ドマイナーでござい。
Twitterのアンケでカッツォさん事案ですって仮タイトル付けてたやつです。
何となく思いついてちまちま書いてましたが、途中で「いや事案だろ」って思って保留にしてたやつ。
二次創作ですので、その点もご配慮ください。
……やられた。
俺は今、死んだような心持ちでカメラの前に立っている。
そして番組が始まる。
「今回は先週の放送の通り、魚臣慧さんの罰ゲーム『読者モデルさんたちによる女装コーディネートバトル!!』のモデルになってもらいます!」
先週の放送……企画としては『応募で集まった素人さんが魚臣慧に挑戦!』みたいなので、俺がラウンドを取られた時点で罰ゲームといった形の放送だった。
正直負ける気はしてなかった。
そこにガッチガチの変装をしたシルヴィア・ゴールドバーグが混ざってなければね!!
もう、番組側の意図がはっきり伝わったよね!
最後の最後の相手がシルヴィアだったんだから!
完璧な変装だったから全然気づかなかったけど、ミーティアスが動き出した段階ですぐわかったよ。
しかもその時のゲストが天音永遠だったことを考えると、変装にはあいつの力が働いたことも間違いない。
要するにこの罰ゲームのために完璧に嵌められたということ!
今だってほら、関係者席に満面の笑みでシルヴィアが座ってる。
ちくしょう。
どれほど恨みをため込もうが、番組は進行する。
今も適当に応答する俺をよそに、今回俺を
しんどい。
『――――――――!』
『――――――――!!』
早く終わらないかな……。
もはや名前すら覚える気もなく、適当に聞き流していると、思わぬ名前が聞こえてきた。
『陽務瑠美です!! 私はあまりゲームはやらないのですが、兄がゲーマーです! よろしくお願いします!!』
――…………んんん? 今、なんていった?
俺の記憶が正しければ、だいぶ前に居酒屋で聞いた名前な気が。
そんな疑問を解消する前に、企画がスタートしてしまう。
読者モデルたちが服を選ぶ間、僕はその様子を別室でモニタリングしていなければいけないらしい。
要するに自分を処刑する道具を選ぶ様子を見てろってこと。
仕方ないので、例の陽務瑠美ちゃんに目を向ける。
少しだけ似てるのかどうか気になったからだ。
「…………わかんないな」
顔が似てるかどうか以前に俺はまずあいつの顔を知らなかった。
本当ならすぐにでも本人に確認したいところだけど、収録中につき端末は使えない。
とりあえず、時間が過ぎるのを待ってるしかできないのだ。
この後、それぞれが選んだ
ファッション誌でよく見るような恰好。
ゴスロリチックなもの。
果てはどこから持ってきたのか聞きたくなるような幼児っぽい服。
ははは、殺せよ。
などと口には出せないが、ずっと考えているうちに、最後の着替えの時間が来た。
やっと終わる……。
「あはは……お疲れですね……私で最後なので、もうちょっと我慢してくださいね」
「ん、ああうん……ありがとう」
どうやら最後が例の陽務瑠美ちゃんだった。
せっかくだから少し話してみるか。
「あーえーっと…………」
……話してみようにもどう切り出せばいいのか。
君のお兄さん陽務楽郎? って聞く気かって。
一応カメラ回ってるし……。
「あ、えっと心配しないでください! 私ちゃんと考えてますから!」
「へ?」
俺が切り出し方に困ったのを見て、どう思ったのか両手で握りこぶしを作り高らかに宣言する陽務瑠美ちゃん。
「私は服を着るとき無理をしてきてほしくはないので、一応魚臣さんの苦痛にならないよな服を選んだつもりです! 私に任せてください!!」
「う、うん……ありがとう」
なんだろう、圧倒的年下のはずなのに妙な安心感を抱いてしまった。
結局、出来上がったコーデは、レディースではあるものの着こなしをメンズ寄りにしたものだった。
どちらかといえば男物のコーデだったので確かに精神的には楽なものだった。
ただ司会が。
『おぉ! 陽務さん、あえて男性よりのコーデにすることで魚臣さんの良さを際立たせています! まるで男装した麗人のようだ!!』
と、とち狂った評価を下さしたのが不愉快だったが。
何で男装なんだ。
収録も終わり、次々と楽屋に挨拶に来る読モの子たち。
最後に入ってきたのは陽務さんだった。
「魚臣さん今日はありがとうございました!」
「ああいや、こちらこそありがとね。最後だけは多少精神的にマシだった……」
「あはは……でも魚臣さんは元々ファッションセンスが高くてかっこいいので、中々考えるのにも苦労しました!」
「はは、ありがと。これでも人前に出る仕事だし、それなりに気を使ってるから、読者モデルの子にそういってもらえると嬉しいよ」
「うちの兄もゲーマーですけど、普段はジャージばかりで同じ身内として恥ずかしいですよ……少しは魚臣さんを見習ってほしいものです」
「あー……」
それは大体想像がつくな……。
「? 魚臣さん? どうかされ…………あ! ゲーマーとはいえうちの兄なんかを魚臣さんと比べるなんておこがましかったですよね、すみません……」
おっと、また勘違いさせてしまった。
……ちょうど兄の話になったし、聞いてみようか。
「いやいや、それは全然いいんだけどさ……そういえばさ、陽務さんの名前、瑠美って字なんだけど、王が留まって美しい、で合ってる?」
