈黙と、家の中の沈黙が重なる。
『え、どうしたの?』
『え、あ……最後の笑顔がすごくきれいで』
『もしかして天音さん、その、実は恋人さんとか、いる?』
『いやいやいやいや、いないいない。ほら、カリスマモデルの天音永遠さんはいつも笑顔がきれいなのさ!』
『もー天音さんってばー』
『びっくりしちゃった!』
『まーでも、本当に今言ったような人と出会えることになったら、本気で堕としに行くから、出会うことがあったら、楽しみにしててよね!』
ここから先の番組内容はほとんど頭に残っていない
「んー! 永遠様の恋愛観なんてレアな話を聞けて良かった! これは永久保存版だね……お兄ちゃん?」
「……ん!? お、おうそうだな……」
「なんか上の空じゃない?」
「や、何でもない……とりあえず部屋に戻るわ」
「? うん……」
部屋に戻って、少し思考を巡らせる。
……あいつが言ってた話の内容って……ほとんど俺じゃね……?
いや、あいつの事だから割と適当に話をしてただろうから、架空の人物像がたまたま俺に重なっただけだろ……?
「あれ……でも……」
――ピロン!
「うお!?」
番組を見る前と同じように、何かを思い出そうとした矢先、メッセージが飛んできた。
「……マジか」
噂をすれば何とやら……まあ噂はしてないんだけど……当の天音永遠からのメッセージだった。
鉛筆騎士王:ハローサンラク君♪
鉛筆騎士王:番組、見てた? 見てたよね? 瑠美ちゃんに聞いたから知ってるけど
サンラク:……見てたけど
鉛筆騎士王:そっかそっか……で、どう思った? どう感じた?
サンラク:どうって……別に大して
鉛筆騎士王:私が、サンラク君の事話してるように聞こえなかった?
サンラク:あ、お前もしかしてあの話、わざと俺っぽい人物像で話したな!?
鉛筆騎士王:ん? ……違うね、最後何て言ってたか覚えてない?
サンラク:あん?
鉛筆騎士王:本当に今言ったような人と出会えることになったら、本気で堕としに行くから、出会うことがあったら、楽しみにしててよね
鉛筆騎士王:って言ったんだよ? 私が本気でって言ったんだから、本気だよ?
サンラク:……どういう意味だよ
鉛筆騎士王:んー…………通話にしよっか
サンラク:は?
と、本当にメッセージの途中で通話がかかってきた。
「……もしもし」
『ハロー楽郎君。ごめんね急に電話にして』
「そりゃ構わんけど……結局なんなんだよ」
『ほんとにわかんないの? もしかしてわかってて気づかないフリしてない?』
「どういう事だよ……」
『過去ログ見てみればわかると思うけど、私、この番組で楽郎君の事話したって言ったからね』
「!?」
そうだ、ずっと思い出そうとしていたのはそれだ。
だいぶ前に番組の事をメッセージで送ってきたとき、俺のことを話して盛り上がったって言ってたんだ。
じゃあ、やっぱりさっきのって……。
『思い出したっぽいね。じゃあそれを前提に、さっきの番組を見て、楽郎君はどう思って、どう感じた?』
「俺は――」
もしも、本当にペンシルゴンが――天音永遠が俺の事を好きになってくれたのだとしたら……正直嬉しい。
散々外道だなんだと罵り合っていても、距離を置いたりしないのは、それだけ一緒にいて楽しいからだ。
「なあ永遠……お前、俺の事……」
『待って楽郎君。それを私に聞くのは……私に言わせようとするのは、ズルいと思わない?』
「な!」
『楽郎君の、私の気持ちをはっきりさせてから応えたいって気持ちもわからなくもないけど、私は楽郎君の素の気持ちを知りたいんだけど?』
「お前……っ」
ここぞとばかりに攻め立ててきやがるな……上等だ。
「そこまで言うなら言ってやろうじゃねぇの…………俺は、天音永遠……お前の事が好きだ。悪友って関係の方が先に出来上がってたから、全然気づかなかったが、今ならはっきりわかる。俺は……お前の事が、異性として好きだ。俺と……付き合ってほしい」
『~~~~~~ッ』
「…………どうだ、これでお前の方も聞かせてくれるんだろ?」
『……………………』
「? 永遠?」
『……ううん何でもない。それで、私の返事……だよね? でもちょっと待って……ねえ楽郎君、今からちょっと外出れる?』
「は?」
『直接伝えたいって言ってるの』
永遠が指定した公園まで来ると、ブランコをゆっくり漕いでる人影が見えた。
小走りで近づくと、いつものからかうような笑みを浮かべた永遠がそこにいた。
「んー遅いなぁ楽郎君。この私を待たせるなんてちょっと減点かな?」
「お前なぁ……」
これでも割と急いできた方なんだが。
「でも、来てくれてありがと」
「…………おう」
「さっきの電話……ちゃんと聞いてたよ」
「おう」
「正直私の返事なんてもう伝わってるようなものだと思うんだけど?」
「…………だとしても、俺はお前の口から聞きたい。お前もそう思ったから俺にわざわざ言わせたんだろ?」
「……ふふ、そうだね……じゃ、改めて伝えるね。……楽郎君、陽務楽郎君…………私も、あなたのことが好きだよ。大好きだよ、楽郎君……!」
そう、言い終わるなり、永遠が勢いよく抱き着いてくる。
「え、おい、おまっ」
「ふふふ、動揺してるねぇ楽郎君。でも許してね。今の私モデルとか言ってられないくらい緩んだ顔を真っ赤にさせてるから。これはちょっと見せられないかな」
「……ざけんな、その顔もしっかり見せやがれ。こっから先ずっと煽ってやるから」
「あはは、何それ遠回しなプロポーズ? んー……まあ、どうしても見たいって懇願するなら、恥ずかしいけど見せてあげてもいいけど」
「…………見たいわ。お前のどんな表情も見せてほしい」
「ッ!? ~~ッ!! あーズルいなぁ楽郎君……!」
「現在進行形で顔を見せないように抱き着いてきてる人には言われたくないですねぇ!」
「ふふ……楽郎君」
「んだよ」
「大好きだよ」
「……俺もだよ」
おまけ
「いやー自分で言うだけあって、確かにカリスマモデルなんて言えないくらいだらしない顔だったな、な? 永遠様?」
「…………ふっふっふ、これを聞いても同じことが言えるかな?」
「あん?」
『……俺は、天音永遠……お前の事が好きだ。悪友って関係の方が先に出来上がってたから、全然気づかなかったが、今ならはっきりわかる。俺は……お前の事が、異性として好きだ。俺と……付き合ってほしい』
「は?」
「あの時嬉しすぎて録音しちゃってね? これで楽郎君の告白を何回も聞きなおせるね! 最高だね!」
「この外道……ッ!!」
「そんなに褒めないでよ、楽郎君♪」
私の中の鉛筆の告白は、楽郎君が鈍感なのをちゃんと理解してから、遠回しに、それでいて確実に自分の気持ちを伝わるようにするんじゃないかなと。
その上で、自分から告白するんじゃなくて、相手に告白させようとするんじゃないかという解釈。
妄想の想像ですけど、天音永遠的に自分から告白するのはプライドが許さないけど、自分が好きだというのは伝わってほしい、みたいなこと考えるんじゃないかな、と。
個人的な解釈でございました。
本当はもらった軽いゲロで、ちょっとしたネタ的な話を書いてたんですけど、30話の記念ならちゃんとした話にしようかと、この話にシフト。
もう一つのもそのうち書きます。
そのうち。