私はこの世に生を受けてからずっと戦いの世界で生きてきた。
両親共にその世界でもトップクラスで、特に母はその中でも2、3を争う強さだった。何故1番じゃないのかというと母の親友が2番よりも遥かに強い力を持っているから。両親は勿論、私もその人には尊敬の念を抱いている。
そんな私が戦いの世界を体験したのは2歳の時だった。当時はごっこ遊びの感覚で両親と鍛練していたが、月日が流れるに連れて鍛練も本格的なものになっていくのだった。
私はそんな戦いばかりでも決して嫌という訳ではなく、寧ろそれが生き甲斐でもあった。勿論そんな血生臭い生活の中でも女の子らしい御洒落にもそれなりに力をいれている。母曰く『女の子は御洒落がとても大切』なんだそうだ。
私が7歳になる頃には学校という場所に通うことになった。母の友人によるとこれからの時代は勉学らしく、両親も学校ではかなりの優等生だったので、きっと私も優等生になるだろうと期待していたらしい。
そこから約6年の年月が経過して私は小学校から中学校へと進学した。この6年という時間の中で私は色々と大変な目にあっていたが、その話は割愛させていただく。
中学校の名前は『見滝原中学校』という名前でその中学の生徒の何人かに巻き込まれ『学校でくらいは戦いのことを忘れた方がいいよ』という母の言葉も虚しく結局は戦いの世界に足を踏み入れてしまうのだが……。
そんな感じのプチ戦いの生活も一旦落ち着き、今は京都と呼ばれる場所に足を運んでいる。理由としては気分転換に旅行でもと母が言っていたので、京都の街並みを見て回っている。
色々見て回り、今私は廃工場にいる。こんな彩り豊かな街にもこんな場所があるものなんだと私は興味深く辺りを見る。色とりどりな景色も好きだけど、私の場合はこういった殺風景な場所も落ち着く感じがして好きなのだ。
等というモノローグを述べていると誰かが入ってきたようだ。
「おら、さっさと入れ!」
そう言いながら入ってきたのは高校生くらいの男数人と私と同い年くらいの女の子だった。幸いまだ私の存在には気付いてないので、入ってきた人達を観察してみる。
男の方はよくいる破落戸の類いだろう。戦闘力指数でいうと大きくて6、7といった感じ。
女の子の方を見てみると2人共何かしらの鍛練を受けているのかそこの高校生達よりかは強いが多勢に無勢といった感じで追い込まれているといった様子。手足を縛られているみたいだし。しかし……。
(黒髪ロングの子はともかく、もう1人のツインテールの子からは異質な気配を感じる。その気になれば高校生達を全員倒せると思うんだけど……。訳ありで力を隠しているのかな?)
その辺りは何かと私に似ている。私も彼女と同じで力を隠している……というよりは抑えているという表現の方が正しいのかな?両親は優等生だったけど、私の学力は良いとこ上の下って感じだから優等生って言えるのかわからないな……。
そう考えているとそのツインテールの女の子が高校生の1人にソファーへと投げ飛ばされていた。更には高校生達が彼女達を襲おうと企てていたので、流石に見過ごすわけにはいかず……っていうかこの廃工場そんなに広くないし、私が彼等に見つかるのも時間の問題だったのでゆっくりと飛び出した。そして……。
パシャッ
???side
私達は修学旅行中に高校生達に拐われて廃工場へと連れ込まれた。
彼等の会話で私達がこれからどんな目に遭うか悟ってしまい、心の中で助けを求めているとシャッター音が聞こえてその方向を見ていると私達と同い年くらいの女の子がカメラを持って歩いていた。
「だ、誰だ!?」
「証拠写真GET。これを新聞社に提出したら高校生の男が中学生くらいの女の子に乱暴って感じの記事で新聞に載りそうだね。勿論貴方達は少年院送りだ」
「てめぇ、何時の間に此処に!?」
「貴方達が来る前から此処にいたけどね。そしたら貴方達が彼女達を拐って勝手にペラペラと犯罪宣言してたからその会話も録音させてもらったよ」
クスクスと笑いながら淡々と述べていたその子は私達と変わらない年齢なのにどこか大人っぽく思えた。
「はっ!そんな事にはなんねぇよ。何故ならてめぇも2人のように可愛がってやるからな!!」
男がそう言ったのと同時に2人の男が彼女に襲い掛かる。危ないっ!
