戦闘好きな少女が暗殺教室の一員になるようです。   作:銅英雄

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昨日投稿する予定だったのに忘れちゃった御詫びとして今日2本目にゃー!


第4話 LとR

転校してから早10日。私もこのE組という空気に馴染みつつ、今日も授業を受けている。ちなみに科目は英語でイリーナ先生が担当している。

 

大体の教科は殺せんせーが見るんだけど、この英語はイリーナ先生が、体育は烏間先生が私達を教えている。前者の理由はイリーナ先生が殺せんせーよりも適任だから。後者の理由は殺せんせーだと常人離れな教え方しかしないため烏間が先生が代わりに教えているという話を有希子に聞いた。

 

あっ、名前に関しては前に出来た『ラムちゃんグループ』の面子だけそう呼んでます。

 

「日常会話なんて実は割と単純。アンタ達の周りにもいるでしょ?マジヤベーとかマジスゲーだけで会話を成り立たせる奴」

 

ああ、いるねそんな人。特に男子が多い。あとはトップカーストに君臨していたギャルっぽいイメージの女子。見滝原の学校でもいたよ。今いるE組だと中村さんがそんなイメージかも……。

 

「そのマジに当たるのが御存知Reality。木村、言って御覧なさい」

 

「り、りありー……?」

 

「はい、駄目。LとRがごっちゃになってるわ。LとRの発音は日本人とっては相性が悪いの。私としても通じはするけど、違和感があるわ」

 

同じ英語でもアメリカ英語とイギリス英語だと発音が異なるから現地の人が聞いたらやっぱり気になるだろう。イリーナ先生は色々な国に行ったことがあるからかやはり細かい発音の違和感にも敏感なんだろうね。このE組にとっては特に良い先生になっているよ。

 

「LとRを間違えたら公開ディープキスの刑よ♪」

 

これさえなければね……。

 

「じゃあ次は……ラム!」

 

おっと、私を御指名か……。

 

「はい」

 

「言ってみなさい。Reality」

 

「Reality」

 

「か、完璧じゃない……」

 

「ありがとうございます」

 

私もイリーナ先生程じゃないけど、日本以外にも何国か行ったことがあって、言葉も覚えたから日常会話くらいならある程度は出来る。さっき述べた様にアメリカ英語とイギリス英語にも気を付けてるしね。

 

「アンタ達も見習いなさい。このように発音に気を遣い会話するとモテモテになるかもしれないわよ」

 

モテモテに……なるかなぁ?私はそんなに興味ないからわかんないや。

 

 

~そして~

 

放課後になり、日課になっている律との将棋対決で遊んでいたら物音が聞こえた。

 

『今の音は職員室からでしょうか……』

 

「ちょっと確認してくるね。王手」パチッ

 

『えっ、ちょっと待ってください!』

 

「ゆっくり考えてていいよ」

 

律にそう言って職員室の方へと向かった。ちなみに完詰みの筈。

 

そんなわけで廊下に出てみるとイリーナ先生はワイヤーで吊るされていて、その横で1人の男性が話していた。この言語は確か……。

 

『あの、これをやったのは貴方ですか……?』

 

私は現状を確認するためにさっき話していた言語で男性に問いてみる。

 

『そうだが、君は一体……?』

 

『私はイリーナ先生に英語を教えてもらっている椚ヶ丘中学校3年E組の生徒の大宮来夢です。ラムとでも呼んでください』

 

「ラム……」

 

「イリーナ先生、今降ろしますね……っと」

 

とにかく吊るされているイリーナ先生を降ろさなきゃ。

 

「これは何の騒ぎだ!?」

 

烏間先生が職員室から出て来てこの状況を確認する。私は自身が断片的に見たことだけを烏丸先生に説明した。

 

「……それでおまえは何者だ?」

 

「これは失礼。私はイリーナ・イェラビッチを日本の政府に斡旋した者……と言えば御分かりだろうか」

 

イリーナ先生を此処に来るように命令した人って事か……。

 

「もしや殺し屋ロヴロか……!?」

 