「え? えと、はい……それがどうかしましたか?」
「うーんとね……多分、というかほぼ間違いないと思うんだけど……お兄さん、陽務楽郎?」
「えっ!? な、ななな」
「あ、驚かせてごめん。……まあなんというか、君のお兄さんとは、いわゆるプライベートな友人でね……覚えてない? 前にカボチャ頭で天音永遠を紹介されたとき。実は僕もその場にいたんだよね」
「え!? えぇええぇぇぇ!?」
「いやぁ、最初の自己紹介でもしやとは思ったけど、あいつの妹さんとは思えないくらいいい子だったから、最初は半信半疑だったんだ」
「え、あ、え!? う、うちの兄は一体どういう繋がりを……!」
「んー……まあ、確かにあいつの顔の広さは意味の分からないものはあるよね……ゲームで広がる繋がりというのかな。詳しくは話せないけど、天音永遠と知り合ったのもゲームだったしね」
「と、永遠様も……!!」
ああ、そういえば熱心なフォロワーって言ってたっけ。
「と、永遠様や魚臣さんってどんなゲーム……あ、いや! 何でもないです! 失礼しました……!」
「いやいいけど……ほんとにあいつの妹さんとは思えないくらいいい子だね、陽務さん。今だってプライベートに関わりそうだったから質問やめたでしょ」
「そ、そんな……普通ですよ! あ、あと、瑠美でいいです! 兄と知り合いなら色々と面倒でしょうし」
「ん……あいつを名前で呼んだことはないけど、まあそうだね。じゃあ瑠美ちゃんって呼ばせてもらうよ」
「はい!」
「まあ、興味があるならあいつに聞いてみるといいよ」
……あいつも流石に身内相手にクソゲーは進めないと思うし……大丈夫だよな?
そんなことを考えていると、瑠美ちゃんは妙に難しい顔をしだした。
…………えっ、ほんとにクソゲー進められちゃった感じ?
「うーん……少しだけ興味はありますけど、あの辺の機器を揃えるにはお金が……」
「あ……あーまあ結構するからねぇ」
どうやらクソゲーは関係ないらしい。
少々サンラクを疑いの目で見過ぎたか。
「はい……バイトはしてますけど、趣味の方で少々出費がかさみますし……」
「趣味?」
「あ、はい……私、オシャレが大好きで、洋服とか色々つぎ込んでまして……」
「へぇ……じゃあ読者モデルやってるのもその延長上?」
「あ、それはどちらかというと、永遠様への憧れが大きいですかね……でも、趣味に役立ってるのも確かです」
「ふーん……でもそれなら確かに、ゲームにまで手を出すには大変かもね」
「あはは、ですね。それに仮に永遠様と同じゲームをやれたとしても、プライベートは守りたいので突貫は出来そうにないです」
「それはそれは……ファンの鏡だね。…………あの外道にはもったいないくらいだ」
あれの本性を知ってる身として、ついぼそりと本音が漏れてしまった。
「え?」
「いやいや、なんでもないよ」
「そうですか……? でももし魚臣さんにゲーム指導してもらえるなら、考えちゃうかもです! 兄に教わるくらいなら絶対魚臣さんの方がいいですもん! ……なんちゃって」
瑠美ちゃんは下を小さく出しながらいたずらっぽい笑顔を見せる。
「……んー…………瑠美ちゃんが望むなら、別に構わないよ?」
「……へ!? あ、いえあのじょ、冗談ですよ!? そんな、魚臣さんのお手を煩わせるなんて……!」
「ん、まあちょっとした気まぐれだからさ。知り合いの妹さんと偶然出会うなんてこと早々ないし、これも何かの機会ってことで」
「は、はぁ……」
「ふふ、もしその気になったら連絡ちょうだい? あいつに頼めば連絡繋がるだろうし……」
「は、はい……!」
ついなんとなくそんな約束をして、瑠美ちゃんは楽屋をあとにした。
まあほんとに気まぐれなんだけどさ。
しかし妙に話しやすい子だった。
サンラクの妹だからかな……いや、外道とはかけ離れてるようだから違う気がするな。
それに周りにいるあくの強い女性陣とは違った子で、少し落ち着く。
まあさっきの約束も社交辞令と思われたかもしれないし、忙しそうな子だから連絡は来ないだろうけど、もし一緒にゲームすることになったら、少しだけ楽しそうな気がする。
おまけ
サンラク:……カッツォにちと聞きたいんだが
サンラク:お前うちの妹となんかあった?
オイカッツォ:ああ、この前仕事で一緒になって
オイカッツォ:瑠美ちゃんなんか言ってた?
サンラク:……なんかというか、やたらとお前のこと聞かれたわ
サンラク:普段は鉛筆のことしか興味なさげなのに
オイカッツォ:そっか、まあなんか用があるならいつでも連絡してって伝えといてよ
サンラク:…………
オイカッツォ:なんだよ
サンラク:いや……んー……まあ……んー……
オイカッツォ:だからなんだよ
サンラク:……なんでもねーよ、とりあえず瑠美にはそう伝えとく
「んー……クラスの奴なら論外だが、こいつなら……いや、普通に事案だわ……でも五年もすれば……」
瑠美ちゃんの他人の判断基準がファッションセンスなら、ある程度カッツォは初見好感度高めなのではという妄想。
ちなみにカッツォの初見印象が、外道とはかけ離れているだったが、後々瑠美ちゃんもサンラクの妹なんだなとどこかで実感してほしい。
どっかで左右逆転してもおかしくないと思っております。
年齢差…………秩序の人、この鰹です!!