人気投票で改めて思い知らされる膨大な設定量……。
そしてこれから計数……。
ほんとにあの人、人間です……?
ある日の早朝、最近ちょっとあれだったため、体力つけなきゃなと思い、早朝ランニングの時間を少し伸ばした。
要するにかなり早起きしてたわけだが、走っている最中、見たことのあるやつを見かけた。
「……は? 雑ピ? ……こんな朝早く何やってんだ?」
公園のベンチに座り、ぼんやりと宙を眺めている雑ピの後ろにそっと回り込む。
その手にはノート、近づくとなにやらぼそぼそ呟いている。
――これは……新作作成中だな。
そっと手元のノートを覗く。
「爽やかな光指す朝、風は鳴く。それは何故?
心地よい木漏れ日に花は笑う。それは何故?
広い空を自由に舞う鳥は歌う。そ――――」
「うぉわぁっ!! ……ら、楽郎!? こんな朝早く何やってんだよ」
「早朝ランニング。というか何やってるはこっちのセリフだけど」
「う……ただの散歩だ」
「今まさに新作を読み上げてたわけですけど? ……まさか朝日にインスピレーションを? さすが暁ハート先生」
「このっ……ちょっとまて、まさか」
「ああ、今日学校が楽しみだな!」
「まて。まってくれ。……取引をしよう」
「断る」
「まつんだ。ブツを見てからにしろ」
そういって雑ピはカバンから何かを取り出した。
「? 遊園地のチケット?」
「ああ……少し離れた遊園地のペアチケット……その、なんだ、例の隠岐さんとやらと行くと良い」
「……これで黙ってろと? つかお前これどうしたんだ?」
「……この前、ローカル番組の詩のコンテストで……」
やっぱりなんだかんだ才能あるよなこいつ。
「すげーな……自分で行こうとは思わなかったのか?」
「誰とだよ……」
「……うーん、まあ……じゃあそういう事なら」
「よし! 絶対言うなよ!? 絶対だかんな!!」
「おう。陽務楽郎さんを信用しやがれ」
「絶対だぞ!!」
あいつフリって言葉知らないのかな?
家に戻って学校の準備。
で、朝飯を食いに行くとちょうど瑠美と出くわした。
「お兄ちゃんおはよう、最近早いね」
「おはよう。ちょっと体力つけなくてはと思ってな」
「ああ、紅音に引っ張られた話?」
「……当然のように知ってるのな」
「だって紅音、めちゃめちゃ嬉しそうに語ってくれたよ」
「そ、そう」
なんだろう、ものすごく目に浮かぶ。
そう喜ばれるとこっちも照れくさいのだが。
「本人いないのに甘い空気漂わせないでもらっていいですぅ?」
「ぐっ……ごほん、それはそうと、今日学校行ったとき、これ紅音に渡して貰っていいか」
そういって雑ピからもらったチケットを取り出す。
「なにこれ。遊園地のチケット? どしたのこれ」
「ちょっとある筋から手に入れてな。一応さっき本人には連絡したから、渡してくれるだけでいいぞ」
「普通に本人に渡せばいいじゃん」
「……ここ最近は部活が忙しくて会えないんだよ」
「ほー。それで自分の妹を逢引の橋渡しにしようと? 良い趣味してますねぇ」
「……埋め合わせはするって」
「ま、紅音の為でもあるし? いいけどさ」
「……すまんな」
「謝罪ではなくお礼では?」
「ありがとうございます」
これ、このまま行ったら、いずれ色々と瑠美に頭上がんなくなっていかないか?
【超いちゃいちゃカップルとそれを見守る可愛い妹】
瑠美:そんな訳で紅音に渡したよ、お兄ちゃん
紅音:はい! 頂きました! 今度の休みが楽しみです!!
楽郎:おう、部活休みで良かったな。……というかわざわざグループまで立てなくても…………おいこら瑠美、グループ名
紅音:え? えあ!
瑠美:え? 何が?
楽郎:このやろ……
紅音:る、瑠美ちゃん、その……
瑠美:紅音、いや?
紅音:嫌ではないです!! 嬉しいです!!
