ユニバースが違うシャンフロ   作:蛇ヤミー

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シャングリラ・フロンティア~クソゲーハンター、神ゲーに挑まんとす~
の3周年まで、後3日。

ええ、ええ。
前回のあとがきは関係ありません。
初めて書いてみました、サイナif。

書いてみたかったんですよね……書けないかとは思ったんですが……思いついたのがあったので。

40話目のお話です。


サイナifルート 数多の想いはあの歌へ(サンサイ)

 世界と世界を奪い合う光景。

 巨大な建物が広がり、まっすぐ続く道がその間を抜けていく。

 そして、崩れ行く世界の中、天高く伸びる一つの建物と、ひたすらまっすぐ続く長く広い道。

 

 ――これは、あの戦いの光景――。

 

 この光景は、あの戦いの後に幾度となく当機(わたし)の中で蘇る。

 オルケストラ――エリーゼ・ジッタードールとの世界の奪い合い。

 エルマ・サキシマとの対峙。

 冥響のオルケストラの本当の姿。

 

 そして、あの時の涙。

 

 あの一戦だけで、多くの出来事があった。

 そしてその中で、当機(わたし)の視界の中には――いつも貴方がいた。

 

 

 ~~~~~~

 ~~~~

 ~~

 

「――イナ…………サイナ!」

「あ…………すみません……」

 

 フラッシュバックの最中、契約者(マスター)に揺り起こされる。

 今は、リリエル=217の契約者の指示により、素材を集めている最中でした。

 

「お前がボーっとすんのは珍しいな」

「その……あの時の事が頭に浮かんでまして」

「あの時? ……ああ、オルケストラ戦か?」

 

「はい。既に終わった出来事で、今はフラッシュバックの必要性はないと言うのに、当機(わたし)脳内(メモリー)に幾度となく、あの時の映像が流れてきます。胸部の内側は計測不能な熱と高鳴りを感じます」

 

「ほー」

当機(わたし)はどうしたのでしょうか」

 

 

「いや……どうもこうもねぇよ。要するにそりゃあれだ…………楽しかったんじゃねーの? あの時さ」

 

「たのし……かった……?」

 

「ああ、俺も楽しかったわ。全力でぶつかり合って…………………………まあ、その後色々と突き落とされた感はあったけどな」

 

 契約者(マスター)の言葉に、若干の違和感はあったものの、確かに言われてみると、楽しいという感覚も当機(わたし)の中に、ある気もする。

 

「……これが、楽しいという感情なのですね」

 

「そうだな。これでまたインテリジェンスポイント10点だ」

「なるほど。これで当機(わたし)知性(インテリジェンス)は三周目に突入するわけですね」

 

「いつの間に二周目カンストした……!」

 

 笑いながらそう言ってくる契約者(マスター)を、少し観察する。

 

 

「? なんだよ」

 

 なに、と聞かれると、当機(わたし)にも明確な返答が出来なかった。

 そのせいなのか、当機(わたし)は意識せずに契約者(マスター)に尋ねていた。

 

 

契約者(マスター)。貴方はあの時私が言ったことを覚えていらっしゃいますか?」

 

 

「あん? なんだよ急に」

 

 怪訝な顔をされた契約者(マスター)を確認し、そのまま言葉を続ける。

 

「あの時です。契約者(マスター)当機(わたし)にラストオーダーを伝えたあの時の、当機(わたし)の答えです」

 

「おお……手短にって時に、長々と命令を求めたあの時か」

 

 

「今は手短に話す必要はありません。ですので、もう一度言わせて欲しいのです」

「もう一度って……何のために」

 

当機(わたし)は……」

「聞けよ」

 

 

「……当機(わたし)は貴方の人形。貴方に寄り添い、共に在るモノ。当機(わたし)は――」

 

 

 しかし契約者(マスター)は、当機(わたし)の言葉を前と同じところで遮り、呆れた顔を見せながら言う。

 

 

「だから……あんときも言ったが、わざわざ口に出す事じゃねぇって。てか――」

 そう、あの時と同じ言葉を――それと――。

 

 

 

「――そんな事、改めて言わなくても、当たり前の事だろ? お前は――――俺のものだ」

 ――あの時、当機(わたし)が言おうとした言葉を。

 

 

「ふふっ……肯定(はい)!」

 

 今また、胸部内に原因不明の熱が検知される。

 そして、返事とともに思わず笑みがこぼれた。

 

 これらも、もしやパッチによる変化なのでしょうか。

 

 

「っ…………さぁて、そろそろ行くかぁ……!」

 

 話は終わりだと言わんばかりに、契約者(マスター)はそのまま当機(わたし)の前を歩きだす。

 

 

 その後ろ姿を追いながら、当機(わたし)は思わず口ずさむ。

 

 

「……~~~~♪」

 

「お。鼻歌…………摩天楼か……あの時はゆっくり聴いてる暇はなかったけど、やっぱいい曲だよな、それ」

 

肯定(はい)当機(わたし)もそう思います」

 

 

「おいおい、何で他人ごとなんだよ……それはお前の歌、だろ?」

 

 

「え……あ…………そう、ですね。……ありがとうございます」

 当機(わたし)の歌……改めてそう言われたことで、少し実感できた。

 

 そう、今口ずさんでいるこの摩天楼(スカイスクレイパー)という曲は、エルマ=サキシマの歌でもあるけれど、当機(わたし)の歌でもあるのだ。

 

 

「おーやっぱテンション上がるな…………気分がいいからそのまま曲、続けてくれよ?」

 

 

応答(はい):…………はいっ!」

 

 

 契約者(マスター)の言葉に、何故か胸部に今まで以上の熱が籠る。

 

 でも今は、その熱はそのままに曲を奏でる。

 

 

 

 歌詞をのせず、曲だけ口ずさんでいるけれど、込めた想いはあの日と同じ。

 

 ただ一人、貴方に向けて捧げた歌。

 

 

 

 

 ――近く、近く、駆けるその背をいつも見る

 不屈の眼光、決して折れぬ情熱。

 共に旅をして、世界を拓く貴方の姿を

 どうか今こそ空へ、わたしは貴方を送り出す。

 この想い声に込めて届いて

 

 ――摩天楼――

 

 




最後に使用させて頂いた『摩天楼』の歌詞ですが、ちゃんと先生に使っていいかの許可はいただいてます!

割と気に入ってる話ですが、問題は内容が短い所ですかね……。

サイナ初書き、いかがでしたでしょうか。
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