「……短絡的だね。よっと」
襲われると思った彼女は男の後ろに回り込み首に手刀を打ち込んだ。凄い……。
それからも次々と男達が彼女に襲い掛かるも先程と同様に手刀で彼等を気絶させた。それはまるでクラスメイトが熱弁しているバトル漫画みたいだった。
「さて、あとは貴方だけみたいだけど?」
「ちっ……!だが援軍が来たぜ。コイツらの分までやらせてもらうぞ!!」
扉が開いて入ってきたのはボコボコにされている高校生と私達のクラスメイトだった。
「……なんか援軍らしき人の顔面が掴まれてボコボコにされてるけど、掴んでいる人が貴方の援軍?」
「てめぇら!何で此処がわかった!?」
高校生は何でそうなったかわからないといった感じでクラスメイト達に問い詰め、彼女は「あっ、違うんだ……」と解っていながらも苦笑いで呟いていた。
「修学旅行の栞1243ページ、班員が何者かに拉致られた時の対処法。犯人の手掛かりがない場合、まずは会話の内容や訛り等から地元民かそうでないかを判断しましょう。地元民ではなく更に学生服を着ていた場合は1344ページ、考えられるのは相手も修学旅行生で、旅行先でおいたをする輩です」
「土地勘のないその手の輩は拉致した後はそう遠くへは逃げず、近場で人目のつかない場所を選ぶでしょう。その場合は付録の134ページへ。先生がマッハ20で下見した拉致実行犯潜伏マップが役に立つでしょう」
クラスメイト達がつらつらと栞の内容を読み上げる。あの栞にそんな事まで書かれているんだね……。
「すごいなこの修学旅行の栞!完璧な拉致対策だ!!」
「いや~、やっぱ修学旅行の栞は持っておくもんだね」
「んな出鱈目な栞があってたまるか!!」
クラスメイト達が感心する中で男は突っ込みを入れる。確かにそんな栞は普通ないよね……。彼女も苦笑いしてるし。
「知り合い?」
何時の間にか此方に来てた彼女が尋ねた。
「は、はい。同期生です……」
「そっか。なら私はもういらないかな?」
優しく微笑む彼女はやっぱり私達よりも大人な感じがした。さっきも格好良かったし……。
「神崎さん、その人は……?」
「えっと……。助けに来てくれた人みたい」
「いやいや、さっきも言ったけど、私の方が先に此処にいたからね。状況が状況だったから見過ごすわけにはいかなかったし」
「へぇ~。ということはこの連中もお姉さんがやった訳?」
「まぁ成り行きだけどね」
「凄かったんだよ!まるで不破さんが読んでいるバトル漫画みたいだったし!!」
茅野さんの言った通り彼女は高校生達の首元に手刀を打ち込み無力化させていた。もしも彼女が暗殺教室に入ってきてくれたら……。
「だったら俺達は必要なかったか~」
「いや、彼等が何処の学校かわからなかったし、もしも君達が彼等の行ってる学校がわかるんだったら助かるな。それに喧嘩がしたいならあと数人が此方に向かっていてもうすぐ来ると思うから多分彼等の仲間だろうし、その人達の相手をしたらいいよ」
今の彼女の発言で私達は驚いた。高校生の仲間が何人か此方に来る事に絶望を感じたし、そんな事もわかる彼女からもどこか恐怖を感じたから……。
「そ、そんな事がわかるの……?」
茅野さんが代表して聞いた。他の皆も、勿論私も気になるので彼女の方を見る。
「複数の気配を感じるし、足音も聞こえるからね」
あっけらかんと述べる彼女に対して高校生が不敵に笑う。
「中坊が意気がるな……。呼んどいた連れ共だ。てめぇらの様な奴等には見たこともない様な不良……」
扉が開き入ってきたのは坊主頭にされてぐるぐる眼鏡をかけた人達と……。
「ふりょ……えぇぇぇぇぇっ!?」
「確かにこんなガリ勉の見た目をした不良は見たことないね。少なくとも私は」
「不良なんていませんねぇ。先生が全員手入れをしてしまったので」
私達の担任だった。
???sideout
「殺せんせー!」
中学生達の1人が殺せんせーという人……?の名前を呼んだ。先生……?
それからはその先生?が触手を使って高校生達を蹂躙していた。
(かなり速い……。さっき言っていたマッハ20というのも嘘じゃなさそうかな)
っていうかもう私いらないんじゃないのかな?
止めは中学生達が栞という名の鈍器で後頭部を殴って終わらせた。
「大丈夫ですか神崎さん、茅野さん?」
「うん、大丈夫!」
どうやら解決の流れだし、私もそろそろ行こうかな。でも黙って出て行くのはなんか申し訳ないから一言だけ……。
「もう大丈夫そうだから私は行くね?」
私の一言に全員が私の方を振り向いた。あれ?もしかして黙って出て行った方が良かった?
ちなみにこのオリ主は私が書いている小説からの友情出演でございます。まぁ大体予測できるとは思いますが……。
この小説はあくまで短編程度なので十数話で終わらせる予定です……というか次挙げるの何時になるって話だけど……。