「海。母なる海。我ら生命の故郷。貴方は、信じられる?この海の深さ。この海の暗さ。この海の輝き。素晴らしい物よ?私達は、ずっと、それを見てきた。貴方達なんかより、ずっと・・・」
『世界的に有名な置き手紙より抜粋』
うーん、よく寝た。
それにしても、まさかあいつと戦う羽目になるなんて・・・あんなのか弱き乙女に勝てる訳ないわよ。ま、一応女王だけど。
・・・結局、卵からかぁ。
ここ、どこだろ?
王は無事かしら?
先ずは、孵化から始めなくちゃね。
【1970年・中国・雲南省】
「これは・・・」
巨大な丸い物体。緑色の淡い光を放っている。
「ここの遺跡の壁には、いくつのも蛾らしき壁画があります。恐らく、これの事かと・・・」
蛾の卵。と、言うには少し大きすぎるだろう。“普通の人々”にとっては。
「ヤマタノオロチに関する文献にも載ってた、例の蛾か。」
「間違いないかと。」
即答。それもそうか。
「・・・名前は?」
「文献上での呼び名は不明。MONARCH本部で付けられたコードネームは・・・」
【2003年・フランス北部・ダンケルク】
夜の静かな住宅街。
その間の細い道を一人の女が走っていく。その後を追う数人の人を連れて。
その女は随分と肌の色が白い。まるで、雪のような白さ。
対する追跡者達は、全員黒いスーツに黒いコート、黒い帽子を深々と被り顔がよく見えないばかりか、その性別すら分からない。
そんな両者が、住宅街の中を走っている。目の前に高めの塀が現れ、女の進路を塞ぐかと思われたが、女は軽いステップでそれを易々と飛び越える。それを追うべく追跡者達も越えようとするが、そもそも上手く行く訳が無い。どうにか追いかけようと悪戦苦闘する中、追跡者の一人が呟いた。
「化け物め・・・」
何とか追跡を振り切った女は、ダンケルク港の片隅に停泊している小さな漁船の所に向かった。そこには漁船の船長と一人の男、そして赤ん坊が居る。それも14人も。
「遅かったな。どうした?何かあったか?」
男が問う。
「奴らに居場所がバレた。早くしないとこの子達が危ない。」
女が答える。
「もうバレたのか。どうする?」
「まだ、幸いにもこの子達の存在はバレてない。知られたのは私だけ。」
上がった息を整えながら答える。
「・・・私が引き付ける。あなたはこの子達と逃げて。」
「何?何言ってる!一緒に行くって言ったのは君だろ!」
「でもこの子達が生き残るのが最優先!最後の希望よ!潰すわけにはいかない!」
急な予定変更に言い合いが始まる。その間にも刻々と時間は過ぎる。
「この子達の幸せはどうなる!母親の顔も知らずに育つことに・・・」
「私じゃなければ良い。」
更に驚きの言葉。
「・・・どういう意味だ?」
「匿ってくれるって言った人、確か女の人よね?なら、彼女に託すわ。」
「何で!」
「これが最善なの!」
その意味を理解したのか、男が黙り混む。だが、そうしてはいられない。
「そろそろ出ないとヤバイぞ!」
船長の催促。それも、かなり焦っている。
「お願い。」
「・・・分かった。」
結局、その方向で決まった。
「だけど、死ぬなよ。俺が迎えに行く。」
「ええ・・・」
間もなく、小さな漁船は14人の赤ん坊と男一人を乗せて、港を後にした。
始めまして(多分)。
タクネモ・シグレでございます。
先ずは・・・いかがでしたでしょうか?
楽しんで頂けたなら幸いです。そもそも、初心者の書いた小説のプロローグで面白いと思ってくださる神様がいらっしゃれば、ですが(汗)。
あ、ご安心を。既に次の次くらいまでは完成しております。所謂、『ほんへ』ってやつです。イヤァ,タノシミダナァ(棒)。
それじゃ、今回はここら辺で。