楽郎:…………あーっと……うん
紅音:あ……で、でも瑠美ちゃん、やっぱり恥ずかしいです……
瑠美:別に私たち以外に誰が見るわけでもないからいいでしょ? 慣れなさい
瑠美:私はしばらくそう呼び続けるから
紅音:うぅ
楽郎:悪魔か
瑠美:後、永遠様も間違いなくそう呼ぶ
楽郎:邪教徒だった
あいつ最近マジでペンシルゴンの影響強すぎるだろ……。
なんか撮影も一緒になることも増えたらしいし、ペンシルゴンもペンシルゴンで、どんどん素を見せ始めてやがるっぽいし。
「……天音永遠がどんな人間でも、良い様にとらえて尊敬してしまう重度の信者だってバレたんだろうな……」
若干妹の将来が心配になる。
さて、当日の朝。
考えてみれば、付き合い始めてから、初のデートとなるわけである。
わずかながら緊張してきた。
待ち合わせは駅なので、早めについてカフェで朝飯食いつつ時間を潰そうと思っていたのだが……。
「あ」
「あ!」
「お、はよう」
「おはようございます! 楽郎さん!!」
「ずいぶんと早いな」
「えへへ、楽しみにし過ぎて早く来すぎちゃいました」
「そっか。俺も似たようなもんだ」
どちらかと言えば、送れるわけにはいかないという使命感も大きかったが。
ラブクロックでは遅刻したら即ピザ留学だったしな。
「楽郎さん楽郎さん!」
「ん? どうした?」
「えへへ、今日の服装どうですか?」
そういって紅音はひらりと一回転した。
この手の質問に対する反応は外道鉛筆から習ってるぞ。
「うん……なんかいつもと違った感じだけど似合ってると思う……と、その……か、かわいい、ぞ」
「ありがとうございます!! 嬉しいです!! …………やった!」
ずっと笑顔だった紅音の顔が、より明るい笑顔になる。
「瑠美ちゃんに手伝ってもらった甲斐有りです」
「やっぱりあいつが絡んできたか」
「モデルさんやっているだけあって、頼りになりますから……あ! 楽郎さんも似合ってます! その、かっこいいです!」
「お、おう、ありがとう」
こっちはこっちで、恥を忍んで、外道鉛筆に頭を下げた甲斐はあったみたいだ……。
たとえ特大の借りを作ることになったとしてもだ。
そして件の遊園地についたわけだが。
「なんというか……昔ながらのという感じの遊園地だな」
「趣があります!」
悪く言えばチープな遊園地だ。
「お、でもなんかお化け屋敷は最先端AR技術を利用した最新型らしいぞ」
「お化け屋敷ですか……怖いけど、ちょっと楽しみですね」
「どうぞ……見て行って下さい……ね……?」
さっそくそのお化け屋敷に来てみたのだが、受付の人の演技力がまず凄い。
演技の勉強とかしてました?
「つーかここだけ遊園地の中でも別空間だろ……」
「す、既に怖い感じでてますね……」
「じゃあ、入るか」
「は、はい!」
「どうぞ……ごゆっくり……ふふ……」
どうやら道順をたどって、最初に持たされたお札を所定の位置に置いて戻ってくると言った、ゲーム性のあるタイプのお化け屋敷のようだが……。
「す、すごいですね……お化け屋敷の中に入ったのに、外にいるみたいです……」
「このAR技術、この前JGEで発表になったばかりのやつだろ……」
このお化け屋敷にどんだけ気合い入れてるんだ、この遊園地。
――ガタッ!!
「わぁー!!」
「(ビクッ!)」
「び、びっくりしました……」
「俺はお前の声にびっくりしたわ」
「ご、ごめんなさい」
「いや大丈夫大丈夫。行こう」
とりあえず手を取り、再び歩き始める。
……とは言ったものの、俺もさすがにこえぇな……。
多分ARに加えてAI技術も取り入れてやがるから、なんというか、状況に応じた脅かし方をしてくる。
「うわー! わー!」
「(ビクッ)」
「ひぅ!!」
「ぅぉ!」
「ひぃ! うわわ!!」
「うぉ(ビクッ! ビクビクッ!!)」
「ううぅ……楽郎さぁん……」
あまりの怖さに紅音が限界に達してしまったのか、手を握っていたのが途中から腕を取られ、今は完全に抱き着いている状態だった。
「あ、紅音、さん……? くっつきすぎでは……? これでは動けないぞ」
「ごめんなさいぃ……でもぉ」
「あー……紅音、心配するなって。俺がついてるから。俺と一緒に何かしたとき、どうにもならなかったことあるか?」
「あ…………」
そう、紅音と一緒に何かすることは、ほとんどゲーム内の事ばかりだが、その全てがちゃんとクリアできてる。
「だから大丈夫だって。行こうぜ」
「……はい!」
紅音は抱きつくのを止め、俺の腕を取った。
「ふふ、そうでした……楽郎さんと一緒なら何も心配なかったですね」
そういって俺たちは再び歩き始める。
その直後、小さく、淀んだ声が聞こえた。
『チッ、爆発しろ』
「おい今の誰だ! まさかAIか!?」
だとするなら、ここのAIなら発達しすぎだろ!!
