五七の艦隊   作:タクネモ・シグレ

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プロローグ『胎動』

「海。母なる海。我ら生命の故郷。貴方は、信じられる?この海の深さ。この海の暗さ。この海の輝き。素晴らしい物よ?私達は、ずっと、それを見てきた。貴方達なんかより、ずっと・・・」

『世界的に有名な置き手紙より抜粋』

 

うーん、よく寝た。

それにしても、まさかあいつと戦う羽目になるなんて・・・あんなのか弱き乙女に勝てる訳ないわよ。ま、一応女王だけど。

・・・結局、卵からかぁ。

ここ、どこだろ?

王は無事かしら?

先ずは、孵化から始めなくちゃね。

 

【1970年・中国・雲南省】

「これは・・・」

巨大な丸い物体。緑色の淡い光を放っている。

「ここの遺跡の壁には、いくつのも蛾らしき壁画があります。恐らく、これの事かと・・・」

蛾の卵。と、言うには少し大きすぎるだろう。“普通の人々”にとっては。

「ヤマタノオロチに関する文献にも載ってた、例の蛾か。」

「間違いないかと。」

即答。それもそうか。

「・・・名前は?」

「文献上での呼び名は不明。MONARCH本部で付けられたコードネームは・・・」

 

【2003年・フランス北部・ダンケルク】

夜の静かな住宅街。

その間の細い道を一人の女が走っていく。その後を追う数人の人を連れて。

その女は随分と肌の色が白い。まるで、雪のような白さ。

対する追跡者達は、全員黒いスーツに黒いコート、黒い帽子を深々と被り顔がよく見えないばかりか、その性別すら分からない。

そんな両者が、住宅街の中を走っている。目の前に高めの塀が現れ、女の進路を塞ぐかと思われたが、女は軽いステップでそれを易々と飛び越える。それを追うべく追跡者達も越えようとするが、そもそも上手く行く訳が無い。どうにか追いかけようと悪戦苦闘する中、追跡者の一人が呟いた。

「化け物め・・・」

 

何とか追跡を振り切った女は、ダンケルク港の片隅に停泊している小さな漁船の所に向かった。そこには漁船の船長と一人の男、そして赤ん坊が居る。それも14人も。

「遅かったな。どうした?何かあったか?」

男が問う。

「奴らに居場所がバレた。早くしないとこの子達が危ない。」

女が答える。

「もうバレたのか。どうする?」

「まだ、幸いにもこの子達の存在はバレてない。知られたのは私だけ。」

上がった息を整えながら答える。

「・・・私が引き付ける。あなたはこの子達と逃げて。」

「何?何言ってる!一緒に行くって言ったのは君だろ!」

「でもこの子達が生き残るのが最優先!最後の希望よ!潰すわけにはいかない!」

急な予定変更に言い合いが始まる。その間にも刻々と時間は過ぎる。

「この子達の幸せはどうなる!母親の顔も知らずに育つことに・・・」

「私じゃなければ良い。」

更に驚きの言葉。

「・・・どういう意味だ?」

「匿ってくれるって言った人、確か女の人よね?なら、彼女に託すわ。」

「何で!」

「これが最善なの!」

その意味を理解したのか、男が黙り混む。だが、そうしてはいられない。

「そろそろ出ないとヤバイぞ!」

船長の催促。それも、かなり焦っている。

「お願い。」

「・・・分かった。」

結局、その方向で決まった。

「だけど、死ぬなよ。俺が迎えに行く。」

「ええ・・・」

間もなく、小さな漁船は14人の赤ん坊と男一人を乗せて、港を後にした。




始めまして(多分)。
タクネモ・シグレでございます。
先ずは・・・いかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けたなら幸いです。そもそも、初心者の書いた小説のプロローグで面白いと思ってくださる神様がいらっしゃれば、ですが(汗)。
あ、ご安心を。既に次の次くらいまでは完成しております。所謂、『ほんへ』ってやつです。イヤァ,タノシミダナァ(棒)。
それじゃ、今回はここら辺で。
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