「知ってるんですか?」

 

「現在は引退してるが、かなりの実力だ。今は殺し屋を育てていると聞く」

 

ふーん。裏舞台の事も調べてるなんて防衛省の情報網も大したものだね。

 

……だとすると何れ私についても何かしら掴むだろう。別に隠している訳じゃないけど、態々言う必要もない。だから私から言うことはない。それに私だけじゃなく他にも隠し事をしている人がいるしね。

 

「例の殺せんせーは今何処だ?」

 

「……上海まで杏仁豆腐を食いに行った。30分前に出たからもうすぐ戻るだろう」

 

杏仁豆腐か……。作ったことなかったし、今度作ってみよっと。

 

「聞いていた通りの怪物のようだ……。イリーナ、おまえじゃ無理だ。今日限りで撤収しろ」

 

「っ!」

 

「おまえは正体を隠している状態での暗殺なら比類ないが、素性が割れてしまえば一山いくらレベルの殺し屋だ」

 

「そんな事ありません!私の力なら……!」

 

イリーナ先生がそう言うとロヴロと呼ばれる男性は一瞬でイリーナ先生の手首を掴み喉元に親指を突き立てた。

 

「相性の良し悪しは誰にでもある。それこそ此処がおまえにとってのLとRなのではないのかね?」

 

ロヴロさんの言うことは尤もだ。普通の現場ならそうかもしれないけど、この椚ヶ丘中学校3年E組という環境にとってイリーナ先生は必要な人材だ。だから私は物申す。

 

「失礼します。ロヴロさん、意見宜しいですが?」

 

「ラム……といったな。言いたまえ」

 

「はい、ロヴロさんの仰っている事は半分正解で半分不正解だと思います」

 

「ほう、どうしてそう思うのかね?」

 

「確かにイリーナ先生は貴方の言うとおりの実力かもしれません。ですがこの空間に彼女は重要な暗殺者となるでしょう。既にE組にとって彼女の存在は必要不可欠なものだと、少なくとも私はそう思っています。ですよね?殺せんせー」

 

「その通りですラムさん!」

 

殺せんせーの顔にはマルとバツの模様が浮かんでいた。……前々から思っていたけど、殺せんせーの皮膚ってどうなってるの?

 

「おまえが噂の殺せんせーか……」

 

「確かに彼女は暗殺者としては恐るるに足りません。クソです」

 

「誰がクソだ!アンタもラムを見習いなさい!!」

 

「ですがラムさんの言う通り彼女という暗殺者こそこの教室に適任です。殺し比べてみればわかりますよ。どちらが優れた暗殺者か……。2人の勝負です」

 

流石殺せんせー。私が言おうとした事を全部言ってくれた。

 

「…………」

 

「ルールは簡単です。この対先生ナイフで烏間先生かラムさんを先に殺した方が勝ちになります。イリーナ先生が勝てば残留。負ければ去るというのはどうでしょう」

 

ん……?なんかしれっと巻き込まれたんだけど?

 

「待て、何で俺が犠牲にされなきゃならんのだ!?」

 

「あの、私もですか?」

 

「だって誰も私を殺せないじゃないですか~」

 

うわぁ……。凄い顔がシマシマしてる。

 

「……まぁ私はいいですよ。元とはいえ精鋭の殺し屋の実力を見てみたいですし、本物のナイフじゃなければダメージを受けることもないでしょうし」

 

「……はぁ、ラムさんが了承した以上俺が断る訳にもいかないな。わかった」

 

(それに殺せんせーが私を指名した理由も気になる……。ロヴロさんに私の実力を見てもらうため……?)

 

考えても仕方ない。なるようになれだ!……でも折角だからイリーナ先生とロヴロさんが行ったら殺せんせーに言うだけ言ってみよう。

 

 

~そして~

 

2人が行って私達3人だけになったので殺せんせーに聞いてみた。

 

「殺せんせー、もしも私達が2人共かわす事が出来たらどうなるんですか?何か見返りがないとちょっと……」

 

「……そうだな。見返りがないと真面目にやってられん」

 

「ふーむ……。でしたらその時は2人の前では1秒の間何があっても動かない事を約束しましょう」

 

なんと!言ってみるものだね。いっそのことイリーナ先生とロヴロさんと結託して……!