「ありがとうございましたー!」
屋敷を出ると、入口とは打って変わって、とにかく明るくあいさつされた。
まあ、恐怖が終わったことを伝えるにはこれが一番なのだろうか。
「ふぅ」
「お、終わりましたね……」
「あーマジで怖かった」
「やっぱり楽郎さんも怖かったんですね」
「そりゃな。でも紅音にかっこ悪いところ見せられないしな」
「……えへへ、そのおかげでかっこいい楽郎さんを見れました」
「お、おう、どうも……っと、このあとはどうする」
「もちろん! 今日は一日楽しみつくしましょう楽郎さん!」
こうして俺たちは途中休憩を入れつつ、片っ端からアトラクションに挑みまくった。
「おーし…………大体まわり終えたか?」
「ですね! 広さ自体はそれほど大きくなかったので、何とかまわりきれました!」
「若干タイムアタック気味だったけどな」
「えと、最後はその……観覧車、いいですか……?」
そういって、紅音は昔ながらの観覧車を指さす。
この手の乗り物は時代が進んでもなくならないもんだな。
観覧車に乗り込み、先程の慌ただしさとは打って変わって、ゆっくりとした時間が流れる。
「……おー、意外と遠くまで見えるもんだな。夕日もきれいなもんだ」
「そ……そう、ですね」
? どうも観覧車に乗り込んだあたりから紅音の様子がおかしい。
これは、瑠美あたりに何か吹き込まれたか……?
まあ確かにデートで観覧者なんてのは、昔から使い古された王道とも呼べる代物。
ラブクロックですら各攻略キャラにかならず観覧車イベントがあったものだ。
…………まあ、頂上に着くタイミングちょうどに話しかけないと留学してしまったが。
そんなことを考えていると、ちょうどその頂上が近づいてくる。
それと同時に、紅音も気合を入れるような表情をし出した。
なんというか……わかりやすいやつだな。
そして頂上に着いたとき。
「ら、楽郎さ「紅音」……え?」
――ちゅっ――。
「…………え、あぇ……」
意表を突かれた紅音は、夕日では隠しきれないほど顔を真っ赤にさせ、何とも言えない表情をしていた。
ここまでくればもうわかってるんだぞ。
瑠美あたりに、観覧車でキスするのがいいとか吹き込まれたんだろ?
だけど――。
「――そう何度も紅音に先を越されてたまるかって」
そう、ドヤ顔を決めてやった。
言いながら自分の顔も真っ赤なのは気にしない。
「――――~~~~~~っ!! 楽郎さんは、ズルいです……」
「はっはっは、だから外道と呼ばれるんだぞ」
「うー……! うぅ!」
何を言えばいいのかわからないのか、うめきながら紅音が抱きついてくる。
「そうやって赤くなった顔を隠そうとしてるのかもしれないが、耳まで真っ赤だからバレバレだぞ? 秋津茜」
「私は赤とんぼだから赤いんです! ……今見えないですけど、サンラクさんだって真っ赤じゃないですか……」
「頭の装備がそういう色なんだよ」
観覧車が地面に近づくまで、このままの状態で。
遊園地の帰り、衝撃の事実を知らされる。
「ぅえ!? 瑠美が吹き込んだのは頬にキスするだけ……!?」
俺の言葉に首を小さく縦に振る紅音。
おいちょっとまて、じゃあ……。
「推測ミスって勇み足踏んだうえにドヤ顔してたっていうのか俺は……!!」
やらかしてんな。
かなりやらかしてんな。
これ外道どもに知られたら向こう三年はイジられるやつ!!
観覧車の中以上の顔の赤さを誇っているだろう俺を見て、紅音が慌てて口を開く。
「あの! ……びっくりは、しましたけど……その……すごく嬉しかったです!!」
「え、あ……お、おう……」
「だから、その…………またしてくださいね!!」
「っ!!? 紅音さん!?」
「それじゃあその、私、電車! 電車の時間が近いのでもう行きますね! 楽郎さんまた今度!!」
「えあ、おう! ってまた言い逃げかこらー!」
そのまま紅音は猛スピードで走り去っていった。
「あーもう…………結局ズルいのはお前の方じゃん……」
熱くなった顔が、家に着くまでにさめることを祈る。
まあ私一位ヒロインちゃんにしたんですけども。(ヒロインちゃんエピソード見たい)
あとライオットブラッドカラーリングのジャックヘルメットの絵も超みたい
今回の話で最も苦労したのがポエム。
……ていうかポエムになってました!?
ポエムとかつくったことないからマジでわかんないんですけど!?
作者様何でもできるなマジで!!
じかいはまたいずれ……ストックも後一つだし慎重に……。