前にツイッターでコッソリとったリクエストの一つです。
色々錯誤した結果、結局ルスモルになったことをお許しください。
JGEの後、次の登校日から地味に大変だった。
「佐備さん、JGEの放送見てた!! あのなんとかってゲームすごかったな!」
「ネフィリム・ホロウ」
「それ!」
「というか早口少女がトレンドに入って、もう私たち大盛り上がりだったんだから!」
「そう! 出るならそう言ってくれればよかったのに!」
「モニターとして出るのは知ってたけど、大々的な放送なのは当日聞いた」
「後、鹿尾野もちょろっと映ってたよな」
「そうそう、何か後ろでアタフタしてたわ」
「あ、ははは…………」
葉が困ったように笑う。
ちょうどサンラクとペンシルゴンにちょっかいかけられてたときだ。
「エイトちゃんと話したんだろ!? どんな感じだった!?」
「ネフホロの説明に集中してたからよく覚えてない」
「永遠様は!? 永遠様には会えた!? 話せた!?」
「流石に会えたりはしてない。そもそもブースが違った」
とはいえ、チャットで話しはしてたけれど。
そういえば、ペンシルゴン――天音永遠はあの時ステージの上にいたと思ったけど…………まあ、やろうと思えば何でもできるか。
その後も早口少女という名前が先行して広がり、クラス中が盛り上がっていた。
ん…………本当に広めたいのはそんなことなんかではないけれど。
しばらく終わりそうないかと、とりあえず騒ぎが収まるのを待とうとしていたとき、私が望んでいた言葉が聞こえた。
「いや、好きなものを語るとき早口になるのはわかるじゃん。……というか、そんなことより、VRのロボゲーであそこまでの動きをしたのが凄すぎてそっちに注目してた。佐備さんが動かしてた機体が強すぎて途中実質五対一になってたし、その後、一番早い機体と銃に特化した機体に包囲された後も新体操みたいな動きで対処してたし……」
「あなたはわかっている」
「うお! びっくりした」
「そこまで把握できる技能があるなら、ぜひともネフホロをお勧めする。いや、ネフホロをやるべき。あなたには適性がある。2が出る前に初代で慣れておけばアドバンテージになることは保証する。確かに初代は機体を操るのに苦戦するかもしれないけれど、それはそれで楽しさもある。ぜひネフホロをやるべき。私も葉もサポートすることもできるし、最近は2の発表とJGEの影響で非常に盛り上がっているゲーム。だから絶対やるべき」
彼は最近一緒に帰ったり料理を教わったりと、葉と仲のいい男子……流石葉、人を見る目がある。
「さ、佐備さん……?」
「ネフホロはいい……。何がいいかというと――」
「ちょ、ルス……ッ! 夏蓮ステイステイ!!」
む……せっかくの勧誘中に邪魔されてしまった。
まあ同じクラスで葉の友達……いつでも勧誘はできる。
とにかく、ネフホロは普及すべき。
放課後、葉と二人、帰り道で今日の出来事について話しながら帰っていた。
「夏蓮……急にテンション上げて勧誘するのやめなよ……すごくビックリしてたでしょ?」
「でもおかげであの後早口少女の話題は収まった」
「そりゃ、あのテンションで勧誘されてるの見たらね……というか中にはリアル早口少女だって呟いてる人もいたから収まったわけじゃないからね」
「でも彼は是非ネフホロに誘うべき」
「んー……まあ……じゃあ、今度それとなく出来そうか聞いてみるから」
「葉、絶対」
「はぁ……だから旅狼でネフホロ激推し女とか言われるんだよ……?」
「本望」
「まったく……あれ?」
「何?」
「え、あ……下駄箱に傘忘れた!」
「ああ……降るかもって言って持ってきてた……明日でいいと思うけど」
「ううん! すぐとってくる! ごめんちょっと待ってて!!」
「……わかった」
個人的には早く帰ってネフホロに潜りたいのだけど。
……でもそろそろシャンフロにもインしておこうか……。
そんなことを考えていると、少し離れた場所から声が聞こえた。
「……おい、あれ……」
「ん? ……あ! あれってこの前のJGEの時の早口少女じゃね……!?」
「だよな!? マジか、このあたりの学生だったんだな」
「声とかかけてみる?」
「あー……サインとかもらっちゃう!?」
ツイてない……というか面倒……。
テレビに映ったことに不満はないし、ネフホロを宣伝したことに何の後悔もないけれど、考えてみればクラスであれだけ盛り上がったのだから、外でも気づかれることもあるということ。
