もし、楽恵ifの楽郎君が楽羽ちゃんだったら。
流れはほとんど楽恵ifですが、こちらは恋愛に絡める気はありません。
二人が仲良くなったらといった話です。
羽if 夏目恵友人ルート 真・友人として(羽&恵)
とある休み。
散歩がてら、VR機器のメンテ用のもろもろを買いに電気屋に出掛けた。
業務用の機器を貰えたのはありがたいけど、メンテがクソメンドイんだよなぁ、あれ……。
デカいだけあって清掃も一苦労。
まあ手早く買い物を終わらせ、地味に量が多くなったので発送してもらう。
後は帰るだけなんだが、ついでだしゲームコーナーでクソゲーでも漁ろう。
といっても、大手の電気屋なので滅多なことがない限り、好みのゲームに出会えることはない。
今日も同様で、私は電気屋を後にする。
「で、クソゲー手に入らずも、何故か新しい面が手に入る、と……」
そう、新たな面を手に持って。
扇風機型全頭面。
あからさまに扇風機の形をしてるのに、風が来るのは面の中というなんとも個性あふれる面だ。
しかも口の所があいていてご飯まで食べれる構造。
「正直今ちょっと暑いし、せっかくだから被っておきたい気もするけど……被ったらセット崩れて、帰ったら瑠美めっちゃ怒るだろうなぁ……」
毎朝鬼の形相で寝癖を直してくれる瑠美に、今日軽く出かけるって言ったらめちゃめちゃ気合の入ったセットされた。
そこまでしなくてもいいんだけどな……。
とりあえずお面は手に持ってフラフラと街をさまよう。
「なんかお腹すいたな」
そう思い、あたりを見渡すとそこには一軒のハンバーガーショップ。
「……まあ、たまにはいいか」
とまあ気軽に入ったジャンクフード店。
頼んだチーズバーガーセットを食べ始める。
しかし、モソモソとポテトを口に含んでいると、毎回思う。
「こう、ジャンクフード食ってるとどうしても夏目氏の顔が浮かんでくるなぁ」
「え?」
「え?」
声のした方を向くと、申し訳程度の変装といった感じの見たことのある顔と、その手元にある特盛×3ぐらいのポテトの山があった。
私はそのポテト山を凝視し、向こうは明らかに私の横にある、目立つお面を凝視している。
「「え?」」
互いに互いが何者かわかった瞬間である。
で、そのまま互いにスルーしてもよかったけど、何故か相席してしまった。
まあ別にいっか。
夏目氏はものすごい勢いでポテトを消費しつつ語りかけてくる。
「ねぇ」
「?」
「ほんとに……
「まさかの信じられてなかった……というか顔隠しはやめてもらっていいです?」
「じゃあ……サンラク、さん?」
「別にそれでもいいけど、せっかくだし改めて自己紹介しようか? 私は陽務楽羽です。どうぞよろしく?」
「楽羽さん、ね……随分と普通に名前言ったわね。隠してたんじゃなかったの?」
「いやぁ、永遠もカッツォも普通に知ってるし、夏目氏なら別にいいかなって」
「そ、そう……というか、ケイのことはカッツォって呼ぶのに、天音さんは名前で呼んでるのね?」
「ん? まあなんというか、悪友の縁でたまに服装のコーディネートとかしてくれてる。今日のこれもあいつチョイス」
「なるほど……」
「まあ、あんまり頼りすぎると何要求されるかわかんなくて怖いんだけどね……」
「ああ……何となくわかるわ」
「ふくく、夏目氏もJGEで色々大変だったみたいで……」
「笑い事じゃないわよ、まったく……」
鉛筆の悪辣さについて話した後、ふと気になってたことを思い出した。
「そういえば、シャンフロは始めたの?」
「え? ああ、まあ」
「ちゃんとキャラメイク女キャラにしましたぁー? 流石にガチムチキャラでカッツォに迫るとかはやめた方がいいと思うけど」
「してないわよ! 普通わざわざゴツイ男キャラで意中の相手の所にはいかないでしょ!」
「ですよねぇ」
「……あ……というか私は別に、自分のプロゲーマーとしての実力をあげるためにシャンフロを始めただけで」
「ああはい、そうっした。それで、どんなキャラメイクです?」
「………………金髪青眼……」
「……夏目氏も日本人ですなぁ」
「う、うるさいわね」
「いやぁ、別に大したこと言ってないじゃないですかぁ」
「……あなたと話していると、ふとした瞬間に天音さんが頭に浮かぶわ……」
「なんてひどい悪口を……ッ! そんなこと聞いたらカッツォだってキレる」
「え、そこまで? …………ねえ、ずっとカッツォって言ってたけど、ケイの事でしょ? 貴方色んなゲームに手を出してるって聞いたけど、どんなゲームでケイと出会ったの?」
「へ? ああ……何とも言い難いんだけど……」
便秘の事をそのまま伝えていいものなのか?