 

「言っておきますが2人には内緒ですよ。それを伝えて態と殺しに行かない……なんてことになったらいけませんから」

 

あっ、やっぱり駄目か……。

 

 

~そして~

 

翌日。イリーナ先生は態とらしく烏間先生に仕掛けるが失敗。私は今後の方針を聞くべく職員室に寄ったが、烏間先生はいなかった。連絡をとると後で行くから適当に座って待っていてくれとメールにあったので、近くにあった椅子に座って待つことにした。

 

 

ガタッ!

 

 

しまっ……!椅子に細工が!?するとロヴロさんが此方に襲撃してきた。この態勢だとかわしきれない!

 

「もらった……!」

 

なら……!

 

 

ガシッ!

 

 

「なにっ!?」

 

私はロヴロさんの手首を掴みそのまま捻りあげた。危ない危ない……。殺られるところだったよ。

 

「ぐっ!?」

 

「残念でしたね。ですがまさか職員室に仕掛けを配置しているとは思いませんでした」

 

正直油断してた。家に帰ったら入念に鍛練した方が良いかな。

 

「それでどうしますか?まだやるなら場所を変える必要がありますが……」

 

「……いや、やめておこう。まさか中学生でこれ程の手練れがいるとは思わなかった。それに今ので手首をやられた。片手では君やカラスマを殺すことは出来ないだろうからな……」

 

どうやらロヴロさんはリタイアのようだ。これでイリーナ先生の負けはなくなった。あとはイリーナ先生が烏間先生を殺すかどうかって感じか……。

 

「それじゃあ一緒に見に行きませんか?イリーナ先生が烏間先生を殺しに行く姿を」

 

「君は本気でイリーナがカラスマを殺せると思うか?」

 

「腕っぷしでは100%無理ですね。ですが……いえ、続きは2人の所に行ってからにしましょうか」

 

そう言って職員室から出て校庭に向かうとイリーナ先生が作ったワイヤートラップによって烏丸先生が捕まっていた。烏間先生も油断したね。ハニートラップだけだと踏んだ結果が生んだ醜態。

 

しかし詰めが甘いようで間一髪のところで烏間先生がナイフを止めた。

 

「ふん、頑張ったようだが、カラスマの方が1枚上手だったようだな。あれでは態勢を立て直されてそれで終いだ」

 

「いや、どうやらそうでもないみたいですよ?」

 

イリーナ先生が何かを言うと烏間先生は根負けしたのか大人しくナイフに当たった。それによりイリーナ先生の残留が決定した。

 

「……これが君の言おうとした事なのか?」

 

「そうですね。イリーナ先生はきっと烏間先生の想像の上をいく行動によって烏間先生を殺すと思っていました。『人は予想を越えてくる』……これは私に戦いを教えてくれた師匠が言っていた言葉で私も好きな言葉ですね」

 

あの人からは色々な事を教えてもらった。戦いは勿論、娯楽や文学、それにファッションなんかも……。

 

「その言葉の通りイリーナは予想を越えてきた……か。君程の手練れを育てた師匠とやらが言うならきっとそうなのだろう」

 

「はい、きっとそうです。これがイリーナ先生のLとRでしょう」

 

「……成程な。ところで君は殺し屋の世界に興味はないかね?」

 

「……なくはないですけど、遠慮しておきます。今回みたいな暗殺が特例ですからね」

 

「それは残念だ」

 

そんな言葉を残してロヴロさんは去った。

 

……でも少し惜しかったなぁ。1秒あれば烏間先生はナイフを5撃当てることが出来たらしいし、私も暗殺寸前までいっただろうし。

 

 

~そして~

 

「おい、なんだあの甲冑は……!?」

 

「……もしもの1秒間のために用意しました」

 

「せこい……」

 

だと思ったよ……。




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