本当に面倒。
向こうは小声で話しているつもりなのだろうが、私に丸聞こえだ。
葉には悪いけど、少し帰り道を変えよう。
ああ、だめだ。
間に合わない。
「ねえねえ! ちょっといい!? 君、この前JGEであの……ロボットのゲームで一位になった子だよね! 早口少女でトレンドインした!」
「…………………………」
「えー無視? あの時みたいに早口で俺らと会話してくれてもいいんだよー?」
「なはは」
「…………何か」
「何かだって! ほら、君可愛いしトレンドはいるくらいなんだからもう有名人みたいなもんでしょ! だからサインとか欲しいなって!」
「なんか書くもんある? なかったら、このシャツとかでもいいんだけど?」
「…………そういうのじゃないので」
「えー? ノリ悪くなーい?」
「そうそう、あのゲーム紹介してる時みたいにテンション高く俺たちにも接してくれていいんだぜ?」
「うわウゼェ、ウケる!」
何が。
ともかく面倒なので早々に立ち去りたいけれど、どうにもよけてくれそうにない。
さてどうしたものか……と考えていると、肩をつかまれ、後ろに下げられる。
「?」
何かと思ったが、下げられた後に見えたのは、見慣れた大きな背中だった。
「…………彼女に何か…………?」
随分とらしくないほど低い声を出した葉がそこにいた。
「ひっ」
「あ……や……別に……」
後ろからだとわからないけれど、多分怖い顔をしてるんだと思う。
葉は元が結構強面だから、しかめっ面すると本気で怖がる人もいるくらい。
「な……行こうぜ……」
「お、おう……」
男二人も同じだったのか、そそくさとその場から離れていった。
葉は、二人が振り返ってもわかるように、その背中をずっと睨み続けてた。
「葉、もう大丈夫」
「…………はぁぁぁぁ……怖かった……ごめんねぇ夏蓮……戻ってくるの遅れて……」
「かまわない」
「それで……結局何だったの……? ナンパ……?」
「JGEの放送見てミーハーな人たちが声をかけてきた。……というか、理由はわからないまま威嚇したの?」
「う…………だって夏蓮が嫌がってるように見えたし……というか、そっか……全国放送に映ったんだからそういう変なのもいたりするよね……」
「みたい」
「……………………だったら、今みたいに僕が夏蓮を守るよ」
「!! ~~~~ッ…………終わった後に一回一回怖がってたら意味ないと思うけど」
「そ、れは……………………頑張ります」
「ふふ……頼りにしてる」
「……うん、まかせて」
「それと…………助けてくれてありがとう」
「どういたしまして」
「じゃ、すぐ帰ろう。今日は先にシャンフロにインする」
「わかった……事前にチャットとかに連絡とかしといたほうがいいかな」
「んー……大丈夫だと思うけど。必要なら声かけてくると思うし」
「それもそうだね」
今日の帰り道はツイてないと思ったけれど…………意外とそうでもなかったかもしれない。
おまけ
――――数年後。
「――とそんな事が学生の時にあった。その後も葉が何度も私を守ってくれた。つまり葉は至高」
「ら、楽郎君だって! 高校生の時に、イベントの後ナンパされていた私を、颯爽と助けてくれたことがあるんですから!」
「……葉、実際のとこどうなん?」
「え? ……その……それ以降は基本的に一緒にいるときは声をかけようとする人も、僕を見て勝手に離れてったから…………」
「今も相当強面だけど、学生の時からか……加えてその
「……うぅ……楽郎さんは……?」
「ん? あー……あれ、俺が助けたって言ってくれてるけど、実際には玲さん本人が撃退した……」
「あ……斉賀さん、何か武道の心得があるって……」
「そういうこった」
「……………………」
「……………………」
「まあ、本人たちがそれでいいなら、いいか」
「はは……ですね」
数年後のルストには、モルドのことを語るときも、ネフホロには劣るものの自然と熱弁をふるってほしい。
早口少女トレンドインしたならこう言うこともあるかなぁ……と思って書きました。
ほんとは他×ルストの導入で考えてたやつを流用。
サンラク好きだから絡めた話も書きたいけど難しい……。
後、モブの男子視点の話を最初書いてたんですが、ルスモルを第三者視点から見て欲しかったのに、気がつけばちょっと主人公になりかけてたので全ボツです。