とりあえず掻い摘んで教えたけど……。
「――とまあそんな感じで……あ、仲良くなったといっても、別にアレとどうこうはないんで」
「あの感じでそんな心配してないわよ……それにしても、へえ……そんなゲームあるんだ……」
「いやいや、おススメはしないですよ? 絶対に」
「そんなに?」
「そんなに」
便秘をおススメって相当だけど……。
というか、流石に夏目氏をそんな沼に引きずり込むわけにはいかない。
「まあ、いいけど……というかよくゲームで知り合って、リアルで連絡取るくらいに仲良くなれたわね。ケイってファン層がアレなだけあって、そう言うのには気を付けてたと思ったけど」
アレ……ね……。
「あれはまあカッツォの凡ミス中の凡ミスで。その、例のゲームでボッコボコにしてやったら、自分で「こちとらプロゲーマーだぞ!」ってキレだして、そこから芋づる式に」
「ぷっふふ……何それ。ケイらしくもない」
「まああの時は舐めプで五連勝決めた後だったから」
「ケイ相手に? その事実だけ聞くととんでもないわね……」
「クソゲーですけどね」
その後も、カッツォの暴露話をネタにことのほか話は盛り上がった。
今日ほどアイツを煽るためにネタ拾っといてよかったと思ったことはない。
気が付けば割と話し込んでいたようで、夏目氏も帰るそうだ。
その際テイクアウトでポテトを買っていたのは見なかったことにする。
「そうだ、楽羽さん」
「はい?」
「一応連絡先交換してくれる? どうやらシャンフロで今先頭を走ってるのは貴女みたいだし、相談することもあるかも」
「そりゃ構いませんけど……恋愛相談は受け付けてませんよ? 夏目氏」
「そこまでしないわよ……後、その夏目氏ってなんか呼ばれなれないから普通に呼んでもらっていい?」
「え、じゃあ……メグさん?」
「そうね、それがいいかしら」
「了解でーす。あ、後、恋愛相談はしなくても、たまにカッツォに関して口が軽くなることもあるかもしれないなぁ」
「あら、そう言う事なら、たまにくらいであればご飯もご馳走するわよ?」
「…………でもジャンクでは」
「貴女も天音さんも私にそう言うキャラを植え付けないで」
「違う、と?」
「…………別にジャンクでもいいじゃない」
「ほら」
「言ったわね。そう言うなら、今度信じられないくらいおいしいハンバーガー屋さんに案内してあげるんだから」
「それは期待して待ってた方がよさげ?」
「ええ、ちゃんと期待しておいて?」
そう言って私はメグさんと分かれて帰る。
まあ、プロゲーマーだし、そうそう暇な日もあるわけじゃないだろうから、さっきの口約束はあってないようなものだろう。
――とはいえ。
「…………うん、結構次を楽しみにしてるね、私……そんなにジャンクフード好きだったっけな……?」
同性相手のスキンシップ率が高いということは、気に入ってる相手には割とフレンドリーにいくんじゃないかと思い書きましたが、ことのほか仲良くなりそう。
原作で楽郎君と夏目氏は意外と仲が良いので、元々そこから考えたif話でしたが、私が二人に求めていたのは、恋愛要素よりこういう友情の話だったのかもしれない……。
楽郎君だとこの路線でもシャイが顔を出す。